SprintersS05

Last-modified: 2006-05-31 (水) 15:44:15

第39回 スプリンターズステークス

THE SPRINTERS STAKES (GI)
2005年10月2日 (日)
芝・右 1200m 3歳以上 国際 指定 定量(4歳上牡57.0kg 4歳上牝55.0kg 3歳牡55.0kg 3歳牝53.0kg)

展望

ここ数日で確実に秋の到来を肌で感じるようになった。
競馬の世界も秋到来を感じさせるGI戦線がスタート。
第一弾は1分強の戦い、中山名物電撃の6ハロン、スプリンターズS。
 
日本で行われる国際レースは地の利を活かした日本馬の圧倒的有利とされている。
わざわざ極東の日本へ遠距離輸送する欧州馬、太平洋を越えてやってくる米国馬も少ない。
過去に凱旋門賞・キングジョージ&QESを勝った馬のどれだけがジャパンカップで実績を示せたか。
どれほどのBCターフ優勝馬が日本でその実力を発揮してきたか。
しかし近年そんな島国日本のすぐ近くに競馬大国が生まれつつある。
香港。
そんな香港から史上最強と思われる2頭が日本のGIスプリンターズSへ参戦を表明してきた。
かたや名実共に世界No.1スプリンター、香港の英雄サイレントウィットネス。
春は決して適距離とは言えないマイルGI安田記念(JPN)へ遠征してきた彼は、
先行勢総崩れの中、前につけ直線500Mを驚異的な粘りを見せ僅差3着とその存在をアピールした。
これまでに敗れた3戦が全てマイル、1200Mでは未だに負けなしと、
条件の変わったこのスプリンターズSでは春以上に日本馬を脅かす存在となるだろう。
 
そしてもう一頭は昨年のスプリンターズS3着、ケープオブグッドホープ。
英雄サイレントウィットネスとは過去10回対戦し1馬身以内に肉薄できた事が無いものの、
今年に入り豪・英・日の3カ国6レースで争うグローバルスプリントチャレンジを転戦、
第二戦オーストラリアS(豪)と第四戦ゴールデンジュビディーS(英)を制覇。
前回には無かった実績を伴い、昨年の屈辱を晴らすべく堂々の凱旋となるか。
 
両者とも来日後の調教も順調とのこと。
後は小回りで坂もある日本の馬場にどこまで対応できるかだが、
前者は今年の安田記念、後者は昨年のスプリンターズSを経験している事を追記しておく。
 
迎え撃つ日本勢を見てみると・・・、どの馬も一難あって取捨選択が難しい。
昨年の覇者カルストンライトオ、日本で彼よりダッシュ力のある馬はいない。
テンの速さは日本最速で、よっぽどの外枠を引かない限りは先頭を逃げるのはこの馬だろう。
だが、逆にハナを取れなかったときの脆さが気にはなる。
単騎逃げ・ラチ沿いを取れないケースでの惨敗は今年の高松宮記念・アイビスSDで実証済み。
更に昨年ほどの迫力は無くなっているのが気に掛かるが果たして・・・。馬場は渋れば渋るほど良い。
 
春を全休したデュランダルはいくらポン駆けするとはいえ、10ヶ月ぶりのレース。
体調面(特に蹄)の不安は解消された、現役屈指の怪物クラスな末脚が世界を完封するか。
休み明けはマイナス材料ではないものの、一度は使った方が良いことは確か。
10ヶ月という長期休養からいきなり香港の刺客を相手にするのは不安だ。
昨年暮れの香港遠征を除けば国内GI5連対の実績もあり、マイナス材料は少ないのだが・・・。
調教は順調らしく今週の調教でどこまで馬体を作ってこられるかがポイント。
切れ味を削がれる渋い馬場はプラスとはいえない物の多少であれば気にする必要は無い。
 
今年の高松宮記念の覇者、アドマイヤマックスは年内で引退を表明。
内の荒れ馬場を避け大外へぶん回し良い馬場を走ったとは言え、
後方一気から2着に2馬身以上の差をつけての優勝はその爆発力を顕示した。
誰もが認める左回り巧者、右回りはやや内にササる印象がありそれをどこまで克服できるか。
中京の小回りを後方から差し切った脚は脅威であるものの、小回りとはいえ右回りの中山。
一昨年の同レース3着の実績と左回り巧者を天秤に掛けることになるだろう。
 
その高松宮記念で1番人気だったプレシャスカフェ。
昨年夏からの4連勝(内2つは重賞)で一躍時の馬とされ、本番の宮記念では出遅れたものの3着。
荒れた内馬場を突いて3着と何とか取り繕ったが、続く京王杯SC・函館スプリントSで惨敗。
体調面でいまひとつだった前2走と比べかなり状態面で上向きになっており、
宮記念程度の状態まで持ってこられれば面白い。
 
函館SSを連覇、シーイズトウショウも面白い。
前走函館SS後の疲労が長引き、調整が難航していたが悪くないところまで漕ぎ着けてはいる。
昨年7着は力負けというよりも不良馬場に負けた印象があり今年こそ。
03年桜花賞2着・04年阪急杯2着と坂のあるコースでもいいのだが、
新馬以外での勝利が03年CBC賞(中京)・04&05年函館SS(函館)・05年テレビ愛知OP(中京)と、
4つとも平坦小回り、中山名物の心臓破りの坂相手にどこまで実力を発揮できるかが見もの。
 
遠征で悉く敗れたキーンランドスワンはその疲労がどこまで取れているのか。
前哨戦には強いゴールデンキャストも本番では人気だけが先行。
或いは陣営が強気なギャラントアローも坂が苦手と来ている。
マルカキセキ・シルキーラグーン・テイエムチュラサン等含めて、期待するのは酷か。
一頭挙げるとすれば、アイルラヴァゲインだが京成杯オータムHを見るに・・・。
 

予想

姐御

◎サイレントウィットネス ○デュランダル ▲アドマイヤマックス
△カルストンライトオ 穴テイエムチュラサン

これだけのメンバーがそろうだけで前半32秒台が出そうな雰囲気
前の争いは凄そうに思えるし、差し、追い込み馬も突っ込んで来るだろうな
調教の様子を見たところ サイレントウィットネス、デュランダル、アドマイヤマックス
テイエムチュラサンの出来がいいように思えました。
不安なのはプレシャスカフェが格下馬に差し返されるという調教 で見送りにしたい

サイレントウィットネスの実績は安田記念3着を取るいうレース内容だし、今度は右回りもう否定できないだろうな

軸で勝負の方は切れる脚が多いため1着固定を二通りにした方がいいかもしれません

えあ

◎:デュランダル ○:サイレントウィットネス ▲:ケープオブグッドホープ
△:プレシャスカフェ 穴:マルカキセキ・シルキーラグーン
 
現状サイレントウィットネスの優位、それに続くのはデュランダルか。
香港の英雄に日本の馬が1200で土をつけてほしいって希望を込めて本命はデュランダル。
香港勢の優位性を重視して日本勢より上に取る。
あまりにド本命だから穴2頭は遊び、シーイズトウショウは大幅馬体減で避けますた。

結果

着順馬番馬名姐御えあ性齢斤量騎手タイム着差馬体重人気
1713[外]サイレントウィットネスせん657.0F.コーツィー 1:07.3558 +81
224デュランダル牡657.0池添謙一1:07.51 1/4馬身454 -72
3612(市)アドマイヤマックス 牡657.0武豊1:07.61/2馬身472 -163
4714(父)マルカキセキ 牡457.0福永祐一1:07.6クビ528 +27
5510(外)キーンランドスワン  牡657.0四位洋文1:07.73/4馬身482 -211
6815(父)タマモホットプレイ  牡457.0和田竜二1:07.91 1/2馬身464 -214
711(市)ゴールデンキャスト  牡557.0小牧太1:07.9アタマ482 -210
823リキアイタイカン  牡757.0武幸四郎1:08.0クビ492 -1415
948プレシャスカフェ 牡657.0蛯名正義1:08.0ハナ496 -44
1059(市)カルストンライトオ 牡757.0大西直宏1:08.0ハナ490 -28
1135[外]ケープオブグッドホープ せん757.0B.プレブル1:08.0クビ542 ?5
1236(父)シーイズトウショウ  牝555.0安藤勝己1:08.11/2馬身446 -306
13816(市)ギャラントアロー  牡557.0横山典弘1:08.1ハナ506 +412
1447シルキーラグーン 牝555.0田中勝春1:08.1ハナ460 -69
1512テイエムチュラサン 牝353.0田嶋翔1:08.63馬身470 +413
16611ゴールデンロドリゴ  牡857.0赤木高太郎1:08.81 1/2馬身504 016

1400M以下の距離で無敗、香港の英雄"大師"サイレントウィットネス、
日本の短距離王"名刀"デュランダル、2頭の対決に注目が集まったこのレース。
絶好のスタートでカルストンライトオがハナ、ギャラントアローが外から2番手を窺い、
サイレントウィットネスは中団4-5番手と控える形。
シーイズトウショウ・プレシャスカフェとその後ろ、アドマイヤマックスが後方。
デュランダルは更にその後ろ、後方2頭目。
前半3F32.9と飛ばすカルストンライトオに3-4コーナー辺りから中団・後方組が仕掛けるも、
カルストン・ウィットネスを捉えられない。
直線に入り昨年同様4馬身程度のリードを保ちカルストン先頭。
その外からサイレントウィットネスが一気に襲い掛かる。
更に後方からはマルカキセキ・アドマイヤマックス。
大外にぶん回してデュランダルが矢のような末脚。
残り100Mを切りサイレントウィットネスが先頭。
大外デュランダルが差を詰め、アドマイヤ・マルカキセキも必死にすがり付くが、
1馬身以上の差を覆す事は出来ずサイレントウィットネスが優勝。
後方2番手、勝負所で大外を回したデュランダルは32.7の脚を使うも2着まで。
苦手な右回りでアドマイヤマックスが3着と健闘し4着に新鋭マルカキセキが入った。
 

短評

1着:サイレントウィットネス
逃げるかとも思われたがカルストン・テイエム等を見ながらのレース。
直線カルストンが一杯になるや否や、あっという間に交わし後方置き去り。
随所に圧倒的なスピード差を見せつけた圧巻のレースだった。
前につけた馬が相次いで2桁着順だというのに・・・。
鞍上の好プレーも見逃せないが、やはり馬自体日本勢より一枚も二枚も上手だったか。
惜しむらくはセン馬だということ、繁殖入りの道はなく来年も現役続行。
来年の中山も香港の英雄として彼の姿を拝む事が出来るだろう。
2着:デュランダル
相変わらずスタートダッシュがつかず、出遅れたゴールデンロドリゴと変わらない位置取り。
3コーナー手前から外を通って前へ進出、大外から矢のように飛んできた。
サイレントウィットネスが居なければ圧勝と言って良い内容なだけに、
負けて尚強しであることは変わりないのだが、流石に今回ばかりは勝った馬が更に強かった。
上がり3F32.7は当然メンバー最速、末恐ろしいまでのパフォーマンス。
2番手上がりはアドマイヤマックスの33.4、これでも十分斬れてる。
蹄の不安がなくなった事もあり、マイルCSでは大本命となる予感。
3着:アドマイヤマックス
後方から直線にかけるいつものパターンで、
サイレントウィットネスを捉えられず更に後方に居たデュランダルに交わされての3着。
だが不得手と思われた右回りの中山ならこの結果でも十分と言っていい。
その2頭が居なかった春は勝っているわけで、順当と言えば順当か。
が、レース後鞍上の武豊が言っていたとおり上位2頭との力差は否めず。
春の王者としての意地は一応見せた、繁殖生活まで残りわずか、これで十分か。
4着:マルカキセキ
ローカル2戦・前哨戦のセントウルSの内容から、ペースが上がればとの声もあった。
ハイペースながら積極的なレースを見せ、陣営の想像を超える大健闘。
もう一皮剥けるようなら来春以降、主役級の馬になる可能性もあるが、
現状ではあまり期待をするのは酷というもの、人気以上のパフォーマンスを素直に称えよう。
5着:キーンランドスワン
遠征明け2戦目、これと言った休養もなくで評価しづらかったのだが、
よもやのぶっ飛び、正直どこから飛んできたのやら。
後ろに居たことでハイペースが良い方向に働いたのだろうか。
33.8の脚を使えるのなら重賞では十分やれるが、これ以上の上積みを期待するのは・・・。
9着:プレシャスカフェ
パドックの気合今ひとつで完調とは言えず。放牧に出された模様、立ち直るまでに時間が掛かりそうだ。
10着:カルストンライトオ
調子が上がりきらず仕方なし、見せ場は作れたしテンの速さも見せた。
昨年の調子ならもう少し粘れたはず、こちらは悲観材料無しと言って良いだろう。
11着:ケープオブグッドホープ
あの高速決着では付いて行くのが精一杯、昨年の3着はあの不良馬場あってこそか。
荒れ馬場・重馬場でない今回は流石に厳しかった様子。
13着:シルキーラグーン
明らかに力不足か・・・。
14着:テイエムチュラサン
重賞勝ちとは言えお世辞にも成績が良いわけでもなく、
このペースでカルストンと同型では無理だった、まだ3歳だし将来性に期待。
 

総括

強い馬が勝った、ただそれだけのレース。
しかし中山1分7秒に集約された今年の最速王決定戦は、
香港の英雄と日本の意地がぶつかり合い、例年以上に見応えのあるものだった。