!!!ここに書いてある情報はゲーム用であり、実機の操縦には使えません!!!
はじめに
ここではフリーフライトで、C172という軽飛行機を飛ばす方法を表面的に説明します。
全くの初心者は、初心者向け基礎知識を読んでおくことをお勧めします。
他の方法
- 英語に抵抗が無ければ、FS2020のフライトトレーニング(チュートリアル)をプレイするのも良いです(機体はC152)。
- 機体毎の操作方法は、FS2020内のチェックリストに書いてある場合もあります。
- 本ページでは「操縦席の視点から各種計器を読み取って飛行機を飛ばしたい」というフライトシミュレーションゲームの本来の遊び方について説明します。
「ただ単純に、自分の操作で爽快に飛ばしたい」というカジュアルプレイヤーの方は、以下の記述は基本的に読み飛ばしてしまい、外部視点モードで自分の操作機体を外から見ながら飛行するというのも良いでしょう。
コントローラーについて
Xbox360のコントローラ(箱コン)や、それに準ずるコントローラで説明しますが、左スティックで操縦するのは感度の関係で難しいです。操縦がひどく困難だと感じた場合、フライト用のジョイスティックを購入することをお勧めします。
この記事で扱う機体について
Cessna 172 Skyhawk (セスナ 172 スカイホーク; 略称C172)
- 米Cessna社が販売する4人乗りの単発レシプロ機。自家用の軽飛行機としてはベストセラーです。
- 訓練機としてもよく用いられ、他のフライトシミュレーターでも大抵はこの機体を使えるようになっています。
- Cessnaは企業の名前ですが、日本では軽飛行機の代名詞と化しています。
FSのオプション設定
必須設定
- 必須設定
OPTION > GENERAL OPTIONS > ACCESIBILITY > COCKPIT INTERACTION SYSTEMをLEGACYに設定してください。
これを設定することで、Sim Update 5(Xbox対応)以前の一般的なFSの操作体系に戻ります。
この設定をしない場合、計器がクリックできないなどの問題に遭遇することがあります。
- OPTION > PILOTING を"HARD"(アシストを全部OFF)に設定してください。
アシストがONになっていると正しく操作できないことがあります。
- OPTION > ASSISTANCE OPTIONS ->AIRCRAFT SYSTEMS->GYRO DRIFTをOFFにしてください。
これにより、定針儀(方位計;ジャイロコンパス)のズレがなくなります。
FSのセッティング
- 起動したらWORLD MAPを選択してください。
- 出発空港(FROM)の上のボックスにRJFRと入力して北九州空港を選択してください。
北九州空港は滑走路の方位が真北(約000度)と真南(約180度)なので分かりやすいし、滑走路は十分長く、ほぼ海面高度にあります。
- FROMの下のボックスはRUNWAY(36)を選択してください。
こうすると、真北へ離陸する滑走路(RW36)にエンジン始動状態
- 画面左上の飛行機の画像をクリックすると機体を選択することができます。
以下のどちらかの機体を選んでください。計器の表示が異なりますが、性能はどちらでも同じです。機体名 特徴 Textron Aviation Cessna 172 Skyhawk アナログ計器; Deluxe版以上に付属 Textron Aviation Cessna 172 Skyhawk(G1000) グラスコックピット(GARMIN社製 G1000の簡易版) - 右上アイコンをクリックして飛行条件(FLIGHT CONDITIONS)を設定してください。
WEATHER & TIME(天候と時刻)はPRESETをクリック
時刻は10時から14時くらいの見えやすい昼間を選択
天候はCLEAR SKIES(快晴)にすること
- 全部できたら右下の「FLY!」をクリックすると、ロードが始まります。
- ロードが完了したら一旦デモ画面が出るので、「READY TO FLY」をクリックしてください。
離陸前
カメラ
視点移動
デフォルトではコックピット視点になっています。
- マウスの右ボタンを押しながらマウスを動かすと上下左右を向くことができます。
または中クリックを1回押すと、カーソルに合わせて上下左右を向きます。もう一度中クリックをすると元に戻ります。
ホイールを上下するとズームを調節できます。 - 箱コンでは右スティックで上下左右を向くことができ、右スティック押込でデフォルト視点に戻ります。
- 一般的なジョイスティックではPOV(8方向HATスイッチ)で上下左右を向くことができます。
視点切り替え
キーボードのEndを押すと、コックピット視点と機外視点を切り替えることができます。
また、Escキーを押すとポーズできます。
パーキングブレーキの解除
- コックピット視点で下を向くと、操縦桿が目に入ります。操縦桿をクリックして非表示にしてください。スイッチ類を操作するのに邪魔なため。
- 計器パネルの下側、ラダーペダル(足のペダル)の上側にパーキングブレーキのレバーがあります。クリックして解除してください。
レバーが下向きであれば制動中であり、左を向いていれば解除されています。 - 操縦桿の付け根をクリックすると操縦桿が再度表示されます。
離陸
以下の手順を一つずつ行うのは難しいので、ざっと読んでから試すのが良いでしょう。
計器の見方も参考にしてください。
- スロットルを開き、全開にしてください。箱コンの場合Aボタンを、キーボードならF3を押し続けます。
機体が加速します。全開にするとエンジンの回転計が2200RPM程度になります。
- 離陸滑走すると左に曲がっていくので、右のラダーペダルを踏んで、滑走路から出ないようにします。
箱コンの場合、右のラダーペダルはRトリガー、左のラダーペダルはLトリガーです。
プロペラ機が横風も無いのに左に曲がるのは、主に「プロペラ後流」という効果のせいです。
- 対気速度計が約50ノットを示したら、操縦桿を少しだけ手前に引いて離陸してください。
姿勢指示器を見ながら、ピッチ角は5度くらいに保ってください。
箱コンの場合、左スティックを手前にわずかに引いてください(スティックが小さいので少し難しいです)。
地面を離れると、昇降計が0ではなく正の値を示し、高度計の高度も上がっていきます。 - 離陸したら、滑走路の端まではだいたい滑走路と同じ方向(000度。方位計ではN表示)に沿って飛んでください。
- 機体が左右に傾いた(ロールした)場合、操縦桿を逆方向に倒し、ロール方向の水平を維持してください。勝手に傾くのはプロペラ回転の反作用です。
- 機体が安定したらフラップを0度(UP位置)に上げてください。箱コンの場合Lボタンを、キーボードならF6を押します。
フラップは離着陸時に使いますが、下げたままだと空気抵抗になるからです。
操作するとフラップの作動音がするはずです。
フラップが上がったことを確認するには、コックピットのフラップ・インジゲータを見るか、外部視点に切り替えてください。
C172のフラップ・インジゲーターは、ミクスチャーレバーの右側にあります。
- フラップが上がると自然とピッチ角が下がり、対気速度が増加します。
上昇を維持するように操縦桿を調節してください。ピッチ角は大体5度~15度。
速度は80ノット~100ノット位になります。
上昇
- 上昇し高度5000ftくらいを目指してください。
ミクスチャーの調節
- スロットルは全開のままなのに、3000ftくらいからエンジン出力が落ちてくることに気づくでしょう。エンジン音が小さくなる上、エンジン回転計の値も低くなります。
これは、高度を上げるにつれ空気が薄くなって、空燃比(空気と燃料の比率)が最適な状態から崩れたことを意味します(燃料の比率が大きすぎる)。 - スロットル隣の赤いレバー(ミクスチャーレバー)を少し手前に引くと、燃料流量が少し減って最適な空燃比に戻り、出力が回復します。
逆にミクスチャーのレバーを引きすぎると、今度は燃料流量が減りすぎて出力が低下したり、エンジンが停止します(燃料の比率が小さすぎる)。 - エンジン音やエンジン回転数、排気ガス温度(EGT)が最大になるとき最適な空燃比です(が、それよりは少し燃料流量を多めにします)。
▲アナログ計器のEGT計。
▲グラスコックピットのEGT計。右側のディスプレイの左端にあります
TIPS
- Diamond社などの一部の機種では、ミクスチャーの調整は自動でありレバー自体が存在しない事もあります。
- ゲームではアシスタンスのAUTOMIXTURE機能を有効にすると、ミクスチャーの調整を自動でやってくれます。
水平飛行
- 高度5000ft近くになったらピッチを0度付近に下げ、水平飛行するようにしてください。高度計と昇降計を見るとよいです。
但し、スロットルが全開のままだと加速し続け、機首が勝手に上を向こうとしてしまいます。
飛行機では、対気速度が速くなるとピッチ角が上がるのです。逆に、対気速度が遅くなるとピッチ角が下がります。 - C172の巡航速度(燃費とのバランスが良い速度)は約100ktなので、これを保つようにスロットルを調節してください。
- 一定の高度(5000ft)、速度(100kt)、方位(例えば000度)を保つ練習をしてみてください。
同じ高度で飛行し続けるといっても、操縦桿から手を離すとすぐ姿勢が崩れますが、そういうものです。
しかも、プロペラ機なのでプロペラ回転の反作用で、機体が勝手にロールしていきます。そういうものです。
トリムの使用
姿勢を保つために一定の力で操縦桿を引き続けるのは面倒ですし、難しいですね。そこで、「トリム」という機構の登場です。
- トリムを調節すると、(手放し状態でも)操縦桿に力を加え続けているかのような効果を得られます。
- 特に、ピッチ角を調節するのがエレベータートリムです。単にトリムといえばエレベータートリムを指すことが多いです。
- コックピットのトリムダイヤルを下に回す、または操縦桿のトリムボタンを下に押し下げると、ピッチ角を上げる力が強まります。
トリムダイヤルを上に回す、またはトリムボタンを上に押し上げると、ピッチ角を下げる力が強まります。
操縦桿と違って、トリムは操作しなければ位置が固定されます。やってみれば分かります。 - エレベータートリムをコントローラのボタンに割り当てていない? さっさと割り当てしてください。
- トリムについて理解したら、エレベータートリムを取って水平飛行する練習をしてみてください。
- もちろん、トリムを上手に取っても、完全な水平飛行で1ftもずれません、ということは無いです。
風速や風向がちょっと変わっただけでも対気速度が変動し、姿勢は変わってしまうのです。そういうものです。
失速
- 失速(ストール)は、進行方向と主翼のなす角度(=迎え角)が大きすぎるときに起こる状態です。
失速状態では揚力を得られないため、放置するとすぐ墜落します。 - 一定の高度を保ちながら、スロットルをアイドル状態(パワー最低)にしてみてください。
速度が落ちると飛行機は下を向こうとするので、そうならないように操縦桿を手前に引っ張り続ける必要があります。やがてピーと笛の音が鳴って操縦不能になるはずです。この状態が失速です。 - 失速から回復するには、スロットルを最大にして、操縦桿を戻します。
操縦桿を戻したことで一旦は高度が下がりますが、その内失速から回復します。
失速しているまま操縦桿を手前に引っ張っても、悪化して墜落するだけです。
旋回
- 左右に曲がるには、操縦桿を左右に倒してください。
加筆予定ですが、今は初心者向け基礎知識の旋回の欄をご覧ください。
着陸
着陸速度は飛行機によって異なりますが、C172の場合はフラップ無しで約63ktです。
(デフォルト機の場合65kt位の方が操縦しやすいかもしれません。
それでも難しい場合はフラップを1段下げてみてください)
進入前に
- 上昇時にミクスチャーレバーを引いた場合、最大まで押し込んでおいてください(FULL RICH状態と呼びます)。
進入
- 飛行機は約3度の降下角度で着陸します。昇降計で降下率を見るのも良いです。
- 空港からの距離が10nmのとき、その時の対地高度は約2800ft
- C172の場合、対気速度が63ktで、降下率は約-350ft/min
- (旅客機の場合、対気速度が約140ktで、降下率は約-750ft/min)
- トリムを調節しておくと、降下率を保ちやすくなります。但しトリムで操縦してはいけません。
- 滑走路脇には大抵、PAPIやVASIと呼ばれる降下誘導用のライトが付いています。
PAPIの場合4つのライトが付いていて、上空からの見た目により適正な降下コース(約3度)に居るか判断できます。白4つ 適正な降下コースよりも高すぎます。降下率を大きくしてください。 白3つ赤1つ 適正な降下コースよりも少し高いです。降下率を大きくしてください。 白2つ赤2つ 適正な降下コース上にいます。そのまま降下してください。 白1つ赤3つ 適正な降下コースよりも少し低いです。降下率を抑えてください。 赤4つ 適正な降下コースよりも低すぎます。降下率を抑えてください。
※PAPIが見えやすいように滑走路に近づいて撮影しましたが、
ここまで滑走路に近づいたら進入ではなく着陸であり、PAPI云々はあまり関係ないです。
- 軽飛行機の場合は、主にスロットルの開閉で降下率を調整してください。
昇降舵(エレベーター)はその補助です。- スロットルを開けると速度が速くなる→機首が上がる→降下率が小さくなる
- スロットルを閉めると速度が遅くなる→機首が下がる→降下率が大きくなる
- コックピット視点において計器パネルが邪魔で滑走路が見えないときは、以下の方法で調節できます
(ただし、通常の視点で滑走路が見えないときは、適正な降下コースよりも高度が低すぎることが考えられます)。- キーボードの矢印キー↑で視点上げ、↓で視点下げ
- CAMERAアイコン > COCKPITタブ > UPPER POSITIONで一時的に視点上げ
接地
- 接地する直前に、操縦桿を少し手前に引いて降下率を抑えます。この操作をフレア(Flare)といいます。
- 接地の瞬間の降下率は-100ft/min以内に抑えてください。
- 地面が近づくと、地面効果(グラウンドエフェクト)なる現象により揚力が増加します。
- 通常、接地の瞬間にはスロットルがアイドル状態(最低出力)になるようにします。
その結果、接地の瞬間に一瞬失速警報が鳴るのは問題ありません(ストール・ランディング)。
(状況によってはスロットルを一時的に上げて降下率を抑えてから、下げるという方法もあるようです)
- 滑走路端に白でマーキングしてある箇所が何個かあります。
適切な進入パスにいれば、その辺りに向かって着陸するはずです。止まれるならズレても構いませんが。
- 左右については、滑走路の中心線上に着陸するのが理想です。
- 対気速度が40ftを下回ったら、トーブレーキをかけて減速してください。
- 当たり前ですが、トーブレーキはパーキングブレーキではありません。
- 10kt~25kt位でタキシング(地上走行)してください。10kt未満で方向転換し、滑走路を出てください。
- トーブレーキは左右で別々にブレーキングすることができます。機体によってはこれをうまく使わないと誘導路を曲がれないことがあります。
タッチアンドゴー
離着陸の練習をするときによく行うのがタッチアンドゴーです。
着陸時、接地(タッチ)したらすぐフラップを上げて再度離陸(ゴー)してください。
ただし、マルチプレイでこれをやると滑走路の占有時間が長くなるので、混雑状況を鑑みてください。
- 実際の空港ではタッチアンドゴーに使われる滑走路は他の機体が居ない状態が維持されますが、FS2020の場合は自分の最終着陸進入中でもお構いなしに他人の機体が滑走路上に突如として出現してしまうので、念のため衝突設定などは最初からオフにしておくといいでしょう。
横風状態での着陸
- 今回は無風状態なので関係ありませんが、横風が吹いている場合は風下へ流されていきます。
進入中に滑走路との正対を維持するには、機首方位を滑走路方位よりも少し風上に向けなければなりません。
地面に対してはまっすぐ進んでいるのに、機首方位は少し風上を向いている。この状態をクラブといいます。
接地直前には車輪の向きを滑走路に合わせるため、クラブ状態を解除しなければなりません。
- ただし、特に着陸脚が脆弱かつ構造が単純な(あと、基本的に格納しない固定脚の)小型単発機向けの操作で、頑丈で耐衝撃性(油圧サスペンション)を持った着陸脚を装備している旅客機では必要ないことが多いです。
デクラブ
接地直前にラダーペダルを踏み、機首方位を滑走路方位に合わせる方法です。旅客機でよく使われます。
- ただし、ほとんどの(リアル実機の)旅客機は乱暴に斜め・片輪着陸しても機体損壊しないように着陸脚に大幅な安全対策基準が設定してあり、現実に病人や女子供、病人などの多種多様の乗客を乗せて運ぶような完全に超上級ベテランパイロット向けの操作であって、離着陸もおぼつかない初心者のうちは気にする必要はありません(接地した後に前輪の向きをラダーペダルで変えても結果は同じ、違いは機体の揺れが少ないかどうかだけ)*1。
ウィングロー
風上側に僅かにロールすることで横風に対抗して進入する方法です。
但し、ロールしているとそのまま旋回してしまうため、
風下側にラダーを踏んで機首方位を滑走路方位と同じにして進入します。
スリップしたまま進入することになります。