帝国神官の帰還/会話

Last-modified: 2021-12-12 (日) 08:09:46
ネタバレ注意
1:白の神官戦士
1:開始時

兵士

報告!
魔物が現れました!

アンナ

分かりました。
王子、すぐに戦いの準備をお願いします!

ベルナール

――ん……あれは……。
王子、少しお待ち下さい。前線で攻撃を仕掛けてきて
いるのは白の帝国兵のようですよ。

ケイティ

白の帝国軍が我が軍を攻撃してるというのですか!?
同盟を結んでいないとはいえ、昨今は比較的良好な関係を
築いていたはずなのに、急に敵対するなんて……。

アンナ

なんとか、話合いで解決する事は
出来ないのでしょうか……?

ベルナール

そんな悠長な事を言っている場合ではなさそうだ。
前線では、既に戦いが始まってしまっている。
早急に、敵の戦力を削いで無力化しなければ危険だろう。
 
見たところ、帝国軍にしては
かなりの小規模部隊に見える。
帝国軍が少数の部隊で作戦を展開するのは妙だが……。

ケイティ

とにかく、今は戦う以外に道はないようですね。
 
前線より、指揮官は神官戦士という報告を受けています。
体力を削いでも、自身の治癒術で回復が可能です。
各部隊長に、注意喚起を!
1:終了時

帝国兵

ルチア様、このまま戦いを続ければ、
全滅は免れないかと……。

ルチア

報告、感謝する。
確かに、この辺りが潮時のようだね。
総員、ただちに撤退準備を! 予定の地点まで撤退!

帝国兵

了解!
追撃を警戒しつつ、撤退を開始します!

ユリアン

……敗戦の気色を察して、素早く撤退したか。
さすがは白の帝国といったところだな。

ベルナール

感心してる場合ではないぞ、ユリアン。
少数ではあったが、白の帝国側に敵意があることは確実だ。
神官戦士が部隊長であることが何よりの証拠でもある。

ユリアン

どういう事だよ……?

ベルナール

白の帝国は、軍事国家ではあるが、
女神アダマスへの信仰は厚い。だから、神官戦士には
帝国内において強大な権限と地位が与えられているのだ。

ケイティ

つまり、その神官戦士が侵攻してきたという事は、
帝国上層の総意も同じであるというわけですね。

アンナ

とはいえ、早計な行動は取るべきではないと思います。
……王子、私はすぐに白の帝国へ書簡を送り
今回の戦いが本意であるのかを問いかけてみます。
1:終了後 (ホーム画面にて)

レオナ

白の帝国軍、軍師レオナだ。
この度は、白の帝国を代表する特使として帰国に参った。
我が国の主君、皇帝陛下の親書も携えている。
 
政務官殿からの書簡は読ませてもらった。
……書面のみの返答では無用な誤解を生むと思い、
こうして直々に足を運んだ事を理解してもらえると有難い。
 
では、さっそく本題に入ろう。
 
先日、貴国が我が帝国軍からの攻撃を受けたという件だが、
その部隊は、我ら帝国軍とは無関係である。
 
貴国も知っての通り、今や魔物の攻勢は苛烈さを増している。
他国に国の内情を晒したくはないが、国防に兵力の殆どを
割いているというのが我が軍の状況だ……。
 
恐らく野盗の類が、どこぞの戦場から我が軍の武装を
盗みとり、白の帝国を騙っているのだろう。
 
……何?
指揮をしていた者は、女性の神官戦士だった、だと?
 
まさかルチア……なのか……?
いや……しかし、あいつはあの時、魔界で……。
 
すまない……以前、行方不明となった我が軍の神官戦士やも、
と思ったのだが、その可能性は限りなくゼロに近いだろう。
未だ捜索は続けているが手がかりは皆無なのだからな……。
 
――と、話が逸れてしまったな。
改めて、白の帝国を代表して、これを渡しておく。
 
ああ、そうだ。それが皇帝直筆の親書だ。
それをもって、改めて我らは本件に関して
無関係であることを証明させてもらう。
 
……だが、我が軍としても、
帝国の名を騙る輩の事を、捨て置くわけにもいかない。
 
こちらでも捜索を開始するが、
貴国側でも、再びその神官戦士を見かける事があれば、
我ら白の帝国に報せてくれ。
 
それと、今回の件に際する
貴国の冷静な対応に重ねて感謝をする。
 
第三者の下らぬ行動が、
予期せぬ国家同士の争いに繋がるなど、
あまりにも滑稽過ぎるからな。
 
それでは、失礼する。
2:王国への襲撃
2:開始時

フィリス

王子、大変だ!
領内にデーモンが現れたぞ!

ユリアン

デーモンだって!?
おいおい、何の冗談だよ!
こんなこと、今まで殆どなかったってのに……。

バルバストラフ

ふむ。デーモンの出現は、
魔界の門が、ここ物質界のどこかで開いた証拠じゃ。
すぐに対処せねば大変なことになるぞ。

ケイティ

待って下さい、デーモンの群の中に、
人間の姿があります……!

ユリアン

あ、あれは……!
間違いない、さっき俺たちに戦いを吹っ掛けてきた
神官戦士じゃねえか!?

ルチア

ふふ。領内への突然の侵攻に、
王子軍も対応が遅れているようだね。
 
デーモン達よ、今こそ王子を倒す好機だ!
進軍を開始せよ!

フィリス

し、信じられない……!
デーモンが人間と共に王国を攻めてくるなんて……!?

ユリアン

くそ、よく分からねえが、
このままじゃ民の命が危ない……。

アンナ

王子、急ぎ応戦しましょう。
2:終了時

ルチア

くっ……。
……王子軍がまさかここまで強いなんて……。
 
作戦を変更する!
「あの場所」まで王子軍をおびき寄せ、
そこで決着をつける!

帝国兵

了解しました!
総員、ルチア様に続けッ!

アンナ

(ルチア……!?
レオナさんが口にしていた名前と同じ……。
やはり、行方不明の神官戦士の方なのでは……)

ユリアン

……ふぅ、この辺りのデーモンは全て片付いたようだな。
だが、あいつは何者なんだ? ルチアとか呼ばれてたが、
どうしてデーモンと一緒に攻めてきたんだよ!?

ベルナール

落ち着け、ユリアン。
結論を急いでも意味はない。
とにかく、今は彼女たちを追いかけよう。

バルバストラフ

そうじゃな。デーモンと共に逃げていったところを見るに、
奴等の後をついていけば、
この世界に生じた魔界の門の場所も判明するであろう。

アンナ

急ぎましょう、王子! それに「ルチア」という名前……
レオナさんが言っていた方と同じ名前です。
無関係とは思えません。
3:開かれし魔門
3:開始時

セシリー

王子、こっちだ。
今ならまだ神官戦士に追いつけるはず。

ユリアン

おいおい……どうなってんだ。
魔界の門がこんなに沢山あるぞ……。
……どう考えても異常だぜ。

バルバストラフ

厄介なことになりそうじゃな……。
魔界の門は、デーモンの中でも高い力を持つ、
高位のデーモンしか作ることは出来ないのじゃ。

ケイティ

つまり、相当な力を持つデーモンが、
これらの魔界の門を開いたという事ですね。

バルバストラフ

そう考えて間違いないじゃろう。

セシリー

ルチアという名の神官戦士だが、
デーモンを先導して、ここまで移動したのを
確認している。

ケイティ

……考えたくはないですが、
デーモンと協力関係にあるのでしょう。

兵士

報告!
魔界の門よりデーモンが出現!

モーティマ

ん!? おほっ、見ろよ!
なんだあのセクシーな赤肌の姉ちゃんは……!

セシリー

あんた、角と羽は見えてる?
あれは、どう見てもデーモンよ。
くだらない邪念は捨てな。

モーティマ

な、なんだよ。もちろん、見えてるぜ……!
女のデーモンって訳か。
魔法よりも、俺のデカ斧をぶん回した方が良さそうだな!

アンナ

王子、急ぎ戦闘のご準備を。
私は白の帝国に急使を送り、この事を伝えます。
3:終了時

???

ルチアがこんなにあっさり敗れるなんて、
噂通り、相手はかなり強いみたいだな。

ルチア

ら、ラピス様!?
今の戦いをご覧になっていたのですか……!
も、申し訳ありません……私が不甲斐ないばかりに!

ラピス

気にするな。
堅苦しいのは好かぬ。
 
……それにしても、あの王子とやら、
ルチアが前に住んでいた国の「皇帝」という人間と、
どちらが強いのであろうか。

ルチア

……。
国の事などとうに忘れました。
今は、ラピス様が私の主君です。

ラピス

そうか。
ルチアを魔界の辺境に捨て置いたろくでもない国だ。
無価値な主君に仕える兵ほど、哀れなものはない。
 
永遠にわたしの元に下るがよい。

ルチア

はい、ラピス様。
魔界をあてもなくさまよっていた時、
ラピス様に救われた御恩を忘れる事など出来ません。

ラピス

では、帰るぞ。久しぶりの物質界は楽しかった。
魔界で噂の「王子」も、見ることが出来て
暇つぶしには丁度良かった。

アンナ

王子、ルチアさんが、
デーモンと共に魔界の門に入って行きます……!

バルバストラフ

最初のデーモンの出現から、そう刻は経っておらぬ。
魔界の門は暫くは消えないはずじゃろう。
追いかけるなら今しかなかろうな。

モーティマ

あの神官戦士が心配でたまらねぇ。
王子、すぐに追いかけようぜ!
4:魔界の表層階
4:開始時

ユリアン

ここは……いったい、何処だ?

バルバストラフ

ふむ。魔界の瘴気の濃度が薄い……。
おそらく、魔界の表層階じゃろう。

兵士

――報告ッ!
先ほどのデーモンを発見しました!

モーティマ

げっへっへ。
今度こそ、このデカ斧で絶対てごめ……
あっいや、倒してやるぜ!

ロイ

私も加勢しますぞ、モーティマ殿。
女性型のデーモンなど実にけしからん……ではなくて、
実に危険ですからな、コホン。

テティス

同意です!
ここは皆で力を合わせて、捕獲……、
ではなくて、えっと……戦いましょう!

アンナ

皆さん、ここは表層階とはいえ魔界です。
油断は命取りですよ。

ケイティ

物質界に住む者は、
魔界の瘴気の影響で、普段の力を発揮できません。
各部隊長は充分注意する様に兵に通達を!
4:終了時

ラピス

驚いた……。これ程の人間が物質界に存在していたとはな。
だが、これ以上の遊びに付き合う程には、
まだ興味が湧いておらぬ。
 
ルチア、ゆくぞ。

ルチア

はっ!

モーティマ

デーモン達が逃げたぞ!
ったく、このまま逃げ切れると思うなよ。

テティス

王子、早く追いかけないと見失うわ!
追撃の準備は出来てます!
早くご指示を!

ケイティ

いつになく、皆さんのやる気を感じますね。
急ぎ、彼らを追いましょう。
5:高位デーモン
5:開始時

ラピス

ここまで追いかけてくるとは、
王子軍のしつこさは害虫並みだな。
お前達、何が目的なのだ? 話してみよ。

ケイティ

貴方が連れているルチアという女性ですが、
白の帝国の者ではないのでしょうか?

ルチア

……!
白の帝国を知っているのか!?

アンナ

やはり、貴方は白の帝国の神官戦士だったのですね。

ルチア

……「元」、白の帝国だ。
今の主君はここにおられるラピス様。
他に何も言う事はない。

モーティマ

お前は人間なのに、なんでデーモンなんかに
付き従ってんだ? デーモンが人間の敵だという事を
知らない訳は――

ルチア

――ラピス様は、私の命を救ってくれた。
これ以上、私に付きまとうのなら、
今度は、本気であなた達を倒すまで。

ラピス

待つのだ、ルチア。
わたしが、奴らに魔界の怖さを少し教えてやる。

ルチア

しかし、ラピス様……!

ラピス

ルチアは、わたしの後ろで待っていればよい。

兵士

――で、伝令ッ!
前線の兵達の証言によれば、あのラピスというデーモンに
近づくと、徐々に体力を奪われてしまうとの事です!

アンナ

近づいただけで体力を奪う……!?
王子、むやみにラピスというデーモンの近くに
兵を配置せぬよう、お気を付け下さい!
5:終了時

ルチア

くそっ……! また敗けてしまったっ……。
あの時と同じ……軍に見捨てられた時と……。
これでは、ラピス様にも見捨てられてしまう……!

アンナ

ルチアさん……! 聞いて下さい!
帝国は貴方のことを見捨ててなどいません!
レオナさんは今でも貴方のことを探していました。

ルチア

れ、レオナ様が……ッ!?
……私は、見捨てられた訳ではなかったのか……?
今でも私を……。

ケイティ

白の帝国に戻った方が良いのではないですか?
貴方を待っている者がいるのですし。

ルチア

……いや、私は戻れない。今の主君はラピス様。
今更、白の帝国に……戻るなんて……。
そんな事、出来ないっ…………。

ラピス

……。
(泣いているのか、ルチア……。
人間の感情はよく分からぬが、帰りたいのだろう)
 
(下級デーモン達になぶり殺しにされかけていたルチアを
気まぐれで救ってやったら、勝手にわたしに懐いてきて、
気付けば自分でも分からぬ感情をルチアに抱いていたが)
 
(……所詮はデーモンと人間、何もかもが違いすぎる。
わたしと共に歩むことなど、出来はしないか――)

ケイティ

――危ないッ! ルチアさん!
一体何をするんですか! ルチアさんに
急に攻撃するなんて、仲間ではないのですか!?

ラピス

仲間……? 何を勘違いしているのだ?
こいつは退屈しのぎのただのペットだ。
今回の戦いで無用な僕だという事が分かった。

ルチア

えっ……、
そ、そんな……冗談、ですよね……ラピス様!?

ケイティ

ルチアさん、相手は本気です。早くこちらへ!
総員、ルチアさんを守るよう、陣形を整えて下さい!

ラピス

人数が多いな。さすがに殺すのは無理か。
これ以上、無駄な戦いをするつもりもない。
では、わたしはここから去らせてもらう。

ケイティ

……どうやら、
あちらに交戦の意思は既に無いようですね。
ルチアさん、私たちと共に物質界へと戻りましょう。

ルチア

…………はい。
6:ラピスの気晴らし
6:開始時

ドワイト

レオナ様、この辺りにも痕跡はありません。
あれから随分と時が経っていますし、
捜索も何十回と行っています。やはり……もう……。

レオナ

その先は言うな。
万が一にも可能性があるならば、
ルチアの一隊を救い出さなければならない!

ドワイト

……レオナ様。
(非情なレオナ様が、一部隊の為にここまでなさるとは。
やはり、あの時の事を未だ気に病んでおられるのだろう)
 
(国をあげての、初めての魔界遠征だったのだ……。
あれ程苛烈なデーモンの攻勢など、予想出来るはずもない。
レオナ様の采配を責められる者等いないというのに……)

レオナ

――ドワイト! 何を惚けている!?
前方にデーモンを発見したとの報告が来ている!
すぐに戦闘態勢へ移行しろ!

ドワイト

すいません。
承知しました!

ラピス

また、人間が来たのか……。
わたしはさっき大切なものを失ったばかりで、
少しだけ気が立っているのだ。手加減はせぬ。

アンナ

――あ、あの軍勢は!?
ルチアさん、見て下さい! 白の帝国軍です!

ルチア

うそ……そんな、まさか……あれは、レオナ様!?
私を助けるために、こんなところにまで来たというの?

アンナ

王子、帝国軍がデーモンと戦闘に入った様です!
私たちもレオナさん達に加勢しましょう!
6:終了時

ドワイト

デーモンの撤退を確認!
良かった、これだけの被害で済んだのは奇跡です。

ルチア

……レオナ様……、
それに、白の帝国軍……、
本当に、夢を見ているみたいだ……!

レオナ

――ルチアか!?
ああ……そうだ、私だ。ずっと、探していたんだ……。
……すまなかった。私のせいで……こんな場所に……。

ルチア

そんな顔をなさらないでください……レオナ様。
我が帝国軍を疑ってしまった私こそ責められるペきなんです。
……でも、こうして会えて、本当に……よかった。

レオナ

他の仲間達もお前を心配している。
さあ、すぐに帝国へ帰還しよう。
皇帝にも、お前の無事を報告しなくてはいけない。

アンナ

王子、ルチアさんが
帝国に戻ることができて、本当に良かったですね。
それでは、私たちも帰還しましょう。

ルチア

――待ってくれ、王子!
 
色々と、ありがとう。貴方たちがいなければ、
私はレオナ様に会えなかった。そればかりか、
魔界で永遠にデーモンの僕となっていただろう。
 
落ち着いたら、改めて礼をさせてほしい。
それでは、いずれまた会おう……王子。

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