個体名 | 菩提樹と男 | 記録日 | 23●●年●月●日 | |
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クラス | セーフ | |||
記録者 | サイモン博士 | 使用職員 | 0人 | |
記録 | 当DCOは、私が個人的な旅行で■■■■■国に行った際に偶然発見した異常性を持つ一樹の菩提樹とそこにいる男(以下男と呼称)である。 菩提樹自体の異常性は一つだろう。私と男以外にはそこに菩提樹がある事を認識出来ない。男の異常性は菩提樹が見える事、300年以上そこにいると自称している事、私以外には男を認識出来ない事。 害意が無い事と異常性の危険性、管理の容易さからセーフクラスとする。 |
接触記録ログ | 記録者 | サイモン博士 | ||
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[サイモン博士が男に近付く。男がサイモン博士に気付く] 男:見ない顔のお客さんだ… サイモン博士:滅多に人は来ないのか? 男:!?[咳き込む]…これは驚いた、俺が見えるのか サイモン博士:ああ。 男:見えるなら別の人が良かったね…俺はずっと待ってるのさ サイモン博士:ずっと? 男:ああ。300年以上かな?色々見てきたよ。 サイモン博士:…そこまで待つなら自分から探しに行けば良いだろう。それに誰を待っているんだ? 男:ここからは動けない。菩提樹に生かされてるって分かるんだ。…待ってるのは遠い遠い恋人だよ サイモン博士:そうか… 男:…なあ、あんた、名前は何て言うんだ? サイモン博士:サイモンだ。 男:サイモンか…なあサイモン。昔話をしてもいいか?久々に人と喋るんだ サイモン:うむ。だがメモを取ってもいいか? 男:構わないよ。……遠い遠い昔、俺がまだ人間だった頃の話だ。俺には恋人がいたんだ。愛する人。 男:でも、次第に疎遠になった。何度か電話を掛けたけど…まあそういう事だ。俺はフラれたんだろうな 男:俺は置いて行かれたくなかった。でも無理強いなんて出来ない。そうだろ? サイモン博士:まあな。どの気持ちも分かる。 男:少し報われた気分だ。ありがとうな…… 男:俺の愛する人は俺を連れて行かなかった。連れて行きたくなかったのかもしれない。兎も角、俺を置いて行ってしまった 男:あの時は全てが暗く、色の無い世界に見えたよ。でも唯一、愛する人の面影と記憶に残るその瞳だけが、鮮明な色を持ってたんだ。今でもその瞳を思い出せるよ… 男:俺は全てを失った気分だった。あてもなく歩いてた時に…この菩提樹を見つけた。良く分からないけど、ここで待っていればいつか会える気がしたんだ。何の確証もないけどね 男:で、今俺はここにいるって訳だ。愛する人がいつか来てくれる事を願ってな。 サイモン博士:……そうか、ありがとう。 男:情けないと思うか? サイモン博士:いいや。愛する人ではないが、私も大切な人達に戻ってきて欲しいと願っている。 男:そうか…サイモンの元にも大切な人達が戻ってくる事を願ってるよ [記録終了] | ||||
追記 | ||||
男の言う「恋人」は既に亡くなっているだろう。だが、真実を伝えた際に男の異常性に変化が起こる可能性等を考えると、真実は伝えるべきでは無い。 サイモン博士 |
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Tag: DCO