アズカバンの囚人/2章

Last-modified: 2021-06-17 (木) 16:15:28
 

インゲン豆の蔓

■日本語版 2章 p.25
お隣のインゲン豆の(つた)を透かすように

■UK版 p.19
squinting into next door's runner-beans

■試訳
お隣のインゲン豆の(つる)を透かすように

■備考

  • 「Runner Beans(ベニバナインゲン)」
    イギリスで夏によく食べられるマメ科植物(ものすごく大きなさやいんげんみたいな感じ)。
    育ちやすく家庭菜園で育てる人も多い。
    ダーズリー家のお隣さんは庭でRunner Beansを育てていて、両家の庭の間でRunner Beansがラティス・トレリス(高い支柱みたいなのにつるを這わせて栽培するけど、本来は生垣用ではない)のような役割になっている。
    そのラティス代わりのつるの隙間から脱獄囚が潜伏しているんじゃないかとペチュニアが隣の様子を伺っている様子、と思われる。
  • また「つた」になっているルビは間違いで「つる」が正しい(「つた」は葡萄などの植物を指す)。


焼きついていた

■日本語版 2章 p.26
その一回一回の恐ろしさがありありとハリーの記憶に焼きついていた。

■UK版 p.19
but each of her visits stood out horribly vividly in Harry's mind.

■試訳
しかし、その滞在の一回一回が、ハリーの脳裏に恐ろしく鮮明に焼きついていた。

■備考

  • 焼き付くのは記憶にじゃなくて、脳裏にじゃないんだろうか。
  • あと記憶が焼きついてるというときに「ありあり」はたしかにちょっとおかしいと思うよ。
    「ありありと思い出す」のようにイメージを再生するときとかならいいけど。
  • さらにhorriblyは「ひどく、恐ろしく」という副詞だから「恐ろしさが焼きついてた」わけじゃない。


グウの音

■日本語版 2章 p.29
グウの音も出ないほど叩きのめされたいか?

■UK版 p.21
You'll get the stuffing knocked out of you, won't you?

■試訳
叩きのめされたいようだな、え?

■備考

  • ヤフー辞書で「ぐうの音も出ない」を調べたら、
    大辞林:徹底的にやりこめられて、一言も弁解・反論ができない。
    大辞泉:一言も反論や弁解ができない。「痛いところをつかれてぐうの音も出ない」
    とあるね。言い合いに使う言葉だ。
  • 普通は「ぐうの音」って平仮名で書くよ、言葉につまった時に喉から出す音だから。


胸の奥が真っ暗

■日本語版 2章 p.31
胸の奥が真っ暗になりながらハリーは戸を開けた

■UK版 p.22
A feeling of great gloom in his stomach, Harry pulled the door open.

■試訳
胸の奥にひどく憂鬱なものを感じながら、ハリーはドアを開けた。

■備考

  • いやいやマージおばさんを出迎えるハリー。
  • stomachを胃と訳さなかったのはいいが、「真っ暗になりながら」という表現が日本語としてあまりにもぎこちない。


まぎれもなく

■日本語版 2章 p.32
二人が離れたときには、まぎれもなく、ダドリーのブクッとした手に二十ポンドのピン札が握られていた。

■UK版 p.22
and sure enough, when they broke apart, Dudley had a crisp twenty-pound note clutched in his fat fist.

■試訳
そして思ったとおり、二人が離れたあと、ダドリーの太った手には二十ポンドの新札が握られていた

■備考

  • 「ブクッとした」は口語的で幼稚な印象、「ピン札」は品がない言葉で地の文にそぐわない。
  • またand sure enoughの訳を「まぎれもなく」としたようだが、「まぎれもなく」は
    「正真正銘の」「間違えようもなく」と同様の意味なので、ここは試訳のようにした方がよい。


お茶受け皿

■日本語版 2章 p.32
お茶受け皿

■UK版 p.23
saucer

■備考

  • 「お茶請け」って普通の日本語では「お茶を飲みながら食べる菓子や漬物」のこと。
    犬にミルクをついでやってるのは、単なるティーカップのソーサーのことなんだろ?
  • 受けと請けで字は違うけど、
    「おちゃうけざら」って言葉はどうよと…
  • 下手に丁寧語の「お」をつけたりするから意味不明っぽいし、何より語感が悪いよね。


十中八九

■日本語版 2章 p.34
十中八九は鞭で打ちのめしゃあいい。

■UK版 p.24
A good thrashing is what's needed in ninety-nine cases out of hundred.

■試訳
たいていの場合はたっぷり鞭をくれてやる必要があるのさ。

■備考

  • ninety-nine cases(times) out of a hundred は「ほとんど全部の」「たいていの場合」っていう意味の成句。
  • 「十中八九」は、「たぶん」「おそらく」などと同義で、「十中八九、彼は来ない」のように確率の高い予測を示す場面でしか使わない。
    このセリフのような状況で使うのは間違い。
  • 英和辞書に nine cases out of ten の訳が「十中八九」と載ってるのでこのセリフも同じようなものだと思って考えなしに当てはめたのではと思われる。


万力

■日本語版 2章 p.35
この子の場合には万力込めて叩くことを認めるって、はっきり言ってやるんだ

■UK版 p.24
‘Make it clear that you approve the use of extreme force in this boy's case.'

■試訳
こんな子は力の限り叩いたってかまわないとはっきり言ってやるんだ

■備考

  • 万力って道具なんだけど…。何と勘違いしてんるだろうね?
  • extreme force は「強烈な力」かな。




コメント欄

・情報提供、検証、議論、誤字脱字の指摘など様々な用途にお使いください。
・コメントの先頭にあるラジオボタンを選択すると、そのコメントにぶら下がる形で返信できます。
・スパムや荒らしコメントが投稿された際は、削除にご協力ください(「編集」から削除できます)。
・任意ですが、書き込みの際はできるだけお名前(HN)を入力してください。