第56回 安田記念
THE YASUDA KINEN (GI)
2006年6月14日 (日)
芝・左 1600m 3歳上 国際 指定 定量(4歳上牡58.0kg 4歳上牝56.0kg 3歳牡54.0kg 3歳牝52.0kg)
アジア・マイル・チャレンジ最終戦
Fairy King Prawn 日本騒然 低評価を覆した香港からの刺客
Black Hawk 大外強襲 力でねじ伏せた古豪の意地
Admire Cozzene 完全復活 奇跡を起こした不屈の精神
Agnes Digital 条件不問 世紀を駆けたオールラウンダー
90秒に託した、それぞれの熱き想い
今年もまた、新たなドラマが生まれる
枠順
| 枠 | 馬番 | 馬 名 | 騎 手 |
| 1 | 1 | ダイワメジャー | 安藤勝己 |
| 1 | 2 | ダンスインザムード | 北村宏司 |
| 2 | 3 | テレグノシス | 武豊 |
| 2 | 4 | ブリッシュラック | B.プレブル |
| 3 | 5 | メイショウボーラー | 福永祐一 |
| 3 | 6 | ハットトリック | 岩田康誠 |
| 4 | 7 | シンボリグラン | 柴山雄一 |
| 4 | 8 | フジサイレンス | 江田照男 |
| 5 | 9 | ローエングリン | 四位洋文 |
| 5 | 10 | ザデューク | D.ダン |
| 6 | 11 | カンパニー | 内田博幸 |
| 6 | 12 | バランスオブゲーム | 田中勝春 |
| 7 | 13 | エイシンドーバー | 蛯名正義 |
| 7 | 14 | インセンティブガイ | 横山典弘 |
| 7 | 15 | アサクサデンエン | 藤田伸二 |
| 8 | 16 | ジョイフルウィナー | D.ビードマン |
| 8 | 17 | オレハマッテルゼ | 柴田善臣 |
| 8 | 18 | グレイトジャーニー | 佐藤哲三 |
展望
恐らくダイワメジャー・ダンスインザムード・オレハマッテルゼの三つ巴。
そこに割り込むのがアサクサデンエン・ハットトリックの昨年マイルチャンピオン2頭、
更には府中に滅法強い古豪テレグノシス、永遠のGII大将バランスオブゲーム。
その脇を固めるのはカンパニー、グレイトジャーニー、インセンティブガイ辺りか。
今年も香港からの刺客が数頭、こちらも侮れない。
本命視されるのは喉鳴りから今度こそ完全復活をアピールするダイワメジャー。
昨夏関屋記念2着、毎日王冠5着、マイルCS2着と徐々に調子を取り戻し、
今年に入ると休み明けの中山記念こそ2着に敗れるものの、マイラーズCを横綱相撲で制した。
府中実績は今ひとつだが、ダンスインザムードを2戦に渡り完封。
また2000mをこなすスタミナを備えており、今度こそ安田記念のタイトルをと言うところ。
皐月賞から早2年、ジェニュインがそうだったようにそろそろ2つ目を戴冠してもおかしくない。
ダイワメジャーに完封されたダンスインザムードもリベンジは十分にありうる。
こちらはヴィクトリアマイルで2つ目のGIタイトルを一足先にもぎ取っている。
3歳夏から続いていた気紛れも、昨秋辺りから徐々に落ち着きを見せ始めており、
引き続き調教を付けている北村騎手が手綱を取るのも心強い、前走からの勢いに乗れるか。
これまた2つ目のGIタイトルが欲しいスプリントチャンプ、オレハマッテルゼ。
高松宮記念は若干フロック視されたところもあったが、京王杯スプリングCでそんな不安を一蹴。
まだまだ距離に対する不安は拭いきれないが、生粋のスプリンターではなく、1600も十分こなせる。
今尚パワーアップを続けており、府中は得意、期待の方が大きい。
この3頭に続くのはカンパニー、昨年5着が一発屋ではなかったことを昨年の京阪杯で証明、
更に産経大阪杯を勝ち、昨年以上の勢いで望む今年は期待していいだろう。
差し追い込み一辺倒なだけにペースによっては微妙な結果になりうるものの末脚は光るものを持っている。
特に大阪杯は重馬場を後方から一気に弾けての勝利、今週末の雨が恵みの雨となるか。
中山記念で脅威のパフォーマンスを見せたバランスオブゲーム、得意の関東・左回りでどうか。
年齢的に昨年で引退してもおかしくなかったのが、今年もしっかりGIIを勝利。
年齢や実績を考えるともうワンパンチ欲しい印象もあるが、といって見限るのも難しい。
田中勝春に中央GI制覇をプレゼントする最後のチャンスを生かして欲しいところ。
府中のマイルと言えばテレグノシス、今年は何と名手"武豊"を背に迎える。
正直もう駄目だろ・・・惜敗続きで終わるんじゃないかと思わせておきながら、
ここにきて武豊で大幅な強化、これまた見限るのが難しい1頭が現れたと言える
末の鋭さは年齢を重ねても衰え知らずなだけに、一波乱起こしてもおかしくない。
ハットトリックの中山記念は馬場に脚を取られてのものだし、無視していいだろう。
しかし臨戦態勢にやはり不安を覚えるのも無理はない、府中は望むところだろうが。
鞍上には豪腕岩田康成を迎えるが、東京で勝ち星のない彼が魅力に映るかどうかは人それぞれ。
昨年の覇者アサクサデンエンはドバイデューティフリー15着大敗から久々でやや厳しい。
昨年の勢いが本物であればここでも能力的には引けを取らない馬だが・・・。
海外勢については・・・、あまり情報が集まらなかったのでなんだが、
昨年の4着ブリッシュラック(BULLISH LUCK)(香)辺りはまだまだ不気味。
昨年・今年と続けて香港Champions Mile(香G1)を優勝しており香港きっての名マイラー。
ジョイフルウィナー(JOYFULL WINNER)、ダナコート(DANACOURT)は不明。
ハイペースのダービー卿チャレンジTを勝ったグレイトジャーニー。
京王杯スプリングCをテレグノシスと共に猛烈に追い込んで2着のインセンティブガイ。
久々の芝GIメイショウボーラー、素質の高い荒くれ馬シンボリグラン。
同舞台の東京新聞杯を制覇フジサイレンス、名脇役ローエングリンなど。
予想
あね
◎ダンスインザムード ○オレハマッテルゼ ▲カンパニー
△ダイワメジャー ブリッシュラック ハットトリック
☆アサクサデンエン
バランスオブゲームも鉄砲で買いたいけど
あえて切り どうやろうね
えあ
◎:カンパニー ○:ダンスインザムード ▲:ハットトリック
△オレハマッテルゼ・アサクサデンエン・ブリッシュラック
注:テレグノシス
メイショウボーラー・ローエングリンの存在でこれまでの4週と違い、
良馬場ハイペースと面白い展開になりそうだ、という自分の予想を信じる。
大胆に本命はカンパニー。
昨年5着から更に上積みが見込め、メンバーを見てもそこまで見劣りしない。
試金石であると共に絶好の機会、直線で自慢の末脚を見せて欲しい。
内枠が好印象のダンスインザムードを対抗。じゃじゃ馬からようやく淑女に。
先行に見えて仕掛けが直線半ば、ペースが上がっても大丈夫だと見る。
ハットトリックも大抜擢の単穴指定、マイルCSよりも絶対に安田記念向き。
不安の岩田康も、馬自体はマイルCSを見る限り追えば追うほど良い、相性は良い筈。
外枠を嫌ってオレハマッテルゼはここ、充実度を見ると勝ってもおかしくはない印象。
逆にアサクサデンエンはこれが正念場、昨年の実績から、立て直していれば外せない。
風格がついて上積みが不気味に見えるブリッシュラック(香)も、
アジアマイルチャレンジ最終戦で無様な姿は晒さないだろう、抑えておきたい。
テレグノシスは武豊の手腕が年齢をどこまでカバーできるかが見物。
最内強襲は予想に易いがそれ以上に名手の仕掛け所を注目したい。
ダイワメジャーは東京実績と外枠を嫌う。まぁ勝ってもおかしくない馬だとは思うけど。
勝ち負けは別にしてバランスオブゲームはちょっと不気味に見える。
馬場を考えると今回は見送りだけどラストチャンスだから、カッチーには頑張ってほしい。
結果
| 着順 | 枠 | 馬番 | 馬名 | 姐御 | えあ | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 馬体重 | 人気 |
| 1 | 2 | 4 | [外]ブリッシュラック | △ | △ | セ7 | 58.0 | B.プレブル | 1:32.6 | 538 ? | 3 | |
| 2 | 7 | 15 | (外)アサクサデンエン | ☆ | △ | 牡7 | 58.0 | 藤田伸二 | 1:33.0 | 2 1/2馬身 | 492 ? | 10 |
| 3 | 8 | 16 | [外]ジョイフルウィナー | セ6 | 58.0 | D.ビードマン | 1:33.0 | ハナ | 472 ? | 8 | ||
| 4 | 1 | 1 | ダイワメジャー | △ | 牡5 | 58.0 | 安藤勝己 | 1:33.1 | クビ | 534 +4 | 2 | |
| 5 | 1 | 2 | ダンスインザムード | ◎ | ○ | 牝5 | 56.0 | 北村宏司 | 1:33.3 | 1 1/4馬身 | 466 -4 | 4 |
| 6 | 7 | 14 | インセンティブガイ | 牡5 | 58.0 | 横山典弘 | 1:33.4 | クビ | 462 +2 | 11 | ||
| 7 | 4 | 7 | (外)シンボリグラン | 牡4 | 58.0 | 柴山雄一 | 1:33.4 | ハナ | 526 +2 | 14 | ||
| 8 | 8 | 18 | グレイトジャーニー | 牡5 | 58.0 | 佐藤哲三 | 1:33.6 | 1馬身 | 462 0 | 12 | ||
| 9 | 2 | 3 | テレグノシス | 注 | 牡7 | 58.0 | 武豊 | 1:33.6 | アタマ | 474 -6 | 5 | |
| 10 | 8 | 17 | オレハマッテルゼ | ○ | 牡6 | 58.0 | 柴田善臣 | 1:33.8 | 1 1/4馬身 | 472 0 | 1 | |
| 11 | 6 | 11 | (父)カンパニー | ▲ | ◎ | 牡5 | 58.0 | 内田博幸 | 1:33.8 | ハナ | 466 +8 | 6 |
| 12 | 7 | 13 | (外)エイシンドーバー | 牡4 | 58.0 | 蛯名正義 | 1:33.9 | 3/4馬身 | 440 -8 | 18 | ||
| 13 | 3 | 6 | (市)ハットトリック | △ | ▲ | 牡5 | 58.0 | 岩田康誠 | 1:34.0 | 1/2馬身 | 486 ? | 7 |
| 14 | 3 | 5 | メイショウボーラー | 牡5 | 58.0 | 福永祐一 | 1:34.2 | 1 1/4馬身 | 490 -8 | 13 | ||
| 15 | 5 | 10 | [外]ザデューク | セ7 | 58.0 | D.ダン | 1:34.2 | クビ | 518 ? | 15 | ||
| 16 | 4 | 8 | (父)フジサイレンス | 牡6 | 58.0 | 江田照男 | 1:34.4 | 1 1/2馬身 | 498 -2 | 16 | ||
| 17 | 6 | 12 | (父)(市)バランスオブゲーム | 牡7 | 58.0 | 田中勝春 | 1:35.4 | 6馬身 | 474 -10 | 9 | ||
| 18 | 5 | 9 | ローエングリン | 牡7 | 58.0 | 四位洋文 | 1:35.5 | 3/4馬身 | 488 -4 | 17 |
メイショウボーラーが作り出すペースは予想通り淀みなく、スローにならない。
その割に馬群が詰まって見えたのはNHKマイルCと似ている。
積極的に番手追走のダイワメジャー、外目から好位をキープするオレハマッテルゼ、
手綱をきつく抑え後方に下がりつつイン待機のダンスインザムード。
中団からブリッシュラックがいつでも外に持ち出せる(今思えば)絶好の位置。
4角から直線に入り絶好の手応えだった前目追走のダイワメジャー・オレハマッテルゼ、
やはり息を入れる暇がなかったせいか、坂上で伸びが止まった。
バラけるかと思われた馬群は結局ゴールまでバラけず、
内を突こうとしたダンスインザムード・ハットトリックは明らかに窮屈。
対照的に馬場の良い所をブリッシュラックが、1頭別物の脚色で完全に抜け勝負あり。
こうなると焦点は2着争い、大外からジョイフルウィナーが抜け出し香港ワンツーを狙う。
そこをアサクサデンエンが内から必死に追いすがりハナ差抑えてゴール。
厳しい先行の流れから、流石はクラシック馬、粘りに粘ってダイワメジャーが4着死守、
最内狭いところから抜けてきたダンスインザムードがかろうじて5着にはいった。
テレグノシスはいつもの競馬で9着、オレハマッテルゼは直線直ぐに力尽き10着。
短評
1着:ブリッシュラック
発汗・イレ込み、覆面でゲート入り、どう考えても勝てる要素なんて無かったはず。
蓋を開ければ道中はいつでも外に出せる絶好の中団キープ、
直線真ん中から豪快に抜け出すと、これぞ横綱相撲と言わんばかりに2馬身半の圧勝劇。
流石は香港No.1マイラー、7歳馬とは思えない。セン馬にしたのが惜しいくらいだろう。
血統的にもマイルは得意なはずだが、未だに成長を続ける化け物はやっぱり強かった。
2着:アサクサデンエン
後方勢が一様に着外に敗れる中、日本の意地を見せてなんとか2着を確保。
とは言え海外遠征での惨敗続きから陣営が本当に上手く立て直してきた、
人気落ちだったことを考えると、正直なところ見縊っていたと言って良い。
日本マイラーのトップクラスを垣間見た、着差はともかく2着は褒めるべき。
3着:ジョイフルウィナー
一瞬、香港のワンツーかとも思われるくらい際どかったが最後競り負け。
まだまだ将来性がある馬で誇れる3着だろう、上り馬らしく、まだまだ成長が期待される。
大外を豪快に伸びたところに、こちらも刺客の刺客たる所以を見た。
4着:ダイワメジャー
直線ではオレハマッテルゼの出を伺うようにギリギリまで追い出しを待ち、
追い出してからあっさりオレハマッテルゼを競り落とす、ここまでは完璧。
"これはっ"という脚だったが外目から勝ち馬があっさり抜け出すと、こちらはバテず伸びず。
あと一伸びが欲しかった、ハイペースを先行して4着だし仕方ないかなぁ。
5着:ダンスインザムード
道中抑えるように内に篭って後方待機、掛かったのか故障かと言う位抑えていたが。
直線壁になったハットトリックを抉じ開けるように何とか交わして、
そこからまだ伸びていただけに直線の進路が確保できなかったのは痛い。
不完全燃焼、悔やまれる騎乗。力のあるところは見せたのだが…。
9着:テレグノシス
名手武豊が乗っても、勝浦が乗っても、横山典だろうがデムーロだろうが、
結局はこういう競馬しか出来ないということなんだろう。スタート下手すぎ。
10着:オレハマッテルゼ
ペース・外枠・マイル、と色々敗因は挙げられるだろうが、
結局のところどれが敗因と言うわけでなく、全ての面で少しずつ影響したんだろう。
直線の手応えは抜群に見えたが、呆気無く止まった辺り、厳しいレースだったかなと。
後述するザデューク号の迷走で被害を受けた一頭だったようだ、その影響もあったのか。
11着:カンパニー
向こう正面でブリッシュラック・ザデュークの間隙を見ながら追走中、
ザデュークが強引に外に持ち出した事でその隙間が無くなり躓く(ザデューク過怠金5万)。
その後立て直したがグレイトジャーニーに外から被せられ馬群の中身動きがとれず万事休す。
揉まれ弱いと言うよりも、今回ばかりは仕方ないとしか評価のしようが無い、度外視していい。
13着:ハットトリック
直線最内ラチ沿い、半頭分のラチ際を抜けようとするもバテたメイショウボーラーの真後ろでは、
ずっとその隙間が開いているわけも無く、更には外からダンスインザムードに先を越され、
抜け出す唯一の隙間を奪われ、結局躓く形でレースを終える、度外視、不完全燃焼、ちょっと微妙な騎乗。
総括
昨年の同レースから大きな顔触れの変化は無く、力が拮抗していたのも昨年と同じ。
2着スイープトウショウ・3着サイレントウィットネスが抜けた事で、上位にスライドした形か。
とは言え、ブリッシュラックが付けた着差は絶対的なもので完全に頭一つ抜けていた。
2着アサクサデンエンとの2馬身半はどう頑張っても、違う展開だったとしても、覆りそうに無い。
完勝。
安田記念優勝賞金1億円とアジアマイルチャレンジ(2勝)ボーナス100万米ドル(約1億1千5百万円)、
90秒で2億余りを稼いで帰ったブリッシュラックとその陣営。
むしろその陣営の名を、日本の競馬ファンは今後のために覚えておいて損はなさそうだ。
ジョイフルウィナーもブリッシュラックほどの成長があるようなら、
来年は間違いなく上位の中心にいる一頭だろう。
押し並べて香港馬はセン馬で息の長い活躍をしており、十分ありうる話だ。
しかしザデューク、と言うよりは鞍上D.ダンのレース振りはこういった香港の高評価に水を差す。
カンパニーへの進路妨害、3角で外の馬に数度当てながら強引に進路を作る。
こういった香港流競馬の荒っぽさは日本の競馬には合わない。
あくまでも競馬は発祥の地イギリスを見習い、紳士たるスポーツであって欲しい。