概要
ゲームボーイカラー版DQ3のROM内に【モンスターメダル】としてのみ存在する、リメイク版DQ4の新規枠として制作されていたとおぼしきモンスター群。
その後発売されたPS版以降には結局登場しなかったことから、DQファンからはこれらのモンスターは【没モンスター】として扱われる場合が多い。
発見とボツの経緯
2000年に発売されたGBC版DQ3には独自要素としてモンスターメダルのシステムが追加されたが、発売されてから間もなくして、個人サイト上で【チート】による解析結果が公開された。
その中にはGBC版DQ3のモンスターに加えて、DQ4のモンスターのメダルが、海上の没扱いモンスターを除いて全て収録されていたのである。
DQ25周年特設サイトによると、GBC版DQ3は当初からDQ4のGB系列への移植を視野に入れたうえで開発されたとのこと。真相は不明だが、おそらくGB版DQ4とDQ3の間でモンスターメダルをやり取りする構想があり、そのためにDQ4のモンスターメダルも抱き合わせで収録されたという可能性が高い。
なおGBCには上位互換機としてGBAも存在するが、GBソフトとGBAソフトは通信規格に互換性が無く、発売中止となったDQ4がGBA版だった可能性は低い。
そして特筆すべきは、その中に「FC版DQ4には存在しない名前のモンスター」が多数含まれていた点である。
これらのモンスターたちはナンバーがFC版のモンスターたちの後ろに位置することから、クリア後のダンジョンに登場させる構想だったのではないかと推測される。
しかし翌2001年には前年のDQ7と同じPlayStationでDQ4のリメイク版が発売された一方、GB系でのDQ4の発売は実現せずに終わった。
そのPS版DQ4の隠しダンジョンの追加モンスターはDQ7のモンスターの流用で、一部のマップもやはりDQ7からの使い回し。
さすがにボスは新規だが、【エッグラ】【チキーラ】という全く別の敵だった。
とにかく、GBC版DQ3のROMに残された新モンスターは総じてお蔵入りとなってしまい、DS版以降およびその後のDQ作品でも長らく陽の目を見るには至っていなかった。
しかし、2023年に【デスペクテル】が満を持してDQM3で登場を果たし、これによって残りのモンスター達も正式登場する可能性が生まれた。
ちなみに唯一の新規デザインである【クインメドーサ】だが、後に出版された【鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ】においてもイラストは存在していないので、鳥山明デザインではない可能性もある。
没モンスター一覧
No. | 名前 | 系統 |
---|---|---|
179 | メタルボーン | 【がいこつけんし(DQ4)】系 |
180 | スクリーマー | 【メラゴースト】系 |
181 | あくまのひとだま | 【フェイスボール】系 |
182 | シードラゴン | 【くびながりゅう】系 |
183 | オーシャンキラー | 【さつじんえい】系 |
184 | エビルシャーク | 【とつげきうお】系 |
185 | しのあんこう | 【エビルアングラー】系 |
186 | 【デスペクテル】 | 【おおめだま】系 |
187 | ドラゴンテイマー | 【ドラゴンライダー】系 |
188 | ヘマトフィリア | 【ひとくいサーベル】系 |
189 | ヘルギガース | 【おにこんぼう】系 |
190 | エースドラゴン | 【アンドレアル】系 |
191 | 【クインメドーサ】 | 新規デザイン |
全て新規(になるはずだった)モンスターであり、現状では(リメイク含め)後の作品で登場したモンスターは今のところデスペクテルのみ。
この内、最後のクインメドーサだけが既存モンスターと異なるデザインになっており、これが隠しダンジョンのボスではないかと推測されることが多い。
また、全体的に海洋に出現したモンスターの色違いが多い(クインメドーサ以外の12体中4体)ことから、隠しダンジョンには水のエリアが存在していた可能性が示唆されている。
また「ドラゴン」と付くモンスターが3体もいることも目を引く。
これらのモンスターは金・銀・銅のモンスターメダルに刻印された姿のみが判明している。
このため、モンスターの外見自体はわかるものの、そのモンスターがどういう色をしていたのかは判別できないという珍しい状態になっている。
例えば、メタルボーンは恐らく【メタルスライム】などと同じ銀色ではないかと推測されるにとどまる。
ただDQ3にわざわざDQ4のモンスターメダルを入れたところを見ると、両作品でメダル交換を想定している可能性が大きいことと、SFC・GBC版共にDQ3裏ボスが既存モンスターの色違いであったことから、クインメドーサはメダルコンプリート関連の方のボス(グランドラゴーンの上位?)で、裏ダンジョンボスはひとつ前のエースドラゴンなどの可能性もある。
「ヘマトフィリア」はかの【マ ク ロ ベ ー タ】スレのタイトルになっているため、この中では比較的知名度がある。
ちなみにヘマトフィリアとは「血液趣向症」、血液に性的興奮を感じてしまう事を意味する医学用語。
DQでは中々見ない名前の付け方である。
その他、DQ4のモンスターメダルから分かること
- 【エビルプリースト】(進化の秘法使用後)がいない
実際に発売されたPS版で裏ボスとなった、再戦版のエビルプリーストのメダルが存在しない(第5章で戦う「だいまどうの色違い」である【エビルプリースト】のメダルは収録されている)。
つまり、PS版以降で採用されている「ピサロが仲間として加入、裏切り者のエビルプリーストを倒す」というシナリオとは別の構想が編まれていた可能性が高い。
そもそもピサロが仲間になったかどうかも怪しいところである。
- FC版で没になっていた海のモンスターがいない
FC版ではデータが存在するのみでゲーム中には登場しない没モンスターだったが、PS版以降で晴れて正式に復帰を遂げたモンスターたちである。
具体的には【マリンワーム】(【マリンリバイアサン】)【ピラニアン】【マッドルーパー】【じごくのざりがに】【たこまじん】【しびれあんこう】【シーライオン】【シャークマンタ】【フライングデス】の9種が該当する。これらのモンスターメダルは存在しない。
FC版ではその気になれば見ることもできたたこまじん等すら復活していない(というより削除された)のはどうなのだろう?
リメイクにあたってモンスターが内部データごと完全に削除された例はこれまで一度もなく、極めて特異である。
(【ベビーパンサー】の例はあるがモンスター闘技場で出会うことができる。)
但し、メダルはなく出会うこともないが内部データには残っているという可能も否定できない。
- ミステリ「ー」ドールという名称になっている
【ミステリドール】の名前の「リ」の後に伸ばし棒が付き、「ミステリードール」になっている。
実際に発売されたリメイク版4では「ミステリドール」である。
なお、今のところ「ミステリードール」表記の作品はトルネコ1とトルネコ2、DQMJ3Pが該当する。