概要・考察
主に戦闘型の魔導生物が感嘆に伴って用いる表現であり、何らかの卓越した対象について形容する。また、単に対象が「凄い」(卓越している)というだけでなく、〇〇の部分に様々な語・形容を代入することで、「〇〇の性質において特に卓越している」ことを的確に表現する構文である。おそらく戦闘型魔導生物が、戦闘中の素早い情報伝達によって脅威の存在を表現するために発達させてきた形容と思われる。
作中で用いられたものとしては以下のような例がある(スタブ)。
原典1章
- すっごー・ザ・マキシマムい:
1章後編において、カーバンクル公が産み落とした「黒チョコボのごとく飛翔する天翔ける翼」に対してのサー・ヴァル暗黒卿の形容。「マキシマム」が挿入されていることから、直接に「極大に」卓越しているという表現である。3章など複数回使用しており、この語法の基本的な用法のひとつと思われる。
異説4章
- すごー・オブ・ザ・デッドい:
異説4章③にて異界の空気の匂いを感じ取ることができると説明し、また分かれ道で実際にその能力で選択を行った夜刀神の能力に対する、サー=ヴァル暗黒卿の評価。ここで、「デス」であれば「死」であり、単純に対象の危険さの表現となるところであるが、ここでは「デッド」なので「死者」であり、さらに単に「ザ」でなく「オブ・ザ」とは死者に「関与する」偉大な存在を暗示する語であると考えられる。次元世界の境界(しばしば生者と死者、定命と不死とを分かつ境目)にある存在、あるいは古来、蛇神に付与されてきた冥神の性質を感じ取っての表現と思われる。
異説5章
- すっごー・ザ・ワールドい:
異説5章②にてエクスデスの霊樹の密生する地に至った際のサー=ヴァル暗黒卿の歓声。単なる「ワールド」であれば広さや規模の大きさを形容しているだけとなるが、「ザ・ワールド」といった場合は全く意味が異なり、「その世界」、すなわち、「自身の世界を展開する能力又はその能力者」を指す語である。端的には世界(時空)を操作する(例えば限定空間に対して時空の勾配を無限に近く拡大することで時間干渉、例としては時間を停止させる)能力を指している場合が多い。
後述のすごー・ザ・ダークサイドいの説明でも述べるが、トンペリの重力勾配を招来する能力がこれにあたり、この地帯がトンペリの形成した「次元の歪みだらけ」であることを、すでにこの歓声を発した時点で暗黒卿が察知していることをうかがわせる語である。
さらに非常に興味深い点として、トンペリが直後に暗黒卿に対して行った「『世界の監視者』式の婚礼に向けて愛を誓う儀式」について、この儀式の施行者として最も有名な人物*1が、また上述の「ザ・ワールド」の能力を持つ者としても最も有名な人物であることが挙げられる(参考動画)。
この歓声は、暗黒卿の戦闘系魔導生物の本能が、これらの情報をすでに無意識のうちに全て察知していること、ひとつの歓声にそれほどの膨大な情報がこめられているこの構文の伝達性能の高さを示しているが、トンペリの能力が予想外に高かったため、暗黒卿といえどもこの後の展開を未然に防ぐことはできなかったようである。
- すごー・オブ・ダークサイドい:
異説5章④において、トンペリが「風の向こう側までのワープロード」を生成することを提案した際のサー・ヴァル暗黒卿の評。ワープロードは(例えばこちらの世界の物理法則一般では)重力場により空間を歪曲させ穴を穿つことによって生成するため、その重力を確保するための高密度のダークマターなどにより光が脱出できない暗黒域が生じるが、直後のサー・ヴァル暗黒卿の「通ってみ、そして世界を闇へと誘いたい!」という台詞から推測するところ、「ダークサイド」とはそのワープロードの暗黒域の状態または高密度のダークマターをこの世界に招来できるトンペリの能力を卓越したものと評価していると思われる。
- すごー・オブ・ダークネスい:
上の発言の後、モス・クェインを構築していく過程でのサー=ヴァル暗黒卿の発言。モーグリ&トンペリの『未来』への構想が、ダークサイド(暗黒面)からダークネス(闇)へ…より純粋な暗闇の意思に染まっていくのを知覚したようだ。その結果――
異説6章
- すごー・ザ・グングニルい:
異説6章③において、ステルスアサシンの〈メルトダウン〉によるバニシングボディを目撃したマッシュ・ド・ムーンが発した語。「グングニル」という死神の神槍の名が挿入されていることから、驚愕と共に、自らに「大きな脅威および危険」が差し迫っている認識の強さがうかがえる。
異説7章
- すごー・ザ・アンバーストームい:
異説7章②にて、遂に帝国魔導図書館にたどり着いたサー=ヴァル暗黒卿の言葉。本構文は、戦闘魔導生物らしく基本的に力の属性の形容や攻撃手段の名詞を挿入することが多いが、アンバーストームとは、強力な大地属性魔法であり、地に結界を生成し損害を与える攻防一体の術である。またこの術を編み出した強力な魔術師*2は、この術を活用する前に離脱してしまうことも多い点で名高い。この例では、大地魔法であることと活用の機会が稀有である術の名を挿入することで、これまでの困難な地理・地形を経由して、たどり着くのが稀有な地理を遂に見出した感慨を的確に表現していると思われる。
- すっごー・ザ・サンドリアンい
- すごー・オブ・フリーダムい
異説8章
- すっごー・ル・ヴェルエールい:
異説8章①にて、ぺ=パプ聖歌祭のバトルフィールドを視界の端に捕らえたサー=ヴァル暗黒卿の台詞。すっごー構文の挿入句として用いられる語句は基本的に英語に由来するが、ここで現れているのはフランス語の表現である。「le vel aile」もしくは「le bel air」、それぞれ「青い翼」「広大な空」の意。飛べない鳥であるペ=パプとの関連が見てとれる。
ちなみに、フランス語は我々の世界でいうアフリカ北西部の国々で公用語として用いられており、その地域とサーバルキャット(サーヴァルシキャットゥ)の生息域の一部は、わずかではあるが重なっている。故に、サーヴァルシキャットゥを媒介とする魔導生物であるサー=ヴァル暗黒卿に、フランス語の知識が備わっていてもおかしくはない。
異説9章
- すごー・ザ・ホーリーエンドい
異説10章
- すっごー・ザ・バースターい
異説2 一章
- すっごーオヴ・デスい
- すっごー・オブ・エネミーい
- すっごー・ザ・ランスロットい
- すっごー・オブ・ザ・ガイアい
- すっごー・ディ・ブロンゾい:
異説2第一章④にて、キュクレインが手を触れることにより覇導鉄騎のヘブンズ・ゲートを開いた際のクァールの台詞。英語ではなくイタリア語の表現であり、「di Bronzo」=「銅の」という意味。覇導鉄騎の錆びた車体を見て「銅」のようだ、と形容したのかもしれない。もしくはゲートが開いた勢いで転んでしまったキュクレインに対する「銅(どん)くさい」というダジャレ。余談だが、「Il Balletto Di Bronzo」というナポリ(イタリア)出身のプログレ*3バンドが存在する。そしてこのエピソードが投稿された当時、偶然にもナポリのギャングが活躍するアニメの、(原作ファンに)特に有名なエピソード*4が放送されていた。
異説2 二章
- すっごー・ザ・リアルい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第一章
- すっゴールドエイジい:
ファブラ・ノヴァⅡ第一章前編にて、バンクルルの「永遠にスライムだけを殺戮するヴォルカニックセイバーのスケッチブック」に綴られた光景を視界の端に捉えたサー・ヴァルトリウスが発した語。ゴールドエイジ(黄金時代)とは、なんらかの文化や活動等の絶頂期を広く指す語であるが、元来はギリシアで当代のオリュンポスの神々ではなく、先代のティタン神族が支配していた時代を指す。ギリシアの黄金時代は「人類」にとっては平和な時代であったというが、オリュンポス神よりも荒々しい原初神による支配が敷かれていた時代であるというのもまた事実であり、また黄金時代の人類は白銀時代においてオリュンポス神族により刷新(殲滅)されている。
この構文はサー・ヴァルトリウスが美しい光景にかつて眼にした理想郷の姿に通じるものを認めたというのが表面的な解釈であるが、上述のようにこの語の背景はかつてジャパエデンの人類が辿ったとおぼしき命運に酷似しており、ヴォルカニックセイバーのスケッチブックを「黄金時代の光景」としてその背景をも把握したとすれば、非常な不穏さが垣間見える発言といえる。
さらに、サー・ヴァルトリウスはこの直後「美しいものを美しいと思えるその心が美しいだ…」という(考察者らのコメントでも名言と認められている)語を発しているが、名言はともあれ問題はその「語尾」である。この語尾は貴族階級にある者の言葉としてはごく一般的なものといえるが(外部リンク、ニコ百科)、また不浄王キュクレインの同族である統制者ハシュマリムが聖天使アルテマの適合者を発見し拉致する際に発した「命を奪ったりはせん。さぁ、来るだ!!」(外部リンク、FF辞典)と同様の語法である。黄金時代に感激しただけではなく異説ではキュクレインと記録されているバンクルルのなんらかの適性を見出したとすれば極めて不穏である。しかし、このサー・ヴァルトリウスの真意についてはさらに史書と福音書の記録が見いだされるまで待たなくてはならないだろう。
- すっごー=デュヴァインシフトい:
ファブラ・ノヴァⅡ第一章後編にて、英雄と呼ばれるに相応しき程度と思われるペリカルム極まりない奈落(ナラカ)に対して跳躍したマザーグースに対して、サー・ヴァルトリウスが発した語。ここで、「ディヴァインシフト」であれば、神霊の介入による環境(気候、時空線、ひいては非自然の大勢など)の変移を指す英文としてしばしば選択されているものであり(ダニエル書の「神は時と季節とを変じ(2:21)(外部リンク、wikisource)」など)、マザーグースの能力、奈落(ナラカ)の様相、またはマザーグースが奈落(ナラカ)に干渉する能力を「神聖介入」として表現していると考えられる。
しかし一方で、この表現では「ディヴァイン」でなく「デ『ュ』ヴァイン」となっている。単なる発音または記録の表記揺れとも考えられるが、しかし、その余の用語であればともかく、この「す(っ)ごー(ザ)〇〇い」の構文に限っては、本概要冒頭に述べられているように、また原典~異説12章までの用法から、「戦闘型魔導生物の高速情報伝達のための圧縮言語」である可能性が高いため、故意に語中で目立つように発音が改竄されているのは、その改竄部分に特に情報が収斂されていると考えるべきであり、該当箇所は慎重に検証すべきである。
du-又はduv(p)-の語幹は「重複」「分裂」「双岐」「分岐」などを示し、この奈落(ナラカ)を岐路として次元が断裂し複数の世界線に分かれていることを暗示している可能性がある。ただしキャラ=キャロルは、このサー・ヴァルトリウスの言葉に対して、直後に「預言書の記述通り」であると否定している。奈落(ナラカ)の存在またはマザーグースの跳躍に対して、神霊による介入があったのではなく、預言書の記述から外れない通常の時空線の通りであると認識しており、あるいはマザーグース又はキャラ=キャロルにとっては、複数に断裂した次元を認識できないという可能性があるが、その理由がサー・ヴァルトリウス(サー=ヴァル暗黒卿)のように原典1に登場していない(世界線が異なる)ためかは定かではない。
なお、別の写本(異説2一章)においては、マザーグースの名は「”アヴランの黒き大司教”カルシ=ガモス」と記述されており、高位の聖職者(ただし、冥府の案内人)とされているため、本詩編での「神聖介入」を起こす描写と合致する。ここから逆挿することで、本詩編のマザーグースの「マザー」も、最高位の指導的修道女への敬称として使われている宗教用語としての語句であると推測できる。一方で、両経典で女性聖職者への敬称が異なっていることは、教会の組織についての記録あるいは解釈が両経典において異なっていることを示しており、今後もこれらを照合することで、両経典の記された立場や、両者の原型となったと思われる典拠などに遡ることが可能と思われる。
(この辺りから何故か「すっ」と「ごー」の間にも語句が挿入されるようになる)
- すっエンジェロイド:セラフ=ごー(自己修復)い
- すっ最終皇帝ゴー・ザ・クイックストームい
- すっごー=ミヒャエル=アウスバッハい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第二章
- すっ天熾シ凍土ニ咲クごー・ザ・ロストナンバーい
- すっごー・リバイブい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第三章
- すっ新・ごー=ザ・ウィズダムギアい
- すっ黒葬のごーヴァリアブル・い
- すっ虚数空間ごー=ザクセルフォグナⅣ世い
- すっ水のカオスであるごー・コルヌーチェい
- すっ魔弾の射手ゴーい
- すっ亡霊龍ファンタズマ・ごーい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第四章
- すっごー・ユ・リ・パい
- すっユビキテ国枢機卿ごー殲滅の天使ウォ=ウォイン
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第五章
- すっごー=グラキエスゾアい
- すっヴァニシング・ターミナルごーと飛竜草の帝国風パスタい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第六章
- すっごーしかしそんなものに意味は無い
- すっごー・ザ・マキシマムい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第九章
- すっ月神弓ごードラニ=ケウォンドい
ファブラ・ノヴァ・Ⅱ 第十章
- すっ依然として天空を覆いつくすごー・ド・ヴェルデい
メタ的解説
けもフレの代表的名台詞としてしばしば挙げられる「すっごーい」のノムリッシュ翻訳。原作のものは「たーのしー」等と並び、抽象的ゆえに「IQが削られそうな台詞」のひとつとして取り上げられることが多かったが、本シリーズの構文がはたして具体性やIQ維持に足るものかは不明。
ノムリッシュ翻訳に登録されている意味合いも不明*5であるが、いわば、一種のアイドル語で形容の頭に単語をつける「〇〇すごい」*6等と同様の表現と思われる。
ちなみにFF11におけるNM(ノートリアス・モンスター)の命名規則には同様のものが見受けられる。
無理矢理ネタ元を引っ張るならこちらからか。
本シリーズでは特に1章後編の「すっごー・ザ・マキシマムい」は視聴者へのインパクトが大きく、コメントや当wikiでの会話でも歓声として使われることが多い。