ゴブリン
ギャギャッ! カッコイイ物差シ、拾ッタ! コレデ、ニンゲン、タオス!
???
お……お願いします、魔物さん。返してください。 その『風水尺』はとっても大切なものなんです。
ゴブリン
イヤダ、返サナイ! コレデモ、喰ラエ!
???
あいたッ! 痛い、痛いですぅ! う……ふぇえ~ん! ぶたないでくださいぃ~ッ!
バシラ
あれは――! 王子、向こうで女の子が 魔物に物差しのようなもので叩かれています!
ケイティ
物差しで? いったい何事ですか、その状況は?
アンナ
とにかく助けに行きましょう! 王子、ご指示をお願いします。
???
ひぃいッ! も、もうぶたないでくださいぃ!
バシラ
ふふ、大丈夫ですよ。 魔物は退治しましたし、私達は味方ですから。 ね、王子?
王子
…………。
???
ふぇっ? あ……あなたが噂の王子様ですか?
ダニエラ
ふぅん、訳ありみたいね。 お嬢ちゃん、王子にどんな用かしら?
???
そ、それはその……えっと、ええと……。
モーティマ
んな怖がらねえでも大丈夫だっつうの。 取って食ったりはしねえんだからよ。
???
ひぃぃッ! く……クマさんですかっ!?
モーティマ
ったく、誰がクマだっつうの。 おい嬢ちゃん、怒らねえからなんでも話してみな?
???
しくしく……うぅ……邪仙たちが、 華の国の、わたしの故郷を襲って……、 ひっく……それから、東の国に……っ。
ケイティ
――ッ! では、ついに邪仙たちによる 東の国への本格的な侵攻が始まったと?
???
あわわわわ……。 そ、そんなにじっと見つめられては……。
アンナ
……王子、彼女は動転しているようです。 ひとまず落ち着ける場所にお連れして、 そこで詳しいお話を伺いましょう。
???
……ふぅ。 すみません、助けていただいたばかりか、 お茶とお菓子まで頂いてしまって……。
メイファ
あ、えっと……わたし、メイファっていいます。 出身は華の国で、特技は風水を少々……。
メイファ
って、わたしの話はどうでもいいんです。 ええと、王子様に相談したかったのはですね……。
メイファ
……は、はい。仰る通りです。 華の国の邪仙たちが東の国へ総力を挙げて 進軍を始めたことをお報せしたかったのが、ひとつ。
メイファ
それと、もうひとつは……。 実は、邪仙たちに奪われてしまった『風水尺』を 取り戻していただければと思いまして……。
メイファ
『風水尺』は吉凶を測る風水術の道具なんですけど、 風水使いじゃない人でも使えるように、お師匠様と わたしが術を施した、地元の村の特産品なんです。
メイファ
……それがまさか、邪仙たちに奪われて 東の国の侵略に使われることになるなんて……。
メイファ
邪仙たちはおそらく、『風水尺』で東の国の 地中を流れる気の通り道――『龍脈』を探り当てて、 その力を侵略に利用するつもりなんだと思います。
メイファ
そんなの……わたし、耐えられません。 村のみんなと作った『風水尺』が悪事に使われるなんて。
メイファ
……お願いします、王子様。 東の国を侵略しようとしている邪仙たちから 『風水尺』を取り戻していただけませんか?
メイファ
……自分勝手なお願いだって、わかってます。 でも、頼れるのは王子様たちだけなんです……。
メイファ
わたし……できることはなんでもします。 ですから、どうか……どうかお願いします!
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