計器の見方

Last-modified: 2023-01-21 (土) 12:01:32

!!!ここに書いてある情報はゲーム用であり、実機の操縦には使えません!!!
大雑把に記述しています。もっと知りたい人は実機の情報を調べてください。

主要な計器

アナログ計器の場合(C172)
基本の計器.png

グラスコックピットのPFD(C172 G1000)
基本の計器2.jpg

1.対気速度計Airspeed IndicatorASI指示対気速度を示す。単位は普通、kt(ノット)。 小窓にmph(マイル毎時)が表示される機種もある。
2.姿勢指示器Attitude Indicator, Artifical HorizonADI航空機の姿勢を示す。
3.高度計AltimeterALT海面高度を単位ft(フィート)で示す。対地高度ではない。長針は1,000ft、短針は100ft、細い針は10,000ftを表す。縞模様は読み間違い(細い針を見逃すなど)を防ぐためのもので、高度が低い間は大きく表示されている。
4.定針儀Heading Indicator / Directional GyroDG方位計。機首方位(Heading)を磁方位で示す。進行方向(Track)ではない。
5.旋回釣合計Turn Coordinator黒いボールは横滑り状態を示す。飛行機模型は旋回率を示し、目盛りに合わせると標準旋回(2分で1周)となる
6.昇降計Vertical Speed IndicatorVSI単位時間当たりの高度の変化を示す。降下時は負の値になる。アナログ計器の単位は100ft/min

特に1~4の計器はT字型に配置されるため"Basic T"と呼ばれることがある。

対気速度計

指示対気速度(Indicated Airspeed; IAS)を示す。単位は普通、kt(ノット)。
IASは最も重要なパラメータである。IASがあまりに遅いと失速に繋がり、速すぎると機体の損傷や空中分解に繋がる。

アナログ対気速度計の弧や目盛り

詳しくはこの辺りを参照。

白色の弧フラップ展開状態の速度域
緑色の弧通常はこの速度域で航行する
黄色の弧この速度域では乱気流の中では飛行できない
赤色の目盛り超過禁止速度(VNE)。これを超えると機体が損傷する可能性がある

指示対気速度とは

  • 指示対気速度(IAS)は、非常に簡略化して言えば、航空機に当たる空気(相対風)の圧力を示している。
    大雑把に言えば、IASが同じであればいかなる高度・気温・大気の状態であっても、航空力学的な状態は同じということになる。
    揚力も同じ、抗力も同じ、(以前の惰性を除けば)操縦感覚も同じ...
    だから操縦にはIASが用いられる。離陸速度、着陸速度、フラップ展開可能速度、失速速度、最高速度といったものはすべてIASで示される。
    (上記の説明にはかなり語弊がある。詳しくはCASやEASについて調べること。あと、厳密に言うと対気速度は5種類あって割と求め方がややこしい)
  • IASは、大気に対する本当の航空機の速さ(真対気速度; True Airspeed; TAS)とは異なる。
    海面高度ではTASとIASは同じだが、同じTASで飛んでいても、高度が上がる(気圧が下がる)毎にIASは減っていく。
  • 航空機には機首と平行に「ピトー管」が取り付けられており、ここから進行方向への空気を取り入れる。
    その空気の流れによる圧力(動圧)を計測したものがIASである。TASが一定でも高空では空気が薄くなるので圧力も低くなり、IASが減少する。

TAS計

速度計の周りにノブがついてる場合、それを回すと目盛りの一部分(C172の場合、白い部分)が回転することがある。
この場合、その場所の目盛りはIASではなく、おおまかに計算したTASを示している。
但しIASが一定のときTASは気圧高度などによって異なるため、ノブでそれを選択すること。
なお、G1000や旅客機などの高級な機体は、設定すればPFDの一部分やNDにTASを表示することができる。

姿勢指示器

  • 離着陸時、上昇・降下時、旋回時など、あらゆる機動を取るときに姿勢の目安になる。例えば離陸時はピッチ角を約9度にし...といった具合。
  • また、計器飛行方式(IFR)では必須の計器である。雲の中など視界が無い場合は航空機がどのような姿勢になっているのか分からないため。
  • G1000のようなグラスコックピットの場合、画面全体が姿勢指示器のようになっている。
  • 古い機体では目盛りが無く、水平線を表す線が一本あるだけ、という場合もある。
  • 姿勢指示器はジャイロにより動作するため、ジャイロが駆動していないときは機能しない。

高度計

気圧高度を表示する計器。要は気圧計であるが、「この気圧なら計算上大体この海面高度だろう」という高度(気圧高度)に換算して表示する。
よって、「その地点での海面気圧(Altimeter)」が設定されていないと、正しく機能しない。表示される高度がおかしい場合はまずこれを疑うべき。

Altimeterの設定は高度計の周りにある小さなノブで行う。アナログC172では高度計の左側のノブ。

  • では海面気圧のデータはどのようにして手に入れるかというと、ATISや管制官との交信などで既存の測定値を教えてもらうしかない。
    国際標準大気(ISA)では1013hPa(mbar) (=29.92Hg)が標準(の海面)気圧である。天気予報を見れば、大体その前後になっているはず。
    IFRにおいては、一定以上の高度では全航空機はこの標準気圧に合わせる。こうすると高度は信用ならないが、機体間の高度差は信用できるので、機体同士の衝突回避に役立つ(フライトレベル)。

定針儀

機首方位(Heading)を磁方位(000度~359度)で示す方位計。

  • 当然だが北は000度、東は090度、南は180度、西は270度である。
  • 地面に対する進行方向(Track)ではない。定針儀が真北を示していても、西から横風が吹いていると、地面に対しては北東に向かうことになる。
  • 定針儀は、航法用の計器と合体してHSI(Horizontal Situation Indicator)となっている場合が多いが、見方は同じ。
  • 磁方位と真方位は異なる。普通、航空機で使うのは磁方位。

定針儀と方位磁針

定針儀はジャイロにより動作するため、方位磁針と比べて以下のような特徴がある。

  • 定針儀は機体が旋回中でも正しい方位を示す。方位磁針の指針は、旋回中だと乱れてしまう。
  • 定針儀は時計のような円形の計器として表示することができ、分かりやすい。方位磁針は横から見ることになるので分かりにくい。
  • 定針儀には、最初に正しい方位を与える必要がある。また、作動中も定期的に正しい方位を与える必要がある。
    器械的な作動誤差が累積し、少しずつ磁方位からズレていってしまうのである。方位磁針にはそのような問題はない。
  • 定針儀はジャイロが駆動していないときは機能しない。方位磁針は外部動力なしで動作する。

よって、飛行前に静止状態で方位磁針の値を取得し、定針儀計器の周辺にあるノブで方角を方位磁針に合わせておく必要がある。

旋回釣り合い計

航空機は必ず機首が向いている方向に無条件に進むのではなく、姿勢を変えると推進力と惰性が釣り合った方向(基本的に斜め)にドリフトしながら進んでしまう。
旋回計はこの横滑り度合いを示す計器で、真ん中に黒玉ボールがある状態が直進、真ん中の()から黒玉が左右に飛び出している状態がどちらかへドリフトしていることを示す。
修正のためには適時ラダーを操作して、このボールを中央に維持しなければならない。

昇降計

機体がどれくらいの割合で上昇または降下しているかを示す計器。

普段はそこまで厳密に注視する計器ではないが、着陸時(特に、上昇姿勢で失速しながら尻から接地するプロレベルのお上品な着陸姿勢)ではガン見しっぱなしになる。