死の秘宝/23~25章

Last-modified: 2021-10-02 (土) 20:01:25


23章


24章

自由なしもべ妖精

■日本語版 24章 p.141
自由なしもべ妖精 ドビー ここに眠る

■UK版 p.389
Here lies Dobby, a Free Elf.

■試訳

  1. 自由になった妖精 ドビー ここに眠る
  2. 自由になったハウスエルフ ドビー ここに眠る

■備考

  • 「自由なしもべ妖精」って全然自由じゃない。
  • 読んでておかしいと思わなかったのか?
  • ハリーは誇り高く死んだドビーを悼み「フリーエルフ」と墓に刻んだ。
    その気持ちを考えたら「しもべ」なんて言葉は入りようがない。
    日本語云々の前に無神経。
  • 普通の訳者ならしもべとしてても、最後の墓だけは屋敷妖精にするはずだよな。
    寒いギャグはいくらでも出るのに、何でそういうとこは工夫しないんだよ。


克服された杖

■日本語版 24章 p.161
「(略)克服された杖は、通常、新しい持ち主に屈服するものじゃ」

■UK版 p.399
'(略) the conquered wand will usually bend its will to its new master.'

■試訳

  • 「(略)奪われた杖は、たいてい新たな持ち主に従うのじゃ」

■備考

  • 杖は障害や困難じゃないから克服できないよ。
  • conquere は上のvanquishと似てて「獲得する」「打破する」「克服する」みたいな意味だけど
    この the conquered wand は普通は「(力尽くで)奪われた杖」みたいに訳す。
    bend its will to its new master も「新たな持ち主に従う」でいいと思う。
  • 杖の忠誠が移動する件とかこの巻でもっとも大切な説明なのになぁ…。


必要

■日本語版 24章 p.162
「それでは、杖の真の所有者になるためには、前の持ち主を殺す必要はないのですね?」
 ハリーが聞いた。
 オリバンダーはごくりと唾を飲んだ。
「必要? いいや、殺す必要がある、とは言いますまい」
■UK版 p.400
'So, it isn't necessary to kill the previous owner to take true possession of a wand?' asked Harry.
Ollivander swallowed.
'Necessary? No, I should not say that it is necessary to kill.'

■試訳
「それでは、杖の真の所有者になるためには、前の持ち主を殺す必要はないのですね?」
 ハリーが聞いた。
 オリバンダーはごくりと唾を飲んだ。
「必要? ええ、殺す必要がある、とは言いますまい」

■備考


確実な信憑性

■日本語版 24章 p.166(原文は改行なし)
不明瞭な記述も含めてじゃが、文献も残っており、わしら杖作り仲間は、それを研究することを本分としておる。
そうした文献には、確実な信憑性がある。

■UK版 p.402(原文は改行なし)
There are written accounts, some of them obscure,
that I and other wandmakers have made it our business to study.
They have the ring of authenticity.

■試訳
記録文献もあるんじゃよ。あまり世に知られておらんものもあるが。
わしや他の杖作りたちが研究のためそれに取り組んできたんじゃ。そうした文献には信憑性がある。

■備考

  • 「不明瞭な記述に確実な信憑性とは?」という部分と「杖作りの本分は杖を作ることでは?」という部分の二箇所がおかしい。
  • 「確実な信憑性がある。」の原文は"They have the ring of authenticity"
    「信憑性があるようだ」「信憑性が高い印象だ」というような意味では?
    参考(have the ring of truth)
    参考(ring)
  • 「不明瞭」の原語は"obscure"
    この文脈では「不明瞭な」ではなく「あまり知られていない」「無名の」という意味では?
    参考(obscure)


25章

見返り

日本語版 25章 p.178
「――見返りに」小鬼ははっきりと言った。「代償をいただきます」

■UK版 p.408
'- in return,' said the goblin firmly, 'for payment.'

■試訳

  1. 「――見返りとして」ゴブリンはきっぱりと言った。「報酬をいただきます」
  2. 「――見返りとして」ゴブリンはきっぱりと言った。「支払いを求めます」

■備考

  • グリンゴッツへ押し入るための協力を求めたことへのグリップフックの返答。
  • 「見返り」と「代償」では意味の重複になる。
  • しばらく(数日?)待たされ→協力します→やった!ありがと!→報酬を支払え→えっいくらくらい…→お金じゃない、グリフィンドールの剣をよこせ→どっひゃーという、上げて落とすような、ゴブリンらしい嫌らしさが出ているシーン。
  • 2つ目のセリフはお金を連想する物が良いのでは。「代償」だと範囲が広すぎる。
  • clearly ではなく firmly なのだから、「はっきり」よりふさわしい訳語を使ってほしい。
    (firmly=力強く[きっぱりと・断固とした口調で]言う)
  • 「小鬼」はやめて!


敷居 - 真っ青 - 白髪

■日本語版 25章 p.191
ルーピンは敷居に倒れ込んだ。
真っ青な顔で旅行マントに身を包み、風にあおられた白髪は乱れている。

■UK版 p.415
Lupin fell over the threshold.
He was white-faced, wrapped in a traveling cloak, his greying hair windswept.

■試訳

  • ルーピンは入り口で倒れこんだ。
    旅行マントに身を包んだ彼の顔は血の気がなく、白髪混じりの髪は風にあおられ乱れていた。

■備考

  • 「敷居に倒れ込んだ」では何のことやらだね。
    fell over なんだから敷居「に」倒れた訳じゃないだろうに。
  • thresholdは敷居っていうか、「玄関の外」のところの下にある板。
    イギリスもそうだけど、欧米の家はドアは「内開き」でそういうのが付いてる。
  • thresholdって玄関のところにあるとは限らないよ。
    この場合は玄関のドア部分についてるやつで、部屋と部屋の境目のより大きいから、
    そこにつまづいて倒れこんだ、みたいな状況ではないかと。
  • イギリスの家が内開きだとわかってれば容易にその場面の様子が想像が付くんだけど
    ドアが外開きの日本の読者じゃ「何でルーピン倒れてんの?」って疑問になるよね。
    注釈とかつければいいのに。
  • 敷居は鴨居とセットのイメージ。やはり日本臭がありすぎる。
    最近の翻訳者は外国文学で「敷居をまたぐ」「敷居が高い」などと書かないように気をつけているはず。
  • white-faced は「真っ青」だとちょっと深刻に具合悪いみたいだから
    「青白い」「青ざめた」くらいにしたらどうかと思う。
  • 日本語で「真っ青な顔をして飛び込んで来た」とやると、ネガティブなことを予測してしまう。
    とるものもとりあえず急いで来たんだろうから、疲れて顔色が悪く、
    髪もボサボサだっただけだと思うんだけど。
  • greying hairは「白くなりかかった髪」「白髪混じりの髪」だと思うけど・・・



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