アズカバンの囚人/6章

Last-modified: 2021-10-31 (日) 12:51:27
 


螺旋階段

■日本語版 6章 p.133
(省略)急な螺旋階段を上った。
■日本語版 6章 p.143
(省略)無言でトレローニー先生のはしごを下り、曲がりくねった階段を下り、

■UK版 p.78
(省略)climbed the tightly spiraling steps,
■UK版 p.83
(省略)descended Professor Trelawney's ladder and the winding staircase in silence,

■試訳
無言でトレローニー先生のはしごを下り、螺旋階段を下り、

■備考

  • このspiralling stepswinding staircaseはどちらも同じ「らせん階段」と思われる。
    授業の前に「らせん階段」であったものが、授業が終わって教室から戻ってくるときは
    「曲がりくねった階段」に変わってしまっている。


派手な音や匂い

■日本語版 6章 p.136
「いかに優れた魔法使いや魔女たりとも、派手な音や匂いに優れ、雲隠れ術に長けていても、未来の神秘の帳を見透かすことはできません」

■UK版 p.80
‘Many witches and wizards, talented though they are in the area of loud bangs and smells and sudden disappearings, are yet unable to penetrate the veiled mysteries of the future,’

■試訳
『世の多くの魔法使いや魔女達は、騒々しい音をたてたり嫌なにおいを出したり、突然消え失せたりすることはお得意のようですが、神秘のベールに覆われた未来の謎を見通すことはできません』

■備考

  • 不快な音や匂いの領域(the area)というのが解釈に迷うところだが
    ここは要するにトレローニーが一般の魔法や魔法使い達のことを貶めて
    『世の多くの魔法使いや魔女達は、騒々しい音をたてたり
    嫌なにおいを出したり、突然消え失せたりすることはお得意ですが~』
    と言っているのだと思うのだが…。


ドラマチック

■日本語版 6章 p.141
トレローニー先生の巨大な目がドラマチックに見開かれた。

■UK版 p.82
Professor Trelawney's huge eyes opened dramatically,

■試訳
トレローニー先生はとてつもなく大きな目をおおげさに見開いた。

■備考

  • 茶の葉占いで先生がハリーに悪運を宣告しようとするシーン。
    「まあ、あなた」というセリフに続く描写。
  • dramaticという言葉がそのまま「ドラマチック」と訳されているが
    このふたつは必ずしも同じニュアンスではないし、日本語の「ドラマチック」は
    安易なカタカナ語という印象もあるので別の言葉にしたほうが良い。
    また「目が見開かれた」という表現も日本語として自然でないので
    ここはトレローニー先生を主語に訳した方がわかりやすいのでは。


香水

■日本語版 6章 p.135
気分が悪くなるほどの濃厚な香り
■日本語版 6章 p.145
トレローニー先生の教室の、赤いほの暗い灯りとぼーっとなりそうな香水から離れてみれば

■UK版 p.79
a heavy, sickly sort of perfume
■UK版 p.84
away from the dim red light and befuddling perfume of Professor Trelawney's classroom.

■試訳
トレローニー先生の教室の赤いほの暗い灯りと頭がぼうっとなりそうな匂いから離れてみれば

■備考

  • トレローニーが香水を使っているという描写は出ていない。
    135pに「大きな銅のヤカンが火にかけられ、その火から、気分が悪くなるほどの濃厚な香りが漂っていた」
    とあるのでお香のようなものを火にくべていたのだろう。
    したがってこのページのperfumeも「匂い」あるいは「お香の匂い」などとすべき。


お先真っ暗

■日本語版 6章 p.146
死神犬と聞けばたいがいの魔法使いは震え上がってお先真っ暗なんだぜ!

■UK版 p.85
Grims scare the living daylights out of most wizards!

■試訳
死神犬と聞けばたいていの魔法使いは気を失うほど怯えるんだぜ!

■備考

  • 最初の占い学の後のロンの台詞。
  • 辞書の用例に"scare the living daylights out of him"で「彼を気を失うほど怯えさせる」というのが載っていたので
    「グリムはたいていの魔法使いを気を失うほど怯えさせる」ぐらいの意味ですよね?
  • 普通daylightは「昼の光」の意味だけど、その用例のイディオムの中では「正気、意識」という意味になるようだ。
    だから"the living daylights out of~"で「~が意識を失うほど」みたいな意味になるのだろう。
    なのに邦訳は、「光を失う」という意味で取って、無理やり「お先真っ暗」というチグハグな日本語を持ってきたっぽいな。


クラス

■日本語版 6章 p.147
あの授業は『数占い』のクラスに比べたら、まったくのクズよ!

■UK版 p.85
That lesson was absolute rubbish compared to my Arithmancy class!

■試訳
占い学なんて、「数占い」の授業に比べたらクズよ、クズ!

■備考

  • 「クラス」じゃなくて「授業」じゃないの?
    「授業」を繰り返し言う事になるからクラスにしたのかもしれないけど、 何か不自然な気がする。


こっくり

■日本語版 6章 p.149
クラス全員がこっくりした。

■UK版 p.87
The class all shook their heads.

■試訳
クラスの全員がうなずいた。

■備考

  • ハグリッドの最初の授業で「怪物的な怪物の本」が開けなかったのかといわれ生徒達がうなずく場面。
  • 原文でshook their headsとなっているのはハグリッドの質問が否定形だったため。
    これは「そのとおり」ということなので「首を振った」としなかったのは良いが
    「こっくり」は口語的表現で子供っぽく地の文にふさわしくない。


最後のしわざ

■日本語版 6章 p.151
絶対、侮辱してはなんねぇ。そんなことをしてみろ、それがお前さんたちの最後のしわざになるかもしんねぇぞ

■UK版 p.88
Don't never insult one, 'cause it might be the last thing yer do.

■試訳
絶対、侮辱してはなんねぇ。そんなことをしてみろ、その行為がこの世で最後の行為になるかもしんねぇぞ

■備考

  • 「しわざ」を単なる「行為」としていうこともあるけど「最後のしわざ」じゃ子供にはまず意味がわからないだろうね。
  • このような「しわざ」の使い方は時代物とかでは出てくるかも。
    「○○を××したはおぬしのしわざであろう」なんていうが、その「しわざ」は別に悪行や迷惑行為ではなかったりする。
    でも現代物の児童書でこういうふうに「しわざ」を使うのはよくないと思う。


洗い込まれた

■日本語版 6章 p.158
洗い込まれた白木のテーブル

■UK版 p.92
scrubbed wooden table

■試訳
丁寧に使い込まれたテーブル

■備考

  • ハグリッドの小屋。ほかにもロンの家の台所(3章P51)ハグリッドの小屋の中(7章P169)で登場。
  • scrub=たわしやブラシみたいなものを使ってゴシゴシこすりながらきれいにすること。
    本当に水をかけて洗う人もいるらしいので誤訳では無いが、日本語として考えると違和感がある。
    作者は清潔に使っている感じを強調させたかったのではないかと思われる。




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