2009年の任天堂NEWS8

Last-modified: 2010-10-31 (日) 06:23:02

宮本茂氏、デジタル流通についての見解を述べる

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/03/36714.html
任天堂の宮本茂氏は、The Mercury Newsのインタビューに応え、近年その存在感を増している、デジタル流通(ディストリビューション)についての見解を述べています。

「私たちは将来のゲームがデジタル流通のみになるとか、それが流通の大部分を占めるようになるといった風には思っていません。娯楽は単にデジタルになる種類のものではないと思います。MotionPlusだってデジタル流通だけでは実現できませんでした」

とした上で、ゲーム開発者の立場として、

「販売部門は常にコストを削減しようと考えます。デジタル流通だとパッケージを作るといった類の費用は削減でき、それは素晴らしい事かもしれません。でもゲーム開発者の立場からすると、僕たちが本当にフォーカスすべきものを変えるものでもないと思っています」

と述べています。一方で、その可能性も評価していて、

「とはいえ、デジタル流通が多くのデベロッパーにとっての可能性になるのは素晴らしいことだと思います。自分もそうした人の一人です。一方で、自分でもiTunesで曲をダウンロードしますが、CDも買います。どちらかというと・・・物理的なメディアの方が安心感はありますね」

としています。デジタル流通がこれから先、存在感をさらに増していくのは間違いないでしょうが、一方でパッケージや既存流通が果たす役割はこれからも小さくなることはないはずです。ぜひ皆様のご意見をお聞かせください。

「DSGAMESJP」でマジコン用データを配信した男性に実刑判決

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/03/36712.html
「マジコン」のデータ配信の逮捕者に実刑判決が言い渡されました。

各社報道によれば、いわゆる「マジコン」と呼ばれる機器で使用する、ニンテンドーDSなどのゲームソフトの複製データをインターネットで配信したとして、著作権法違反や商標法違反などの罪に問われた、大阪府寝屋川市の男性に対して、京都地裁は懲役2年6か月、罰金200万円、課徴金約713万円の実刑判決を言い渡したとのこと。

判決で栩木純一裁判官は「巨額の制作費を費やしてソフトを開発した努力を踏みにじるもので、著作権者に多額の損害が発生している」と述べたとのこと。

男性は平成19年8月ごろから昨年11月に逮捕されるまで、「DSGAMESJP」という会員制サイトを通じて、ゲームデータを著作者に無断でアップロードし配信していました。1タイトルあたり~500円で販売していて、男性は約1年間で約930万円を得ていたとのこと。また、マジコンの機器の販売でも約450万円を得ていたとのこと。

「Wiiバイタリティセンサー」が実現するゲームとは? 岩田社長がコメント

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/04/36718.html
任天堂が今年のE3のプレスカンファレンスで発表した「Wiiバイタリティセンサー」(Wii Vitality Sensor)。「人の脈を計る」という一見、ゲームとは関係しそうにないテーマですが、この製品について、岩田聡社長が第1四半期の業績発表後の記者会見でコメントしています。

「Wiiバイタリティセンサー」の企画そのものは「『脳トレ』の後に立ち上がった社内横断の商品企画で、『顔トレ』と一緒に出てきた企画」だそうです。そこから時間をかけて、「娯楽として適切な範囲はどこまでかということを大学の先生などと共同で研究しながら」今日に至ったそうです。

その面白さについては「人間の脈というものが、単に1分間に心臓が何回拍を打っているかという情報以外にいろいろな情報が含まれています。それは例えば、自律神経のバランスがどういう状態であるのかなどが、推測できるといわれています」とコメント。

岩田社長はまず最初に提案したいものとして、リラックスをテーマにしたゲームを挙げています。例えば、忙しくて疲れているのにどうしても眠れないような時に「自分自身がリラックスするのに、どういうことをしたらいいかが目に見えるようになったらどうだろう」あるいは「毎日一回指を入れて測ると自律神経の働きはどんな状態かというのが目に見えたらどうなるだろう」といった事を考えているそうです。

また、開発チームでは色々な調査をしていて、人によって、週末が近づくといきいきしてくる人、週明けは元気だけどだんだんしぼんでくる人、など様々なパターンがあるそうです。加えて、自分自身の体調変化や疲労のパターンは、なかなか自覚し辛いものですが、毎日記録を付けると見えてくるものもあるそうです。これは『Wii Fit』の毎日体重を測ることと通じそうです。

岩田社長は「誰でもいきいきと活躍したいと思っているはずなので、それをサポートできる商品ができれば世の中に与えるインパクトは大きい」とした上で「できれば毎年ひとつ、少なくとも2年に1回は、こういう誰もやっていないようなコンセプトにチャレンジして、ものにしたい」と述べています。発売時期に関しては「来年のあまり遅くならないうちに」ということですが、期待したいところですね。

ハッカー達が障害を持つ人のために技術を披露-Wiiでアシストする「WiiAssist」

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/07/37030.html

ハッカー達は障害を持つ人のためWiiを役立てるべく、その技術を披露します。

米国ラスベガスではハッカー達の祭典「DEFCON」が開催されましたが、そこでは「WiiAssist」と呼ばれるユニークなプロジェクトが公開されました。

「WiiAssist」はWiiリモコンとバランスWiiボードを使って障害を持つ人のためアシストツールを作ろうという試み。Wiiリモコンとセンサーバーを使って頭の動きをマウスカーソルの動きに変換するほか、バランスWiiボードを踏むことで画面を上下にスクロールさせることが可能となっています。

「WiiAssist」プロジェクトはデラウェア大学に所属するRob Rehrig氏、Josh Marks氏、Larry Aiello氏ら三人の学生によって進められています。公式サイトでは3Dトラッキングに苦戦したり、ユーザーの意図しない頭の動きを検知しないようにしたりといった苦労の連続が語られています。

「DEFCON」は毎年恒例のハッカー達の祭典(カンファレンス)。最新のセキュリティ関連情報がやりとりされると同時に、互いのPCをハッキングし合ったり、プログラマブルな電子部品が組み込まれた参加バッジを改造するコンテストが行われたりと様々な催し物が開催されています。

ハッカーには、役立つ情報を提供してセキュリティに貢献する善玉「ホワイトハット」と、その逆の「ブラックハット」が存在しており、障害を持つ人に技術を役立てる「WiiAssist」プロジェクトの三人はさしずめ「ホワイトハット」といったところでしょうか。Wiiの入力機器をバーチャルリアリティ方面に応用する試みは行われていましたが、ターゲットを障害を持つ人としているのが「WiiAssist」の興味深いところといえるでしょう。

「さわれる立体映像」-映像なのに触感が?東大の不思議プロジェクト

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/08/37041.html
ホログラフィー(立体映像)といえば実体がないものの代名詞ですが、これに触感が生まれるとしたらどんなものになるのでしょうか。

東京大学のプロジェクトチームは「Touchable Holography」の動画を公開しています。

http://www.youtube.com/watch?v=Y-P1zZAcPuw&feature=player_embedded

2個のWiiリモコンを使って手の位置を検知。手に超音波を当てることで触感を生み出すという画期的な技術となっています。

動画ではホログラフィーのボールをドリブルしたり、水滴を手の上で弾けさせたりといったデモを見ることができます。

触感を生み出しているのは2008年に独自開発された「超音波触覚ディスプレイ」(Airborne Ultrasound Tactile Display)。超音波がものに当たると力が発生する「音響放射圧」を応用しています。「超音波触覚ディスプレイ」の下に手をかざすことでホログラフィーの位置に合わせて超音波が発せられ、あたかもホログラフィーに触ったような感覚を味わえるというわけです。

各ハードメーカーはモーションコントロールによる新操作を研究している真っ最中ですが、この技術を使えば「触れるゲーム」もできるわけで、大きな可能性が開けたといえるでしょう。

Wiiでどんなゲームが遊ばれているのか−不動の2トップとは?

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/09/37044.html
海外ゲームサイトVG247では、米国のWiiでどんなゲームが遊ばれているかの集計結果を公開しています。日本のプレイヤーにも興味深い内容ではないでしょうか。トップ10を見ていきましょう。

1:『大乱闘スマッシュブラザーズX』
2:『ギターヒーロー3 レジェンド オブ ロック』
3:『街へいこうよ どうぶつの森』
4:『ファイアーエムブレム 暁の女神』
5:『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』
6:『Call of Duty: World At War』
7:『牧場物語 やすらぎの樹』
8:『Rock Band2』
9:『ルーンファクトリー フロンティア』
10:『レゴ スター・ウォーズ コンプリート サーガ』

以上は米国版「みんなのニンテンドーチャンネル」からのデータです。任天堂ソフトは4本で、日本製ソフトは6本。4本の海外ソフトは音楽ゲーム、FPS(一人称シューティング)、キャラクターものと海外らしい結果となっています。

『大乱闘スマッシュブラザーズX』と『ギターヒーロー3 レジェンド オブ ロック』は不動の2トップ。『ファイアーエムブレム 暁の女神』『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』のプレイ時間がほとんど変化していないのが興味深いところ。『街へいこうよ どうぶつの森』は急激にプレイ時間を伸ばしています。

2トップ+『街へいこうよ どうぶつの森』にはマルチプレイやDLCなどインターネットに繋ぐ動機が用意されており、見事に狙いが当たった形となります。

『レゴ スター・ウォーズ コンプリート サーガ』も根強く遊ばれているようです。同作は北米におけるWiiの2009年上半期トップ5にもランクインしており、日本からはちょっと想像できないのが面白いところです。

任天堂が乗馬コントローラーの特許を出願-エアクッションにまたがって馬を操作

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/12/37081.html
任天堂の次なるターゲットは乗馬かもしれません。

任天堂は乗馬コントローラーの特許を申請しました。この特許は「Horseback riding simulation」と名付けられており、European patent databaseに7月22日付で出願されています。

「Horseback riding simulation」は、バランスボールよろしくエアクッションに跨るという形式。エアクッションにはWiiリモコンをセットすることができ、ヌンチャクを手綱や投げ縄や手旗、剣・槍・刀のように扱うとされています。

手綱のように握ったヌンチャクを左右に傾けることで走る方向を変えるほか、拍車を入れるようにクッションに膝で振動を与えることで馬をスタートさせたり、かけ声で馬に指示を与えるといった操作法が提示されています。

特許によれば、馬に限らず「ドラゴン、グリフォン、ユニコーン、雄牛、ラクダ、クジラ」といった動物から「グライダーやその他の航空機、魔法のじゅうたん、ジェットスキー、オートバイ、探査車両」などの乗り物に使うことができるだろうとのこと。

ヌンチャクをクッションにセット、Wiiリモコンを手に持つことでより詳細なコントロールが可能になる可能性も示唆されているなど、現時点ではまだまだ開発中のようですが、乗馬からジェットスキーまで様々なスポーツを可能とする「Horseback riding simulation」、案外『Wii Sports Resort』に続く隠し球なのかも知れませんね。

任天堂、ソニー、アップルがWi-Fi関連特許で提訴

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/12/37101.html
Patent Arcadeによれば、Wi-Fiネットワーク技術の米Bandspeed, Inc.が、ネットワーク関連の特許を侵害されたとして、任天堂オブアメリカ、ソニー、アップルの3社を提訴したとのこと。

訴訟は、任天堂のWii、ソニーのプレイステーション3、アップルのiPhone 3Gをターゲットにしたもので、いずれの機器にも搭載されているネットワーク通信に関して、同社が保有している、ネットワークの状態によって接続するネットワークを選択/管理するための特許を侵害していると主張しています。

海外ゲーマーが選ぶDSゲームトップ25-栄光の1位は果たして?

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/13/37104.html
海外ゲームサイトIGNは、これまで発売されたニンテンドーDSのゲームからトップ25を選んでいます。海外ゲーマーが選ぶトップ25は果たしてどんな内容となるのでしょうか。

■25~21位
25. Tony Hawk's American Sk8land
24. Planet Puzzle League(『パネルでポンDS』)
23. Space Invaders Extreme(『スペースインベーダーエクストリーム』)
22. Picross DS(『ピクロスDS』)
21. Puzzle Quest(『パズルクエスト~アガリアの騎士~』)

24位の『パネルでポンDS』は「携帯ゲーム機でリリースされたうちで最も習慣性が高くて危険なゲーム」。
23位の『スペースインベーダーエクストリーム』は「古典的なゲームデザインの素晴らしいアップデート」であり「新しく独創的なゲームコンセプト」とのこと。

■20~16位
20. N+
19. Final Fantasy Tactics A2(『ファイナルファンタジー タクティクス A2 封穴のグリモア』)
18. Kirby Canvas Curse(『タッチ!カービィ』)
17. Sonic Rush(『ソニック ラッシュ』)
16. Elite Beat Agents(『押忍!闘え!応援団』)

16位の『Elite Beat Agents』はオリジナルの『押忍!闘え!応援団』から大きな改変が加えられていますが、これを「任天堂オブアメリカ(NOA)の信じられないほど奇妙なローカライズ」であり「改変する価値があった」と絶賛。「ゲームデザインが特有だったので、いくつかの音楽ゲームがこれをコピーしている」とオリジナリティの高さに言及しています。

■14~11位
15. Guitar Hero On Tour
14. Ninja Gaiden Dragon Sword
13. Nintendogs
12. Animal Crossing: Wild World(『おいでよ どうぶつの森』)
11. Advance Wars: Dual Strike(『ファミコンウォーズDS』)

14位の『Ninja Gaiden Dragon Sword』
13位の『Nintendogs』は、これがニンテンドーDSの最初の年に発売されたことで、他のメーカーのバーチャルペットものゲームのハードルを高くした、とゲーム業界全体へのクオリティアップ効果に言及。シリーズの続編を希望しています。
12位の『おいでよ どうぶつの森』に関しては、Wiiの『街へいこうよ どうぶつの森』に多くのフィーチャーが継続して使用されていることを評価しています。

■10~6位
10. Grand Theft Auto: Chinatown Wars(『グランド・セフト・オート:チャイナタウン・ウォーズ』)
9. Pokemon Diamond/Pearl/Platinum(『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール・プラチナ』)
8. Meteos(『メテオス』)
7. Metroid Prime Hunters(『メトロイドプライム: ハンターズ』)
6. Tetris DS(『テトリスDS』)

『グランド・セフト・オート:チャイナタウン・ウォーズ』は10位。着目すべきは携帯性ではなくカートリッジとニンテンドーDSという制限に負けず『GTA』を詰め込んだ離れ業であると定義。
『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール・プラチナ』については「流行と呼び、一時的な現象といった人もいたが、それは間違いだった」「ポケモンのコンセプトは98年に稼働し、そして今も働き続けている」「ポケモン・フェノメノン(現象)は流行ではない」と息の長さを評価しています。

■5位~1位
5. The World Ends With You(『すばらしきこのせかい』)
4. Castlevania: Dawn of Sorrow(『悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架』)
3. The Legend of Zelda: Phantom Hourglass(『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』)
2. Mario Kart DS(『マリオカートDS』)

『すばらしきこのせかい』は「特徴的、革新的、魅力的でくらくらするようなRPG体験」であり「プレイしていないなら注意深く見て欲しい」と高評価。
『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』は全てタッチスクリーンで操作するという形態が議論を呼んだものの、グラフィックや操作、ストーリーなどあらゆる要素が素晴らしく、特にラインバックはこれまでハイラルにいたNPCの中でも最も思い出深いキャラクターだったとしています。
『マリオカートDS』については「あなたはスーパーファミコン版やN64版がベストというかも知れない。我々はあなたが間違っているとは思わないが、DS版も素晴らしいゲームであり、マリオカートのコンセプトにフォーカスしており、シリーズのトップを楽々獲れる」とシリーズを代表できる作品であると評価しています。

1. New Super Mario Bros.(『New スーパーマリオブラザーズ』)
栄光の1位は『New スーパーマリオブラザーズ』。
操作は基本的に十字キー+ボタンのこのゲーム、タッチスクリーンやWi-FiなどニンテンドーDSならではの機能を使わないことに着目。
「タッチを多く使わないのはそうする必要がないからで、『New スーパーマリオブラザーズ』の楽しさはゲームプレイの力強さとノスタルジアのパワーにある」「この再生において、シゲル・ミヤモトと開発チームはヒーローをそのルーツに帰還させた」と原点回帰を評価しています。

IGNのトップ25は常時更新中とのこと。果たしてどんなゲームがランクインするのか、海外ゲーマーと日本ゲーマーの感性の違いを見るのも面白いのではないでしょうか。

許容範囲?Wiiウェアで脱衣ポーカーゲーム『Sexy Poker』が配信

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/14/37125.html
Gameloftがケータイ向けにリリースしている、“manga-style”のグラフィックが特徴のポーカーゲーム、『Sexy Poker』。Wiiウェア版が、8月3日に北米で配信スタート。価格は5ドルです。

6人の女の子とトランプ勝負をし、勝つとセクシーショット解禁、ギャラリーがアンロックされていくという脱衣ポーカーです。脱衣といっても、おそらく水着までの、ヌード表現がいっさい無いWiiウェア版ですが、北米レーティングESRBでWiiウェア初のM (Mature: 17歳以上向け)に、さらにオーストラリアでは審査拒否で事実上の発禁となってしまいました。

Wiiという“ファミリーフレンドリー”なハードで脱衣ポーカーということで、日本で配信されることはなさそうですが、せめて動画でチェックをしておきましょう。それにしても、どこか既視感のある絵……。

ちなみにIGNのレビューは5.2でした。「アニメ調の女の子のセクシーショットに興奮できる若者か、ジョークグッズとして楽しめる人向け」だそうです。

『ゴールデンアイ 007』の父が明かす開発秘話-「ゲーム開発はバンドであるべき」

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/18/37147.html
『ゴールデンアイ 007』『Bonsai Barber』のMartin Hollis氏は、ゲーム開発はバンドであるべきだと主張します。

Martin Hollis氏は教師であった父親からシンクレア ZX81(1981年発売のパソコン)を買って貰いますが、電源を入れても画面は真っ暗なまま。交換して貰っても同じ状態だったということで、BBC Micro(1981年発売のパソコン。BBCによるコンピューター教育プロジェクトに使用された)に乗り換えます。BBC Microで作成したパックマン風ゲーム「Easter Maze」が氏のゲームクリエイターとしての出発点となります。

その後氏は潜水艦を探知するエンジニアリング会社に勤務するも、「あまり刺激的ではなかった」ということでレア社に入社。格闘ゲーム『Killer Instinct』に関わった後、007シリーズのファンだったことから『ゴールデンアイ 007』のプロジェクトをスタートさせます。

『ゴールデンアイ 007』は氏が好きだった『バーチャコップ』から直接の発想を得ており、ガンシューティングとして開発されたものの、『スーパーマリオ64』の衝撃からFPS(一人称シューティング)へと路線変更されたそうです。Hollis氏は制作姿勢に関して「非・ゲーマーの為にゲームを作り、可能な限り多くの人に遊んで貰いたかった」と述懐します。

こうして開発された『ゴールデンアイ 007』、初動は思わしくなかったようですが、通常とは違うパターンで後になるほど売上がアップ。一時期は一ヶ月で20万本が売れたといいます。レア社はロイヤリティ契約を結び、開発チームにはゲーム1本当たり1ポンドのロイヤリティが発生したとのこと。

『ゴールデンアイ 007』のヒット後、自分がやりたいこととは合わないということで氏はレア社を退社し、自らのスタジオであるZoonamiを設立。ペイントソフトのプロシージャルブラシから着想を得て盆栽の世話をする『Bonsai Barber』を開発。任天堂からのアドバイスは常に「我々はこれこれを提案する」という形式であり、ゲームの見た目や内容にはほとんど口を出さなかったものの、メニューに関しては意見されたといいます。氏は任天堂を「メニューシステムを通してゲームをナビゲートし、100%のプレイヤーにゲームの各ステップを理解させるかについて信じられないほどの知識の蓄積がある」と評価します。

Hollis氏はゲームを作成する上ではチームの力を信じる、といいます。ゲーム開発はオーケストラというよりはバンドのようなものであるべきで、自らは指揮者というよりは楽器でありたいと希望します。氏は開発プロセスを民主的なものとし、チームのそれぞれが絶えず目標を口にしてビジョンを共有することが大切であるとしています。

自らのゲームで最も印象的な作品は『Bonsai Barber』であり、自分を変えてくれた、と語るHollis氏は、「世界を豊かにするゲームを作りたい」と語ります。
「銃は不吉なモノではなく、闘争は排除できない世界の一部である」ものの、ゲームにおいてプレイヤーが銃をもって世界と関わることに「悲しく感じると言わざるを得ない」という氏は、銃以外のツールでプレイヤーが世界と関わる方法を考えることに貢献したい、と希望します。

銃で敵を倒す『ゴールデンアイ 007』の作者の言葉としては意外ですが、Zoonamiのゲームが盆栽をテーマとした『Bonsai Barber』や忍者や空手家が数独で戦う『Zendoku』など東洋系のものであるのはこうした思想の表れであり、Zoonami時代の氏の方向性こそが本来のものであるのかも知れません。

米国7月の売上は前年比37%ダウン-トップ10を任天堂とEAが独占

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/18/37154.html
米国の調査会社NPDグループは2009年7月の米国販売データを発表しました。

売上は前年比-37%で、ハードウェアが2億8094万ドル(約265億円)、ソフトウェアが4億3699万ドル(約413億円)、合計で7億1793万ドル(約687億円)とのこと。同社のアナリストであるAnita Frazier氏は「ほとんど全ての機種で売上がスローダウンしている」としています。

■ハードウェア売上(NPDグループ調べ)
ニンテンドーDS、ニンテンドーDSi:538,900
Wii:252,500
Xbox360:202,900
PSP:122,800
プレイステーション3:121,800
プレイステーション2:108,000

Frazier氏の指摘通り、全ての機種において売上が15~30%ダウン。
ニンテンドーDSシリーズは76万→53万、Wiiが36万→25万と大きくダウンしています。下げ幅が最も少ないのはXbox360で、24万→20万となっています。

■ソフトウェア売上(NPDグループ調べ)
01. Wii Sports Resort (Nintendo, Wii) - 508,200
02. NCAA Football 10 (EA, Xbox 360) - 376,500
03. NCAA Football 10 (EA, PS3) - 237,400
04. Wii Fit (Nintendo, Wii) - 164,300
05. Mario Kart Wii (Nintendo, Wii) - 156,600
06. Mario Kart DS (Nintendo, DS) - 132,200
07. Pokemon: Platinum Version (Nintendo, DS) - 116,400
08. Fight Night Round 4 (EA, Xbox 360) - 116,400
09. New Super Mario Bros. (Nintendo, DS) - 101,800
10. EA Sports Active (EA, Wii) - 96,800

Wiiのゲームは4本、ニンテンドーDSのゲームが3本で、任天堂ゲームは6本。
トップ10全てが任天堂とEAという北米市場を色濃く反映したラインナップ。
EAはWiiではサードパーティ唯一のトップ10となっています。
全体としてはスポーツものが2タイトル3本、フィットネスが2本となっており、両ジャンルの好調は続いていると見てよいでしょう。

1位は『Wii Sports Resort』。北米では7月26日に発売されその直後に50万本を突破。
前月に41万本でトップを取った『Prototype』は17位に。10位以下の本数は発表されていませんが、少なくとも9万本以下ではあるはずなので、典型的な初動型といえるのかも知れません。

『UFC 2009 UNDISPUTED』の代わりのスポーツ系としてトップ10入りしたのが『NCAA Football 10』。Xbox360とプレイステーション3が両機種合わせて61万本、さらにプレイステーション2版が20位にランクインしており、北米市場でのスポーツものの強さが分かります。

注目されるサードパーティ製フィットネス『EA SPORTS アクティブ パーソナルトレーナー Wii 30日生活改善プログラム』(EA Sports Active)は5月からの3ヵ月で34万本→28万本→9万本と推移。『Wii Fit』が35万本→27万本→16万本となっているので、長期に渡って売れ続ける部分で差が出たといえそうです。両フィットネスの7万本の差がどこから生まれるものなのか、興味深いところではないでしょうか。

DSが今年のホリデーシーズン前に値下げされる?-海外の予測

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/18/37164.html
ニンテンドーDSが今年のホリデーシーズン前に値下げされるという予想があります。

Wedbush Morgan証券のアナリストであるMichael Pachter氏は、ニンテンドーDSが99ドル(約9300円)、ニンテンドーDSiが149ドル(約14000円)程度に値下げされるのではないかと予想します。

米国でのニンテンドーDSiは4ヵ月で200万台を売るなど好調ではあるものの、Pachter氏は7月のニンテンドーDSのソフト売上が前年比25%ダウンしていることを指摘。不況の影響と今後のラインナップを見ると売上の低下が続くだろうから、これに対応すべく値下げが行われるのではないかというのが氏の予測です。

氏はPSP及びPSP goも2010年内に値下げされると予測。PSPは129ドル(約12000円)、PSP goは199ドル(約19000円)位の価格に落ち着くのではないかとしています。

任天堂は値下げに関して慎重な姿勢を崩さない印象がありますが、7月の米国全体の売上は前年比37%ダウンという現状を前にどのような反応を見せるのかが注目されます。

※原文ではNintendo DSと表記されていおり、記事中でも単にDSと表記しておりますが、DS Liteの事だと考えられます。

「当初は3部作の計画はなかった」メトロイドプライムシリーズ開発者が語る

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/19/37172.html
北米でメトロイドプライムシリーズ3部作を1つのパッケージにまとめた『メトロイド トリロジー』(Metroid Trilogy)が8月24日に発売されるのを前に、現地のNintendo Channelにてシリーズ開発者のコメンタリーが公開されています。

コメンタリーの中では幾つか興味深い事実が明らかになっていますが、その1つは「当初は3部作の予定はなかった」ということ。

シニアゲームデザイナーのMike Wikan氏は「3部作は当初から計画されたものではありませんでした」と延べ、プロデューサーの田邊賢輔氏も「最初のゲームが非常に満足のいくもので、それから3部作について考えるようになった」と話しています。

また、プライムシリーズの1つの特徴ともなった「バイザーシステム」は元々は宮本茂氏の発案だったようです。

シニアプロデューサーのBrian Walker氏は、『1』のゲームデザインを検討している時期に、しきりにWukan氏が宮本氏の言った「サムスが別の頭にもなれたらどうだろう?」という言葉を気にしていたのを思い出すと語っています。そこから異なるバイザーで謎解きをする要素が生まれ、ゲームに深みが出たと述べています。

任天堂がハッカーの排除を開始-不正プレイヤーに接続禁止措置

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/20/37210.html
任天堂はハッカーの排除を始めているようです。

Wii用のFPS(一人称シューティング)『The Conduit』ではWi-Fiのオンライン対戦でも改造コードが使えてしまうことをお伝えしたばかり。
改造コードの作者である「hetoan2」氏は「全ては無防備だった」とハッキング対策の不足を指摘。これを受けて開発元High Voltageは改造コードを使ったハッカーのMACアドレス(通信機器に割り当てられた認識番号)を収拾し任天堂に提供している……というのがこれまでのあらすじです。

こうした「物証」に対し、任天堂がどのような動きを見せるかが注目されていましたが、任天堂はハッカーの排除を開始。ハッカーのWiiにはエラーコード「20102」が表示されWi-Fiに接続できなくなっているとのことです。

「20102」はWi-Fi上で「任天堂が許可していない活動が見られた」際のエラーコード。これまでにも『マリオカートWii』での取締の際にも表示されています。

他の人が介在するのがWi-Fiですから、不正はないに越したことはありません。
誰もが安心できるオンライン環境のために、任天堂の継続した取り組みが期待されます。

iPhone用DSエミュレーター、任天堂の要請で発売中止に

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/21/37223.html
任天堂はiPhone用ニンテンドーDSエミュレーターを「著作権侵害である」として発売中止を要請しました。

問題のソフトは「DS DoubleSys」。iPhone上で動作するニンテンドーDSエミュレーターで、iPhoneの中に3DグラフィックでニンテンドーDSを再現、ミニゲームをプレイすることで本体の色などが増えていくといった趣向。エミュレーターといっても市販ゲームが動作するというものではないとされています。

任天堂オブアメリカ(NOA)は「DS DoubleSys」の発売中止を要請。これを受けてAppStoreからは同ソフトが取り下げられ、Youtubeにアップロードされていた公式動画も削除されています。

NOAのスポークスマンであるCharlie Scibetta氏は「著作権侵害なので、このアプリの除去を求めた」とコメントしています。

Mad Catz、任天堂とライセンス契約

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/21/37238.html
周辺機器メーカーのMad Catzが任天堂ハードにも参入の模様です。

Mad Catzはこの度任天堂オブアメリカ(NOA)と契約を締結し、Wii、ニンテンドーDS、ニンテンドーDSi用周辺機器を制作・販売することとなりました。

同社は格闘ゲームに対応したジョイスティックなどコアな周辺機器で知られており、先日も『ストリートファイターIV』に合わせて発売された「Street Fighter IV FightStick Tournament Edition」が高評価を得たばかり。

Mad CatzのCEOであるDarren Richardson氏は「任天堂はゲーム業界にあって最もポピュラーで普遍的なキャラクターを作り出しており、公認の周辺機器を作れることになって光栄です」とコメントしています。

契約にはマリオやルイージ、ヨッシーやドンキーコングといった人気キャラクターの使用権も含まれているとのこと。現在の周辺機器はゲームとタイアップしたオリジナルデザインも珍しくないため、コアな印象のあるMad Catzがファミリーに人気の任天堂キャラクターたちをどうアレンジするのかも注目ポイントとなりそうです。

任天堂、Wiiリモコンの特許裁判で和解

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/26/37320.html
任天堂はWiiリモコンに関して新たな和解を行いました。

Hillcrest Laboratoriesは、手持ち型の3Dポインティングデバイスと、これでメニューを指し示すグラフィカルインターフェースの特許を所有していますが、任天堂のWiiリモコンが特許の侵害であるとし、米国への輸入差し止めを米国国際貿易委員会(ITC)に要請、米連邦地裁には損害賠償を申し立てていました。

任天堂はHillcrest Laboratoriesの特許を侵害していないとしていましたが、この度和解が成立。和解の条件は非公開ですが、Bloombergによると、任天堂とHillcrest Laboratoriesのスポークスマンは詳細に関してコメントしていないとのことです。

『Wii Sports Resort』の販売本数が100万本突破!

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/26/37321.html
任天堂は、『Wii Sports Resort』の販売本数について、日本で100万本販売を達成したことを発表しました。

2009年6月25日に発売した『Wii Sports Resort』は、「Wiiモーションプラス」の細やかな動きで12種類のリゾート遊びが楽しめるゲームです。発売から毎週一定の量で売れ続け、8月16日の時点で100万本を達成。アメリカ(7月26日発売)や、欧州(7月24日発売)でも発売から1ヶ月を待たず100万本以上の販売セールスを記録しています。

任天堂は「『Wii Sports Resort』は発売後2ヶ月を経た今もコンスタントな売れ行きを示し続けており、他の多くのWiiソフト同様、長期的に売れ続ける定番ソフトになることを期待しています」と述べています。

Wiiも値下げしないとピンチに?-海外アナリストたちの指摘

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/26/37322.html
複数のアナリストはプレイステーション3同様にWiiが値下げしないとピンチに陥るのではないか、と指摘します。

Wedbush Morgan証券のアナリストであるMichael Pachter氏は「Wiiの売上が苦戦し、前年と比べても売上が下がると思う。値下げか、Wii Motion Plusと『Wii Sports Resort』の同梱版が出なければ、今後の売上の見積もりは難しい」とテコ入れの必要性をコメント。

Kaufman BrosのアナリストであるTodd Mitchell氏は「任天堂がWiiへの関心を保つのに苦戦している」と評価。

EEADRのJesse Divnich氏は「プレイステーション3とWiiのターゲットは大きく異なっているが、一部の消費者は、時代遅れの処理能力となっているWiiを買うかブルーレイプレイヤーとしてのプレイステーション3を買うか、厳しい選択に直面している」とプレイステーション3の価格帯が移動したことでWiiとの直接対決がスタートするとする見解を明らかにしました。

Yahoo! Video GamesのシニアエディターであるBen Silverman氏は「何をするにしても、早い方がいい。米国と英国のamazonは既に薄型プレイステーション3の不足を警告しており、1家族あたり1台のみの販売制限を行っている」と指摘しています。

Silverman氏はプレイステーション3の価格引き下げを「家庭用ゲーム機戦争の様相を変えた」と評価。「負ける可能性が最も高いのは、他ならぬ任天堂と市場をリードするWiiである」とコメントしています。

任天堂の岩田聡社長はCNBCのインタビューに対し「まるでそれがオールマイティの武器であるように値下げに関して語るが、値下げの効果は限られている。ビデオゲームの歴史においては、値下げした直後は売上が上がるが、勢いは続くことなく値下げ前のレベルに落ちる」とWiiの値下げを否定していますが、プレイステーション3の値下げを受けてもこの姿勢が変わらないのかどうか、大きな注目が集まっています。

任天堂、Wiiリモコン+アメフトボールの特許を申請

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/26/37324.html
Wiiリモコンをフットボールにセットする、そんな特許を任天堂が申請しました。

乗馬コントローラー、自転車のペダルコントローラーなど新たなコントローラーの話題が絶えないWiiですが、次なる特許はフットボールコントローラー。

アメリカンフットボールで使用する楕円形ボールにWiiリモコンとヌンチャクをセットするというもので、ボールを投げたり、キープして走ったり、ジャンプで避けたりといった動きが可能であるとされています。

ボールを本当に投げてしまっては危ないですから、もちろん手にホールドするためのベルト付き。イメージとしては先日お伝えしたWii用のボウリングボール「WI-BOWL」に近いでしょうか。

任天堂が提出した図案の中にはノーマルのWiiリモコンだけでなくWii Motion Plus付きのものも描かれており、詳細なボールの動きも検知できそう。アメリカンフットボールといえば大迫力のランニングですが、並み居る敵をかわして蹴散らす動きを室内でどう表現するのか、ゲームデザインも問われることになりそうです。

Wiiをリハビリ用として寄付

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/27/37328.html
Wiiがリハビリのために寄付されました。

InjuryBoard Foundationはリハビリ用のWiiを寄付する「Wiihabilitation give-away」プログラムを進行中。Jones Waldo personal injury attorneysのBret Hanna氏とMark Williams氏は、障碍のある人に屋外でのレクリエーション活動を提供するNational Ability CenterにWiiを寄付したとのことです。

身体を動かしてゲームを遊ぶWiiはリハビリ用としても注目されており、「Wiiリハビリ」という言葉も生まれるほど。リハビリも楽しめるのであればそれに越したことはないわけで、寄付されたWiiの活躍が望まれます。

『Wii Sports Resort』、北米・欧州でもそれぞれ100万本を突破

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/27/37352.html
昨日、任天堂が『Wii Sports Resort』の販売本数が100万本を突破したと発表しましたが、任天堂オブアメリカ/任天堂オブヨーロッパもそれぞれの地域で100万本を販売したと発表しています。

「何百万人ものユーザーが、夏休みが永遠に続くことを願っているということを証明しています。『Wii Sports Resort』は初心者も上級者も、あらゆるユーザーをリゾート島に招待し、楽しませてくれます。リゾートに行きたいという欲求は秋にも冬にもより訴えるものになるでしょう」と任天堂オブアメリカのセールス&マーケティング担当副社長であるCammie Dunaway氏は述べています。

【ゲームニュース一週間】値下げから始まる次世代ゲーム機戦争「第二ラウンド」

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/30/37383.html
今週は相次ぐ値下げとモーションコントロールに関するデベロッパーの発言が話題となりました。

マイクロソフトはXbox360の「エリート」モデルを約1万円値下げ。
ソニーはプレイステーション3の薄型モデルと約1万円の値下げを発表しました。

今回の値下げにより、次世代ゲーム機戦争は約3万円のプレイステーション3とXbox360、2万5000円のWii……と近い価格帯で争われることになります。

Wiiと価格帯が近くなったことに加え、プレイステーション3にはモーションコントロールワンドが、Xbox360にはProject Natalという新たなモーションコントロールが控えています。これまでWiiの最大の特徴だったモーションコントロールを、次世代ゲーム機3機種が全て備える日が来るのです。

モーションコントロールと値下げにより、次世代ゲーム機戦争は「第二ラウンド」に突入したと言えるでしょう。これまでのゲームハードの歴史において「第二ラウンド」は極めて異例なことですが、モーションコントロールというアイデアにはそれだけの可能性があったということで、任天堂の先見の明が評価されるべきではないでしょうか。

「第二ラウンド」ではどこが有利なのかは全くの不明です。モーションコントロールに一日の長があり、本当のファミリー向けが出せる任天堂か。ブルーレイとゲームを共に遊べるソニーか。ハードコアゲーマー層に厚い支持を受けるマイクロソフトか。御三家全てに長所と弱点があります。

デベロッパーのモーションコントロールに関する発言も興味深いところです。『The Conduit』で知られるHigh Voltage SoftwareのEric Nofsinger氏は、モーションコントロールゲームのマルチプラットフォーム展開を既に意識しており、Wiiのモーションコントロールのデータをプレイステーション3やXbox360に移植できるようなエンジンを開発していることを公開。
『Tony Hawk Ride』の発売を控えたRobomodoのJosh Tsui氏は「ゲーム開発は高価になっているので機種をまたいで移植されることは疑いない」とマルチプラットフォーム展開は今後の必然であるとする見解を明らかにしています。

これまで任天堂の独占分野であったモーションコントロールゲームですらマルチプラットフォーム化が進むのですから、今後の状況はより混沌としたものになってきます。プレイステーション3やXbox360がモーションコントロールに対応することでファミリー層を取り込むかも知れません。ファミリー層が強いWiiで評価されるモーションコントロールゲームと、ハードコアゲーマーの多いXbox360で評価されるものとでは違いがあるかも知れません。これはゲームソフト業界にとってはチャンスなのではないでしょうか。

ただ、モーションコントロールを無理矢理使うような低品質の「ファミリー向け」があまりに多いようであれば、「第二ラウンド」自体が尻すぼみのものとなりかねない可能性があります。Wiiにだけ任せておけばよかったモーションコントロールという難題を次世代ゲーム機3機種で扱わなければならないのですから、ゲーム開発の難度自体はこれまでより高くなったといえるでしょう。

価格帯が近くなり、3機種がモーションコントロールを持つことになったからこそ、サードパーティのソフトが重要になります。しかし、サードパーティは任天堂、ソニー、マイクロソフトといったハードウェアメーカーのサポートなくしては力を発揮できません。新たにモーションコントロールを導入するソニーとマイクロソフトにおいてはなおさらです。「第二ラウンド」の勝敗を決する鍵は、ハードウェアメーカーがいかにサードパーティと信頼できる関係を築き上げるかにあるのではないでしょうか。