死の秘宝/7~10章

Last-modified: 2023-07-10 (月) 10:18:10


7章

キャンプベッド

■日本語版 7章 p.162
キャンプベッド

■UK版 p.95
the camp bed

■試訳

  1. 折りたたみの簡易ベッド
  2. 折りたたみ式簡易ベッド

■備考

  • 人の家の中ではキャンプしないって。
    もうどうしようもない。

伝統を破って

■日本語版 7章 p.163
「伝統を破ってくれるじゃないか」

■UK版 p.97
"Bit of a departure from tradition, isn't it?"

■試訳
「ちょっとばかりおまえの流儀に外れてるんじゃないか?」

■備考

  • ロンがハリーに誕生日プレゼントをあげるシーン。
  • ハリーはわざと堅苦しい言い方をして、からかっているんだよ。
    照れ隠しもあるんだろうけど。
  • このtraditionは「伝統」じゃなくて「流儀」と訳すべきだと思う。
    「本かよ!」「ちょっとばかりおまえの流儀に外れてるんじゃないか?」って感じ。
    「伝統を破ってくれる」じゃよく考えないと意味分からないね。

希望の光を求めていた

■日本語版 7章 p.167
「デートの機会は、正直言って、とても少ないと思う」
「私、そういう希望の光を求めていたわ」

■UK版 p.99
'I think dating opportunities are going to be pretty thin on the ground, to be honest.'
'There's the silver lining I've been looking for, '

■備考

  • ハリーとジニーのラブシーン。
    ジニーの「私を思い出す何かを持って行って欲しい。もしヴィーラに会ったりした時とか」の続き。
  • ちっともラブラブな感じがしない稚拙な文…

奇妙な組み合わせ

■日本語版 7章 p.172
ルーピンはハリーと握手しながら微笑んだが、何だか浮かぬ顔だった。
横で晴れ晴れと嬉しそうにしているトンクスとは、奇妙な組み合わせだった。

■UK版 p.101
Although Lupin smiled as he shook Harry's hand, Harry thought he looked rather unhappy.
It was very odd: Tonks, beside him, looked simply radiant.

■試訳
ルーピンはハリーと握手して微笑んだが、何やら浮かない様子に思えた。
隣にいるトンクスがひたすら晴れやかに見えたため、とても奇妙だった。

■備考

  • 「奇妙」はoddの訳として間違ってないけど「組み合わせ」が不適切かな。
  • 奇妙なのは「組み合わせ」じゃなくて、理由の見当が付かないルーピンの憂鬱だよね。
  • 新婚さん(しかも挙式後1ヶ月未満だ)が"奇妙な組み合わせ"って、あんまりだよね。
    上手くいってなさそうでもさ。

8章

おいでなすった

■日本語版 8章 p.199
「(略)おっとどっこい、緊張しろ――見ろよ、おいでなすったぞ」

■UK版 p.116
'(略) Oh blimey, brace yourselves - here they come, look.'

■試訳
「(略)おっと、いけねえ、シャキッとしろ――お客さん達がきたぞ、ほら」

■備考

  • 結婚式シーンでのジョージのセリフ。
  • ジョージの台詞ってより長屋住まいの熊さんに似合いそうな台詞だな。
  • 何か昔の本の村の結婚式に登場する田吾作みたい。
  • 現代では「おいでなすった」何て言うのは厄介な人が来た時の言葉だね。
  • blimeyはよくロンが「おったまげ」とか言わされている奴。
    ここは「いけね」「しまった」って感じ?
  • brace oneselfは「奮起する」「気持ちを引き締める」という感じだと思うが、「緊張しろ」は可笑しい。
    ここは「シャキッとしろ」としては、どうだろうか?

ゲルヌンブリ・ガーデンシ

■日本語版 8章 p.201
「(略)あの賢い庭小人たちからどんなにいろいろ学べるかを、認識している魔法使いがいかに少ないことか!――学名で呼ぶならゲルヌンブリ・ガーデンシですがね」

■UK版 p.117
"(略)How few wizards realize just how much we can learn from the wise little gnomes - or, to give them their correct name, the Gernumbli gardensi."

■備考

  • Gernumbli gardensi(ゲルヌンブリ・ガルデンシ)と言うのは、
    Garden Gnome(ガーデン・ノーム/庭小人)のラテン語っぽい?名前。
    たぶんルーナパパが勝手に付けた名じゃないかな。
  • 英語の綴りだとノームの頭にサイレントのgが付くので、Gernumbli gardensiが
    ラテン語風のガーデンノームと分かるけど、「庭小人」では見当の付けようが無いね。
  • これノームと訳してても注釈付けないと分からないな。
    でもセリフの最後の「ゲルヌンブリ・ガルデンシ」が太字だと思わせ振りすぎる。

ピリピリした期待感

■日本語版 8章 p.207
ピリピリした期待感

■UK版 p.120
A sense of jittery anticipation

■試訳
ドキドキするような期待感

■備考

  • ピリピリした期待感って表現初めて見た。
    ピリピリって緊張感とか刺激とか痛みとかに使うと思ってた。
  • jitteryは「神経過敏な」「そわそわしてる」みたいな意味で
    sense of anticipation(期待感)と組み合わさったら少し難しいけど、
    「ドキドキするような」としても良いんじゃないかな。
    「~皆が期待でそわそわしていた」みたいな文に変えても良いだろうし。

いつでも希少価値

■日本語版 8章 p.211
「あいつ、すごいやつだぜ」ロンが感心したように言った。「いつでも希少価値だ」

■UK版 p.123
‘She's great ,isn't she?’ said Ron admiringly. ‘Always good value.’

■試訳

  1. (略)「いつもおもろいやっちゃ」
  2. (略)「いつもいい味出してるぜ」

■備考

  • 「希少価値」は意味不明だろ。そりゃルーナみたいの少ないけど「稀少」何て何処にも書いてない。
  • good valueは商品なら「値打ち物」という意味だが、
    人やイベントなら「見る価値ある」「楽しませてくれる」って事じゃね?
    つまりロンはルーナの事を「いつもおもろいやっちゃ」「いつもいい味出してるぜ」と言ってると思う。
  • ルーナは個性的というか風変わりな子ではあるけれど、日本語版は必要以上に変人奇人振りを強調したがっている印象がする。

そうはさせないぞ

■日本語版 8章 p.212
ゼノフィリウスは明らかに笑いを誘う姿ではあったが、ロンの喧嘩腰の口調はそうはさせないぞと意思表示していた。

■UK版 p.123
His pugnacious tone indicated that they were not about to laugh at Xenophilius, despite the clear provocation.

■試訳
ゼノフィリウスはどう見ても挑発的な(おかしな)様子だったが、ロンの口調は好戦的で一緒に笑うつもりはないことを示していた。

■備考

  • 結婚式の場面で、クラムがルーナの父のことを「あれは誰だ?」と聞きに来て、ロンが答えるという場面。
  • 少なくとも「そうはさせないぞ」何て訳になりそうな言葉は原文にない。

鱒ババア

■日本語版 8章 p.220
あの女を出しゃばり婆あ呼ばわりした。『鱒パパア』とな。

■UK版 p.127
called her an interfering trout,

■備考

  • ドージがリータに言ったセリフ。
  • 『鱒ババア』って一体どう言う意味なんだろう?
  • trout(鱒)は女性をバカにする時に使う言葉みたい。
    ドージはan interfering trout(UKp.127)と言ってて、interferingは「干渉する」こと。
    感じとしては「うるさいアマが」みたいな言葉だと思う。
  • 「鱒ババア」だと意味不明だね。
  • 日本では鱒に悪いイメージは無いんだから、
    注釈でも付けない限りさっぱり解らないのに何を考えてるのか。

9章

君がボスだ

■日本語版 9章 p.241
「君がボスだ」

■UK版 p.
'You're the boss.'

■試訳

  1. 「君の言う通りにするよ」
  2. 「君には逆らえないからね」

■備考

  • 日本語にはこんな決まり文句ないから、直訳じゃダメだよね。
    ニュアンスが伝わりにく過ぎ。
  • 「言う通りにします」とかそんな感じのニュアンスだった気がする。

百年目

■日本語版 9章 p.244
「いいかい、僕はスネイプに会えたら、むしろそれが百年目さ!」

■UK版 p.140
'so what? I swear, I'd like nothing better than to meet Snape!'

■試訳

  • 「スネイプに会えるなら、それこそ僕の望むところさ」

■備考

  • 結婚式から逃げ出した後、死喰い人に見つかってグリモールド・プレイスへ行こうと
    ハリーが言い出したシーン。
  • 『ここであったが百年目』をそんな端折り方するの初めて見た。
  • 「ここで会ったが百年目」でもチャンバラ劇の仇討ちみたいで可笑しいのに、
    「それが百年目」って言われてもなぁ…
  • 「スネイプに会えるなら、それこそ僕の望むところさ」
    とか何とか普通に訳せばいいだけ。何でわざわざ百年目…
  • どうしても慣用句を使いたいなら「願ったり叶ったり」とかあるのに。
    でも「望むところさ」の方が好きだけどな。ハリーの年齢にしては年寄りっぽい言い回しだから。

悲鳴を上げたが、~も叫んだ

■日本語版 9章 p.246
ハーマイオニーは悲鳴を上げたが、同時にカーテンがパッと開き、ブラック夫人も叫んだ。

■UK版 p.142
Hermione screamed and so did Mrs. Black, her curtains flying open

■試訳
ハーマイオニーが悲鳴を上げると、肖像画のカーテンがパッと開き、ブラック夫人も叫んだ。

■備考

  • 何か日本語的に可笑しくないか。
    「~悲鳴を上げたが、~ブラック夫人も叫んだ」って逆接の接続詞「が」を使ってるから後の流れが不自然だと思う。
  • 「が」は通常「原因と結果」の様な因果関係では使わない。
    原因と結果を「が」で繋いだら、それは接続詞で二つは相反する内容でないといけない。
  • 因果関係に無くても特殊な場合を除いて、二つの同じ行動を「が」で結ばない方が良いね。
  • あと「カーテンが開いて夫人が叫んだ」という語順にしたのは良いけど、
    ブラック夫人の前にカーテンを持ってきただけだと何のカーテンか分かり難い。
    「ハーマイオニーが悲鳴を上げると、肖像画のカーテンがパッと開き、ブラック夫人も叫んだ。」で良いんじゃないかな。

しつこいと感じた

■日本語版 9章 p.249
ハリーはしつこいと感じ、頭が混乱した。

■UK版 p.
Harry felt badgered, confused,

■試訳

  1. 矢継ぎ早に問われて、ハリーは混乱した。
  2. (ロンの剣幕に)気おされて、ハリーはたじろいだ。

■備考

  • 「しつこいと感じた」は誤訳では無いが、読んでいてとても嫌な感じだね。
    『矢継ぎ早に問われて、ハリーは混乱した。』とか、原文から受けるのはそんな感じ。
  • feltをバカ正直に訳出するより、原文の意を汲んで全体の感じを整えて欲しいと思う。

閂(かんぬき)

■日本語版 9章 p.251
「トイレに行く」・・・
震える手でバスルームの内側から(かんぬき)を掛け、

■UK版 p.145
"Bathroom," ・・・
bolting the door behind him with trembling hands,

■試訳
震える手でバスルームの内側からロックを掛け、

■備考

  • それにしても…バスルームの内鍵を「(かんぬき)」って言う人いる?
  • (かんぬき)は「門扉などを閉じ固めるのに用いる横木」の事なので
    バスルームのスライド錠を「(かんぬき)」と呼ぶのはアウト。
  • 和風にするにしても「掛けがね」でお願いしたい。
    (「バスルーム」の鍵を和風にする意味は無いが)
  • 台所は厨なのに風呂場はバスルームか…
    竈の上にはポットが乗ってるんだろうな。

10章

すべてお見通し

■日本語版 10章 p.265
ハーマイオニーは、ハリーに向かって、すべてお見通しという微笑み方をした。
ハリーは気に入らなかった。ハリーは手紙と写真を取り戻し、本心を見透かされまいと、
ハーマイオニーの目を避けて、うつむいたまま首に掛けた袋に入れた。

■UK版 p.152
There was a little too much understanding in the smile Hermione gave him for Harry's liking.
He took back the letter and photograph and tucked them inside the porch around his neck,
so as not to have to look at her and give himself away.

■試訳
ハーマイオニーの微笑みは、少しばかり理解にあふれすぎているような気がして
ハリーは素直になれなかった。気持ちをさらけ出したくなかったので、
写真と手紙を取り返すと、首かけたポーチに押し込んで目を合わせないようにした。

■備考

  • ハリーがリリーの手紙を見つけて、ハーマイオニーに話した後のシーン。
  • その訳はハーマイオニーが感じ悪いな。
    ゴドリックスホロウに行きたがってるハリーの気持ちなんて、親の居るハーマイオニーには理解しきれないはずなのに
    したり顔で「理解にあふれる微笑み」をしたみたいで。
  • 「すべてお見通し」は酷いな。
    訳者は、ハーマイオニーを頭は良いけど冷たい人間だと思い込んでる?
    「あんたの気持ち分かるわ」という同情心が表に出てしまっただけなのに。
  • ハリーも「気に入らない」訳じゃなく、共感されて本音を喋る様な
    雰囲気になったら嫌だから、目を逸らしてそう言う雰囲気を断ち切っているんだろう。
  • a little too much understanding ... in the smile for Harry's liking.
    (ハリーから見たらちょっと理解がありすぎる微笑み)が
    何で「すべてお見通しという微笑み方」になるんだろう?
  • ちょっと細かいかもしれないけど、tacked(押し込んだ、ねじ込んだ)と言うのを
    単に「入れた」と訳してるのも気になる。
    その癖、「うつむいたまま」と原文に無い言葉を足してるけどちゃんと訳せば必要ない。
    手紙と写真をもぞもぞ押し込む事にハリーの微妙な気持ちが出てるし、
    ハーと目を合わせない様にしてる様子が見える様で可愛いのに。

幽光

■日本語版 10章 p.278
緑色の幽光を発する小さな船には(略)

■UK版 p.160
the boat, ghostly green and thiny(略)

■試訳

  1. 影のような緑色の小さなボートには(略)
  2. この世のものではないような緑色の小さなボートには(略)

■備考

  • 「幽光」って何だろう…と思って辞書で引いたら、広辞苑にも載っていなくて漢字源でやっと見つけた。
    かすかな光。人目につきにくい光。人の奥深い徳のかがやきなどを形容…と書いてあった。
    怪光くらいで良いのに…分かり難いなぁ。児童書なんだから。
  • このghostlyは「幽霊のような、ぼんやりした、影のような」の意味。
    「光を発する」という意味は無いよ。
    「影のような緑色の小さなボート」って感じかな?
    「この世のものではないような緑色の小さな~」としても良いかも。
  • ghostは「幽霊」の事なので、ghostlyの適切な訳し方が分からず、
    「幽」の字を使って適当に書いてみたって感じだね。
  • 原書調べるのは必須だよ。
    だいたいちょっと奇妙な言葉使ってる時は訳語に困ったのが理由って多いから。

シリウスをヴォルデモートに売る

■日本語版 10章 p.284
「(略)まだおまえは、シリウスをヴォルデモートに売るのがうれしかったのか?(略)」

■UK版 p.103
"(略), but you were still happy to betray Sirius to Voldemort?(略)"

■試訳

  1. 「にもかかわらず喜んでヴォルデモートに下り、シリウスを裏切ったのか?」
  2. 「にもかかわらずシリウスのことをヴォルデモートに密告したのか?」

■備考

  • クリーチャーは主人を「売る」何て行為をしたっけ?
    ハリーに嘘ついて魔法省に行かせただけじゃなかった?
    それを追って魔法省に行ったのはシリウスの判断で他の騎士団員も止めなかったし、
    彼が死んだのは成り行きだと思う。
    でも「売った」といったらまるでシリウスを直接ヴォルに渡したみたい。
  • betray A to Bで「AをBに売り渡す」という風にも訳せるけど
    確かに「シリウスを売った」というのは状況から言ってちょっとズレてるね。
    ここは「ヴォルデモートに与してシリウスを裏切った」とかの方が違和感無いかも。
  • と言うかstillを「まだ」としか訳さない様なのがちょっと凄い。
    ここでは「にもかかわらず」「それでも」という意味だよ。
    「ヴォルデモートはレグルスの仇なのに、それにもかかわらず喜んで味方したのか?」って言ってるのに
    「まだ~売るのがうれしかったのか」って意味不明…
  • 通常betrayは「裏切る」「(仲間を)売る」「背く」「密告する」って感じかな。
    主人に「従わない」「逆らう」はハウスエルフには有り得ないんだよね。
    だからクリーチャーは命令に違反しない範囲で結果的にシリウスの意に背く行為をした。
    betray Sirius to Voldemortは「シリウスのことをヴォルデモートに密告した」でも良いかもしれない。

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  • 「鱒パパア」の部分は読んでて、ん?となった -- 2021-12-08 (水) 14:15:44
    • 注釈がないと意味不明なだけですね。 -- op2chスレ主 2021-12-20 (月) 11:32:52
  • 難しい言葉使わないでほしい -- 2022-12-31 (土) 02:13:31
    • 時代劇にしか出て来ないような単語も要らない -- 2023-01-26 (木) 14:40:17