不適切なフレーズ

Last-modified: 2022-07-18 (月) 11:21:46

2019年、中日ドラゴンズの応援歌「サウスポー」に与田剛監督(当時)が寄せた意見。具体的には同曲の歌詞「お前が打たなきゃ誰が打つ」の「お前」を指す。これが発端で起こった一連の騒動をなんJ内外問わず「お前騒動」と言うようになった。

発端

この年の7月1日、中日ドラゴンズ応援団が次のような声明を突如発表した。

中日ドラゴンズ応援団

‏@dragonsouendan

【重要なお知らせ】

この度、当団体で使用している「サウスポー」について、チームより不適切なフレーズがあるというご指摘を受けました。この件について球団と協議した結果、当面の間「サウスポー」の使用は自粛させて頂くこととなりました。

皆様には何卒ご理解、ご協力の程宜しくお願い致します。

15:00 - 2019年7月1日

「サウスポー」はピンクレディーの同名楽曲を原曲としたチャンステーマで、中日の応援歌の中でも比較的人気のあるものであっただけに、様々な憶測が飛び交った。
以下がサウスポーの歌詞

オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!Let's go○○!(繰り返し)*1

みなぎる闘志を奮い起て

お前が打たなきゃ誰が打つ*2

今ー勝利を掴め オイ!オイ!○○(○○は選手の名字、名前)

……と、特に歌詞の中に問題のありそうな表現が見つからなかったため、当初はこの「サウスポー」というタイトル*3が問題にされたのではないかと思われた。しかしその後の報道で歌詞の中で選手を「お前」と表現していることが「不適切」とされたことが判明。さらにその意見は外部から寄せられたものではなく監督直々のものであることも判明した。

【中日】人気応援歌のサウスポーを自粛へ 「お前が…」のフレーズが不適切

(中略)「お前が打たなきゃ誰が打つ」という歌詞で人気だったが、与田監督が「『お前』という言葉を子どもたちが歌うのは、教育上良くないのではないか」と指摘。球団側が歌詞の一部変更を求めた結果、使用を取りやめることになった。
ソース

与田、大炎上

与田の言わんとする事にも一理あるものの、大局的には不必要に盛り上がりに水を差す発言と見做され反論意見が続出*4。あっと言う間にニュースになり、テレビではここぞとばかり著名人が公然と与田を批判。慣れ親しんだ応援歌が突如消えてしまった中日ファンからも「その前に強い姿を見せてくれ」「与田はもっと国語を勉強しろ*5」などと猛反発の声が上がった。さらに与田が過去に起こした問題行動まで蒸し返され

などと大炎上。

なんJでも例に漏れず与田叩きはヒートアップする反面、ここに便乗して

  • 「打て」などの命令形を排除した応援歌が作られる
  • 竜達」が「お前達」に名称変化
  • 巨人小笠原スレ」に準え「中日与田様スレ」の誕生。
  • 与田自身が「お前達終身名誉総帥」に認定
  • 実況スレではお嬢様専を彷彿とさせるほどの丁寧語でのレスが溢れ、少しでも汚い言葉や命令形が出たり、選手がエラー炎上したりするたびに「はい不適切」「はい意見書」などとレスされる
  • 祖父江大輔に至っては登場曲が歌詞に「お前」が含まれる『宙船』だったため存在が不適切だとされてしまう。

等々様々な面でネタにもされた。

その後は加藤宏幸球団代表も失言した上に、当時のオーナーであった白井文吾『お前』は不愉快になる言葉などと与田を全面擁護したため、批判の矛先は白井や加藤など球団上層部にも拡大。中日球団そのものが攻撃対象となり火に油を注ぐ結果となってしまった。

選手・OBらの反応

2019年中日キャプテン・高橋周平を始め選手たちは「別に構わない」と思っている様子。
球団OBの権藤博田尾安志高木守道らも「気にしたこともない」とコメントしており、他球団でも応援歌に「お前」のフレーズが入っている坂本勇人(巨人)らの選手たちからも「気にしない」「気にしたこともなかった」などの意見が出た。*6

不適切なフレーズを含まない応援歌の例

チャンスの御テーマ3

御御御ー御御ー 御ー御ー御御御ー

御バットに御想い込めなさって 御御御ー御 DRAGON Soul御見せください

適切なスタンドの声があなた様の御力になることをお祈り申し上げます 恐れなさらずに振りぬいてください 御ー御ー御ー

「お前」応援は不適切か否か

「お前」という言葉は確かに俗的なものであって、上品と言える言葉遣いではない。以前よりも女性や子どもが多く球場に足を運ぶようになった昨今において野球の伝統的な応援スタイルが変革を迫られている事は紛れもない事実*7であり、応援スタイルを客層および時代の変化に合わせて改善していくべきという議論自体には一定の合理性がある。また、応援団が球団から活動を認めてもらっている立場であることを考慮すれば、監督を含む球団側から何らかの要請が出されること自体は理解に難い話でない。

しかしながら、応援の本質的主体は、あくまでも球場に足を運ぶ一般のファンである。ファンが自発的に行う応援を球団側の要請によって使用中止にまで至らしめるのであれば、彼らに対して合理的な説明がなされるべきであることは言うまでもない。しかし与田監督が示したのは、これを子どもたちが歌うことによって健全な教育に悪影響を及ぼすのではないか、という単なる蓋然性の示唆に過ぎないものであった。*8

反対に、「お前」応援は不適切ではないとする立場の根拠としては、2019年の夏の甲子園が挙げられている。騒動から間もなくして開催された高校野球大会であったためその応援にも注目が集まったが、「お前」入り応援歌*9は変わらず使用されており、青少年の健全な教育をその目的に掲げている*10高校野球大会の場ですら演奏自粛に追従する動きは見られなかった。

 

言うまでもなく、NPBの他11球団も中日の動きに同調する向きは無い。ここまで述べられたように、「お前」応援が不適切だという意見は現在の野球界において多数派であるとは言い難い。

本人がお前発言

2019年11月25日、大島洋平の契約更改の際に、与田が大島に電話で「お前が必要だ」と発言したことがスポーツ報知報道された
共有されたTwitterのツイートリプ欄には、案の定「はい不適切」「目上だからセーフ」のコメントが殺到した。
また、実況パワフルプロ野球などではマイライフなどの実在選手・監督が登場するモードで与田が当たり前のように「お前に~」と発言しており、ネタにされている。
その一方で、本件との因果関係は不明だが、パワプロ6のサクセスモードで初登場した「そこのお前」というモブキャラ*11及び検証用として長く多くのプレイヤーに親しまれていた同名選手*12の名前が「そこのあなた」「そこのヒト」(こちらは公式でも使われた)に変わるといった変化が現れている。

騒動の終焉

2020年シーズンになり、中日ドラゴンズ応援団もシーズンで使用する応援歌を発表したが、サウスポーは何事もなかったように復活していた*13
復活に際して与田監督や球団上層部からの抗議は一切なく、結局一連の騒動はうやむやに終わってしまった。
そして与田・白井が退任し立浪和義*14が監督に就任した2022年2月、中日応援団は正式にサウスポー復活を表明。中日ファンは歓喜に沸いたのであった。

関連項目


*1 尚、名字や名前が長い事が多い外国人選手などの選手はLet's goを省略する場合がある。(例、2018~2020年に所属していたソイロ・アルモンテ外野手など) 
*2 この歌詞は前応援団時代のチャンステーマで山本リンダの同名楽曲を原曲とした「狙いうち」でも合いの手として使われており、当時を知るファンの心情を汲んで採用したものと思われる。古くはゲーリー・レーシッチ等助っ人外国人の応援歌として使用されていたこともあってオールドファンの同曲への思い入れは強かった。
*3 左腕投手のことを指す。曲は永射保(元広島→太平洋/クラウン/西武→大洋→ダイエー)と王貞治(元巨人)の1977年オールスターでの対戦がモチーフとされる。当初これを左利きへの差別的表現であるという批判がされたのではと推察された
*4 近年、ネット上では所謂「ポリコレ」に対する反発が強くなっており、そうした流れもここまでの反発を買った大きな要因だと考えるられる。
*5 与田監督は「お前」という言葉が元来は敬称として使われていた事を知らないのではという指摘。もっとも、文脈を考えれば今回の議論において現在は使われていない過去の用法までもを考慮する必要性には疑問が残る。
*6 坂本に至っては記者の質問に対し爆笑している。
*7 アウトコールがあらゆる球団で次々と廃止されていったことは記憶に新しい。
*8 もちろんこの与田監督の指摘も決して誤りとは言い切れないのではないか、という意見もある。しかしながら、当不当を議論する以前の問題として、顧客に対して理解を得ぬまま不便や協力を強いる現状が社会通念上好ましいものでないことは明白で、また先述のファンらの反応から伺う限りでは、球団および監督の説明の誠実さに瑕疵があると言わざるを得ないのである。
*9 本事案で中日が自粛した「サウスポー」や、同様に「お前」というフレーズの入る巨人坂本など。
*10 このことは日本学生野球憲章にも明文で規定されており、多言を要しない。
*11 底野尾前子(そこのお まえこ)など、捩った形の人名として使われるケースもある。
*12 元ネタの方は完全ランダム能力で登場していたが、こちらは「標準」の能力で統一することで様々な検証に使われていた。
*13 開幕(6/19)後の6月21日にYouTube上に公開。ただしこの時点では無観客試合であった。なお結局、シーズン通して一度も演奏されなかった模様。
*14 立浪自身現役時代の応援歌(1992年作)に「お前」という歌詞がある応援歌が存在している
*15 千葉県出身。木更津市の私立高校卒でNTT関東(旧NTT東京)からのプロ入り、日本ハム・中日OBであること、2019年には一軍二軍監督であるなど共通点が多い。
*16 千葉県出身。大学経由NTT野球部からのプロ入り、ロッテOBに不倫歴ありなことなどこちらも共通点が多い。
*17 千葉県出身。阪神OBで不倫歴があること監督時代に野手育成が捗らなかったことなどが共通。なお和田の現役時代の応援歌にも「お前」が含まれる。