ユニゾンデバイス(A's)

Last-modified: 2024-03-03 (日) 21:48:56

融合型デバイス

俗称「ユニゾンデバイス」
ベルカによって開発されたデバイスで、言うなれば、ミッドチルダ式のインテリジェントデバイスを極端化したもの。 姿と意志を与えられたデバイスが、状況に合わせ、術者と「融合」し、魔力の管制・補助を行う。 この形式では他の形式のデバイスを遥かに凌駕する感応速度や魔力量を得ることができる。 しかし、融合適性を持つ者の少なさや術者に合わせた微調整・適合検査の手間、そして何よりデバイスが術者をのっとり、自律行動を始めてしまう「融合事故」の危険性・事故例により、製品化に至らなかった。
融合型デバイスは正しく使っても髪や瞳に変色が見られるなどの顕著な変化が見られる。 外見が術者とデバイスのどちらに近いかで制御できているかどうか区別ができる。 使いこなせていないと完全にデバイス側の外見になってしまうことがある。 (以上全て公式設定から)
また、普段は主導側の思念通話に融合側が答えるという形で対話が行われるが、どちらか片方が意識を失ったり、行動能力を失っている場合には、内部空間で臨時の保護・治療、行動の支持や相談が行われる。
この際、主導側のマルチタスク能力によっては内部で治療を行いながら外部で戦闘や移動等の行動を続けることが可能。(A'sDVD5巻ブックレット)

闇の書(夜天の書/夜天の魔導書) (Buch der Dunkelheit)

CV:Alexandra Haefelin
使用者:八神はやて
「魔法少女リリカルなのはA's」で、物語の中核をなすロストロギア(指定遺失物)として登場した融合型デバイス。 ドイツ語の綴りは、A'sDVD第4巻初回特典が初出。
本来の名は「夜天の魔導書」(公式ページでは夜天の書。A's第13話ではどちらの名称も使われている。)で、主と共に旅をして、各地の偉大な魔導師の技術を収集し、研究するために作られた収集蓄積型の巨大ストレージ(A'sSS02)。 しかし、歴代の持ち主の何人かがプログラムを改変したために破壊の力を使う「闇の書」へと変化したと思われる(A's第8話)。
ロッテ曰く「古代魔法ならその位はありかもね」「元は健全な資料本が、なんとまあ」
その改変により、旅をする機能が転生機能に、復元機能が無限再生機能へと変化してしまった。これらの機能があるため、闇の書の完全破壊は不可能とされる。
また、真の持ち主以外によるシステムへのアクセスを認めない。それでも無理に外部から操作をしようとすると、持ち主を呑み込んで転生してしまうという念の入りようである。ゆえにプログラムの停止や改変ができないので完成前の封印も不可能。
(1期「魔法少女リリカルなのは」での"封印"とは意味が異なる。別項参照)。
転生直後は、全頁が空白になっている。 この頁は、魔力の源であるリンカーコアを蒐集することで埋まるが、完成前に闇の書を用いて魔法を使用すると、使用した魔力の分だけ再び空白に戻ってしまう(A's第6話)。 頁は全部で666頁あり、一人の魔導師や生物のリンカーコアを蒐集できるのは一度きりである。 この666とは獣の数字または悪魔の数字とされており、悪や闇の象徴的数字でもある。 参考:666@Wikipedia
このリンカーコアを蒐集することで、その術者の使う魔法をコピーする機能があり、実際になのはのリンカーコアを吸収した闇の書の意志はスターライトブレイカーを放って見せた。 A's第10話で登場した怪物たちも、それまでにヴォルケンリッターたちが蒐集していた異世界の生物に酷似している。
ただし、コピーした魔法でも、元々の術者との魔法資質の違いで別の効果となったり、術式を組み直す必要があったりする。前者はスターライトブレイカー(チャージ時間が長くかかり、オリジナルにはない広域攻撃属性が付与)、後者はフォトンランサー・ジェノサイドシフト(フォトンランサー・ファランクスシフトを闇の書の意志が、自分の適性に合わせて「集中射撃型」から「広域拡散型」に改変・調整した)がその例。
本編中では、作り出した守護騎士たちを再び吸収することで、最後の頁を埋めた。 この行為は過去にも何度か行われたことらしい。(A's第9話。仮面の戦士談)
頁が全く埋まっていない状態でも自力で空中を浮遊して移動することができ、ある程度頁が埋まった状態では自力で次元転移までしていた。散歩好きとも言われていた(漫画版Report5)。
現在のところ、なぜはやての家に闇の書があったのかは不明だが、リインによるとはやてが産まれてすぐの頃からはやてと共にあったらしい(A'sSS02)ので、11年前の事件の後、直接ここに転生してきたものと思われる。ユーノの調査によると、転生先は、闇の書に合致する魔力資質の持ち主をランダムに選ぶらしい。
一定期間、頁の蒐集がないと持ち主自身の資質(リンカーコア)を侵食する。 八神はやての身体の麻痺はこのリンカーコアへの浸食が原因だった。
完成後は、持ち主が闇の書の意志(管制人格マスタープログラム)と融合することで、巨大ストレージ「闇の書」に蓄えられた膨大な魔力データの魔力を行使できる。 当然蒐集した対象の魔法も使え、莫大な魔力がある分オリジナルを上回る威力を生み出す可能性もある。 おまけにサポートも闇の書の意志が行ってくれる。
ただし、所有者に選ばれても、蒐集によって魔導書を完成させた後に管制プログラム・防御プログラム双方の認証を受けなければ管理者権限を得られず、機能の全てを使用することはできない。
そして、自律思考を持たない防御プログラムの破損によりこの認証が正常になされず幾度も暴走を起こしていた。
元々の姿である「夜天の魔導書」がそもそも融合型だったのか、それとも「闇の書」に改造されたときに融合型にされたのかは、今のところ不明である。
A's第10話では、突撃してきたフェイトを内部に取り込み、心地よい夢を見せることで無力化を図ったが、元々そういう機能が闇の書にあったのか、蒐集した魔法の一つだったのかについては不明。 A'sSS03でフェイトが少し説明している。
A's第11話で暴走部分である防衛プログラムの分離に成功し、闇の書と畏れられた莫大な力の大部分を失った代わりに管制プログラムを解き放った。 そして続く第12話で、新しく名を与えられた管制人格「リインフォース」と主はやては、今度は本来の形で融合する。
この時の起動呪文は以下の通り。

「夜天の光よ、我が手に集え。祝福の風、リインフォース、セットアップ!」

融合後のはやての6枚のハネは実際に生えているのではなく、一種の魔法らしい(A's設定資料集から)。
その後、なのは達の協力もあって防衛プログラムの破壊には成功するが、無限再生機能のため、すぐに狂った防衛プログラムを自ら作り出してしまうこと、もう既に元の「夜天の魔導書」としての姿はないため、再構成も不可能であることから、リインフォースの願いにより、なのはとフェイトの協力のもと、破壊された。
その破片として、主はやての元に残された剣十字は、後に新たなデバイスの器となる。

闇の書の特徴として、人の姿を持ち、自律行動する魔法生命体(プログラム)を作り出した事が挙げられる。現在のところ、他のデバイスにはこのような機能は認められない。 融合型デバイスの特徴なのかもしれないが、本編では闇の書以外に融合型デバイスが登場していないので不明である。

闇の書(夜天の魔導書)に付随するものとして、以下のものがある。

  • 守護騎士ヴォルケンリッター(Wolkenritter)
    闇の書とその主を守るために生み出された、将の「剣の騎士」シグナム、参謀の「湖の騎士」シャマル、そして「鉄槌の騎士」ヴィータと「盾の守護獣」ザフィーラの4人からなる魔法生命体。
    闇の書の第1次覚醒と共に現れ、以後闇の書のページを元に戻すために魔力蒐集を行い、同時にその主を守る。
    管理者権限を持つ主は、魔力付与による彼女達の破損再生や記憶・感情のリンクが可能。
    なお、闇の書の意志(リインフォース)はそれぞれ「烈火の将」、「風の癒し手」、「紅くれないの鉄騎」、「蒼き狼」、と呼んでいる。 この呼び方をするのは闇の書の意志だけなのだが、その闇の書の意志と時々精神リンクしていた関係で、はやてが無意識にそう呼ぶこともあった。(A's SS02)
    ヴォルケンリッターは直訳すると「雲の騎士」となる。
    「夜天の主あるじに集いし雲」(A's第6話の、はやての前に初めて現れたときのザフィーラのセリフ)
    上記のセリフから、「闇の書」が「夜天の魔導書」だった頃からヴォルケンリッターが存在していたことが推定される。
    ベルカ式魔法を使い、アームドデバイスを使いこなす。 ベルカ式の特性である対人戦闘に特化しており、
    「1対1なら我らベルカの騎士に」(シグナム)「負けはねえ」(ヴィータ)
    とのことである。
    これまでも闇の書の登場と共に現れていたが、感情もなく、ただ命令を遂行するだけのプログラムだった(A's SS02で、昔のヴォルケンリッターの様子を知ることができる)。
    だが、今回の闇の書の主、八神はやてによって人間扱いされ、以後急速に人間らしさを見せるようになった。
    「私達全員、随分変わったわ。みんな、はやてちゃんが私達のマスターになった日からよね」(A's第6話、シャマル談)
    A'sSS02でベルカの女領主の元に転生した時「守護騎士達は異形の業?によるもの」だったせいで、人目に付かないよう城の地下牢(石の床で、ジメジメしていて、水の流れる音がする。寒いらしい)に住まわされていた。ゴッツイ鎧型バリアジャケット以外の普段着は貰えなかった為、休息する時は非常に薄着。恐らくはやてが召還したとき身に着けていた黒いアンダーなのだろう。
    使用するアームドデバイスは元々持っていたものだが、バリアジャケット(シグナム曰く「騎士甲冑」)は、その時々の主のイメージによって作成される。現在のバリアジャケットは、当然はやてのイメージによるもの。
    A's第9話で仮面の戦士によってリンカーコアを闇の書に蒐集され、全員消滅したが、12話で暴走部分を切り離した闇の書から送還、再生され、最終決戦には主はやてと共に挑む。
    A's第12話での修復の台詞は以下の通り。

リンカーコア送還、守護騎士システム破損修復。……おいで、私の騎士たち』(はやて)
修復された後、はやての下に集結した際に述べた4人掛け合いの口上は以下の通り。

 『我ら、夜天の主の下に集いし騎士』(シグナム)
 『主ある限り、我らの魂尽きる事なし』(シャマル)
 『この身に命ある限り、我らは御身の下にあり』(ザフィーラ)
 『我らが主、夜天の王、八神はやての名の下に』(ヴィータ)
 
なお、この修復時に、守護騎士システムも闇の書から切り離されていたことが、A's第13話で明らかにされた。 このため、闇の書の消滅後も彼女らは残ることが出来たのだが、これは同時に闇の書の持っていた無限転生機能も失ってしまったため、はやてからの魔力供給が絶たれた時点で再生が不可能になることを意味している。 だが、そのことをむしろ前向きに受け入れた彼女らは、リインフォースから願いを託されて、それ以後、「最後の夜天の主」八神はやてを見守り続ける。(A'sSS03)

  • 闇の書の闇(防御プログラム)
    CV:小林沙苗
    八神はやてがリインフォースから切り離した防御プログラムの暴走部分。
    闇の書の無限再生機能を持つため、尋常ならぬ高速再生能力を持つ。 初期状態ではさらに、魔力と物理の複合四層式バリアを持っており、生半可な攻撃はそもそも本体に届かない。
    擬似生体部品で構築された柔軟な体と、脚部や胸部の外皮を覆う硬質装甲の肉体を持つ。
    攻撃能力は接触侵食と生体部品による打撃、単純砲撃のみだが適切な処置がなされぬ場合、無限再生機能により触れた周囲の物体や生命をを侵食して取り込み、無秩序かつ無限に成長していく。
    A's第12話はこの処理に費やされた。
    最終的に、露出したコアを軌道上に強制転送されたところで、アースラのアルカンシェルの直撃を受け、蒸発・消滅した。
    夜天の魔導書を呪われた闇の書と呼ばせたプログラム……闇の書の、闇。』(はやて)
    ただし、一度完全に消滅させても、闇の書の根幹ともいえる部分のプログラムであるリインフォースが残っている限り、防衛プログラムも数日で再作成されてしまうため、リインフォースが自ら消滅することで、最終的に幕を引くことになった。
    本来の防御プログラムの役目は、主や魔導書本体を保護すると同時に、蒐集したデータをバックアップし、万一破損した場合はそれを修復するためのものだった。

  • 夜天の魔導書の紋章(公式曰く「剣十字」)が先端に付いている杖。公式設定でも具体的な名称はなく、「杖」とされている。
    A's第12話において、リインフォースと融合したはやては、この杖と魔導書を手にして、闇の書の闇に立ち向かった。
    一般的なデバイスのように魔法管制・記録能力はほとんど無く、杖本体は加速・圧縮などの魔力サポートのみを行っている。 都築氏によると「単なる砲身」とのこと(メガミマガジン2006年6月号)。
    この理由は不明だが敢えて推定すると、はやての場合には、魔導書本体がストレージとなり、融合したリインフォースが管制をしているため、一般的なデバイスの機能が不要なのではないかと推測される。
    実際に、この杖が他のデバイスのように音声を発している場面はない。
  • 破片
    リインフォースが消滅した後、はやての手に残した剣十字の破片。リインフォースが形として残した唯一のもの。
  • 蒼天の書
    A'sエピローグで、下記のリインフォースIIが手にしていた魔導書。表紙の紋章等、形状は闇の書と同一だが、色は青だった。 一瞬登場しただけだったので、リインフォースとの関係やデバイスとしての役割など、詳細は一切不明だったが、DVDブックレットで新たな本型ストレージと判明した。
    A's本編エピローグにて、はやてはリインフォースが残した剣十字の破片から、下記のリインフォースIIを呼び出していた。 ここから、はやてがその時には闇の書に代わる新たなデバイスを使っていることが判明した。
    このデバイスは、登場が上記の通り一瞬だったため、どのようなものか分からず、ミッドチルダ式ストレージデバイスやインテリジェントデバイスではないか、という説もファンの間ではあった。 が、A'sSS03ではやてが自作の融合型デバイスを作ろうとしていたことが判明した。
    「リインフォースの名を継ぐ子は、やっぱり融合型で、わたしが自分で作らなあかんなぁ……ってな」(A'sSS03はやてのセリフ)
    A'sSS03によれば、管理局メンテナンススタッフのマリーや、さらに無限書庫の司書になったユーノの協力も得ていた様子である。
    当然ながら、融合型デバイスの制作方法のノウハウなどは無いに等しい状況だったことに加え、はやてがミッドチルダ式とベルカ式の両方の術式を使うため、制作には困難を極めた様子である。 融合型デバイスの制作に先行して杖を制作しているが、この杖もA'sSS03時点で既に試作品6機が破損しており、その後の漫画版Epilogueの時点で、バージョン8の杖が登場している。
    最終的に、A's本編エピローグの時点で、本型ストレージ「蒼天の書」、管制デバイス「リインフォースII」、そして補助的なアームドデバイス「シュベルトクロイツ」の3つからなる、新たな融合型デバイスが完成しているものと思われる。