青鬼娘と鬼一門/会話

Last-modified: 2018-10-27 (土) 21:47:23
ネタバレ注意
あらすじ
(公式Twitterより引用)
1:青鬼の来訪
1:開始時

???

……よし、これで怪我は治ったで。
よかったなぁ、うちが腹減ってる時やのーて。

リンドウ

……あっはっは! 冗談や、じょーだん。
あんたのよーな可愛い子ウサギを食べてしもたら、
いくらこのリンドウちゃんでも心が痛むわ。

リンドウ

ほら、はよぅ仲間んとこに帰りや。
みんな仲良ぅ暮らす、それが一番や……。

リンドウ

……っと、来よったな、鬼刃姫ども!
にっしっし……いきなり登場して
あいつら全員チビらせたる!

アンナ

鬼刃姫さん、お友達のリンドウさんに
お手紙で呼び出された場所というのはこちらですか。

鬼刃姫

うん、でもまだ来てないみたい。
まったく、呼び出した本人が遅れるなんて――あ。

リンドウ

――はっはっは! 久しぶりやな鬼刃姫!
尻尾を巻いて逃げんとは、少しは成長したか?

鬼刃姫

……よく言うわね。
一度もあてに勝ったことないくせに。

リンドウ

んなッ……じゃ、じゃかぁしいッ!
昔は昔、今は今や!

リンドウ

あの最強の鬼、酒呑童子の娘のくせして
人間なんかにたぶらかされよって……。
そんな軟弱者に、うちが負けるわけあらへん!

リンドウ

来ぃや鬼刃姫! その鈍った腕、うちが叩き直したる!
ついでにあんたに付きまとう悪い虫どもも
ボッコボコのケチョンケチョンにしたるわ!

鬼刃姫

か、勝手に決めつけないでよ!
王子たちは鬼刃衆を……大切な仲間を
奪われたあてを支えてくれた恩人なんだから!

リンドウ

じゃかあしいッ!
問答無用じゃーッ!

鬼刃姫

まったく……聞く耳持たないんだから。

鬼刃姫

でも、気を付けてね王子。
ああ見えてリンドウの鬼としての実力は本物だから。

鬼刃姫

特にあの金棒での一撃は
周りにいる敵を全員薙ぎ払うくらい強力よ。
巻き込まれないように注意してね。
1:終了時

リンドウ

うぎゃーーーッ!

鬼刃姫

……うん、またリンドウの負けだね。
これで何回連続だっけ?

リンドウ

じゃ、じゃかぁしいッ! 負けちゃうわ!
今回はあんたとあんたが仲よーしてる人間どもの
実力を確かめにきただけやしっ!

アンナ

私たちの実力を確かめに?

リンドウ

せや。
うちの永遠の宿敵、鬼刃姫をたぶらかしよった
卑劣な人間どもの実力がどないなもんかってな。

アンナ

べ、別にたぶらかしたわけでは……。

リンドウ

その卑劣な人間どもの実力を見込んで頼みが……
……いや、耳寄りな情報を持ってきてやったで!

鬼刃姫

……相変わらず人の話を聞かない子ね。
それで、その情報っていうのは?

リンドウ

……悪いが、いまはまだ話せん。

鬼刃姫

なんでよ?

リンドウ

なぜなら、うちは今の戦いで腹が減ったからや……。
せやなぁ、美味しいお茶とお団子で手を打ったる。

アンナ

(この流れで相手にしないのも可哀想ですね……)
わかりました。では、後ほど詳しくお話を伺いましょう。
1:終了後

リンドウ

むしゃむしゃ……ごくんっ。
ふぃ~っ♪ ……で、あんたが王子か。
実力は見せてもろたで。なかなかのモンやないか。
その実力を見込んで頼みが……ズズッ……
いや、実力に免じて……ズズッ……ええ情報を教えたる。

鬼刃姫

……お茶を飲むか話すか、どっちかにしなさいよ。

リンドウ

うむ……実はいま、うちら鬼の一族の間で
派閥別の抗争が勃発しとるんよ。

鬼刃姫

派閥別の抗争!?
まさか、頭領である父上……いえ、酒呑童子の
不在の間に四天王が仲間割れしたってこと?

リンドウ

せや……すでに怪我人もよーさん出とる。
せやから鬼刃姫、あんたには酒呑童子の娘として、
うちと一緒にその抗争を収めてほしいねん。
……せやけど、四天王に真っ向勝負を挑むんは無謀や。
っちゅーわけで今、うちは鬼の力を祓い封じる力を
持つっちゅー『節分豆』を集めとるわけやけど……。
うちと鬼刃姫だけやと、さすがに手ぇが足らん。
そこで、うちの鬼刃姫をたぶらかしてこき使っとる
あんたら人間どもにも協力さしたろー思ったわけや!

鬼刃姫

それのどこがいい話なのやら……。
……王子、どうしようか?
あては鬼の一族から独立して
自由を得るために戦ってきた……。
だから正直、いまさら鬼同士の抗争なんかに
巻き込まれるのは嫌だし、王子や他の人たちを
鬼の問題に巻き込んじゃうのも嫌……かな。

リンドウ

ま、待って? なんでそんなに冷たいん?
鬼刃姫……あんたうちと同じ鬼やないか?
ぐすっ……お、王子……この通りや……。
抗争が長引けば、罪のない鬼や巻き込まれた人間も
よーさん死ぬ……それだけは嫌やねん。
頼む……一生のお願いや!
うちと一緒に東の国に渡って、
鬼同士の抗争を止めるのを手伝ってくれへんか?
2:鬼の抗争
2:開始時

リンドウ

ここまで来てくれておおきにな、王子。
けど、こっからが本番やで?

リンドウ

今回集めてもらう『節分豆』は鬼や妖怪が持っとる。
敵の鬼の力を弱めるための、お守りみたいなもんや。

リンドウ

ま、奴らは自分の力まで弱ってしまわんように
少量しか持ってへん。せやからうちらは、鬼同士の
抗争を収めつつ『節分豆』を少しずつ集めていかな――

河童

――おうおうおう、さっさと失せろや迅雷派ども!
ここはなァ、重水の四天王様のシマなんだよッ!

リンドウ

あ……あかん! もう始まっとる

鬼刃姫

向こうで睨み合っているのは、
重水の四天王の部下たちと
迅雷の四天王の部下たちみたいね……。

アンナ

とにかく、早く争いをやめさせましょう!
付近に住む人々が巻き添えになる恐れがあります。

リンドウ

……せやな。
おいコラーッ! 喧嘩はやめんかーい!

河童

あァん!? 誰だてめぇは?
てめぇみてぇなチビの言うことなんざ誰が聞くかよッ!

リンドウ

だ……だぁれがチビじゃボケーっ!
うちは鬼刃姫よりは背ぇは高いわっ!

鬼刃姫

なッ……背の高さなんてどうでもいいでしょッ!
……とにかく、関係ない人たちを巻き込むなら
あてが許さないわよ!

河童

ケッ、知ったことかよ!
ニンゲンどもがどうなろうが俺たちにゃ関係ねえ!

河童

それにニンゲンどもを死の恐怖に直面させりゃあ、
俺たち妖怪の力の源、「畏れ」が発生する。
一石二鳥っつうわけよ。ヒャーッハハハーッ!

鬼刃姫

やれやれ……力ずくで止めるしかなさそうね。

河童

お、やんのかテメこらぁ!?
上等だ、ならてめぇらから消えてもらうぜぇッ!!
2:終了時

河童

ヒィイッ! す、すいやせんでしたーッ!!

リンドウ

うむ、わかればええんや。
両軍とも兵を退き。そしたら許したる。

河童

へ、へいッ! ただいま!
……おい、おめぇら! 撤収だ!

リンドウ

待たんかい。あんたにはまだ話がある。

河童

ヒェッ……な、なんでごぜえましょう?

リンドウ

他にも鬼同士の戦闘が起きそうな場所があるやろ?
はよ教えんと、うちの金棒が火ィを噴くで?

河童

あばばばば……。
じ、迅雷の四天王が配下の勢力を結集して
どこかを攻めようとしているとか、いないとか……。

リンドウ

はっきりせんかーいッ!!

河童

ぐげぇえ~~~ッ!!
あ、あんまりだぁあ~~~ッ!

鬼刃姫

……王子、迅雷の四天王が
他の四天王に総力戦を仕掛けようとしているみたい!

アンナ

総力戦ともなれば、甚大な被害が予想されますね。
なんとか思いとどまらせに行かなければ!

リンドウ

おう、道案内は任しとき!
迅雷の四天王の根城に連れてったる!
3:進軍の迅雷
3:開始時

迅雷の四天王

者ども、続けぇッ!
水の野郎の首が落ちるまでは、止まることは許さんッ!

リンドウ

うげっ!?
あかん、もう進軍が始まっとる!

鬼刃姫

待ちなさい、迅雷の四天王!

迅雷の四天王

――むっ、その声は……茨木童子様!?
何をなさっているのです? 人間どもと連れ立って。

鬼刃姫

それはこっちの台詞よ。
一体どこへ行くつもりなの?

迅雷の四天王

……隠しても仕方ありますまい。
水の奴めを討ち取りに行くのです。

リンドウ

重水の四天王を!?
あ……あかん! んなことしたら戦争になるで!
なぁおっちゃん、考え直そうや? な?

迅雷の四天王

誰がおっちゃんだッ!
それに、わしはもう後には退けんのだ!

迅雷の四天王

此度の抗争において出遅れた我ら一派を
先に攻めてきたのは、あの水の野郎の一派だ……。

迅雷の四天王

すでに多くの同胞(はらから)たちが
水の手先どもに襲われ深手を負った!
仲間を守るためには、奴の首を落とすしかないのだ!

リンドウ

くっ、だったら……ッ!
アンナはん、あれを――!

アンナ

は、はい! ええと……。
こ、この節分豆が目に入らぬかー!

迅雷の四天王

ぐぬぅッ!? せ、節分豆だと……ッ!
わしの力をそれで抑えようというのか!?

迅雷の四天王

くっ……ええい、たかが豆ごとき恐るるに足らんわ!
者ども、奴らを蹴散らすのだッ!
3:終了時

迅雷の四天王

グゥッ……思うように力が入らぬ……ッ!

迅雷の四天王

節分豆……たかが豆ごときと侮っていたが、
その鬼封じの力、本物であったか……ッ!

リンドウ

だから言うたやんか!
これ以上鬼同士で喧嘩しようとするなら、
次はもっと痛いのをお見舞いしたるでぇ!

迅雷の四天王

くそっ……重水の手先どもに
我が配下の兵力を削られていなければ……ッ!

迅雷の四天王

者ども、一時撤退だ。
根城に戻って態勢を立て直すぞ。

アンナ

……ふぅ。
ひとまず進軍を思い留まってもらえたようですね。

リンドウ

でも……噂には聞いとったけど
重水の四天王の手先が迅雷の四天王の部下を
先に襲ったっちゅー話はホンマやったんやな。

アンナ

なにか理由があったのでしょうか?

鬼刃姫

うん、きっとそうだと思う。
重水の四天王は軽率に争いを
起こすような奴じゃないから。

リンドウ

よし、ほんなら次は重水の四天王の根城に向かおか!
ヤツの狙いを聞き出したる!
4:待ち受ける重水
4:開始時

リンドウ

もうすぐや!
もうすぐ重水の四天王の根城に着くで!

鬼刃姫

――ッ!
待って、あの軍勢は……。

重水の四天王

くっくっく……待っていましたよ。
茨木童子様、それと王子たち御一行も。

アンナ

なッ……私たちが来ることを
あらかじめ知っていたというのですか?

重水の四天王

ええ、間者の報告を通じてね。
なんでも貴方たち迅雷の四天王を破ってくれたとか。

リンドウ

お、おう。知っとるなら話が早いわ。
あのおっちゃんと同じ目に遭いとうなければ、
はよ兵を退くんやな。

重水の四天王

それは承服しかねますね。
彼との戦いで疲弊した貴方たちにお礼をするために
こうして兵を結集させて待っていたのですから。

リンドウ

な……なんやてーッ!?

重水の四天王

……そういう貴方は何処の小鬼ですか?
一族から離反した茨木童子様はともかく、
鬼である貴方がなぜ人間たちと共にいるのです?

リンドウ

う……うちは鬼の一族みんなの味方や!
せやから鬼同士の喧嘩は止める。それだけや!

重水の四天王

くっくっく……愚かを通り越して滑稽ですね。
貴方は問題の本質をまるで理解していない。

重水の四天王

全ての鬼を束ねる酒呑童子様がご不在の今、
四人の異なる長を仰ぐ勢力が相争うのは必定。
その争乱の収拾には、唯一の統率者が不可欠なのです。

重水の四天王

そしてその統率――頭領代理には
この抗争を勝ち抜いた最優の者がなるべきだ。
力だけでなく、智謀にも長けた者がね……。

鬼刃姫

結局自分が権力を握りたいだけじゃない!
そんな理由で一族の仲間を傷つけるなんて、許せない!

重水の四天王

やれやれ、理解していただけなかったようですね。
まぁ、初めから期待はしていませんでしたが。

重水の四天王

されば、予定通り水葬に付して差し上げましょう!
4:終了時

重水の四天王

――ぐふッ!?
お、おかしい……こんな……こんなはずでは……ッ!

リンドウ

ふっふーん。
アンナはん、あれを――!

アンナ

は、はいっ!
この節分豆が目に入らぬかーっ!

重水の四天王

なッ……その手があったか……ッ!
我ら鬼の力を奪う、忌まわしき穀霊め……。
道理で……身体が重いわけです……。

リンドウ

っちゅーわけや。
悪いことは言わん。抗争なんてやめて
はよぅ皆と仲直りしーや?

重水の四天王

……無駄ですよ。
私がやめたところで、
他の四天王が同じことをするだけです。

リンドウ

そ……そん時はソイツも止めるだけや!

重水の四天王

ほう、そうやって全ての鬼を敵に回すつもりですか?

リンドウ

……ッ!

重水の四天王

……さて、我々はそろそろお暇するとしましょう。
王子たちを倒す好機を逃したのは惜しいですが、
他の四天王との戦いに備えねばなりませんゆえ。

リンドウ

ま、待たんかいッ――

重水の四天王

――止めたければ、力ずくでどうぞ。
但し、その場合こちらも刺し違えるつもりで参ります。
そうなれば、風か炎あたりが天下を取るでしょうね。

リンドウ

く……くっそ~~~~ッ!
うちは……うちはどないしたらええんや……ッ!

重水の四天王

簡単ですよ。こんな児戯のような真似はおやめなさい。
でなければ先ほど申し上げた通り、いずれ同族全てを
敵に回すことになりますよ……では、またいずれ。

アンナ

リンドウさん……。

リンドウ

……確かに、うちの考えは甘かったかもしれん……。

リンドウ

……けど、だからって鬼同士で殺し合うなんて嫌や!
見とれや、四天王のアホンダラーっ!
この抗争、うちが絶対に止めたるからなーっ!!
5:秘密のチョコ作り
5:開始時

リュリュ

えっと……、
皆さん、お集まりいただいてありがとうございます。

パレス

気にしないで、ちょうど退屈してたところだし。
それで、私たちに相談っていうのは?

リノ

はいはーい、リノが説明するよ。
実はリノたち、王子にバレンタインデーの
チョコをプレゼントしようと思ってるの。

メメント

バレンタインデーのチョコ?
……ああ、好きな人に贈るっていうやつだね。

リュリュ

は、はい……。
でも私たち、手作りってよくわからなくて……。
それで、そういうのが得意そうな人たちに聞こうと……。

ガラニア

ええと……ご相談いただけて光栄ですが、
私は魔力の研究以外のことは、あまり……。

ベルディナート

私も、この身に宿る魔の力と
幼馴染の他には何にも興味はないわ。

エステル

……え、ええと……、
たとえば王子が好きなものの形をした
チョコを作って贈るのはどうでしょうか?

トワ

王子が好きなもの……はっ!
か、可愛いものですね!

ヴェルティ

(可愛いもの、か……。
悪魔……いや、猫ね。猫以外にあり得ないわ)

アンナ

……皆さん、こんなところで何のご相談ですか?

王子

…………。

リュリュ

――ふぇっ!? お、王子様!
あ、あのっ……それは、そのぅ……
ちょ、ちょこっと王子様と手合わせしたいな……なんて。

王子

…………(こくり)

リュリュ

……え? いまから手合わせしてくださるんですか?
(ど、どうしましょう、リノさん……?)

リノ

(と、とにかく怪しまれないように全力で戦おう!
当日までチョコのことは王子には内緒にしなくちゃ!)
5:終了時

アンナ

……そこまで。
王子、皆さん、お疲れ様でした。

リノ

(は、早く王子たちに帰ってもらって
さっきの相談の続きをしなくちゃ……)

リノ

……あ、大変! 王子、服が汚れちゃってるよ!
早くお風呂に入って着替えた方がいいよ! ね?

アンナ

確かにそうですね。
そろそろ帰りましょうか、王子。

王子

…………(こくり)

リュリュ

……あ、危ないところでした……。
皆さん、ご協力ありがとうございます。

ヴェルティ

……別に大したことじゃないわ。
それにしても、どんだけ戦いが好きなのよ、あの男は。

パレス

……ええと、話を戻すわね。
バレンタインデーに王子に贈るチョコを
王子が好きなものの形にしようって話だったかしら。

ベルディナート

そして、王子は戦いが好き……と。

メメント

あ、ボクいいこと思いついちゃった♪
みんな聞いて、。あのね…………(ヒソヒソ)。

トワ

(………………え?
それはちょっと……チョコにするなら
もっと可愛いもののほうがいいのでは?)

エステル

(ですが、それが本当に王子のお好きなものなら……)

リュリュ

……な、なんだか雲行きが怪しくなってきました。
リノさん、どうしましょう?

リノ

……うん。リノたちはリノたちで、
王子が喜んでくれそうなチョコを
ちゃんと用意しておこうね。
6:骨チョコパーティー
6:開始時

アリス

あ、王子様。
街で会うなんて珍しいですね。お散歩ですか?

王子

…………。

アリス

え? このエプロンですか?
それは、その……お、お料理をしていたら
材料を切らしてしまいまして。

メメント

――あ、王子だ。やっほー。
そろそろ来る頃だと思って、待ってたんだよ。

アリス

待ってた……王子様を?
も、もしかしてメメントさんも……!

メメント

あはは、気づいちゃった?
そう、ボクたち、王子にバレンタインデーの
チョコを渡そうと思ってるんだ。

アリス

ボク『たち』……?

メメント

うん、この前みんなと相談してね、
王子が好きなものの形をしたチョコを
プレゼントしようってことになったんだけど……。

メメント

ほら、王子って戦いが好きでしょ?
この間みんなと手合わせした時も乗り気だったし。
だから今日は、魔物の形をしたチョコを作ってきたんだ♪

アリス
(……企画の段階でおかしいと思った人は

一人もいなかったのでしょうか……?)

メメント

というわけで王子、
ボクたちみんなからの気持ち、受け取ってよ!

アリス

あれは――スケルトン型のチョコ!?
すごい……メメントさん、
あんなものまで操れるなんて。

アリス

って、感心している場合じゃないですね。
王子様、私も一緒に戦います!
たとえエプロン姿でも、誰にも負けませんよ!
6:終了時

メメント

むぅ……ひどいなぁ、アリスさん
せっかく王子にチョコを渡そうと思ったのに、
邪魔しないでよ。

アリス

でしたら、ちゃんと食べれるチョコを
作ってきてください!

メメント

ちぇーっ。せっかく頑張って作ったのになー。

王子

…………。

アリス

……ふぅ。なんとか納得してくれましたね。
王子様、お疲れ様でした。

アリス

それにしても、作ったチョコを動かすなんて。
ある意味、凄い技術かもしれませんね……。
……私も負けていられません!

アリス

え、なにに負けられないかって?
それは、その……。

アリス

――あ! お、思い出しました!
私、お菓子作りの材料を買いに行く途中なんでした!

アリス

そ、そういうわけなので失礼しますね。
ふふっ、ふふふふふっ……♪

王子

……………………。

アリス

――あ、でも、後でお部屋に伺ってもいいですか?
その……ちょっとお話ししたいことがありますので。
7:荒ぶ豪風、爆ぜる炎獄
7:開始時

リンドウ

――ハァッ、ハァッ……!
ま、間に合ったか!?

アンナ

いえ、あれを――!

豪風の四天王

……ここで雌雄を決せねばならぬようだな、炎よ。

鬼刃姫

あれは――!
豪風と……炎獄の四天王!

リンドウ

くっ……都に向けて進軍中とは聞いとったけど、
鬼の二大勢力がホンマに都でかち合うなんて!

アンナ

このままでは都の人々も巻き込まれてしまいます!
両軍が動き出す前に止めなくては!

リンドウ

よっしゃ!
そんじゃアンナはん、『アレ』、頼むでぇッ!

豪風の四天王

……む?
誰だ、我らが戦場に足を踏み入れる愚か者は?

リンドウ

愚か者はどっちじゃい!
同じ鬼同士で争うなんてアホちゃうか!

豪風の四天王

……大人には色々と事情があるのだ。
ぬしのような小娘には理解できぬだろうがな。

リンドウ

フン、仲間同士で殺し合わなあかん事情なんて
一生わかりたくもないわ!
アンナはん、あれを――!

アンナ

はいッ!
この節分豆が目に入らぬかーッ!!

豪風の四天王

ぬぅッ!? そ、それは……ッ!
そうか……貴様ら、いつぞやの王子らか!

豪風の四天王

……炎よ、ここは一時停戦といこう。
まずは不倶戴天の敵、王子らをここで滅ぼすぞ!
7:終了時

豪風の四天王

ぐぅッ……力が、抜けてゆく……ッ!
節分豆の力、これほどとは……ッ!

リンドウ

……なぁ、もうええやろ?
うちだって、ホンマはこないなことしたかない。
同じ鬼同士、仲良ぅしてほしいだけなんや。

豪風の四天王

ぐぬぅッ……ほ、炎よ!
ぬしがこの豪風の指揮に従っておれば
こやつらに後れを取ることなどなかったのだ!

リンドウ

ああっ!?
なんでや……なんでまた喧嘩せな――

???

――馬鹿野郎ッ!
下らねえことで仲間割れしれんじゃねえッ!!

鬼刃姫

あれは――!
父上……いえ――。

豪風の四天王

――酒呑童子様!?
なぜ此方に……。

酒呑童子

蘇ったのさ。人間どもの『畏れ』を糧にな。
お前らの馬鹿げた抗争も、人間どもの『畏れ』を集めて
この俺を復活させるのには役立ったってわけだ。

酒呑童子

無論まだ本調子ってわけじゃねえが、
酒でも呑んでりゃすぐに回復すんだろう。

酒呑童子

それに……くっくっく、いるじゃねえか?
病み上がりの景気づけに相応しい相手がな。
――なァ、人間ども! そして茨木童子ッ!

鬼刃姫

――ッ!
わ、笑っていられるのも今のうちよ!
病み上がりのあなたなんか、返り討ちにしてやるわ!

酒呑童子

ふははっ、できるもんならやってみなッ!
おい、戦える鬼どもは全員俺に加勢しろ!
王子たちを滅ぼし、そのまま都を占領するぞ!

アンナ

そうはさせません!
王子、迎え撃ちましょう!

アンナ

鬼封じの節分豆が我々の手にある今、今度こそ完全に
酒呑童子を倒すことができるかもしれません。
本来の力を取り戻される前に、ここで討ちましょう!
8:復活せし巨鬼の軍
8:開始時

酒呑童子

いいかぁお前らァ!
俺が動き出すまでに人間どもの陣形を崩しとけ!
力が戻ったら、俺が全員蹴散らしてやるからよぉッ!

アンナ

させませんッ!
この節分豆が目に入らぬかーッ!

酒呑童子

……チッ、そういうわけか!
道理で思ったより回復が遅いわけだぜ……クソッ!

酒呑童子

おい、そこの角の青いチビ!
力が戻るまで俺を護衛しやがれ。

リンドウ

え?
うちが……酒呑童子様の護衛を?

酒呑童子

お前の他に誰がいる?
ほら、ボサっとしてんじゃねえ!

鬼刃姫

リンドウ!
そんな奴の言うことなんて聞いちゃだめ!

リンドウ

う、うちは…………。

リンドウ

……うちは……鬼や。
鬼の頭領、酒呑童子様には逆らえへん……。
たとえあんたらに恩義があっても……ッ!

リンドウ

な、なに言ってるのよ、リンドウ?

リンドウ

それに……やっとまとまろうとしとる
鬼の一族の和をうちが乱すことはできん!
そのためにうちは頑張ってきたんや!

鬼刃姫

リンドウ……待ってよ、ねえッ!

リンドウ

……鬼刃姫、止めんといてや。
この期に及んで鬼の敵に味方するんやったら、
うちは……あんたを敵と思わなあかん!

鬼刃姫

そ、そんな……。

アンナ

……王子、酒呑童子の強さは桁違いです。
本来の力を取り戻された場合、苦戦は必至……。
そうなる前に勝負をつけるのが上策かと思われます。

アンナ

ですが、そのためには酒呑童子を護衛する
リンドウさんを退けなければなりません。
辛いですが、ご決断をお願いします!
8:終了時

酒呑童子

ぐはぁッ! く、クソがぁああッ!!
あのクソ忌々しい豆さえなければ……ッ!!

鬼刃姫

――好機ッ!
酒呑童子! 鬼刃衆の仇、討たせてもらうわよッ――!

迅雷の四天王

――待たれぇぇええええええええいッ!!

鬼刃姫

なッ――迅雷の四天王!?
それに重水の四天王まで!

重水の四天王

酒呑童子様、急ぎご退陣を!
貴方様はまだ万全の状態ではありませぬ!
ここは我ら四天王が引き受けますゆえ、何卒……!

酒呑童子

……フン、俺の妖気を察して駆けつけたってわけか。
ま、その忠義に免じて言う通りにしてやるよ。

豪風の四天王

豪風と炎獄も助太刀いたしますぞ!
ハァァアアア――――ッ!!

鬼刃姫

くっ……だめ、これ以上近づけないッ!

リンドウ

(これが四天王の真の力か……!
ぐすっ……よかった……。
みんな、やっと仲直りしくれたんやな……)

酒呑童子

せいぜい束の間の平穏を味わうんだな、人間ども!
力が完全に戻るには暫く時間がかかるだろうが、
次に復活した暁には、必ずこの国を手中に収めてやる!

リンドウ

ちょっ……みんな待って!
うちを置いていかんといて――ぐふぅッ!?

重水の四天王

くっくっく……。
いまさら鬼の一族に戻れると思っていたとは、片腹痛い。

リンドウ

――あ、ぐぅッ!!
な……なん、でや……?
なんでうちが……殴られな、あかんの……っ。

重水の四天王

貴方が人間たちと共に集めていた節分豆が
酒呑童子様の完全復活を妨げたからです。
その責を負ってここで朽ちなさい、裏切り者よ。

アンナ

り――リンドウさんっ!
大丈夫ですか! お気を確かに……!

リンドウ

……裏切り者、か……うち、頑張ったんやけどなぁ……。
……ま、ええわ…………みーんな仲良ぅなったし、
それだけで……うち…………満足、やわ……(ばたり)

鬼刃姫

な……なに言ってるのよリンドウ!
あてに勝つまでは死なないって言ってたじゃない!
なにか言ってよ! ねえッ! リンドウーーッ!!
8:終了後

リンドウ

………………。
……………………。
……なんやその顔、腹立つわー。
「お前生きとったんか!?」みたいな顔しよって。
……けど、ありがとうな、王子。
人間たちにとっては裏切り者のうちを
治療するよう指示してくれたんは、あんたなんやろ?
おかげさんで助かったわー。
……ま、生きとったところで行き場もないし、
あのまま死んどったほうがよかったかもしれんがな……。
…………はァ?
なに言うてんねん?
うちは鬼やで?
この国で人間たちと一緒に暮らすなんて……。
そんなこと、できるわけあらへんやろ。
……鬼刃姫は人間と共存しとる?
そ、そんなん関係あらへん!
あいつと違って、うちは人間のあんたなんかに
たぶらかされたりせんからな! 覚えときや!
……クンクン……なんや、このえぇ匂いは?
--なぬッ、アンナはん特製のお団子とお茶!?
くっ……食いもんで釣るとは卑怯なッ!
なにが目的や? 角か? この立派な角が欲しいんか?
……んなわけないわな。
わかっとる、うちの力が必要なんやろ?
ええよ、うちも助けてもろうたしな。協力したる。
けど、勘違いしたらあかんで?
うちはまだ、あんたら人間を信用したわけやあらへん。
せやから、まずはあんたがどないな人間か
この目で見極めさせてもらうからな!
覚悟しーや、王子!
9:巨鬼の残痕
9:開始時

アンナ

鬼刃姫さん、鬼刃衆らしき姿の忍者たちが
破壊行為を繰り返しているというのは……。

鬼刃姫

うん、聞いた話では
確かこの近くだったはず……あ!

鬼刃衆

ウガァァアアアアアッ!!
酒呑童子ヨリ得シ此ノ蛮力……失ッテ……ナルモノカ!

鬼刃衆

壊シ、潰シ……ソシテ殺セェッ!!
我ラガ宿願、酒呑童子誅殺ガ成ルマデハ、
憤怒ノ炎ヲ燃ヤシ続ケルノダァッ!!

鬼刃姫

鬼刃衆……どうしてこんなことに。

ヒバリ

……おそらく、この間の戦いと節分豆の影響で
酒呑童子の力が大幅に削がれたことが原因ね。

ヒバリ

彼らを操っていた酒呑童子の血肉の力が低下して、
それと鬼刃衆が個々に有していた自我とが
背反した結果、ああして暴走したんだと思う。

鬼刃姫

そんな……っ。
ねえ、鬼刃衆を元に戻す方法はないの?

ヒバリ

……無くはないわ。
前に王子たちに集めてもらった
この『封印の札』を使えばね。

ヒバリ

あの時は酒呑童子の力を封じるには至らなかったけど、
ヤツの力が弱まった今なら、鬼刃衆を支配している
ヤツの血肉の力を封じることくらいはできるはず。

ヒバリ

けど、今の鬼刃衆は酒呑童子の血肉によって得た
力に取り付かれてるようにも見える。
もしそうだとしたら、その力を失った場合――。

ヒバリ

――鬼刃衆は、廃人同然になってしまうかもしれないわ。
そうなる覚悟はあるかしら?

鬼刃姫

…………わからない。
鬼刃衆は……あての大切な仲間だもん。

鬼刃姫

……でも、だからこそこれ以上鬼刃衆に
無意味な破壊を続けさせるわけにはいかない!

鬼刃姫

王子、みんな……力を貸して!
鬼刃衆を縛る忌々しき鎖……、
今日こそ断ち切ってやるんだから!
9:終了時

鬼刃衆

――グフッ!?
ハァ、ハァッ……ウグッ……!
キ……キバ、ヒメ……サマ……ッ!

ヒバリ

鬼刃姫!
封印するなら今よ! どうするの!?

鬼刃姫

くッ……!
…………お願い、ヒバリさん!

ヒバリ

わかったわ!
恨みっこなしだからね――はァアッ!!

鬼刃衆

――グ、グァァアアアアァァアアアアアッッ!!!

アンナ

…………っ。

鬼刃姫

…………鬼刃、衆……?

鬼刃衆

…………う、うぅ……これは……夢、か……?
鬼刃姫様の、ご尊顔が……これほど、近くに……。

鬼刃姫

――鬼刃衆ッ!
夢なんかじゃない! あてよ、鬼刃姫よ!

鬼刃衆

おおッ……き、鬼刃姫様ぁああッ!
申し訳ありませぬ……我らが不甲斐ないばかりに、
あの酒呑童子の眷属になど……く、うぅ……ッ!

鬼刃姫

ふふ、馬鹿ね……。
大切な仲間たちが、こうして無事に帰ってきてくれた。
それ以上になにを望むっていうの……。

鬼刃衆

ははっ……しばらくお会いせぬうちに
丸くなりましたな、鬼刃姫様……。

鬼刃衆

……王子、今日まで多大なる迷惑をかけた儀、
ここに謝罪させてほしい。
誠に申し訳ござらんかった。

鬼刃衆

酒呑童子を討つという我らが宿願、貴殿に託そう。
そして我らが主、鬼刃姫様のことも。
……あの御方を泣かすなよ。

王子

…………(こくり)

鬼刃衆

しかと頼んだぞ。
今後我らは、酒呑童子の動向を探り、鬼刃姫様に
お伝えすることで力になろう……では、さらばだ。

編集