2016年7月8日の阪神対広島戦(甲子園)で藤浪晋太郎が投げた球数のこと。「161球事件」とも。
概要
この日の藤浪は制球に苦しみ、初回の先頭打者・田中広輔への四球を皮切りに江越大賀や大和(現DeNA)らのミスなども絡み計5失点。7回表終了時点ですでに131球を投じており、また裏の攻撃で打順が回ってくること、5-2とこの時点では逆転も十分狙える点差だったこともあって、誰もが今日はこの回までと思ったことだろう……。
ところが金本知憲監督は藤浪に代打を出さず、なんと8回のマウンドにそのまま送り出す。
異様な空気が甲子園を流れる中、疲労を隠しきれない藤浪は案の定四死球も絡んで二死満塁のピンチを招くと、トドメに代打・岩本貴裕に走者一掃のスリーベースを浴びさらに3失点。
最終的に8回161球7被安打8失点で降板。試合はそのまま8-2で阪神が敗れ、自力優勝も消滅してしまった。
反応
勝つために必要な策だったとは到底言えず、また藤浪は前年の右肩故障から復帰したばかりという事情もあり、時代錯誤とも言える金本のこの采配には当然ながら非難が殺到。
「藤浪が可哀想」「球界の将来を担うピッチャーを壊す気か」「懲罰のために試合を捨てた」等、ネット上ではさまざまな声が上がった。
阪神OBからも「理解できない」と厳しい意見が飛んだ他、アメリカのスポーツ専門局ESPNにも「メジャーならクレイジーだ 」と報じられてしまった。
なお当の金本監督は「今日は藤浪を何点取られようが、何球投げようが、最後まで投げさせるつもりだった」「あの立ち上がりがすべてでしょう。何回目かな。ストライクが入らず、取りにいって打たれた」「責任は感じて欲しいし、感じないといけない」とコメント。試合中カメラに抜かれた鬼のような形相も相まり、プロ野球ファンを震え上がらせた。
また後年いわゆる破壊神と化し、登板するたびに阪神ファンのみならず相手チームの胃も痛くさせている藤浪だが、ここまでスランプに陥った原因の一つとしてこの試合を挙げる声は少なくなく、「金本が藤浪を潰した」という風説が広まる大きな原因となっている。しかし、現在は検証が進み、和田豊政権時代の酷使の影響*1、和田政権での投手コーチだった中西清起の指導力の問題、藤浪自身の技術不足などの要因も指摘されており、金本一人に責任を押し付ける風潮は薄まりつつある。