デーモンシェフのお菓子工場/会話

シャルキー

ちょっこれーと♪ちょっこれーと♪
あまーいあまーいちょこれーと♪

そろそろ王国に到着ですね！
いっぱいチョコを仕入れましたし、
今からバレンタインが楽しみですよー！

ソフィー

あらあら、シャルキーさんは食べるほうに興味が？
てっきり誰かにチョコをあげたいのだとばかり……。

シャルキー

ええっ！？ えっと、食べるのも楽しみですけど、
プレゼントするのも楽しみと言うか……。
もうっ、からかわないでくださいよぉ！

トトノ

もうすぐ王国とはいえ、気を抜いてはいけませんよ？
まだまだこの辺りには魔物が出現するのですから。

リノ

そうそう、リノ達は商隊の護衛なんだから。
ちゃんと守らないと、
あまーいチョコが食べられなくなっちゃうよ～？

シャルキー

それは困りますー！
チョコさんはちゃんと私達が守り抜いて――あれ？

マーニー

んん？ シャルキーさんどうかしましたか？
――って、あれれれ？

シャルキー

あのー……私の気のせいでしょうか……？
荷馬車の中から、マイコニドの形をしたチョコが
歩いて出ていったように見えたんですけど……。

ケイティ

ま、マイコニド型のチョコ、ですか？
さすがにそれは見間違いでは……？

シャルキー

えっ、えぇっ！？
マーニーさんも見ましたよね、ねっ！

マーニー

み、見ました！ 見ましたとも！
きっとあれは魔物の仕業ですよ！

フウカ

――あら？ 噂をすれば本当に魔物の気配がするわね。
シャルキーとマーニーの可愛い見間違いはともかく、
今は目の前の魔物に対処しましょ。

アンナ

そうですね……。
王子、祝祭用のチョコを守るためにも、
迅速な指揮をお願いします！

シャルキー

――お、王子様！ 見てください！
ほら、マイコニド型のチョコが歩いてます！

ケイティ

どうやら見間違いでは無かったようですね……。
本来のマイコニドと同じ能力を持つのなら、
毒を放出してこちらの体力を削ってくるかもしれません。

フウカ

それから数が増える前に対処するのを忘れずにね。
群れになると毒の効果も強くなるはずだから。

チョコマイコニドがいる間、
全ての味方ユニットは
継続ダメージを受けます。

また、チョコマイコニドの数に応じて、
効果が重複します。

シャルキー

まさかチョコレートが、
マイコニドになってしまうなんて……。

ヴァレリー

いや、普通のチョコレートが魔物になるとは考えにくい。
チョコマイコニドの残骸からも、
微弱ながら魔力の残り香が感じられるし――

パレス

――つまり、チョコレートに魔法をかけた
黒幕がいるって事ですね……。
このチョコはどこで仕入れたものなのですか？

トトノ

取り扱い自体は西方の国のお菓子会社ですけど、
確か原材料を作ったのは、最近創業した
『お菓子工場』だと言っていたような……。

ロイ

チョコ菓子に魔法をかけるお菓子工場とは、
これはどうにもきな臭いですな。

ケイティ

はい。特に今はバレンタインの祝祭直前です。
このまま見過ごせば、魔法のかかったチョコが、
世界中に拡散してしまうかもしれません。

シャルキー

そ、そんなのだめです！
バレンタインはとっても大切なお祭りなのに……！

アンナ

確かに、その通りです。
魔王との決戦から復興の最中である以上、
物質界で調査に赴けるのは、私達王国軍だけでしょう。

王子

…………(こくり)

シャルキー

それじゃあさっそく、
『お菓子工場』の調査に出発しましょう！
バレンタインを、私達が守るんです！

スズネ

――『お菓子工場』ですぽん？
確かに、最近妙な商品を流通させている工場のことは、
あたし様の化け化け情報網にも伝わってきましたぽん！

シャルキー

妙な商品……もしかして、
マイコニド型のチョコのことですか？

スズネ

情報が早いですぽん♪
シャルキーちゃんは良きたぬきになれますぽーん♪

とはいえ、あたし様たちも
変わったチョコだとは思っても、
動き出すとは予想してなかったですぽん……。

シャルキー

チョコが動くなんて誰も思いませんよねぇ。
それで、工場の場所はわかりますか！？

スズネ

ぽんぽこぽーん♪　もちろんですぽん♪
ただ、その街には良くない噂がありますぽん。
十分に注意して行った方が良いですぽん。

シャルキー

よ、よくない、うわさ……？
それはいったい……？

アイリーン

――件の街から、住民全員が
工場職員によって追い出されたという話ですね。
こちらの情報網にもそう伝わっています。

スズネ

それから街を囲むように、
いっぱいゴブリンが集まってるとも聞いていますぽん！

アイリーン

チョコが魔物になるという情報から推測するなら、
既に街は『お菓子工場』の魔物に占拠されている、
そう考えるのが妥当かもしれませんね。

シャルキー

……そ、そんなの見過ごせません！
チョコは甘くて美味しいもので、
戦いに使うものではないのですから！

王子様、絶対の絶対に
『お菓子工場』の陰謀を阻止しましょう！

ゴブリン

ギャギャ チョコオイシイ！
トロトロアマアマ！

王子タチ ジャマスル チョコモラエル！
デーモンシェフ ヤサシイ！

セブン

――へぇ、デーモンシェフだって？
もう少し詳しく話を聞かせてくれよ。

ゴブリン

ギャギャ！？

ソフィー

『お菓子工場』に向かう道中に、
やけに魔物が多いと思えば……。

アリス

なるほど、化け化け情報網で聞いた通り、
デーモンシェフなる魔物が、
ゴブリンを雇って私達を妨害していたんですね！

シャルキー

この街道は商人さん達も使う流通の要です。
お菓子を悪用する魔物に、
占拠なんて絶対させませんから！

ゴブリン

ギャギャ！ オウジタチ！ キタ！
セントウジュンビ！ ジュンビー！！

シャルキー

王子様、この道を抜けないと、
『お菓子工場』にはたどり着けません。
ずばばっとやっつけちゃいましょう！

ゴブリン

ギャギャ！ テッタイ！ テッタイ！！
デーモンシェフ ホウコク！

シャルキー

でーもんしぇふ……。
いったい何者なのでしょうか……。

エーテル

……デーモンに、工場に、動き出すお菓子。
何だか嫌な予感がしますね……。

アンナ

ともかく、これで先へ進めるようになりました。
一刻も早く『お菓子工場』に向かいましょう！

アンナ

――ここが『お菓子工場』のある街ですか。
やけに静かですね……。

アイリーン

住人全員が退去させられたそうですからね。
噂では工場の職員のしわざとのことでしたが、
おそらくは――

デーモン

――ムッ、何者だ！？

ケイティ

やはり『お菓子工場』を作り
街を占領したのは魔物達でしたか。

シャルキー

夢と愛情いっぱいのチョコを悪用するなんて、
絶対に許しませんよー！

シャルキー

――って、わわ！？
今度はチョコレートのトレントが！？

ロヴィニア

トレントが相手とは、ちょっと厄介だね。
んー？ どうやらあのトレントたちは、
魔力のこめられた遠距離攻撃をしてくるみたいだよ。

シュシュ

それから少しの傷なら、
自分で治しちゃう力も持っています！
王子様、注意注意ですよ！

デーモン

クッ……まさかこんなに早く王子達に
我らの秘密のお菓子工場が知られてしまうとは。
急ぎデーモンシェフに報告しなければならんな……。

シャルキー

あっ、ま、待ちなさーい！

ロヴィニア

シャルキー待って待って。
こんな魔物だらけの街を
ひとりで走っていったら危険だよ。

セブン

連中、また『デーモンシェフ』って
名前をつぶやいてたな……。
いったい何者なんだ、デーモンシェフ……。

リノ

ふざけた名前だけど、チョコで作った魔物を
本当に動けるようにしちゃうんだから、
舐めてかかるわけにはいかないよね……。

シャルキー

でも、急がないとあちこちに広まった
魔物型のチョコが暴れ出して、
バレンタインが台無しになっちゃいますよ！

アリス

ですね！ 世界中の恋する女の子のためにも、
恋しちゃってるシャルキーちゃんのためにも、
このまま『お菓子工場』まで突っ切りましょう！

シャルキー

わ、わー！！ 恋……恋って、アリスさーん！？
王子様！ 何も聞いてませんよね！ ねっ！？

王子

…………？

シャルキー

よぉし、王子様！
一緒に『お菓子工場』を目指しますよー！

ゴブリン

ギャギャ！ 工場長！
王子タチ！ キタ！ 王子！ キタ！

デーモンシェフ

えぇい、今は工場長ではない！
おしゃれで素敵なデーモンシェフと呼べ！

ゴブリン

ギャギャ！ デーモンシェフ！
王子タチ！ スグソコ！ アブナイ！

デーモンシェフ

はぁ、まったく、案ずるでない。
如何に魔王様を倒した王子達とて、
我がお菓子工場職員にはかなうまい。

何しろ配下のデーモン達は、
チョコレートコーティングが
既に完了しているのだからな！

ゴブリン

……ギャギャ？ チョコ？ コーティング？

シャルキー

――ここが『お菓子工場』ですか……？
すんすん……確かにあまい香りがします！

リノ

あっ、あっちにデーモン型のチョコがあるよ！
さすがにあの形は、食べたいとは思えないなぁ……。

アリス

……あれ？
今、あのデーモン型のチョコ、動きませんでした？

シャルキー

えぇっ、そんなまさか……って、
ほ、ほんとに動いてます！
王子様ぁっ！ あれ動いてますよー！

エーテル

マイコニド型やトレント型のチョコが動くのですから、
デーモン型が動いても不思議ではないですよね……。

オーガスタ

でもあのチョコ、随分と硬そうですねぇ。
子供やお年寄りのことを考えない、
カチコチチョコな気がしますよ……？

リノ

へぇ、そんなに硬いチョコが相手なら、
物理攻撃よりも、
魔法でどかんと攻撃した方が良いかもね。

アンナ

相手はお菓子のような見た目ではありますが、
正真正銘、本物の魔物です。
王子、慎重な采配をお願いいたします！

シャルキー

うわぁ、チョコでできた魔物だと思ったら、
魔物をチョコでコーティングしてたんですね。

エーテル

なるほど、チョコで出来た鎧ということですか。
食べ物で遊ぶなんて、お行儀の悪い工場ですね……。

シャルキー

ともかく、魔物は鎮圧出来ました！
王子様『お菓子工場』を作った黒幕を捜索しましょう！

王子

…………(こくり)

シャルキー

バレンタインの祝祭を邪魔するなんて、
ぜーったいに許さないんですからー！

ゴブリン

――ギャギャ！ チョコデーモン！ ヤラレタ！

デーモンシェフ

まだ慌てるような段階ではない。
だが通常のチョコ職員だけでは
戦力が足りないのもまた事実。

念には念を入れ、
新たに配属した職員を送り込むとしよう……。

さぁ王子達よ、
おしゃれで素敵なデーモンシェフのお菓子工場を、
たっぷりと味わっていくがよい……！

――数日前。

デーモンシェフ

よりコクの出るチョコレートの材料はないものか。
我らお菓子工場職員は、新材料を求めて
ジャングルの奥地へ向かったのだった――っと。

ゴブリン

ギャギャ？ 工場長 ナニカイテル？

デーモンシェフ

工場長ではない、おしゃれで素敵なデーモンシェフだ！
これは我らが物質界を支配するまでの道程を
未来に残すための探検日誌と言うものだぞ。

ゴブリン

ギャギャ！ ユメ！ オオキイ！

デーモンシェフ

ともかく次はこの材料の効果を試してみよう。
味だけでなく、付加効果が重要だからな。
さぁ、先程捕えたオークを連れてこい！

オーク勇者

くっ……薬を盛るとは卑怯な……。
だがオレの負けには違いない……さぁ、殺すがいい……。

デーモンシェフ

殺すなどもったいない……。
お前は我らの物質界征服の礎となるのだ！
さぁ美味しく食べろ、新鮮な木の実だぞ。

オーク勇者

グッ、グォォォッ！？
何をっ、何を食わせたッ！！
身体が大きくッ、力がッ、グォアァアァァッ！？

エクス

――ジャングルの奥深くまで来ましたが、
中々チョコレートの原料が見つかりませんわね……。

エメルダ

アリスに聞いた話だと、
こんな感じの形の実の中に、
チョコの原料になる種が入ってるらしいよ。

エクス

やはり愛と日頃の感謝を伝えるなら、
原材料の入手からと思いましたが、
チョコ作りの道はこれ程までに厳しかったのですね。

エメルダ

でも、せっかくここまで来たんだから、
最高の材料で、最高に美味しいチョコを――って、
あれ？ 何か雄叫びが聞こえてこない？

オーク勇者

グォォォオオオオオオッ！！
戦士タチヨォ！！ 我が筋肉に集えェェェッ！！

オーク

何と巨大な肉体だ！
あれほどの筋肉を育てるには、
さぞかし多くの死線をくぐり抜けたことだろう！

エクス

た、大変です！
エメルダさん、向こうからオークの群れが！

エメルダ

仕方ない、他の子達に応援を頼もう。
あんなオークの群れ、私達だけじゃしのぎきれないよ。

オーク勇者

戦士の匂いがするぞ！ 近くに戦の気配がッ！！
戦えッ！ オレと戦えェェェェッ！！

オークシールダーは
味方ユニットの
射程範囲内にいる場合、
遠距離攻撃を自身に引きつけます。

ブロックされている間、
引きつけの効果を失います。
　　　　　　　　　　　　　(1/2)

スキルやアビリティなどで
攻撃の優先順位が指定された
敵がいる場合や一部の攻撃は
引きつけの効果を受けません。
　　　　　　　　　　　　　 (2/2)

オーク勇者

オレは……いったい何を……。
くっ……偽りの筋肉に踊らされるとは、
戦士として一生の不覚だ……。

エクス

はぁ……はぁ……。
変な木の実を吐き出させたら、
元に戻ってくれましたね……。

エメルダ

もう、変な物食べちゃだめよ？
それよりあなた達、このジャングルには詳しい？
チョコの材料とか知らない？

オーク勇者

おぉ、勝者には褒美があって然るべき。
我が暴走を止めてくれた礼もしなければならぬ。
チョコレートの材料が実る場所を教えようとも。

エクス

ふふっ、これもきっと神の御導き。
エメルダさん、案内してもらいましょうか。

エメルダ

うん。これで美味しいチョコが作れるね。

デーモンシェフ

――なるほど、あの実は巨大化する効果があるのか。
中々に良い実験であった……。

ゴブリン

ギャギャ デモ ボウソウシテタ！

デーモンシェフ

黙れ！ 一流シェフへの道は長いのだ！
さぁ次の食材を試しに行くぞ！

？？？

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シャルキー

－－そういうわけで、
バレンタインの祝祭の準備が完了しましたよー！

チョコが動き出した時には
本当にどうしようかと思いましたが、
王子様のおかげで無事に開催にこぎつけました！

ハルモニア

シャルキーさんの応援もあって、
準備も順調に進みましたからね。

人をやる気にさせるその応援、
私も極意を学んでみたいものです。

シャルキー

わわ……そんなすごいものじゃないですよぉ……。
褒められると照れちゃいます……。

ハルモニア

ふふ、ご謙遜を。
我が主もシャルキーさんのお顔を見て、
ほら、こんなに嬉しそうにしておられます。

シャルキー

ふぇえっ！？
もうっ、王子様までからかわないでください～！！

と、ととと、ともかく！
王子様のおかげで素敵なバレンタインができるんです。
私が皆を応援したというのなら－－

－－私を応援してくれたのは、
間違いなく王子様なんですから、ねっ♪

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