ゾンビ発生がもたらす影響

Last-modified: 2026-03-13 (金) 16:58:52

このページではゾンビ発生がもたらす影響の解説をしています。

概説

発生が局地的なのか、全国的なのか、拡散速度も要素として重要となるが、
ここでは世界規模かつ長期間でのゾンビ災害が発生した時、具体的にどのような事が起きるかを考えていく。
なお、ここでは現代日本社会のものを想定する。

ライフラインの断絶

一番最初に考えられるのは電気・水道・ガスなどのライフラインへの影響である。
保守要員は自然災害なら職業倫理的に帰宅せずに供給や設備維持に努めることは考えられるが、「死者が蘇る、襲う」事態にどこまで対処できるのか、設備維持・警備に努めてくれるか未知数。ゾンビ化するのは無論、彼・彼女らにも家族がいて、職務放棄も十分考えられる。
また「人が居なくなっても暫く稼働するから大丈夫」は楽観的で、どのようなライフラインでも供給・保守が止まれば安全停止措置が稼働して停止する。

政府が速やかに自衛隊・警察に射殺鎮圧の命令と地域封鎖等の封じ込め策を打ち出さない限り、インフラ停止も社会秩序の崩壊も時間の問題で災害の報道から良くて2~3日の猶予しかないと考えられる。

電気

電気

電気は早い段階で使えなくなる。
ゾンビ災害で日本全国の社会秩序が一斉に崩壊した場合、早くて数日、遅くとも1週間以内にほぼ途絶えると思われる。
 
日本の発電割合は火力発電が約70%を占める。
火力発電は定期的に石炭・石油・天然ガス(LNG)等の燃料を補充する必要があり、編者がとある電力会社職員に聞いた所、LNG式の某火力発電所では4日ごとに燃料を補充しているという。だが発電所職員の大半がゾンビ化したり、職務放棄したり、あるいは混乱で燃料の輸送が途絶えることで、燃料補充がストップ。石油やLNGは備蓄タンクに残されている分が自動補充されるが、タンクが枯渇した発電所から稼働を停止し、数日で全ての火力発電所が停止。これだけで日本の電力供給は約70%が断絶する。
 
すると、ブラックアウト(全域停電)と呼ばれる大停電が起きる。これは一つの発電所が停止すると、残された他の発電所に需要が集中し、設備への負荷を防ぐために安全機能が作動、他の発電所まで一斉に停止させてしまう停電現象である。過去には「北海道胆振東部地震」で発生したこともあった。
火力発電所が燃料切れで次々に停止、それが引き金となって原子力、水力、風力などの発電所も連鎖的に自動停止してしまい、1週間以内に全ての発電所が止まる……というシナリオが一番濃厚だろう。
 
また、ゾンビ災害の混乱による火災で送電線が焼け落ちたり、変電所に侵入したゾンビが変電設備を破壊するなどして、発電所が動いていても1日以内に停電する恐れもある
 

余談:もしブラックアウトが起きなければ?

 
奇跡的にブラックアウトが起きずとも、火力発電の停止で電力が足りなくなった時点で、各変電所にある「周波数低下リレー(UFR)」が作動。一部地域への送電を強制的にストップさせて電力不足を補おうとする。これにより約70%の地域が停電し、残された地域だけに辛うじて電気が送られる。
 
なら残り30%の地域は電気が使える……という訳ではない
発電量の約15%を占める原子力、揚水*1、バイオマスの発電も停止する可能性が高い。
原子力は安全性を極度に重視した設計なので、異常が生じれば自動停止すると考えられる。バイオマスは仕組みが火力発電とほぼ同じなので、数日で止まる。揚水式は揚水と発電の切り替えに運転員の操作が必要であり、揚水にも外部電源が必要なので当てにならない。これによって火力の約70%に加えて原子力などの約15%も停止する。
 
残る約15%を占める風力、太陽光、水力、地熱などは基本的に自動化されているので動き続ける。
風力は風車を回す潤滑剤が切れるまで、太陽光はソーラーパネルの上に塵やホコリが溜まるまで、地熱や水力は発電所自体の寿命が尽きるまで動くだろう。しかし、風力は風向きや風速によって発電ができず、太陽光も夜になれば発電できない。水力は比較的マシだが、川や湖の水が減れば発電できなくなる。送電が続いていた地域でも一度発電量が少なくなったが最後、周波数低下リレーが作動し、送電はストップするだろう。
唯一安定的かつ長期的に発電できるのは地熱発電だけだが、日本での地熱発電の割合は僅か0.3%程度である。ブラックアウトがなくとも、電気が使える可能性が残されている地域は僅か0.3%しかない。 
 

  • 希望的観測

もし奇跡的に風力、太陽光、水力が効果的に機能し続ければ、約15%前後の地域は停電を免れなくもない。原発も自動停止さえしなければ、燃料棒交換のタイミングは4~5年ごとであり数年は動くので、約25%近くに割合が増えるかもしれない。
さらに昨今の脱炭素化の動きにより、日本は2040年度までに非火力発電を40~50%まで増やす計画があるので割合はもっと増えるかもしれないし、近年建設が進んでいる蓄電所*2が効果的に機能すれば、太陽光も風力も使い続けられるかもしれない。これらの発電だけで電力を賄っている街なども僅かにあるので、それらの地域では電気が使い続けられる可能性もある。

ゾンビ発生後も電気を使用できる地域

なお、もしも貴方がゾンビ系の小説や漫画などを創作しているとして、どうしても電気が使えるという設定にしたいのなら「脱炭素化政策と原発再稼働が進んだから」、とゴリ押せばまぁ設定的には問題ない筈である。
 
また、希望的観測になるが、火力発電も長持ちする可能性がある。
各電力会社の送配電は「給電指令所」という施設のコンピューターで自動的にコントロールされており、火力発電所の発電量を遠隔調整している。電力が足りなければ発電量を増やし、過剰なら発電量を抑えるよう自動的に働くのだが、ゾンビ災害中は電力消費の多い鉄道や工業地帯が停止するので、電力消費が抑えられ、火力発電所で燃やす燃料の消費も抑えられる可能性がある。かなり楽観的に見て最大2週間~1カ月は保つかもしれない。 
ただし、自動調整が出来るのは石油式とLNG式だけであり、発電割合の約30%を占める石炭式は調整できない。石炭式の火力発電所が多い多い北海道などは長持ちしないだろう。
 

水道・ガス

水道・ガス

電気と同じように水道やガスなどのライフラインも使えなくなる。これらは電気によって稼働しており、電力供給が断絶すれば動かなくなるからである。もし電気が何とか維持されても、都市ガスの場合は供給元の製造所が稼働できなければ途絶えてしまう。製造所の関係者の大半がゾンビ化、あるいはガスの輸送が途絶すれば補充するためのガスが届かなくなってしまい、ガス供給は途絶する。LPガスならば電気がなくてもガスボンベの分を使えるが、ガスボンベを交換できないので長持ちしない。
 
対照的に、水道は電力供給が続けられている限り、水道局や浄水場の職員がゾンビ化しても水を供給し続けられると思われる。水はほぼ無限に川から水道局施設や浄水場に供給され続けるからだ。だが、供給する水道水に問題がある。浄水場職員の大半がゾンビ化した場合、水道水を消毒するための消毒剤が補充されなくなっている可能性がある。要するに消毒されていない雑菌だらけの水道水が延々と供給され続けてしまうかもしれない、ということだ。この汚染された水道水を使うことで、腹を壊したり病気になる人間は多発するだろう。もしもゾンビの死体を川に捨てるような人間でもいれば、''水道水を経由してゾンビに感染する人も発生する。現実でゾンビ災害が起きた場合、水道は使えたとしても使用はオススメしない。
 
代わりに雨水などを生活用水に使うか、最低でも水道水は煮沸消毒してからの使用を推奨する。
水道水以外の水の入手方法は次を参照

 
また、繰り返しになるが、電力供給が途絶えれば、水道はその時点で使えなくなる。
 

通信

通信

電気が遮断されるのと同時に大半が使えなくなる。
ここでは主に電話、テレビ放送、インターネットを考察する。
 
まず電話。
当たり前だが、電気が使えなければ使用不可能になる。携帯電話であれば、停電後も中継基地局の予備電源が稼働するので使えるものの、基地局の予備電源は最大24時間程度しか持たない。停電から24時間以内に携帯は使えなくなる。それどころか、ゾンビ災害はまがりなりにも災害時なので「災害時優先通信」と呼ばれる通信制限が掛けられる可能性がある。これは、大規模災害時だと約90%以上の通信制限が行われることもある。電話はまず使えなくなると考えた方が良い。そもそも電気がなければ携帯電話の充電もできないし、固定電話も電気が無ければ使えなくなる。
 
次にテレビ放送。
テレビ放送は電力供給が行われなくなるか、放送局がゾンビに襲われて機能を停止するか、スポンサーが全滅して採算が取れなくなるか、あるいは放送局職員らがもはや放送の必要が無いと判断して職務を放棄するまでは放送できる。仮に放送局職員の大半がゾンビ化しても、災害時自動放送プログラムへ移行して放送を続ける可能性はある。ただしその場合、テレビはただただ定型文と再放送を垂れ流すだけのBOTと化す。テレビ局や電波塔、テレビ本体も送電がされなくなれば使えなくなる。
 
そしてインターネット。
電力供給が途絶え、各サーバーや通信基地局への送電が行われなくなった頃に繋がらなくなる。ただし電力供給がされ続けているサーバーと基地局がある場合、そのサーバーのサイトに関しては繋がる可能性がある。いずれにせよ大半のサイトは閲覧不能になると考えた方が良い。そもそも、ネットを見るためのスマホもパソコンも電気が無ければ使えない。
 
通信は全滅すると思われるが、発電機と燃料と機材があれば、(かなり希望的に見て)短波無線やラジオ放送なら行えるかもしれない。……そんなことが出来るだけの機材と余裕が貴方にあるのなら、の話であるが。そもそもの話として、平時からそんな機材を持っているのはアマチュア無線家などごく一部に限られるであろうし、停電後もそれらの機材を動かす電気機材まで揃えている者に至ってはごく少数だろう。それどころか、通信の内容から貴方の拠点を特定し、襲撃してくる恐れすらある。ラジオで他生存者の通信を聞く程度であれば良いだろう。
 

交通網の寸断

次に考えられるのは交通網の寸断である。

道路

道路

都市部の道路はゾンビ災害発生時にほとんど使えなくなる。ゾンビ発生直後であれば、ゾンビやゾンビから逃げようとする人々が車道へ飛び出したり、噛まれた人間が運転中にゾンビ化するなどして交通事故が多発する。道路は事故車で埋まって進めず、当然のように渋滞が起こり、仕方なく車を捨てる人も大勢出てくるだろう。そうなると道路は事故車と放置車両で完全に封鎖されてしまうことになる。また、警察などの治安機関によって道路上にバリケードが築かれる可能性もあるし、ゾンビから逃げるために貴方が乗っている車を強奪しようとする輩だって出てくるはずである。都市部から離れている地域でも、災害発生から時間が経てば避難民の車列とゾンビが押し寄せ、同様の事態に陥ると思われる。
 
高速道路に関しても、ゾンビの大発生する都心部から郊外へ脱出しようとする避難民の車で大渋滞を起こす筈だ。とてつもなく長大な渋滞が起きてしまい、さらに高速道路にゾンビが侵入してくると、やはり車を捨てて高速道路上を走って逃げようとする人が発生するだろう。こうなるとどうしても自動車は走れなくなってしまう。ドラマ版『THE LAST OF US』の米軍がしたように、自衛隊がもしかしたら戦車や装甲車などを通過させるために重機で放置車両を押しのけて撤去する可能性も考えられるが、あまり期待しない方がいい(というより自衛隊は民間資産を破壊することを極度に嫌うので、そもそも放置車両を撤去すること自体が考えづらい)。
 

鉄道

鉄道

鉄道は災害発生からすぐに使えなくなる。駅には人が多いので、ゾンビが発生すれば瞬く間に多数のゾンビで溢れ返る。さらにゾンビやゾンビから逃げる人が線路内に侵入したり、運転手が噛まれるなどして列車事故が多発するはずである。そうなると鉄道路線は事故列車で塞がれたり、運転見合わせを行うことになり、その状態で二度と運転を再開できなくなるだろう。新幹線にしても同様になると考えられる。また電力供給が途絶えれば、電車や新幹線は電気で動かすので二度と動けなくなる。
 
蒸気機関車やディーゼル機関車、保守作業用のモーターカーなどであれば停電後も走れるが、線路そのものが事故列車などで塞がれている可能性が高く、とても走れたものではない。そもそもそれらを動かす鉄道会社職員も、ゾンビ災害後も列車運行に必要な人数を無事に確保し続けられるとは考えづらい。
 

航空路線

航空

航空路線は当然使えなくなる。まずゾンビ災害発生で空港が使えなくなるだろう。もし本格的にゾンビ災害が起こる前でも、感染した人間が旅客機に乗って墜落するなどして航空事故が相次いでいると思われる。そうなれば、ゾンビ災害発生前から航空路線は完全封鎖される筈だ。ゾンビ発生後も、ゾンビの居ない滑走路と航空燃料、そして航空機を飛ばす技術を持った人間を確保できなければ空を移動するのは不可能である。
 

海上交通

海上

海上交通に関してはしばらく大丈夫だろう。
ゾンビは基本的に泳げないし、仮に泳げても船上まで上がって来ることはまずあり得ない。船倉内に間違ってゾンビや噛まれた人間を入れる事さえなければゾンビは来れないため、しばらく海上の船舶は完全な安全地帯として機能する。このため多くの人々が海上に逃げてくるはずだ。船上に避難してきた人々、いわゆる「ボートピープル」が世界上で大量発生する。
 
だが一週間程度経つと話が変わる。食料や燃料の不足した船が出てくるのだ。食料や燃料などの物資を確保すべく陸に戻る船も出始めるが、ゾンビで溢れる陸地に戻ることを躊躇う船も出てくる。そうなると何が起きるか? 答えは「海賊の発生」である。物資不足の船舶が他の船舶を襲撃するようになる。海上保安庁の巡視船すら燃料不足を起こす状況では海賊の取り締まりはない。それどころか各国海軍の軍艦すら海賊化する恐れがある。こうなるととても海上も安全とは言えなくなる。ボートピープルの規模によるが、海上交通網も基本的に使えなくなるだろう。
 
もちろん大前提として、海上交通を頼るにしても動かせる船と船員が必要である。
 

燃料不足

燃料不足

徒歩や自転車等の一部を除き、大抵の乗り物はガソリンをはじめとする燃料を使用するが、燃料はゾンビ災害で入手が困難となるだろう。燃料を売っているガソリンスタンドはゾンビ災害で休業するし、そもそも道中はゾンビで溢れてガソリンスタンドに行くことすら困難になる。もしガソスタに辿り着いても、電力供給が途絶えていれば給油機は動かない(停電に備えて緊急用発電機を置いているガソスタや、緊急時に手回しで給油できる給油機は存在する)。しかも燃料をガソスタに補充するタンクローリーは二度と来ないので、ガソリンスタンドの貯蓄燃料が枯渇すれば、他の燃料所得手段を確保できない限り燃料は確保できず、乗り物は動かせなくなる。ゾンビ災害が起きればかつてのように燃料を入手するのは困難になる筈だ。
 
しかも燃料には使用期限が存在する。おおよそ半年、保管状態が良くても2年もすれば燃料はほとんど劣化してしまうので、これを加味しても大半の乗り物が動かせなくなると考えた方が良い。燃料が無くなったときの移動手段は早めに考えておこう。
 

都市部の環境の悪化

先に述べたとおり、ゾンビ災害が発生するとライフラインが停止するなどして住環境は悪化していく。生存者はゾンビ災害の中を苦労しながら生活していかねばならない。特に都市部の環境はひどく悪化する。具体的にどのようにして悪化していくのか述べていこう。

火災

火災

まず考えられるのは火災だ。ゾンビ災害時の混乱で、調理中の家庭や店員の逃げ出した飲食店から火災が発生し、都市部の彼方此方で火の手が相次ぐ。だがこの火災は消火されない。消防士は消火活動中にゾンビに襲われるし、道路は事故車両と放置車両で封鎖されるので消防車は走れない筈である。これでは火災は消される事なく、延々と拡大する。ゾンビ発生から数日間、特に建物の密集している都市部は大火災によって蹂躙されることになるだろう。火災がいずれ大雨で消火されるか、もしくは燃えるものが無くなる事で自然鎮火するまでの間、都市部は激しい火炎によって徹底的に破壊される。
 
火災で破壊された都市は復興されることもなく、通りにはゾンビが溢れ、ひどく環境が悪くなっていると考えられる。この時点で消防は機能停止しているので、少しでもボヤが起きれば再び大火災になる可能性もある。
 

水没

水没

電気供給停止により、地下鉄や地下街などでは地下水を排水するポンプの稼働が停止、水没することが考えられる。青函トンネルなんかも水没して北海道と本州は分断されるだろう。また各地にある水位調節用の水門やダムを動かす人間がゾンビ化することでいなくなり、これにより川の下流地域では水害や洪水が頻発する恐れがある。しかもゾンビ災害中に洪水が起きて貴方が被災したとしても、消防などの救助部隊はゾンビ災害で壊滅し、誰も助けに来てくれない。ゾンビ災害が発生し、長期化したのなら、できるだけ洪水の危険性がない地域への移動を推奨する。
 

腐敗臭の蔓延

腐敗臭の蔓延

ゾンビ災害発生から1週間くらい経つと、都市部は腐敗臭で充満する。まず原因に挙げられるのはゾンビだ。ゾンビは動く死体であり、当然腐敗して臭くなることも考えられる。それが都市部であれば何十万体という数にもなるのだから、都市部は激しい腐敗臭で支配される。事故でゾンビ以外の死体も大量発生しているはずなので、それも腐臭を放つはずだ。
 
ゾンビ以外のものも腐る。例えばスーパーにある野菜や肉や魚などの生鮮食品は、電力供給の途絶で冷蔵庫が動かなくなった辺りから腐り始める。スーパーをはじめとする商店周辺は腐臭にまみれるだろう。そしてもう一つ、ペットの死体だ。人々がゾンビ化することで犬や小鳥などのペットの小動物は世話をされず餌が無くなり、家から脱出して野生化することが出来なければ、飢えて死ぬ。これらのペットの死体も人間の死体同様にいずれ腐敗臭を上げる。
 
しかしそれ以上に問題なのがゴミである。ゾンビ災害が発生する直前に店や家々で外へ出したゴミが、都市部のあちらこちらで一斉に腐りはじめるのだ。ゴミ袋で包み袋の口を縛っていても、縛った口の隙間から臭いは当然漏れてくるし、カラスや野生動物が飢えて袋を破ることもある。袋も自然劣化して破けていく事もありえる。ゾンビ自体は作品によっても腐臭を放つ場合と放たない場合とがあるが、これらの要因により都市部は腐臭により覆われる。
 

野生化した動物

野生化した動物

先ほど、世話をする人間がいなくなったペットが死ぬと述べたが、例外的に猫や大型犬などであれば生き残れる可能性がある。猫はもともと野性が残っている可能性が高い動物とされており、野生化しやすく、大型犬は脱出さえ出来たなら他の動物を狩るなどして生きていけるからである。だがこれは、野性化した動物が街に解き放たれたことを意味する。野生化した猫くらいなら、そこまで問題ではない。近づいても猫の方から警戒して逃げていくだろう。だが野性化した大型犬はオオカミのようになり、群れて人を襲うようになるかもしれない。これはゾンビ以上に危険な存在となり得る。
 
大型犬以外にも危険な存在となる動物は多くいる。特に危険視すべきなのは動物園の動物たちだ。ありえないとは思いたいが、ゾンビ災害の混乱のはずみで動物園の動物たちが外へ脱走するのだ。彼らはこの場合とてつもなく危険な存在となる。ライオン、トラ、ゾウ、クマ、さらにはホッキョクグマやパンダだって脱走すれば野性化して危険な存在となり得る。一方でイノシシや猿などの本来の野生動物が都市部に来ることはまずない。何故なら先ほど述べたとおり、都市部は激しい腐敗臭で充満しており、腐臭のない山からわざわざ来るとは思えないからである。
 

災害

ゾンビ災害中は、ゾンビ以外の深刻な災害が起きる可能性も考えられる。

中でも原発事故は、政府が遅くとも1カ月以内にゾンビ災害の鎮静化を成功させない限り、日本を滅亡させかねないレベルで深刻な事態と化す。

原発事故

原発事故

日本国内には全国に原子力発電所が存在するが、ゾンビ災害中は原発事故が起きる可能性がある
 
ゾンビ災害中は電気が使えなくなる、と先に述べたが、かつての「福島第一原発事故」も地震と津波による電源喪失*3がキッカケとなり、原子炉の冷却装置が停止してメルトダウンが起きた。稼働中の原発なら自ら発電した電気を使えるものの、同じく先に述べた「ブラックアウト」と同時に原子炉が停止する可能性が高い。停電しても備え付けの非常用発電機が自動起動するが、1週間もすれば非常用発電機も燃料切れで停止してしまう。
 
原子炉の冷却装置が停止すると、数時間で炉心がマグマのように溶融し、最悪の場合は原子炉が爆発して大量の放射性物質が外部にまき散らされる。さらに放射能汚染された空気が漏れ出たり、溶融した核燃料が地層まで貫通し、地下水脈に到達することで地下水や海水を汚染する恐れがある*4
また、使用済み核燃料プールの冷却装置も停止するため、プール内に保管している核燃料も発熱してプール水が沸騰。やがてプールが干上がり、空焚き状態となった核燃料が発火、原子炉建屋が火災を起こし、これまた同じように大量の放射性物質が大気中に舞い散ってしまう。燃料プールは日本国内のすべての原発にあるため、再稼働・稼働停止中を問わず、ゾンビ災害中は日本中の原発で事故が起きる危険性がある。
 
ゾンビ災害発生から、どの程度の時間で原発事故は起きるか。
まず、火力や水力を含めた全ての発電所が停止するのに数日、原発内の非常用発電機が燃料切れで停止するまでに約1週間、原子炉の爆発は早くてその数時間後、燃料プールの沸騰はその1週間後である。稼働中・最近まで稼働していた原発なら、ゾンビ発生後の停電から1週間以内、数年間稼働していない原発なら2週間以内に原発事故が起きるとみていいだろう。事故が起きれば、原発とその周辺は数kmに渡って即死レベルの放射能汚染された危険地帯と化す。
 
そうなればゾンビ災害どころではない。
ゾンビ災害下では困難なことだが、PAZ(予防的防護措置を準備する区域)で定められている半径5km圏内に住む人はゾンビ災害後、この圏外へ脱出することを強く推奨する。これより遠方の地域の人も、可能ならUPZ(緊急防護措置を準備する区域)で定められている半径30km圏より遠くへ避難すべきだろう。ゾンビが跋扈する中を避難するなど正気の沙汰ではないが……相当の準備をした上で避難することを強く望む。
 
 
……ここからは余談である。
福島原発事故の際には、首相官邸に『最悪のシナリオ』と通称される資料が提出された。これは原発事故に全く手が付けられなくなった際、どうなるかを検討したもので、原発から半径170km圏内の住民が強制避難、場合によっては原発から半径250km圏内の住民も避難させることが考えられていた。不幸中の幸いか、これ以上の被害拡大は防がれたため、シナリオ通りにはならなかった。
で、この「250km圏内」だが、日本中の原発から半径250km圏内を地図に示すと……

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北海道東部や沖縄などを除き、日本列島の大半が、いずれかの原発の半径250km圏内に入ってしまうのである。しかも『最悪のシナリオ』は原発事故に全く手が付けられなくなった想定だが、ゾンビ災害が起きれば、政府も自衛隊も原発事故に対応する暇などなく、それどころか政府や自衛隊が存続しているかも怪しくなる。『最悪のシナリオ』通りの事態となる恐れがあるのだ。
さらに言うと、韓国では日本海に面する古里原発が事故を起こせば、韓国・日本の全土が放射能汚染され、全ての住民を避難させる必要があるとするシミュレーション結果を公開したことがある。要は原発から250km以上離れていても安全とは言い難いのである。
 
 
残念ながら事故を防ぐ手立てはない。
無いことは無いが、政府や自衛隊・警察などが速やかにゾンビ災害を終息させるくらいしか方法はないだろう。楽観的な考えとして、無人でも稼働できる水力発電所などから原発に直通で送電できるよう、電力会社が送電をコントロールすれば数年は持つかもしれないが……*5
 
これでも編者は原発推進派を自負している人間だが、ゾンビが発生した際の原発事故リスクに対しては、悲観的にならざるを得ない。
 

自然災害

自然災害

地震、津波、台風、大雨、大雪、洪水、土砂災害、火山噴火など、自然災害は常日頃から起きているが、無論ゾンビ災害中でもこれらは起こり得る。
だがゾンビ災害中の自然災害は、平時と異なる点が多い。
 
まず、災害がいつ起きるのか予測が出来ない
台風、大雨、大雪、津波などの一部災害は、気象庁を始めとする気象観測機関が人工衛星や気象レーダーなどの高度な観測システムを運用することで、いつどこで起きるのか、どのようなタイミングでどの地域に襲来するのかをある程度先に予測して発表している。地震すら、緊急地震速報システムによって直前には把握できるので、我々は災害に備える猶予がある。しかしゾンビ災害で社会秩序が崩壊すれば、気象庁などは機能停止し、災害を予測して備えることができない。災害どころか、明日の天気予報すら把握できなくなるだろう
 
次に、災害対応が行われない
例えば大雨が起きれば、ダムが満水になって決壊しないようにダム内の水を放水するのが普通である。だが、ゾンビ災害でダムの作業員が全滅すれば放水できず、ダムが決壊して大洪水が起きてしまう。雪国では大雪で道が塞がっても、除雪車が走らないので何もかもが雪に埋まる。消防組織や救助組織も崩壊している筈であり、災害中に生存者の救助が行われることも無い。災害の被害を抑えるための対応が一切行われず、大したことない災害でも、ゾンビ災害中は大災害へと発展する恐れがある。もちろん、貴方が被災しても救助は来ない
 
そして、復旧や復興が行われない
洪水で橋が流されても、地震や土砂災害で建物が倒壊したり道が塞がっても、国土交通省や土建企業各社などの尽力によってそれらは迅速に復旧工事が行われる。ゾンビ災害が長引けば、地震でビルが倒壊しても、洪水で街が水没しても、誰も元通りに直すことができない。時とともに街並みは急速に崩壊していくだろう。
 

冷夏・厳冬

冷夏・厳冬

昨今、日本では夏の猛暑や暖冬など年がら年中暑い時期が続いているが、それらの原因が地球温暖化などと言われているのはよく知られている事だろう。温暖化の原因は、人類文明が大量に排出した温室効果ガスだともよく言われる。だが、ゾンビ災害では人類文明の活動がほとんど停止し、ほぼ全ての温室効果ガスの排出がストップすると考えられる。すると、逆に夏でも寒々とした季節が続く可能性がある。
 
冷夏による影響を受けるのは、農家、酪農、漁業をしている生存者などのごく一部に限られると思われるが、そのような生存者にとっては食糧問題にも直結するので深刻な影響になるだろう。太陽光発電機(ソーラー)で電力を確保しようとする生存者も、日照時間が減るなどの影響を考える必要があるかもしれない。
 
より問題が深刻なのは厳冬である。
都市部でも1mを超える規模の大雪や、氷点下を軽く下回る低気温などが何カ月にもわたって続く恐れがある。ただでさえ社会秩序が崩壊していれば、自治体による除雪作業は行われないし、電気も使えないので暖房が動かせないなんてケースもある。灯油式ストーブなども、灯油は保管状態が悪ければ半年で劣化するので長持ちさせるのは難しい。ゾンビ災害下の冬では、ゾンビなんかよりも如何に冬を乗り切るかが問題となる恐れがある。
 
また、小説『WORLD WAR Z』ではゾンビ発生後の混乱で発生した局地的核戦争中に核爆発で巻き上げられた大量の灰や、中東の油田地帯が意図的に放火されたことで発生した大量の黒煙が、太陽光を阻害して地球気温の低下を招く描写があり(いわゆる「核の冬」)、実際のゾンビ災害でも混乱によって石油備蓄施設や石油コンビナートが炎上するなどし、同様に気温低下を招く可能性がある。
 

無法社会の到来

ゾンビ災害により無秩序社会が到来するだろう。

警察組織の崩壊

警察組織の崩壊

警察がゾンビに対して速やかな射殺鎮圧の実行でもしない限り、警察はゾンビ災害に対応できず、組織崩壊する恐れがある。警察だけでなく、同じく治安維持組織となり得る自衛隊も崩壊するかもしれない。仮に警察や自衛隊が組織崩壊せずとも、ゾンビ災害への対応に忙殺されてしまい、治安維持をする余力は残されていないだろう。
 
警察や自衛隊が治安維持を行えなくなれば、治安崩壊による無秩序社会が到来する。
 
併せて読みたい:公共機関などの対応:警察編
        公共機関などの対応:自衛隊編
        公共機関などの対応
 

犯罪者の激増

犯罪者の激増

ゾンビ災害ではほぼ確実に犯罪者が急増する。
極端な話、貴方も犯罪者となるだろう。ゾンビを殺せば殺人罪か死体損壊罪に問われるし、無人の商店から物資を調達しようとすれば窃盗罪や不法侵入である。秩序崩壊すれば法律がどうのこうのと言っている状態ではないし、緊急避難や正当防衛でゴリ押せるので無罪になるとは思う。だが問題は、もはや「法律に従っている暇はない」という人々の意識が、いずれ「法律に従わなくてもいい」にすり替わり、遵法意識が欠落する恐れがある。ゾンビ災害中の生存者たちはこのような状態となり、貴方に対しても無法的な行動に出る恐れがある。
 
もしも貴方の住んでいる地域がゾンビ発生後も一定の治安維持に成功したとして、他の生存者による住居への不法侵入や、物資略奪(窃盗)などの被害に遭う可能性は高い。軽いものであれば道交法無視して道路を車で爆走するとか逆走するとかもあり、ゾンビ災害中に生存者の車に轢き殺されるなんて間抜けな被害に遭う恐れだってある。
 
特に恐るべきは殺人である。
ゾンビ災害中の混乱に乗じて「一人くらい殺してもいいだろう……」と考える生存者は確実に発生する。警察が機能していても、警察とてゾンビ対応に手一杯で、一々生存者の殺人事件に付き合う余裕はない筈だ。貴方もゾンビ災害中に殺される恐れはあるし、逆に殺すかもしれない。しかし、もしもゾンビ以外の殺人を犯せば、災害終息後に普通に裁かれるだろう。
 

警察・自衛隊・米軍施設・銃砲店からの武器流出

警察・自衛隊・米軍施設・銃砲店からの武器流出

ゾンビを題材としたフィクション作品では、警察や自衛隊、軍隊やガンショップから銃器を手に入れて戦うシーンが描かれることはよくある。当サイトでも「銃器」の項目では自衛隊や警察の銃器を手に入れることを想定した記述をしている程だ。
 
だがそれは、他の生存者も銃器を手に入れる可能性が高いことを意味する。そうなってしまえば、非銃器社会である日本が瞬く間に違法銃器社会へと変貌する恐れがある。銃器を手にする生存者全員が貴方に好意的とも限らない。貴方の物資を強奪するべく、待ち伏せていきなり銃撃してくる恐れだってある。ゾンビ災害中はゾンビに襲われることだけでなく、いきなり撃たれる危険性にも気を配る必要が出てくるかもしれない。
 
可能性は低いが、自衛隊の戦闘車両を強奪して貴方を襲撃する恐れもある(軽装甲機動車くらいなら可能性はあるだろう)。
 

コメント

  • 「インフラは保守する人間が居なくなったらどうなるか」、詳しく調べるうちにゾンビよりインフラ崩壊で死ぬ人間の方が多い気してきた……
    原発事故なんて日本列島全域の人間がくたばるんじゃねーか、ってくらいリスクしか感じないし。
    稼働してる原発が電力供給を続けるなら良いんだけど、再稼働前の燃料棒装荷された原発(原子炉を自ら冷却する電力すら作れない原発)も多くて、ゾンビ災害のとき一番危険なんよな…… -- 2025-05-08 (木) 22:52:59
  • よく気づいたな
    地場配送の仕事してるけど毎日補給してるから食い物がスーパーやコンビニに溢れてるンよ
    普段から食料品など備蓄しとくんやぞ -- 2025-05-28 (水) 06:25:53
  • >しかも燃料には使用期限が存在する。
    えぇ!乗り物は自転車と動物のみのMadMax世界だって!? -- 2025-10-14 (火) 12:43:01
    • 馬がいるぞ -- 2026-03-08 (日) 01:55:37
      • 馬をどこで調達するか、果たして馬が自身に懐いてくれるか、馬を世話する大量のエサ等をどこで調達するか、etc...で問題過多なんでどのみち馬も無理かと......カッコ悪いけど自転車が最強なんじゃねえかなあ もしくは下手な油でも動いてくれる原付とか -- 2026-03-08 (日) 08:02:57
      • 最近の原付は排ガス規制とか諸々で電子制御も多いから昔の2ストエンジンみたいな無茶はできんのよね…昔のカブのサラダ油で動く伝説もあれエンジンオイルであって燃料のことじゃないし。放置自転車からパーツ取りしながら修理し続けるのが一番現実的なのかなあ -- 2026-03-13 (金) 16:58:52

*1 揚水式水力発電:電力の使用量が少ない時間に水をダム湖に汲み上げ(揚水)、電力の使用量が多い時間にダムから水を流して水力発電する方式。揚水には他の発電所からの電力(外部電源)を使用する。
*2 再生可能エネルギーが生産しすぎた余剰な電気を、大量のバッテリーで蓄電し、太陽光発電ができない夜間や風力発電ができない天候のタイミングでバッテリーから電気を流す施設。
*3 地震による送電塔の倒壊などによる外部電源の喪失、その後の津波による非常用発電機や電源盤の水没などにより電源喪失した。
*4 ただし溶融した核燃料が地下に漏れたチェルノブイリ原発事故では、地下水脈までは到達しなかった。さらに福島第一原発事故後、日本の原発では爆発の主な原因となる「水素爆発」を起こさせない対策が進んでおり、そもそも爆発せずに済む可能性がある。
*5 ただ、北海道胆振東部地震で北海道全土が停電した際は、北海道唯一の原発である泊原発に停電後もしばらく送電が継続されていた、とする証言・主張もあることから、ゾンビ災害中でも電力会社は最優先で原発への送電を維持しようとする可能性は高い。