アルファベット表記:“Astria”Mortha
読み:“ほしなみひめ”もるしゃ
種族:戴冠種級鎧殻類
性別:メス
年齢:不詳※*1
属性:秩序にして善
発案者:tocoma110
【Tag: 住民 戴冠種 鎧殻類 発案:tocoma110 】
概要
蝶とも蛾ともつかぬ、不思議な形態を持った戴冠種級鎧殻類。
極めて巨大な翼と、真竜類とすら渡り合う能力を備えた、大いなる生命。
いくつかの点で一般的なそれとは違うものも、妖精虫?に近い生物であると考えらているほか、幾度かの死を経てもなお同一個体としか思えない振る舞い・行動を見せる、不可解な性質を持った個体種。
世界の危機に幾度となく立ち上がるほか、真精などとも強いつながりを持っており、世界の根幹や秘密に近い存在であるとされる。
その中でも、特に“黒き焔”とのやり取りは他とは一線を画したものがあり、見るものに「何らかの、なにか」を感じさせる。
雌性体であることも合わさって、「姫」と呼ばれる。
詳細
戴冠種としては例外的なほど、温厚。
姿を見せても大抵は空中遊泳であり、何らかの事件に関与する際も基本的にはその余波・問題に対応するため。自ら率先して何かを壊したり、あるいは奪取したりということはほとんどない。
むしろ修繕や調整のために現れるとして、古くから「人々に恵みをもたらす巨獣」の一つと認識されることの方が多かった。
しかし、星の危機とあらば容赦はなく、勇猛果敢に戦う。
その様は幾多の伝承に残る白い戦女神を彷彿とさせるほどで、いくつかの伝承は彼女の活躍に由来する、と目する学者も少なくない。
実際、後述するように戦闘力も低くなく、彼女によって撃退された脅威もある。
と同時に、打ち破られ死んでしまったとする記録も残る。
しかし、その都度彼女は蘇り、再び人々の前に姿を現している。このことから他の生命と異なり、何らかの形で彼女は自らの意識・記憶を次の肉体に引き継ぐことが出来る、稀有な特性を持つと考えられている。
- 何故そう言えるのかと言えば、彼女と交信した記録があるため。
彼女は他種族と精神感応での意思疎通を行なうことが出来、これによって他の種族とも疑似的な対話を行なえるのだという。自ら動くのみならず、啓示のような形で危機を伝えることもあった。
多数の歴史的転換点に立ち会う彼女には、知人も多い。
“黒き焔”を筆頭に、幾度も手を組み脅威に立ち向かった戦友がいる。“赫炎の翼”?や“猛君”?などはその代表。
その他にも、“光の鍵”?など七竜とも縁がある。
- 特に、“可憐なる太母”とは強い関係性を持っており、彼女を棲み処としているという声もある。
外見
妖精虫に通じながらどこか鳳禽類も彷彿とさせる、特徴的なフォルムを持つ。
そのため、虫を苦手とするような者でも、どこか美しさを感じることが多いという。
基本はほっそりとしたボディに、細く長い肢を6本備える。
肢は前肢・中肢・後肢で形状が全く違い、用途や機能も異なっている。
顔立ちはどこか凛々しさを感じさせつつ、女性的な丸みを帯び、攻撃的なものではない。また、頭部や背面などを白い体毛が覆い、甲殻も全般的に白が多い。
頭部には毛を生やす長い触角が一対伸びる。
また、大きなアーモンド型の眼は青く輝き、宿る光は知性の色を湛える。
前足はカマキリにも似た鎌を備える。
戦闘にも用いるが、それ以外にも巣の加工から細やかな作業まで、幅広く対応。
中肢も前足に近いが、こちらは歩行補助などに用いる。
後肢はバッタなどを連想させる大きさ。
これを全力で伸ばすと、どこか肌人人種のそれを連想させるシルエットになるという、妖精虫特有の性質が垣間見える。
- そして、胴体末部には鋭い毒針を隠している。
体躯の大半を占める四枚の翼は非常に大きく、本体を幾重にも巻けるほど。
極彩色の彩りを備え、光の受け方で色合いを変える*2、非常に幻想的な特性を持つ。鱗粉を散らしながら飛ぶ姿は、さながら炎を纏うよう。
しかし、この翼はただの飛行器官ではない。
真竜類同様に“氣”なるものを操るための重要な部位であり、興奮状態に陥ると緑みを帯びた碧の輝きを放つ。その時、彼女は超常の力を発揮するのだ。
また彼女も状況に合わせて、形態変化する特性を持っていたとされる。
体長:40m 体高:15.8m 翼開長:約250m 体重:不詳
来歴
いつから彼女が存在しているのかは、謎が多い。
少なくとも、大陸歴が定まるより以前から活動していたと目される。大陸歴前6000年以前の遺跡に、その姿を記したと思しい異物が残っている。
大陸歴以降で最初に活動が目撃されたのは、第一次魔北大戦。
“黒き焔”らと共にいくつかの場所で巨大な脅威と戦っており、その姿を記録されている。
その後も“砂の獣王”?など様々な災厄に立ち会い、時に癒し、時に倒れ、甦りを幾度も繰り返してきた。
第二次魔北大戦では“黒き焔”・“赫炎の翼”・“猛君”らと共に“黄金三頭”?と激突したことが記録され、これにより爆発的に認知を高めた。
第二次大戦以降、彼女が姿を見せるケースが増えており、それに伴って大陸秘境開拓時代では彼女を信奉する集団や、モチーフとした製品を作る工房なども出ている。
大陸秘境開拓時代末期、星幹終局大戦?でも姿を見せ、各地に現出した儀典世界樹塔?やそこから漏れる“不浄”などに対処、苦しむすべての生命を助けるため、尽力している。
能力
最大の特徴は、前述の通り転生すること。
これによって彼女は幾度倒され、命を失おうと、いずれまた甦る。
ただし、甦るまでの速度・期間にはばらつきがあり、倒されてすぐに蘇るというものではない。また、死体そのものが甦るのではなく、別の肉体を形成する形で現れる形となっている。
- 復活直後は幼虫の姿をしている。
甲殻に覆われ青い目を持ち、口からは粘着性の糸を吐く能力を残す。
膂力はそれほどでもないが、肉体は存外頑丈で、格闘戦も演じられる。
再生力も高く、環境適応力にも優れている。
だが、特筆すべきはその機動性と飛翔速度。
音速を超える速さで尋常ならざる軌道の移動を可能とし、真竜類や空中戦用巨人機さえ翻弄する。
【際立った能力・武器】
- 粘着性の糸
口から吐き出す、彼女の主力武器。
真竜類すらも捕らえる、恐るべき強度を誇る粘着性の糸となっている。
塊を弾丸のように吐き出すほか、霧状にして吐く、線状に射出するなどバリエーションも豊富。
- 多彩な鱗粉
翼から落とす、きらめく鱗粉。
様々な効能を持った鱗粉を生成出来るようで、攻撃用の猛毒から爆裂粉塵、治癒能力を備えたもの、妨害効果のあるものまで様々。一説には数千を超える鱗粉を自在に作り出すという。
その他、様々な能力の媒介としても用いる。
- 鋭い爪・針
近接戦で用いる。
前足の鎌状の爪は主力武器であり、様々な戴冠種の肉体を貫き、切り裂いた。
また、胴体末部には強力な毒針を隠し持つ。
前足の鎌を凌ぐ鋭利さ・頑丈さを備えるが、さらに戴冠種すら殺しうる猛毒も秘める。それ故に、この毒針は切り札として用いられ、『姫神の懐刀』など呼ばれることもある。
- “氣”の操作
真竜類にまま見られるものと同種の能力。
天地自然の“氣”に干渉し自在に物事を操作する、とされる。
彼女のそれは自然環境への干渉性が高く、特に土壌や水質、大気の改善に優れる。また、風や水など流体の操作が得意でもある様子。
- 防護結界
鱗粉を媒介として形成される、防御力場。
一国を吹き飛ばしかねない攻撃すら受け止める、強靭な光の壁。これもまた多彩なバリエーションを持つ。
- 波音術
翼を介して放つ波音で精素を操る。- 神霊の召喚
彼女以外ではまずみられない、強大な能力。
神話の神々にも匹敵する何かを呼び起こす力。
好んで使うことはないが、必要とあらばこれらを召喚し、助力を請う。
- 神霊の召喚
- 念話能力
高い精度で他種族と交信出来る。
その実態
彼女は、超古代大戦期の英雄の一人、“星巫姫”サクラの魂を継いだ、最後の妖精女王虫?なのである。
彼女が転生しうるのは、星の化身の一つである妖精女王虫の特性と、歴代でも有数の星祀りの素養を持った彼女の魂が合一化したからこそ、というものである。
魂の故郷を定めており、それが“可憐なる太母”の内部領域に存在する。そのため、かの七竜と縁深いものとなっている。
“星巫姫”サクラ
“星波姫”モルシャの原型となった少女。
超古代大戦期の星祀りの民?の、双子の巫女姫の片割れ。
人柄
真面目で責任感の強い性格の持ち主。かけられた期待に応えるべく、日々の修練も忘れない努力家。
その一方で退屈な里の生活に飽き、外の世界のことを知りたがる、年相応な好奇心旺盛さも持ち合わせていた。都会に興味津々なミーハーなところも。
次代の巫女姫に据えられる通り、真精と交信する能力は図抜けている。
一族のほとんどが真精と交信出来ない異例の時代に、その声を掬い上げられるほどの際を持っていた。それ故に、早々に次代巫女姫なる運命を決定づけられていた。
そのことに漠然とした不満を感じつつ、緩やかに近づく未来を感じる日々を過ごしていた。
経歴
大戦争中、隠し守られた里の中で産声を上げる。
先の通り、高い能力を持つことから早々に巫女後継者に任命される。それに微かな不満を抱きながらも、外界の悲劇を知らぬ退屈で幸福な日々を過ごしていた。
だが、齢15を迎えた夜にすべては一変する。
星祀りの力を狙った“大帝国”に里が攻め込まれ、里は壊滅、彼女も家族と離れ離れになる。
失意のどん底にあった彼女だが、悲嘆にくれる暇はなかった。辛うじて残った一族を守るべく、彼女は気丈に振る舞い、同盟軍に保護を求めた。真竜類の計らいもあり受け入れられた彼女は、少女の時分にもかかわらず一族の命運を担うこととなってしまう。
家族の安否も知れず、責任に重圧に押しつぶれそうな中、彼女は一玉の若き竜と出会う。
若き竜との親交は彼女にとって大きな励みとなった。何も言わず背に乗せ、広い世界の風を感じるだけの時間は、息の詰まる日々を過ごす彼女にとって、何よりの清涼剤だった。
竜の優しさに励まされた彼女は奮起し、この戦いを終わらせるため“同盟軍”に協力するようになる。
17に至る頃には、彼女は真精の声を明確に聞けるところにまで、成長していた。
部分的にであれば、その実体化すら実現するほどにその力は増し、名実ともに“同盟軍”の柱の一人となっていった。
それと共に、この戦いの裏に潜むいくつもの問題にも気づき、その解決を自ら志すまでになる。
が、激化する戦いの中、“同盟軍”の支柱の一つであった“黒鉄の竜王”が捕縛され、情勢が悪化。背負うことが増え、重圧に蝕まれるようになる。それでも己を奮い立たせる彼女だったが、敬愛していた竜王の成れの果ての出現と、それと戦った最愛の友人たる若き竜の戦死が、心を押し潰す。
それでも立ち続ける彼女だったが、遂にその心が砕かれる時が来る。
暴走に陥った“鋼の極竜”を前に“大帝国”・“大連合”・“同盟軍”すべてが敗北を喫してしまったのだ。それでも立ち向かうサクラだったが、全力で喚び出した真精たちの力も及ばず、敗れてしまう。
辛うじて即死こそ免れたが、星を消し飛ばすほどの滅光が膨れ上がる光景を前に、彼女はついに膝をつく。
誰にも止められない絶望の光が視界を染める中、最期に、彼女は思わず友の名を口にする。
何を期待してから己でも悟れぬまま。
その声が、奇跡を喚び起こした。
彼女目掛けて放たれる滅光を掻き消し、新たなる竜王──“黒き焔”が舞い降りたのだ。
奇跡の再会が壊れかけた心に力を与え、彼女は再び立ち上がる。
それ以降、激変していく情勢の中、彼女は果敢に戦った。
遂には完全な真精召喚まで実現し、その力も駆使して多くの局面を切り抜けていく。かけがえのない黒き戦友と共にある姿は、“同盟軍”の希望となっていた。
が、大戦も終盤に起きた大災厄?を治めるべく、命を賭す大奥義『“螺旋の風”』を決行。黒き戦友に見守られながら、その生涯に幕を閉じる。
享年18歳という若い身空であった。
死した彼女だが、霧散しかける魂を当代の妖精虫の女王が回収。
滅びゆく一族の最後の卵を差し出し、その労苦に報いた。
斯くして、星の神髄にまでたどり着いた彼女は、輪廻を続ける星の守護者として転生。以降は黒き戦友と共に、悠久の風を受ける生を歩むことになるのだった。
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