死の秘宝/7~10章

Last-modified: 2021-10-02 (土) 19:57:33


7章

キャンプベッド

■日本語版 7章 p.
キャンプベッド

■UK版 p.
the camp bed

■試訳

  1. 折りたたみの簡易ベッド
  2. 折りたたみ式簡易ベッド

■備考

  • 人の家の中ではキャンプしないって。
    もうどうしようもない。


伝統を破って

■日本語版 7章 p.163
「伝統を破ってくれるじゃないか」

■UK版 p.97
"Bit of a departure from tradition, isn't it?"

■試訳
「ちょっとばかりおまえの流儀に外れてるんじゃないか?」

■備考

  • ロンがハリーに誕生日プレゼントあげるシーン。
  • ハリーはわざと堅苦しい言い方をして、からかっているんだよ。
    照れ隠しもあるんだろうけど。
  • このtraditionは「伝統」じゃなくて「流儀」と訳すべきだと思う。
    「本かよ!」「ちょっとばかりおまえの流儀に外れてるんじゃないか?」って感じ。
    「伝統を破ってくれる」じゃよく考えないと意味わからないね。


希望の光を求めていた

■日本語版 7章 p.167
「デートの機会は、正直言って、とても少ないと思う」
「私、そういう希望の光を求めていたわ」

■UK版 p.99
'I think dating opportunities are going to be pretty thin on the ground, to be honest.'
'There's the silver lining I've been looking for, '

■備考

  • ハリーとジニーのラブシーン。
    ジニーの「私を思い出す何かを持って行って欲しい。もしヴィーラに会ったりした時とか」の続き。
  • ちっともラブラブな感じがしない稚拙な文…


8章

おいでなすった

■日本語版 8章 p.199
「(略)おっとどっこい、緊張しろ――見ろよ、おいでなすったぞ」

■UK版 p.116
'(略) Oh blimey, brace yourselves - here they come, look.'

■試訳
「(略)おっと、いけねえ、シャキッとしろ――お客さん達がきたぞ、ほら」

■備考

  • 結婚式シーンでのジョージのセリフ。
  • ジョージの台詞ってより長屋住まいの熊さんに似合いそうな台詞だな。
  • なんか昔の本の村の結婚式に登場する田吾作みたい。
  • 現代では「おいでなすった」なんていうのは厄介な人が来たときの言葉だね。
  • blimeyはよくロンが「おったまげ」とか言わされているやつ。
    ここは「いけね」「しまった」って感じ?
  • brace oneself は「奮起する」「気持ちを引き締める」という感じだと思うが、「緊張しろ」はおかしい。
    ここは「シャキッとしろ」としては、どうだろうか?


ピリピリした期待感

■日本語版 8章 p.207
ピリピリした期待感

■UK版 p.120
A sense of jittery anticipation

■試訳
ドキドキするような期待感

■備考

  • ピリピリした期待感って表現初めて見た。
    ピリピリって緊張感とか刺激とか痛みとかに使うと思ってた。
  • jitteryは「神経過敏な」「そわそわしてる」みたいな意味で
    sense of anticipation(期待感)と組み合わさったら少し難しいけど、
    「ドキドキするような」としてもいいんじゃないかな。
    「~皆が期待でそわそわしていた」みたいな文に変えてもいいだろうし。


いつでも希少価値

■日本語版 8章 p.211
「あいつ、すごいやつだぜ」ロンが感心したように言った。「いつでも希少価値だ」

■UK版 p.123
‘She's great ,isn't she?’ said Ron admiringly. ‘Always good value.’

■試訳

  1. (略)「いつもおもろいやっちゃ」
  2. (略)「いつもいい味出してるぜ」

■備考

  • 「希少価値」は意味不明だろ。そりゃルーナみたいの少ないけど「稀少」なんてどこにも書いてない。
  • good valueは商品なら「値打ち物」という意味だが、
    人やイベントなら「見る価値ある」「楽しませてくれる」ってことじゃね?
    つまりロンはルーナのことを「いつもおもろいやっちゃ」「いつもいい味出してるぜ」と言ってると思う。
  • ルーナは個性的というか風変わりな子ではあるけれど、日本語版は必要以上に変人奇人ぶりを強調したがっている印象がする。


鱒ババア

■日本語版 8章 p.220
あの女を出しゃばり婆あ呼ばわりした。『鱒パパア』とな。

■UK版 p.127
called her an interfering trout,

■備考

  • ドージがリータに言った言葉。
  • 『鱒ババア』って一体どういう意味なんだろう?
  • trout(鱒)は女性をバカにするとき使う言葉みたい。
    ドージはan interfering trout(UKp.127)と言ってて、interferingは「干渉する」こと。
    感じとしては「うるさいアマが」みたいな言葉だと思う。
  • 「鱒ババア」だと意味不明だね。
  • 日本では鱒に悪いイメージはないんだから、
    注釈でもつけない限りさっぱり解らないのに何を考えてるのか。


9章

百年目

■日本語版 9章 p.244
「いいかい、僕はスネイプに会えたら、むしろそれが百年目さ!」

■UK版 p.140
'so what? I swear, I'd like nothing better than to meet Snape!'

■試訳

  • 「スネイプに会えるなら、それこそ僕の望むところさ」

■備考

  • 結婚式から逃げ出した後、死喰い人に見つかって
    グリモールド・プレイスへ行こうとハリーが言い出した場面。
  • 『ここであったが百年目』をそんなはしょり方するのはじめてみた。
  • 「ここで会ったが百年目」でもチャンバラ劇の仇討ちみたいでおかしいのに、
    「それが百年目」っていわれてもなぁ…
  • 「スネイプに会えるなら、それこそ僕の望むところさ」
    とかなんとか普通に訳せばいいだけ。なんでわざわざ百年目…
  • どうしても慣用句を使いたいなら「願ったり叶ったり」とかあるのに。
    でも「望むところさ」のほうが好きだけどな。ハリーの年齢にしては年寄りっぽい言い回しだから。


悲鳴を上げたが、~も叫んだ

■日本語版 9章 p.246
ハーマイオニーは悲鳴を上げたが、同時にカーテンがパッと開き、ブラック夫人も叫んだ。

■UK版 p.142
Hermione screamed and so did Mrs. Black, her curtains flying open

■試訳
ハーマイオニーが悲鳴を上げると、肖像画のカーテンがパッと開き、ブラック夫人も叫んだ。

■備考

  • なんか日本語的におかしくないか。
    「~悲鳴を上げたが、~ブラック夫人も叫んだ」って逆接の接続詞「が」を使ってるからあとの流れが不自然だと思う。
  • 「が」は通常「原因と結果」のような因果関係では使わない。
    原因と結果を「が」でつないだら、それは接続詞でふたつは相反する内容でないといけない。
  • 因果関係になくても特殊な場合を除いて、ふたつの同じ行動を「が」で結ばない方がいいね。
  • あと「カーテンが開いて夫人が叫んだ」という語順にしたのはいいけど、
    ブラック夫人の前にカーテンを持ってきただけだと何のカーテンかわかりにくい。
    「ハーマイオニーが悲鳴を上げると、肖像画のカーテンがパッと開き、ブラック夫人も叫んだ。」
    でいいんじゃないかな。


閂(かんぬき)

■日本語版 9章 p.251
「トイレに行く」・・・
震える手でバスルームの内側から閂(かんぬき)を掛け、

■UK版 p.145
"Bathroom," ・・・
bolting the door behind him with trembling hands,

■試訳
震える手でバスルームの内側からロックを掛け、

■備考

  • それにしても…バスルームの内鍵を「閂(かんぬき)」って言う人いる?
  • 閂(かんぬき)は「門扉などを閉じ固めるのに用いる横木」の事なので
    バスルームのスライド錠を「閂(かんぬき)」と呼ぶのはアウト。
  • 和風にするにしても「掛けがね」でお願いしたい。
    (「バスルーム」の鍵を和風にする意味はないが)
  • 台所は厨なのに風呂場はバスルームか…
    竈の上にはポットが乗ってるんだろうな。


10章

すべてお見通し

■日本語版 10章 p.265
ハーマイオニーは、ハリーに向かって、すべてお見通しという微笑み方をした。
ハリーは気に入らなかった。ハリーは手紙と写真を取り戻し、本心を見透かされまいと、
ハーマイオニーの目を避けて、うつむいたまま首に掛けた袋に入れた。

■UK版 p.152
There was a little too much understanding in the smile Hermione gave him for Harry's liking.
He took back the letter and photograph and tucked them inside the porch around his neck,
so as not to have to look at her and give himself away.

■試訳
ハーマイオニーの微笑みは、少しばかり理解にあふれすぎているような気がして
ハリーは素直になれなかった。気持ちをさらけ出したくなかったので、
写真と手紙を取り返すと、首かけたポーチに押し込んで目を合わせないようにした。

■備考

  • ハリーがリリーの手紙を見つけて、ハーマイオニーに話した後の場面。
  • その訳はハーマイオニーが感じ悪いな。
    ゴドリックスホロウに行きたがってるハリーの気持ちなんて、
    親のいるハーマイオニーには理解しきれないはずなのに、したり顔で「理解にあふれる微笑み」をしたみたいで。
  • 「すべてお見通し」はひどいな。
    訳者は、ハーマイオニーを頭はいいけど冷たい人間だと思い込んでる?
    「あんたの気持ち分かるわ」という同情心が表に出てしまっただけなのに。
  • ハリーも「気に入らない」わけじゃなく、共感されて本音をしゃべるような
    雰囲気になったら嫌だから、目をそらしてそういう雰囲気を断ち切っているんだろう。
  • a little too much understanding ... in the smile for Harry's liking.
    (ハリーから見たらちょっと理解がありすぎる微笑み)が
    なんで「すべてお見通しという微笑み方」になるんだろう?
  • ちょっと細かいかもしれないけど、tacked(押し込んだ、ねじ込んだ)というのを
    単に「入れた」と訳してるのも気になる。そのくせ、
    「うつむいたまま」と原文にない言葉を足してるけどちゃんと訳せば必要ない。
    手紙と写真をもぞもぞ押し込むことにハリーの微妙な気持ちがでてるし、
    ハーと目を合わせないようにしてる様子が見えるようでかわいいのに。


幽光

■日本語版 10章 p.278
緑色の幽光を発する小さな船には(略)

■UK版 p.160
the boat, ghostly green and thiny (略)

■試訳

  1. 影のような緑色の小さなボートには(略)
  2. この世のものではないような緑色の小さなボートには(略)

■備考

  • 「幽光」って何だろう…と思って辞書で引いたら、広辞苑にも載っていなくて漢字源でやっと見つけた。
    かすかな光。人目につきにくい光。人の奥深い徳のかがやきなどを形容…と書いてあった。
    怪光くらいで良いのに…わかりにくいなぁ。児童書なんだから。
  • このghostlyは「幽霊のような、ぼんやりした、影のような」の意味。
    「光を発する」という意味はないよ。
    「影のような緑色の小さなボート」って感じかな?
    「この世のものではないような緑色の小さな~」としてもいいかも。
  • ghostは「幽霊」のことなので、ghostlyの適切な訳し方がわからず、
    「幽」の字を使って適当に書いてみたって感じだね。
  • 原書調べるのは必須だよ。
    だいたいちょっと奇妙な言葉使ってるときは訳語に困ったのが理由って多いから。


シリウスをヴォルデモートに売る

■日本語版 10章 p.284
「(略)まだおまえは、シリウスをヴォルデモートに売るのがうれしかったのか?(略)」

■UK版 p.103
"(略), but you were still happy to betray Sirius to Voldemort?(略)"

■試訳

  1. 「にもかかわらず喜んでヴォルデモートに下り、シリウスを裏切ったのか?」
  2. 「にもかかわらずシリウスのことをヴォルデモートに密告したのか?」

■備考

  • クリーチャーは主人を「売る」なんて行為をしたっけ?
    ハリーに嘘ついて魔法省に行かせただけじゃなかった?
    それを追って魔法省にいったのはシリウスの判断で、
    他の騎士団員も止めなかったし、彼が死んだのは成り行きだと思う。
    でも「売った」といったらまるでシリウスを直接ヴォルに渡したみたい。
  • betray A to B で「AをBに売り渡す」という風にも訳せるけど
    たしかに「シリウスを売った」というのは状況から言ってちょっとずれてるね。
    ここは「ヴォルデモートに与してシリウスを裏切った」とかの方が違和感ないかも。
  • というかstillを「まだ」としか訳さないようなのがちょっとすごい。
    ここでは「にもかかわらず」「それでも」という意味だよ。
    「ヴォルデモートはレグルスの仇なのに、それにもかかわらず喜んで味方したのか?」って言ってるのに
    「まだ~売るのがうれしかったのか」って意味不明…
  • 通常betrayは「裏切る」「(仲間を)売る」「背く」「密告する」って感じかな。
    主人に「従わない」「逆らう」はハウスエルフにはありえないんだよね。
    だからクリーチャーは命令に違反しない範囲で結果的にシリウスの意に背く行為をした。
    betray Sirius to Voldemortは「シリウスのことをヴォルデモートに密告した」でもいいかもしれない。




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