【SS】怪物の夢

Last-modified: 2024-04-06 (土) 02:00:32

登場キャラ

アレン
(多分)主人公。割と半分はこいつの主観エピソードじゃないかもしれない。
華川 恵梨子
(多分)ヒロイン的ポジ。割と半分こいつ主観のエピソードになるかもしれない。*1
華川 郁哉
青眼の怪物。ヘリアに捕まって実験体にされるかもしれない……。
田嶋亮平*2
アレンの知り合いで郁哉の親友。割と金持ち。
ヘリア・ロレビア
とても頭のいい天才科学者。サディエンティストとも言われている。
コータス・レナイデン
ヘリアの彼氏。恋人関係にあるだけで別に結婚はしてない。
大西 神子
大西卓人のお嫁様らしい。姉弟も中々……ああ、失敬、なんでもない。戦闘能力が素で高いらしい。強さこそ正義だよね。
大西 卓人
エルドビアの英雄と呼ばれている。姉弟揃って戦闘能力高いとか羨ましい限りだよほんとね……
ガルン
ライアン・ガンガルムとやらに造られた世界最悪の兵士の傀儡兵の1人らしい。世界最悪ってかっこいいよね。名前からして絶対に強い。
ネイ・カールストン
とても心強い回復役。やっぱり頭がいいらしい。その頭脳が欲しいです……

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  • スランプ終わったからじゃんじゃん更新して行くべ -- アレン 2024-04-03 (水) 10:18:04

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Tag: 【SS】

始まりはあの時から……

始まりはあの時からだった。
兄さんがいなくなって数ヶ月。それくらい経った頃。突然家に、コータスと名乗る研究者のような人が尋ねてきた。
コータス「それで……お兄さん方は今どちらに?」
恵梨子「いえ……あの……兄さんはいま行方不明になっていて……」
コータス「あっ……それは……すみません……」
恵梨子「謝らないでください。コータスさんは何も悪くないんですから……悪いのは……寄り添ってあげられなかった私なんです……」
コータス「そう……ですか……ああ、最後に良いですか。」
恵梨子「……?」
コータス「こちら、お礼の品です。」
恵梨子「おまんじゅう……?ありがとうございます。」
コータス「いえいえ……それではまたどこかで……」
私はこの時。このやりとりがあんな惨事を産むなんて思いもしなかった。

第1話 怪物の夢

アレン「んぁぅぁーっ……」
眠い……最近はあんまり寝れてないからなぁ……
依頼人「あくびの仕方独特だなおい。」
アレン「うるせー……で?俺を呼び出したってこたぁ並のやつじゃ解決できねんだろ?」
依頼人「お前ってこういう時だけ飲み込み早いよな。いつもはすぐ忘れる変態のくせに」
アレン「はっ!?お前ざけんなコラ!誰が変態じゃ!!!」
依頼人「ッはっはははははは!アレンのキレ顔初めて見たわwww」
来た目的を思い出して急いで席に座った。
アレン「とっ、とりあえずはよ要件!」
依頼人「っとそうだった……」
依頼人は俺の顔を真剣な眼差しで見始めた。
依頼人「お前、例の噂知ってるか?」
アレン「『青眼の怪物』……?」
青眼の怪物。それは最近噂になってる犯罪者みたいな存在の事だ。身体的特徴から、現在行方不明中の華川郁哉という青年なのではないかと言う話題が上がっているが、特に決定的な証拠もないため、迷宮入りになっている。
依頼人「そうだ。俺はあいつの正体を探ってるんだ。」
アレン「それまたどうして?」
依頼人「もしかしたら……俺の昔の親友かもしれないんだ」
アレン「は?そんな事のために俺が呼び出されたの?くだんないことで呼び出されたもんだな!」
本当にくだらない。俺に頼むんだから、連れ戻すくらいの事は頼めばいいのに。
依頼人「頼む……!お前しか頼めるやつが居ないんだよ……!」
アレン「……あのなぁ……別に俺は断ろうとしてる訳じゃ……」
依頼人「本当か!?」
アレン「近ッ……!」
いきなり顔を近づけられてちょっと興奮してしまったことは黙っておこう……
依頼人「お前さ……」
アレン「なんだよ……?」
依頼人「なんでお前こんなにいい匂いすんの?」
アレン「そりゃ……シャル姉からシャンプー借りたりしてるし……」
依頼人「へー……まあいいや……」
アレン「とにかくな、俺に依頼すんだから、お前の親友連れ戻すことくらい依頼しやがれってこのチクショーめ」
依頼人「ほんとか……!?」
アレン「ああ、んじゃあな」
階段を降りようとした時。
依頼人「ま、待て!」
アレン「ん?」
依頼人は紙を渡してきた。
依頼人「これ、怪物の妹の住んでる場所らしい。」
アレン「ここが……か?」
色々と予想外な場所にいるらしい。怪物の妹は。
依頼人「あぁ、まあでもデマかもしれん、十分に気をつけてくれな」
アレン「俺を誰だと思ってやがんだよw」
依頼人「女装癖のある変態」
アレン「明日覚えてろ」
依頼人「許してw」
アレン「チッ……」


シンギュラリティラボラトリーでは


コータス「ヘリア、さすがにあの量の能力を同時発現はキツかったんじゃないかな。」
ヘリア「そうだねぇ……やっぱりアタシ達にはサンプルが必要だ。『青眼の怪物』とかね……」
コータス「『青眼の怪物』……例の自然発生した特異性能力(シンギュラリティスキル)の怪物化に適応した人間だったな。」
ヘリア「あぁ、やつを狙ったバカどもが何人も()られているらしい。」
コータス「ふーむ……やっぱり『青眼』は確保した方がいいね……僕の部隊を使おうか……?」
ヘリア「いや、いいよ……アタシの部隊で何とかする。」
コータス「大丈夫かなぁ……」

第2話 怪物の妹

夜、寝ようとしたところに突然ノックが鳴った。
「……?」
こんな時間に誰だろうと思い、扉の穴から覗いた。ナイフを持った人間が外にたっていた。
恵梨子「きゃっ……!」
急いで鍵をしめてチェーンを掛けた。ナイフを持っていたから気休めにしかならないが、私は急いで自分の部屋まで逃げた。
「ハァッ……ハァッ……女……女……女ァ……!!」
男の横顔が見えた、コンマ数秒レベルの瞬間、男が勢いよく倒れた。
アレン「ぁー……やっちまった。」
恵梨子「……????」
男の後ろからでてきたのは、華奢な体にパーカーを着た中性的な顔立ちの青髪の少年だった。
アレン「んー……恵梨子さん……?」
恵梨子「は、はい……??」
女性と話すことに慣れてないのか、少しおどおどしている。
アレン「えーと……郁哉……華川郁哉の妹の恵梨子さんで間違いないか……な?」
恵梨子「あの……取材はお断りしているんですが……」
アレン「取材じゃない……よ。ちょっと訳あって知り合いから彼の捜索と連れ戻しを頼まれてさ……情報が欲しいなって……」
彼の話を聞く限り、依頼人という人が私の兄、華川郁哉の昔の親友だった可能性があるらしい。青眼の怪物の捜索と連れ戻しを請け負っているらしい。
アレン「でさ、一気に行くけど、郁哉さんの居場所、しらない?」
恵梨子「知りません……」
アレン「そっかー……恵梨子さんならなんか聞き出せると思ったんだけどな……」
私は一つだけ、確実なことをアレンさんに話すことにした。
恵梨子「ただ……」
アレン「……?」
恵梨子「怪物を作ろうとしている研究所がある事だけは……知っています。」
アレン「わかった。ありがとうね。」
彼は小さな箱を置いて私の家に置いてあった男を連れて出ていった。彼は一体なんだったんだろう……それにしても……この箱は……?


シンギュラリティラボラトリーでは


ヘリア「チッ……どいつもこいつもォ……アタシの拷問に耐えれる奴ァ居ないもんなのかねぇ?」
コータス「ヘリア……今日はいつにも増して暴力的だね。何か嫌なことでもあったのかい?」
ヘリア「それがさぁーぁ?アタシに拷問されるしか能のないやつがあたしにぃ……暴言を吐いてきてぇ……」
コータス「そっか……それは可哀想に。」
コータスはヘリアの頭を撫でる。
ヘリア「何だか元気出てきたわぁ……よしぃっ!もっと泣かせよぅ……!」
被検体「や゙ッ……」
ヘリア「拷問ボタンポチッ!」
被検体「あ゙がァ゙ァ゙ァ゙ッ゙!!!」

第3話 接敵、青眼

ヘリア「コータス君。怪物ってどういう存在を表す言葉か知っているかい?」
コータス「人外……って言い方をするとあれだけど、魔物とかそういう奴らを指す言葉じゃないのかい?」
ヘリア「ファイナルアンサー……?答えはノーだ。」
コータス「それまたどうして?」
ヘリア「答えはね……誰からも理解されない、私のような存在が怪物と呼ばれるんだよ。まあ、あくまで個人の意見だけどね。」
コータス「そうか……」


アレンの様子


アレン「この辺の森に研究所があるみたいな話だったはずなんだけどぉー……」
後ろから、殺気を感じた。
アレン「ぬ……ッうぁぁっ!」
後ろから突然高速で人が殴りかかってきた。
???「殺す……殺す……殺す……!」
アレン「青い……眼……青眼か……?」
ゆっくり分析している暇もなく、青眼はすごい動きで殴りを入れてくる。
アレン「い゙ッ……!」
一発一発が重く、骨が折れそうになる。大きく後ろに飛ばされる。
アレン「ふぅ……よし……!」
俺は構える。
アレン「青眼の怪物はまさしく怪物だったァー!!!」
俺は全力で逃げた。声が、足音が、吐息が、全て聞こえなくなるまで走って逃げた。
アレン「はぁ……はぁ……はぁ……つ、疲れた……」
青眼の怪物は、今の状態じゃどう頑張っても勝てない。とりあえずあの森近辺にはある程度近づかないようにしよう……そうしよう……

第4話 協力者

アレン「うーん……」
俺は途方に暮れていた。研究所に行くにはあの森に入らなければならない。しかし、あの森近辺には青眼が住み着いている。あの後数日間。張り込んでみたが、青眼はあの近辺でずっと出現している。どうしたものか……
依頼人「どした?考え込んでよ。」
依頼人が後ろから首に触ってきた。
アレン「ひゃいぃっ!?」
依頼人「はははwww」
アレン「お前ッ……!ざけんなよまじでッ!」
依頼人「で、どうしたんだよ。」
依頼人は何事も無かったかのように俺の向かいに座って話を続けた。
アレン「チッ……覚えてろよ……前話した研究所に行きたいんだけどさ、青眼が張ってて行けないんだよね。」
依頼人「そっか、丁度いいやつ紹介してやらなくも無いが。」
アレン「どうせ金取るんだろ。」
依頼人「取らねえよwww俺の事なんだと思ってんのwww」
アレン「いきなり人の首に触ってくる変態。」
依頼人「首を触れられて感じる変態が何言ってんだか。」
アレン「今ここで死刑にしてやろうか?」
依頼人「冗談だから許せ」
アレン「チッ……」
依頼人「で?紹介してやろうか?」
アレン「はぁ……お前の連れてきたやつだからろくな奴じゃないんだろうが……まあいないよりはマシかな……」
依頼人「お前……それは普通に失礼だぞ……」
アレン「おまえに失礼とか言う感情わかねえよww 」
依頼人「いや……俺じゃなくて……」
アレン「あ?」
俺の後ろから明らか俺より年上の男が歩いてきた。まだ幼さが少し残っているくらいの、イケメン……つい見惚れてしまう。
依頼人「お前もこの異名くらいは聞いたことあるんじゃないか?『エルドビアの英雄』。」
俺はすごーく焦った。多分、冷汗だらっだらで、服すんごいベタベタになるくらい。
アレン「あ……ぁっ……ぁっぁっぁっ……あぅ……あぇ……ぇっ……うぁぅぁぅ……ぁっ……」
依頼人「あぁ、こりゃダメだな、ショートしやがった。」
恥ずかしさと焦りで、俺は気絶した。


数時間後


アレン「うぅっ……頭が……」
依頼人「起きたか?」
アレン「……顔近い。」
依頼人「あぁ、はいはい……」
卓人「依頼人さん、アレンさん起きましたか?」
依頼人「ああ、今起きたよ。」
卓人「はじめまして。大西卓人です。イルネシア共和国陸軍第一機動兵器小隊「ネメシス」の隊長をしてい……」
アレン「待った。お前無理して敬語使ってない?」
卓人「えっ……」
アレン「いいよ、タメで。」
卓人「でも……」
アレン「どうせすぐ慣れるよ。」
卓人「わかっ……た。」
アレン「せっかくだから、俺の体がまだちょっと動きそうにないからさ、簡単でいいから君のこと教えてよ。」
卓人「わかった。じゃあまずは……」


Sラボラトリーでは


ヘリア「やった……遂にできた……!」
コータス「これは……?」
ヘリア「今まで出来なかった、擬似的に怪物化をさせる薬が成功したんだよ!アタシの最高傑作だ……!」
コータス「これで君の夢は叶うのかい……?」
ヘリア「いや……まだだ、あくまでもこれは『擬似』的な怪物化だからね……天然物でないとやはり私の夢は実現不可だ。」
コータス「そうか、なら頑張らないとね……」
ヘリア「あぁ……そうだな。」

第5話 作戦開始

アレン「卓人、準備いい?」
卓人「終わってる。」
アレン「おけ、作戦通りにな。」
卓人「わかってるって。」
作戦の内容は昨日オールして考えてある。まず俺が青眼を引き付けて卓人を先に研究所へ向かわせる。その後俺が素早く逃げて森に入る。うんうん、完璧な作戦だ。
アレン「じゃ、また後でな。」
卓人「嫌な予感しかしないけど、頑張ってな。」
俺は青眼の怪物を誘き寄せる為にそこらじゅうを走り回る。おっと、誘い出しに成功したようだ。
アレン「草むらから野生の怪物が飛び出してきた!なんてね。うぉっとぉっ!危ない!なんて危険なんだ!お仕置しないとね!」
青眼の怪物「あぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!」
アレン「うぉっ危ねぇな!しかし、身の丈に合わない力を持つとこうまで人格が崩れるのか、怖いもんだな。うげっ!死ぬか思った……卓人上手くやってっかなぁ……」


Sラボラトリーでは


卓人「ここが例の研究所か……?」
ジリリリリリリリリリリリリ!!!!
卓人「あっ」
警報機が作動してしまった……全く、油断大敵ってやつか、横の扉から兵士が5人くらい入ってきた。
兵士「居たぞ!侵入者だ!生け捕りにしろとのご命令だ!」
その他兵士「了解!」
銃を武装した彼等は俺に照準を合わせた。
兵士「射撃開始!」
一斉に射撃が始まった。ただ、発射方向が単調で少し横にずれただけで避けることが出来てしまった。そのまま当たらないように敵の間合いに入った。敵の陣形の中心で4人、壁へ吹き飛ばした。恐らくリーダー格の兵士に情報を聞き出そうとして振り返った瞬間だった。辺りに血が飛び散った。
卓人「あ……?自害した?」
驚くほど早い判断だった。それだけここの主を信用しているのだろうか。それとも……とにかく今は所長を探し出して捕まえなければ……。


森の外では


アレン「こいつ、動き鈍ってきたか?さっきより動き単調だし、間合いもつかみやすくなってきた……継続戦闘が苦手なのかな……?ま、とりあえずそれはそれで好都合、眠ってろ馬鹿野郎」
俺は青眼の化物の攻撃を右、左、と最小限のステップで避けて、彼の首に手刀を入れた。
アレン「よし、早く卓人のとこに行かなきゃね。」
俺は急ぎ足で森の中へ入り、卓人のところへ向かった。

第6話 失敗

アレン「うぉぉぁぁっ!走れ!走れ!動け!俺の足ぃっ!Sラボの警備力がどんなもんかは知らんが1人に任せっきりじゃあかっこ悪いもんなぁっ!あっ!見えた!」
木々を通り抜けて、Sラボの前に着いた。卓人は既に進んでいるらしい。早く俺も追いつかないと……
アレン「はぁっ……はぁっ……結構奥まで進んできたけど……まだ卓人がいねぇ……どこだ……ッ……!!!この気配……怪物……!怪物が2体いたのか!?まずい……卓人がやばいかもしれん……早く行かないと……!あのでけえ扉の先か……?はぁっ……はぁっ!」


Sラボ最奥では


ヘリア「あれぇ……?随分と早かったねぇ……エルドビアの英雄君……」
卓人「既にそっちに情報は言ってたのか。まあ捕まえればいい簡単な話だ。覚悟しろ……」
ヘリア「はぁ……マイダーリン、悪いけど……足止めお願い出来るかしら。」
コータス「あぁ、君のためなら生命だって捧げよう。」
卓人「おい、そこをどけ、俺はその女所長に用があるんだ。」
コータス「悪いがそれは出来ない。ヘリアの邪魔はさせないよ。まあ僕は一瞬で屠られるだろうけどね……」
卓人「そいつはとんでもないことをしようとしているんだぞ!?いいからそこをどけ!」
コータス「はぁ……だから言ってるじゃないか。どくのは無理だ。もし、ヘリアが間違ったことをしていたとしても、僕は僕が信じる彼女について行くさ。」
卓人「チッ……これ以上は無駄かっ!」
コータス「ぐッ……痛い……でも……ここで倒れる訳には行かないッ……!僕はヘリアを……一生かけて守ると誓ったんだ……!」
卓人「そこまでして守る必要があるのかよッ!」
コータス「お前にわからなくともッ!僕にはあるんだよッ!」
卓人「(チッ……こいつに傷を与えても……瞬時に回復しやがる……)」
コータス「耐久戦なら……僕は負けないよ。」
卓人「チッ!」
アレン「卓人!避けろッ!!!」
卓人「……!!」
ヘリア「マイダーリン、お疲れ様、あとはゆっくり寝ててね……。くたばれッ!小僧ッ!」



アレン「かはっ……」
卓人「おい……大丈夫かよ!」
アレン「だ……大丈夫……このくらいなら……何とかまだ……動け……」
俺の意識はそこで、ひとつの細い糸が切れるように……ぷつりと、静かに途切れた。


*1 実質こいつが主人公やんけ
*2 基本的には「依頼人」