旅客機でのフライト/巡航と降下

Last-modified: 2021-07-10 (土) 19:19:43

!!!ここに書いてある情報はゲーム用であり、実機の操縦には使えません!!!

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巡航

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前回の手順によってFL240まで上昇してきたのでした。
巡航(Cruise)のフェーズでは、フライトプランに沿って降下開始地点まで水平飛行し続けることになります。
A320_TUTORIAL_CRUISE1.jpg
フライトの中では飛距離が最も長く飛行は安定しており、高速で燃費的にも経済的―という理想状態のフェーズです。
というより、飛行時間(速度)と経済性のバランスを取って、最適な巡航高度・巡航速度を選んだはず―と言った方が良いでしょうか。
但し今回はそういったパフォーマンスのことは考えておらず、短距離便なので巡航時間がかなり短い―という歪なフライトになるはずです。
悪しからず (^-^

 

現状の確認

さて、一旦ここで機上の計器を使って現在の状況を確認してみましょう。
A320_TUTORIAL_CRUISE3.jpg
PFDを見ると、以下の事が分かります

  • IAS(指示対気速度)が約285kt
  • IASがターゲット速度(紫の△)通りに自動調整されている
  • 現在、FL240をMACH(マッハ)0.64で飛行中である

NDを見ると、以下の事が分かります

  • 現在の航空機のGS(対地速度)が361kt、TAS(真対気速度)が402kt
  • 方位244°(西南)から45knotsの風が吹いており、我々は福岡に向かって西に飛行しているので向かい風状態である
  • 次のウェイポイントであるWASYUまでの距離が6.7nm

巡航は続く

ATC使用時は、この間も指示があればハンドオフ(通信移管)をしてください。放置しておくと勝手にIFRを打ち切られます。
また、現実世界ではずっと計器のスキャンや他航空機の見張りも必要です―――が、
ゲームなのでしばらくはオートパイロットのお世話になりながら旅情に浸ると良いでしょう (^^)

外部視点でカメラをグリグリ動かしながら景色を見るのも一興です。

参考:座学

巡航中やることがない、暇ですって?
では飛行のための知識にあるIAS, TAS, GSといった概念について、現在の状況から考察してみましょう。
この類の計算は降下開始地点の算出にも役立つので、数字通り飛ばしている雰囲気を味わいたい方は読んでください。

  • まずはIAS(指示対気速度)とTAS(真対気速度)の関係性からです。
    TASは大まかにIASに対し1000ftで2%増加する関係にあります。
    IAS285kt * ((24000ft/1000ft) * 0.02 + 1) = 422kt
    NDのTASは約400ktなので―まあ、まずまず一致しています―いやちょっと誤差が大きいでしょうか (^Q^
    2%増加というのはあくまで近似値なので、参考程度、ですね
  • 日本上空にはジェット気流(偏西風)が吹いています。今回も例に漏れず西(南)から風が吹いていますね。
    ここで、純粋な向かい風成分を計算してみましょう。ベクトルの計算を思い出してください。
    • 我々の機首方位が丁度270°であるため、横風成分は270°-244°=26°
      cos(26°)=約0.9なので、向かい風成分は45knots*0.9=40knots
    • そうすると、以下の計算式とNDの表示がほぼ合致することが確認できます。
      • GS(対地速度)360kt = TAS(真対気速度)400kt - 向かい風成分40kt
  • マッハ数について。A320neoの典型的な巡航速度は、スペック上ではM0.78程度です
    ―ですから、今回の巡航マッハ数はちょっと遅いように感じますね。実際遅いです。
    これは巡航高度が(短距離便故に)FL240と低いからです。音速は外気温が低ければ低いほど遅くなります。
    巡航高度FL380程度のフライトでは、表示されるマッハ数もM0.78に近づいていることでしょう。
     

降下計画

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降下(Descend)はフライトシミュレーションにおいては試練のフェーズです。いつ降下を開始するかを決定しなければならないからです。
ゲームなので様々な降下方法を試すことができます―というよりは、それぞれの方法が不完全すぎるため試行錯誤が必要になるでしょう。
降下方法によって降下開始地点の算出方法も変わってくるため、降下計画は遅くても巡航中に立てておく必要があります。

以下に、フライトシミュレーションゲームにおける降下方法をまとめてみましたので、自分に合った方法を選択してください。
このページではそれぞれの方法を用いて降下する手順を紹介します。

  • ATCの高度指示を無視するなど現実ではあり得ませんが、ゲームにおいては常道だったりします (^Q^
    (他の機体や気象状況を無視した飛行であっても、ゲームでは誰も死なないからです)
降下方法(リンクをクリックして移動)概要長所短所
ATCの降下指示に従って降下する方法FS2020のATCから降下指示があってから降下するATCシステムとの親和性が良いFS2020のATCシステムの利用が必須
ATCによる降下指示が遅すぎる事が多い
降下開始地点も予測できない
マネージド・フライトによって降下する方法FMGSが算出した降下開始地点から降下する機体システムとの親和性が良いATCの高度指示を無視することになる
デフォルト機の降下開始地点の算出が微妙で、あまり信用できない
V/Sモードによる降下
1.速度と距離による計算方法
2.簡易計算方法
一定の降下率で降下することを前提に降下地点を計算する計算さえすればどの機体でも可能ATCの高度指示を無視することになる
計算が面倒
燃費が良くない
現代の実機ではあまり使われない方法
 

降下前のFMGSの設定(F-PLNページ)

本来は標準到着経路(STAR)及び計器進入方式(IAP)が決定した段階で、その設定をFMGSのF-PLNページに入力します。
しかし、今回は最初の段階で既にFS2020に設定していますので既に自動入力されています。
よってこの手順は省略します。

降下前のFMGSの設定(APPRページ)

降下方法が決まったら、FMGSのAPPRページに着陸関連の情報を入力・確認してください。

APPRページの出し方

  1. まずFMGSのPERFボタンを押します
  2. PERFページは飛行フェーズに合わせていくつかのページに分かれています。
    ページはCLB(上昇) > CRUISE(巡航) > DES(降下) > APPR(進入)という構成になっています。
    おそらくCRUISEページかDESページが開いているので、APPRページに切り替えてください。
    (このときACTIVATEと書かれたLSKは押さないでください!フェーズが変わってしまいます)

APPRページが下図のように表示されました。細かい数値は場合によって異なるでしょう。
A320_TUTORIAL_DESCEND7_1.jpg

  • 赤色の枠で囲っている欄は、パイロットが入力すべき項目です。
    項目名意味説明
    QNH到着空港の高度計規正値現段階では不明です。今回はISA標準に合わせ29.92と入力してみました。実機と違い何故か30と表示されていますね。
    TEMP到着空港の気温現段階では不明です。今回はISA標準に合わせ15と入力してみました。
    MAG/WIND到着空港の風向風速現段階では不明です。風向が140°、風速が10ktの場合は「140/10」と入力します。今回は未入力としました。
    TRANS ALT転移高度日本では14,000ftなので、14000と入力してください。
    FINAL進入方式計器進入方式(IAP)が表示されています。今回はFSの設定でILS16を選択しているので、それが表示されています。
    MDA最低降下高度計器進入におけるMDA(最低降下高度)です。今回はDHを使うので未入力としました。
    DH決心高計器進入におけるDH(決心高)です。福岡のILS RWY16の決心高は200ftなので、200を入力しました。
    進入中に滑走路を目視できないままDHを迎えた場合、進入復行(Missed Approach)となります。なお「高(Height)」という言葉は、対地高度であることを示しています。
    LDG CONF着陸設定着陸時のフラップ設定です。選択肢としてFULLとCONF3があり、*マークが付いていない方が選択されています。今回はFULLのままにしています。
     
  • 水色の枠で囲っている欄は、パイロットが確認すべき項目です。
    項目名意味説明
    VAPP進入速度現在の機体の状態における進入時の速度です。進入時に必要なので、確認し控えておいてください。
    実際にはパイロットが入力可能ですが、今回はFMGSにより算出された値を使うことにします。
    VLS選択できる最低速度MCPで選択できる最低速度
     
     

降下前の機体設定

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  1. ベルトサインをONにします
     
  2. オートブレーキを1にセットします
     

降下

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最初にも書きましたが、素人が記述している方法なのであまり当てにはしないでください (^-^

ATCによる降下指示に従って降下する方法

FS2020のゲームシステムが想定している方法です。

FS2020のATCは機体やフライトプランに基づいて降下地点を計算しているようです。
巡航高度で巡航しつつその降下地点まで到達すると、高度と共に降下指示が出ます。
が、この降下指示はタイミングが遅すぎることがあるのです。「こんなに空港の近くまで飛んでから今更降りろなんて無理だよ (..; 」という事態になったりします。

降下開始地点

巡航中、ATCから突然次のように降下を指示されます。従って、その地点が降下開始地点ということになります。

Descend and maintain altitude *****ft(またはFL***).
(降下して高度*****ft(FL***)を維持せよ)

この方法では、プレーヤーが降下開始地点を予測することはできません。
A320_TUTORIAL_DESCEND2.jpg

FS2020のATCは段階を追って降下指示を出してきます。
例えば、以下のようなやり取りを繰り返すことになります。

  1. FL240を飛行中、ATCから14000ftまで降下指示が出る
  2. パイロットは航空機をそこまで降下するようシステムをセットし、降下が開始される
  3. 14000ft付近まで降りてきたら、ATCから8000ftまで降下指示が出る
  4. パイロットは航空機をそこまで降下するようシステムをセットし、降下が開始される
  5. ...

なお、降下時はATCと交信が確立された状態においてATCの指示高度まで降下する必要があります。
ハンドオフ中に指示された高度を通過して降下しまった場合は、指示高度まで一旦上昇せよという面倒な指示が延々と来続けます。
これによって降下が遅れることになります。

 

具体的な降下手順

機体における降下方法は別に何でも良いのですが、ここではピッチモードとしてOP DESモード(Open Descent)を使うことにします(ボーイング機ではFLCHモード)。

OP DESモードは、基本的にスロットルを最小(アイドル状態)にして、MCPに設定されたターゲット速度を維持しながらターゲット高度まで降下するモードです。

  • MCPでの設定(パイロットの選択)通りに飛行するマニュアル的なモード(セレクテッドモード)の一つです。
  • DESモードとは違いマネージド・フライトの範疇に無いので、FMGSのフライトプランに入力されている高度制限や速度制限は守ってくれません。
  1. ATCから、「Descend and maintain altitude *****ft(またはFL***)」と降下指示が出ます。
     
  2. MCPのノブを使ってATCに指示された高度をセットしてから、MCPのボタンを引っ張ってください。
    A320_TUTORIAL_DESCEND3.jpg
     
  3. すると、ピッチモードがOP DESモードになり、スロットルはアイドル(最低出力)状態に下がります。
    A320_TUTORIAL_DESCEND4.jpg
     
  4. 設定高度に近づくと、機体ではそこでピッチモードがALTモードになり、高度が維持され、それ以下には降下しなくなります。
    [添付]
     
  5. ATCの方で次の降下指示が出たら、上記の手順を繰り返してください。
     
     

マネージド・フライトによる降下

コンピューター(FMGS)が算出した降下地点(トップ・オブ・ディセント;ToD)に基づいて降下を開始します。
エアバス機で「マネージド・フライト(ボーイング機等ではVNAV)」と呼ばれる機能を使います。

ところが、FS2020のデフォルト機のFMGSは簡略化されているので、思い通りにならないことがあります(^^)

  • 降下地点が早すぎたり、遅すぎたりする
  • 稀に各ウェイポイントにおける高度指定がバグる
  • そもそもマネージドモードでの指示自体が信用ならない

詳細に再現されたアドオン機体がリリースされたら、こういった機能も正しく動作するはずです。

降下時のルールのようなもの

これらの機能では、おおむね以下のようなルールに従って降下するときのToDを自動で算出してくれるようです。

  • パイロットは、先にSTARやIAP、風速などの情報を、FMGSに入力しておく
  • パイロットは、対気速度を間接的に指示しておく(コストインデックス等によって決まる)。入力されなければ単にデフォルト値
  • STARやIAP等における高度制限や、パイロットが指定した高度制限があればそれに従う
  • 高度制限や速度制限の無い範囲では、「降下時は対気速度を守り、かつ基本的にスロットルはアイドル(最低出力状態)にする」
  • スピードブレーキ(スポイラー)は、必要になったとき以外は使わない

上記のルールを簡単に言えば、「降下中はエンジン出力を最低にして、一定速度を保つようにほぼ自然滑空すれば燃費が良いはず」ということです。エンジン出力がアイドルで固定なので、速度を一定に保つために降下率を調整しながら降りていくというわけです。

とはいえ、計算と実際のフライトが一致しないこともあります。その場合は以下のようになります。
(※FS2020のデフォルト機には以下の機能は実装されていないです)

  • そのままでは降りるのが早すぎる場合は、オートスロットルがエンジン出力を上げます。
  • そのままでは降りられなくなった場合は、スピードブレーキを展開するようFMGSから指示が出ます。
    それでも降りられない場合はFMGSが警告します。

降下手順

マネージド・フライトにおける降下のピッチモードがDESモードです。
降下地点付近になったら、パイロットはMCPのボタンを押してDESモードに切り替えることで降下を指示します。

  1. 巡航していると、その内ナビゲーション・ディスプレイ(ND)のルート上に白色の矢印マークが現れます。その地点がToDです。
    A320_TUTORIAL_DESCEND1.jpg
     
  2. ToDのマークが機体のアイコンに近づいたら、以下の手順を踏んで降下を指示して下さい。
    A320_TUTORIAL_DESCEND5.jpg
    1. MCPの高度ノブを使って、MCPの設定高度を降りたい高度まで下げてください。
    2. MCP上の高度ノブを押してください(引っ張るのではなく、押す)。
       
  3. ピッチモードがDESモードになり、降下が開始されます。エンジン出力がアイドルまで減じられ、降下率が大きくなっていきます。
    A320_TUTORIAL_DESCEND6.jpg
    画像の例から次のことが分かります。
    • PFDのスピードテープに紫色の△マーカーでターゲットスピードが表示されています。
      現在の対気速度もこのマーカーと重なっています。つまり、ちゃんと対気速度がピッチ角の調節によってターゲット通りに維持されています。
    • PFDの高度テープの下側に紫色でFL127と記されています。
      これは、マネージド・フライトにおける(現段階の)高度制限を示しています。
      つまりこの場合はMCPを10000にセットしても、当該ウェイポイントを通過するまでは12700ftまでしか降りないことになります。
       
  4. MCPの設定高度が近づいたら、そこまでしか下りず、高度維持状態(ALT*モード)に戻ります。まだ降ろしたいならもう一度降下を指示してください。
    なお、フライトプラン上に各ウェイポイントの高度制限がある場合は、そこまでしか降りません。FMGSのPLNページで確認してください。
     

V/Sモードで降下する(1)

V/Sモードは、昇降率(一定時間あたりの上昇高度/下降高度)を一定に保って飛行するピッチモードです。
降下地点は、パイロットが計算する必要があります。

降下開始地点の計算方法:今回のフライトプランでの例

前にも言いましたが、今回の巡航高度はFL240(24,000ft)です。
ところで、ルート上にはEBISUというウェイポイントがありますね。
今回は、「FL240の状態から降下し、EBISUを8100ftで通過するためには、EBISUの手前何nmから降下しなければならないか」を算出しましょう。

まずはパラメータを与えます。

  • 降下時のIASは、300ktとします。旅客機なら大体こんなもんだと思います。
    但し、高度10,000ft未満は240ktで飛行することにします。多くの地域では「10,000ft未満は250kt以下」のルールがあります。
  • 昇降率は、V/S=-2000ft/minとします。旅客機なら大体こんなもんだと思います。

更に、飛行のための知識に記述した以下の簡易計算方法を引っ張り出してきます。

  • 海面高度(0ft MSL)でTAS=IAS
  • TASはIASに対して高度1000ftにつき約2%増加する
  1. FL240から10,000ftまでIAS:300ktで14,000ft降りるまでに飛ぶ距離の計算
    • V/S=-2000ft/minなら降りるのに7min(=7/60hrs)かかる
    • 24,000ftではIAS=300ktならTAS=444kt 向かい風=30ktとすればGS=約410kt
    • 10,000ftではIAS=300ktならTAS=360kt 向かい風=10ktとすればGS=約350kt
    • 平均すれば約380kt
    • 380 * (7/60) = 約44nm ←これが飛距離
  1. 10,000ftから8100ftまでIAS:240ktで1,900ft降りるまでに飛ぶ距離の計算
    • V/S=-2000ft/minなら降りるのに約1min(1/60hrs)かかる
    • 高度差があまりないので平均は取らないことにする。
      10,000ftではIAS=240ktならTAS=288kt 向かい風=10ktとすればGS=約280kt
    • 280 * (1/60) = 約4.7nm ←これが飛距離
  1. 更に、高度10,000ft付近においてIAS=300ktからIAS=240ktまで減速するのに
    1分かかるとすれば、これも飛距離約5nm

合計は、44 + 4.7 + 5 = 約55nmです。
従って、EBISUの手前55nmが降下開始地点です。

降下手順

(作成中)

V/Sモードで降下する(2)...「係数3による」簡易計算

(作成中)

 

コラム:ATCの高度指示を無視し続けるとき

ATCシステムを使用してはいるが、ATCによる降下指示を待たずに降下し始めた時は、ATCから高度に関する警告が発生します。
高度指示は無視するけどATCは繋いでおきたいという場合は、以下の手順に従ってください。
A320_TUTORIAL_DESCEND8.jpg

  1. 最初の警告
    ATCから「指示された高度より300ft下にずれています、高度*****ft(FL***)に上昇してください」という旨の交信が入ります。
    これに対しては嘘で良いので復唱する必要があります (^-^
     
  2. 次からの警告
    ATCから「早く高度*****ft(FL***)に上昇してください」という旨の交信が延々と入り続けます。
    が、これはMSのお慈悲なのか(個人の感想です)無視し続けることができます (^_-
     Please expedite your climb to *****ft(FL***).
     
  3. ハンドオフ
    別の周波数へのハンドオフが起こった場合は、周波数を復唱する必要があります。
    いつも通りハンドオフしてください。