不適切なフレーズ

Last-modified: 2021-07-18 (日) 09:53:23

中日ドラゴンズの応援歌「サウスポー」に与田剛監督が寄せた意見。具体的には同曲の歌詞「お前が打たなきゃ誰が打つ」の「お前」を指す。これが発端で起こった一連の騒動をなんJ内外問わず「お前騒動」と言うようになった。

発端

2019年7月1日、中日ドラゴンズ応援団が次のような声明を突如発表した。

中日ドラゴンズ応援団

‏@dragonsouendan

【重要なお知らせ】

この度、当団体で使用している「サウスポー」について、チームより不適切なフレーズがあるというご指摘を受けました。この件について球団と協議した結果、当面の間「サウスポー」の使用は自粛させて頂くこととなりました。

皆様には何卒ご理解、ご協力の程宜しくお願い致します。

15:00 - 2019年7月1日

「サウスポー」はピンクレディーの同名楽曲を原曲としたチャンステーマで、中日の応援歌の中でも比較的人気のあるものであっただけに、様々な憶測が飛び交った。
以下がサウスポーの歌詞

オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!Let's go○○!(繰り返し)*1

みなぎる闘志を奮い起て

お前が打たなきゃ誰が打つ*2

今ー勝利を掴め オイ!オイ!○○(○○は選手の名字、名前)

……と、特に歌詞の中に問題のありそうな表現が見つからなかったため、当初はこの「サウスポー」というタイトル*3が問題にされたのではないかと思われた。しかしその後の報道で歌詞の中で選手を「お前」と表現していることが「不適切」とされたことが判明。さらにその意見は外部から寄せられたものではなく監督直々のものであることも判明した。

【中日】人気応援歌のサウスポーを自粛へ 「お前が…」のフレーズが不適切

(中略)「お前が打たなきゃ誰が打つ」という歌詞で人気だったが、与田監督が「『お前』という言葉を子どもたちが歌うのは、教育上良くないのではないか」と指摘。球団側が歌詞の一部変更を求めた結果、使用を取りやめることになった。
ソース

与田、大炎上

与田の言わんとする事は分からなくはないものの、慣れ親しんだ応援歌が突如消えてしまった事でファンからは反論意見が続出*4。あっと言う間にニュースになり、テレビではここぞとばかり著名人が公然と与田を批判。中日ファンも「その前に強い姿を見せてくれ」「与田はもっと国語を勉強しろ*5」などと猛反発。さらに与田が過去に起こした問題行動まで蒸し返され

などと(論点が完全に逸れているが)大炎上。

なんjでも例に漏れず与田叩きはヒートアップする反面、ここに便乗して

  • 「打て」などの命令形を排除した応援歌が作られる
  • 竜達」が「お前達」に名称変化
  • 実況スレではお嬢様専を彷彿とさせるほどの丁寧語でのレスが溢れ、少しでも汚い言葉や命令形が出たり、選手がエラー炎上したりするたびに「はい不適切」「はい意見書」などとレスされる

等々様々な面でネタにもされた。

その後は加藤宏幸球団代表も失言した上に、当時のオーナーであった白井文吾『お前』は不愉快になる言葉などと与田を全面擁護したため、批判の矛先は白井や加藤など球団上層部にも拡大。中日球団そのものが攻撃対象となり火に油を注ぐ結果となってしまった。

ナインらの反応

2019年中日キャプテン・高橋周平を始め選手たちは「別に構わない」と思っている様子。
球団OBの権藤博田尾安志高木守道らも「気にしたこともない」とコメントしており、他球団でも応援歌に「お前」のフレーズが入っている坂本勇人(巨人)らの選手たちからも「気にしない」「気にしたこともなかった」などの意見が出た。
が、与田が懸念したのはあくまで子供たちへの影響である。コールされる選手がどの様に感じているかについては言及していないため、こうしたインタビューが既にズレているとも言えなくはない。

不適切なフレーズを含まない応援歌の例

チャンスの御テーマ3

御御御ー御御ー 御ー御ー御御御ー

御バットに御想い込めなさって 御御御ー御 DRAGON Soul御見せください

適切なスタンドの声があなた様の御力になることをお祈り申し上げます 恐れなさらずに振りぬいてください 御ー御ー御ー

ファンの反応


「お前」応援は不適切か否か

日本語における「お前」という言葉は確かに俗的なものであって、上品と言える言葉遣いではない。以前よりも女性や子どもが多く球場に足を運ぶようになった昨今において野球の伝統的な応援スタイルが変革を迫られている事は紛れもない事実*6であり、応援スタイルを客層および時代の変化に合わせて改善していくべきという議論自体には一定の合理性がある。
しかし与田が懸念した様な、この応援歌を子どもたちが歌うことでその健全な教育に悪影響を及ぼすと結論付けるには、ある程度合理性を持った根拠が示されるべきであるが、そのようなものは与田監督からは未だ示されていない。*7

反対に、「お前」応援は不適切ではないとする立場の根拠としては、2019年の夏の甲子園が挙げられている。騒動から間もなくして開催された高校野球大会であったためその応援にも注目が集まったが、「お前」入り応援歌*8は変わらず使用されており、青少年の健全な教育をその目的に掲げる*9高校野球大会の場ですら演奏自粛に追従する動きは見られなかった。

 

言うまでもなく、NPBの他11球団も中日の動きに同調する向きは無い。ここまで述べられたように、「お前」応援が不適切だという意見は現在の野球界において多数派であるとは言い難い。

本人がお前発言

2019年11月25日、大島洋平の契約更改の際に、与田が大島に電話で「お前が必要だ」と発言したことがスポーツ報知報道された
共有されたTwitterのツイートリプ欄には、案の定「はい不適切」「目上だからセーフ」のコメントが殺到した。
また、実況パワフルプロ野球などではマイライフなどの実在選手・監督が登場するモードで与田が当たり前のように「お前に~」と発言しており、ネタにされている。
その一方で、本件との因果関係は不明だが、サクセスモードにおける検証用の投手*10として長く多くのプレイヤーに愛用されていた「そこのお前」選手が「そこのあなた」「そこのヒト」に変わるといった変化が現れている。

騒動の終焉

2020年シーズンになり、中日ドラゴンズ応援団もシーズンで使用する応援歌を発表したが、サウスポーは何事もなかったように復活していた*11
与田監督や球団上層部からの抗議は流石になく、というよりサウスポーが復活しただけでしれっと鎮火しており、結局与田及び球団上層部は何をしたいのかわからぬまま終わってしまった。

なお、与田監督は不適切な采配こそあったものの中日を8年ぶりのAクラス入りに導いたため、監督としての評価そのものはそれなりに回復した様子*12

関連項目


*1 尚、名字や名前が長い事が多い外国人選手などの選手はLet's goを省略する場合がある。(例、2018~2020年に所属していたソイロ・アルモンテ外野手など) 
*2 この歌詞は前応援団時代のチャンステーマで山本リンダの同名楽曲を原曲とした「狙いうち」でも合いの手として使われており、当時を知るファンの心情を汲んで採用したものと思われる。狙いうちも人気は高く、復活を希望する声は今でも多い。
*3 左腕投手のことを指す。曲は永射保(元広島→太平洋/クラウン/西武→大洋→ダイエー)と王貞治(元巨人)の1977年オールスターでの対戦がモチーフとされる。当初これを左利きへの差別的表現であるという批判がされたのではと推察された
*4 近年、ネット上では所謂「ポリコレ」に対する反発が強くなっており、そうした流れもここまでの反発を買った大きな要因だと考えるられる。
*5 与田監督は「お前」という言葉が元来は敬称として使われていた事を知らないのではという指摘。もっとも、文脈を考えれば今回の議論において過去の用法までもを考慮する必要性には疑問が残る。
*6 アウトコールがあらゆる球団で次々と廃止されていったことは記憶に新しい。
*7 「与田監督はあくまで蓋然性を示唆したに過ぎないため、その立証まで求めるのは妥当でない」とする意見もある。ただしその場合であっても、彼は当該応援歌を演奏中止という結果にまで至らしめた以上、その当不当に関わらず「彼なりに何らか筋道の立った理屈があっての発言なのだろう」とファンが納得しうる程度の説明をする必要性までもが排除されるわけではない。先述のファンらの反応からは、このような最低限の説明も不十分であったと言わざるを得ないのである。
*8 本事案で中日が自粛した「サウスポー」や、同様に「お前」というフレーズの入る巨人坂本らの応援歌
*9 このことは日本学生野球憲章にも明文で規定されており、多言を要しない。
*10 球速140km、スライダー、カーブ、フォークを各変化量2で持ち、スタミナとコントロールはC、特殊能力は「調子安定」のみで作られている。「標準」の能力で統一することで打者側の様々な検証に使われていた。
*11 開幕(6/19)後の6月21日にYouTube上に公開。ただしこの時点では無観客試合であった。
*12 元々楽天投手コーチ時代から、投手整備能力は高く評価されていた。