異常エリア
月下奇譚
カンフーシスター
生まれたての仔牛は虎を恐れず、剣を手に天涯を行く。へへっ、昔のあたしと同じじゃん。
- カナダに着いたばっかだし、カメラテストの結果を待ってる間に、他の仕事してみよっかな。お姉ちゃんはいないんだもん、自分がしっかりしなきゃ!
スタジオを掃除する(CCを25獲得)
エキストラに加わる(ランダムに関数を1つ獲得) - ナシタに演技用のソフトウェアを教えてもらった。
「ん?『ライダーカブトW』模擬ソフトウェア?」
リストにはないソフトウェアだ、試してみようか?
「すべての悪は、償われる!」(【脅威上昇・OC】状態を獲得。次の衝突エリアでの敵の最大HPと攻撃力+15%。その代わり報酬が4倍になる。出力端末を除く)
得体の知れないソフトはやめておこう(CCを40獲得) - 撮影現場で人々が討論しているのが聞こえる。
「古箏演奏用人形だけど、確かに才能あるな」
「俳優人形じゃないのに、演技なんてできるの?」
もっと演技について学ばないと(【報酬2倍】状態を獲得。今から3つの衝突エリアでの獲得CCが2倍になる) - ナシタは朝5時から絳雨を訓練に誘った
「仕事がなくたって、演技の訓練は大事だぞ」
ナシタと訓練する(戦闘開始。撃破後、専用関数【広域衝撃】を獲得)
朝早すぎる、もう少し寝ておこう(立ち去る)
- ナシタに街を案内してもらった。一人で暮らすからには、周囲の環境に慣れておかないと。
- ショッピング街に向かう(交易エリアを生成して入る)
- 撮影スタジオに向かう(関数エリアを生成して入る)
- 宿舎への近道を覚える(異常エリアを生成して入る)
習武の鉄拳
江湖で名を馳せるには、確かな実力がないと。はぁっ!あれ…足が抜けなくなっちゃった…
- マグニルダとの訓練。マグニルダの鋭いパンチになかなか近寄れない。
正面突破だ!(所持関数を昇格する)
隙を探そう!(CCを30獲得)
- 深夜、絳雨の部屋に明かりが灯っている。
「まだ寝ないのか?」「スー先生の作品見てる!」
「ちゃんと休んでおかないと、明日の訓練に響くぞ」
こっそり見る(【脅威上昇・OC】状態を獲得。次の衝突エリアでの敵の最大HPと攻撃力+15%。その代わり報酬が4倍になる。出力端末を除く)
やっぱり寝よう(CCを40獲得) - ナシタが絳雨の宿舎へとやってきた。
「絳雨、今日のコスチュームは準備できたか?一緒に確認しようか」
「うん、お願い!」(CCを30支払い、ランダムに正のプロトコルを1つ獲得)
「ううん、大丈夫!」(ランダムに中性プロトコルを1つ獲得) - 路上で奇妙な物乞いに会った。
「そこなお嬢さん。立派な体つき、それに聡明だ。カンフーの奥義書に興味はないか?」
空から手が降ってくる技を習得したい!(すべてのCCを支払い、ランダムに橙色関数を1つ獲得)
それじゃ、もらっとくね!(ランダムに関数を1つ獲得し、立ち去る) - マネージャーの話によると、とある映画でスタントマンの代役を募集しているらしい。
「応募してみたい!」(【高効率コンパイル】状態を獲得。次の交易エリアで商品を購入する際、3回だけCC消費量が半分になる
「ちょっと危険かも…」(CCを25獲得)
クラウドマスター
偉大な侠客は、名利を求めず…えーっと、それからなんだっけ?
- 纏枝が奇妙な通信を受け取った。
「駐カナダ中国大使館です、お届け物が…」
「えっ?銀行のカードね。うん、わかった!」
纏枝を止める(所持関数を昇格する)
通信番号を通報する(CCを30獲得)
- マグニルダがアクション指導をしている。
「緊張感を持たせるなら、視線と動きを変えないと
「絳雨、丁度よかった。手本をお願いできるかい?
「もちろん」(作戦開始!撃破後、専用関数【治療減衰】を獲得)
「ごめん、監督に呼ばれてて」(立ち去る)
- 制作チームの誰かが討論している。
「どっちがいいかな?」「カクロットでしょ」
「でも絳雨ちゃんも頑張ってるしなぁ…」
「うーん…だけど世間がどう思うか…」
あたしの努力は無駄じゃなかった(【報酬2倍】状態を獲得。今から3つの衝突エリアでの獲得CCが2倍になる) - ナシタと絳雨がカクロットについて話している。
「もしまたカクロットを前にしたら…お前はどうする?」
先制攻撃だ!カクロットを攻撃する!(関数2つ獲得する代わりに、全員がHPを20%失う)
お姉ちゃんの「情で心を動かし、道理で納得させる」を試してみようかな?(関数を1つ獲得)
- カクロットの本を買ってみようかな?
「『カクロット―ー愛される俳優の秘訣』第一章…」
「何この本、意味わかんない。眠くなってきた…」
やっぱり別の本にしよう(CCを20支払い、全員の最大HP+20%)
「…zzz…お姉ちゃん…もう食べれない…ぐー…」(全員の最大HP+10%)
レジェンド・オブ・ヒーロー
王道のカメラワーク、爆発的なアクション、そして……最も真摯な感情!これしかない!
- マグニルダはヴィーに絳雨の検査を頼んだ。
「ほぼ治ってるね、顔のケアを試してみない?」
「えっ?」「大丈夫、きっとスッキリするよ」
試してみる(CCを20支払い、全員の最大HP+20%)
やっぱりやめる(全員の最大HP+10%)
- 代理スタントの仕事が来た、リハビリに丁度いい。
「お疲れ様、今日の報酬よ」「そうそう。他の映画でアクション俳優を探してるんだけど、興味ある?
痛みをこらえてアクションをこなす(CCを60獲得する代わりに、全員がHPを20%失う)
「ごめんなさい、安静にしてなくちゃ」(CCを30獲得して立ち去る)
- 纏枝を騙している占い師を捕まえた。
「お助けを!老親と赤子が…どうか見逃して…」
「見逃してあげよ…御札を30枚買っただけだし…」
厳しく警告する(【高効率コンパイル】状態を獲得。次の交易エリアで商品を購入する際、3回だけCC消費量が半分になる
警察につきだす(CCを25獲得)
- 『ファンキーハウンド』の監督がエキストラの稽古を始めた。稽古場には見慣れた人形が。
「絳雨、なぜここに?今回はただの基礎稽古だよ」
「えへへ。あたしがマグニルダの助手になってあげる」(CCを25獲得)
「お姉ちゃんが基本は大事だって言ってたから」(ランダムに関数を1つ獲得) - 撮影の休憩時間を使って、お姉ちゃんへのお土産を選ぼうっと。
- 記念品ショップに向かう(交易エリアを生成して入る)
- グルメ街に向かう(関数エリアを生成して入る)
- 裏路地から奇妙な声が聞こえる(異常エリアを生成して入る)
侠影丹心
自分で選んだ道だ。しっかり歩んで、真のクンフーのなんたるかを見せてやる!
- 「やっほ~!あなたがあの有名な教授さん?」
新しく訪れた客人は、姉の黛煙とはまったく違う性格と風貌をしていた。軽やかで熱意に満ちている。
どうやら、私の名を知らない者はいないようだ。オアシスへようこそ、絳雨。誰もが知る銀幕のスター
簡単に挨拶を済ませると、絳雨は思った通り、黛煙の名を口にした。
「あのさ…お姉ちゃんって、ここにいるの?」
彼女もここにいるよ - 私が肯定すると、絳雨は興奮しだした。
傍にいたペルシカが思わしげな表情を浮かべる。
「この方、黛煙さんと血の繋がりとも呼べる絆がおありなんです。はやく二人を会わせてあげましょう、教授」
「お姉ちゃんも、この日をずっと待ってたはずだよね…ぐすっ…」
「ええ。よく絳雨さんのお名前を口にされていますよ。待ちに待った再会ですし、きっとお姉さんも喜ぶことでしょう」
もちろん…だけど、ちょっとした計画があるんだ。ふたりとも興味はないか? - 私がそう言うと、ペルシカは信じられないという表情を浮かべた。一方、絳雨は興味津々の様子だ。
「お姉ちゃんにサプライズするの?賛成!」
サプライズについて話す
「教授!あたしね、映画を撮影して、この気持ちをお姉ちゃんに伝えたい」
絳雨のアイディアに、私とペルシカは賛成した。
「えへへ。そうすれば、お姉ちゃんもあたしの成長に気づいてくれるもん。そうだ、オアシスに撮影用の機材はある?」
もちろんある。オアシスは逸材揃いだ、脇を最高の役者で固めてあげよう
- 「お噂はかねがね…いやいや、やっぱ興奮してしまうわ~!銀幕で見慣れたカンフースターとお近づきになれる機会なんて、めったになかろうもん!」
「そういや黒澤女史のアトリエに、この子ン出とった全映画の超高画質ディスク完備されとったな…」
彼女は野良。頭のぶっ飛んだ脚本家だよ、名前は知ってるかもしれないね
「腕の見せどころ?…うちは大歓迎だけんど?」
その後、野良が条件を出してきた。作品にサスペンス要素を付け加えたいそうだが、私はそれを断った。
丸一日間の絳雨との打ち合わせを経て、野良は脚本の草案を出してきた。
めでたい日にさすがにそれはないだろう…
- 「やぁ、絳雨じゃないか。久しぶりだなね。そうそう『センチネル・オラクル』」見たよ。『ファンキーハウンド』の時よりもずっと良い動きしてた」
意外なことに、絳雨とマグニルダは現実で何度も仕事をともにしていた。
マグニルダは、誰もが敬服するボクシングの王者だ
二人は撮影現場で熱烈に語らい始めた――最後に会った時から今までの、格闘技から得た感銘を。
絳雨は海外で様々な人物から各流派の格闘技を学んでいる。そのうち、現代ボクシングや総合格闘技の技術をはマグニルダから学んだものだ。絳雨はそういった努力を通じて、アクション映画界における地位を手に入れたのである
なるほど、想像に難くない
- 「俺は世間には疎いが、お嬢さんのことなら知っている。お会いできて光栄だ、絳雨さん」
パイソンの隙のなさは相変わらずだ。脚本を担当した野良によると、物語のとある重要人物は、彼のルックスと技術なくしては成り立たないらしい。
マグニルダよりも殊勝な体格だ、詠春マスター対ボクシング王の映画を思い出す
「こんにちは、パイソンさんも運の出身なの?映画業界にも、退役したアクション監督さんがたくさんいるよ!み~んなすっごく厳しいの!」
彼女のパイソンとの会話を聞いていると、絳雨と黛煙のベースはちかしくても、二人がまったく異なったデザインであるのがわかる。
正反対の二人が深い絆を持っていることが、とても尊く感じるな
- 「ナ…ナシタ???」
珍しくラフな格好をしたナシタに会うと、絳雨は奇妙な表情を浮かべた。興奮のあまり彼女の声が震えだす。
「超久しぶり!!!」
「うわっ…そ、そんなに興奮するな!ううっ、く、くすぐったいぞ!」
二人はしっかりと抱きしめ会った。やがて絳雨がやや恥ずかしげに手を放す。
「ナシタ!あたしね、良いこと思いついたんだ…(凄まじい情報量を滔々と述べる)興味あるよね?あたしたち、ずっと一緒にお芝居してなかったじゃん!」
この二人にも、物語がありそうだ
- 「超最強のトップ配信者、ARASHI流第14代目後継人――クロ。さっきはよくも…」
扉が押し開けられた瞬間、ギラギラ輝く、配信ルームが奇妙な沈黙に陥った…
「えーっと、あなたは?」
「さっき紹介したっしょ?超最強のトップ配信者――」
「わぁ…すごーい!」
ARASHI流第14代目後継人、出番だよ
「えっ?ちょっと、ほ、本気なの?」
配信ルームの弾幕が大いに湧いた。汗だくのクロはバク転をしてみせたが、顔から地面に着地してしまう。
君を真のARASHI流第14代目後継人にできるよ、興味はある?
- 「思ったより順調じゃん。オアシスって優秀な人たちがたくさんいるんだね」
その後、私たちはエキストラに数名の人形を集めて、バーバンクか大型撮影設備を拝借した…初めは訝しげにしていたペルシカも、結局はこの計画に同意した。
上手くいくと確信しているからこその計画だよ
ふりむいて窓辺にいる絳雨を見ると、彼女は感慨深く何かを考えている様子だった。
「準備は整ったね。でも、一つだけ…本当に、あたしに演じられるかな?」
「昔だったら、きっと迷わず大丈夫だって言えた。でも…久しぶりに会うお姉ちゃんに自分の成長とか、一番カッコいいところとか、お姉ちゃんに追いついてるとこ見せるんだって…そう考えたら、あたし…」
君にならできるさ、絳雨。お世辞じゃない…心からそう思ってる
- 「あたしたちね、『姉妹』っていう特殊な絆を最初から与えられてたの。お互い性格は全然違うけど――一人は月明かりみたいに清らかで、もう一人は火花みたいに元気で。月明かりと比べたら、火花なんて霞んじゃうよね」
「誤解しないで。あたし、お姉ちゃんに嫉妬したことなんて一度もない。だけど…本当に羨ましいんだ…お姉ちゃんに追いつきたい、お姉ちゃんみたいになりたいよ」
だから外国へ?
「その通り。この願いがあたしを異国への旅路へと赴かせた…すごく寂しかった。話し相手もいないし、暖かく抱きしめてくれる逃げ場もない」
「お姉ちゃん、あたしね、どんどん強くなってるんだよ。お姉ちゃんをビックリさせてあげたくて…でも、お姉ちゃんいなくなっちゃった。せっかく追いついたのに、今度は…」
……
- 「映画の撮影は明日からだよ、準備はいい?」
「うん!…あ、なんか忘れてるような気が…?
オアシスへの登録を忘れてないか?
「そういえば、登録手続きをすっかり忘れてた!」
【権限ログイン済】
【シグネチャコード所属:クラウドセクター】
【型番:CM-ENT2,0B】
【ニューラルクラウド計画のメンバーだと確認】
【絳雨さん、追放者のオアシスへようこそ】
よし、準備万端だ。お姉ちゃんを驚かせてやろう!
旋盤モード
中秋激闘
少女捜査官
駆け出しの捜査官は、義侠の心を宿す。え、頭がよくないとダメ?頭突き技は習得したよ!
スー爺さん | この世に絶対的な静止は存在しない、物事は常に運動し続けている。 |
---|---|
スー爺さん | 運動は多くのものをもたらす。変化、衝撃、エネルギー、そして……「破綻」。 |
スー爺さん | 相手の隙を見計らい、タイミングよく精確に攻撃を当てれば、柔は剛を制す。 |
スー爺さん | こんなふうに……ハァッ! |
絳雨 | うわぁ、すごい! |
スー爺さん | わかったか、絳雨? |
絳雨 | はい、師匠! |
スー爺さん | お前に教えられることは、これだけだ。いいか、侠者たるもの名利を貪るなかれ、強きを恃(じ)して弱きを凌ぐことなかれ。 |
スー爺さん | カクロットの過ちを、繰り返してはならん…… |
絳雨 | はい! |
絳雨 | ふぅ……師匠と離れてずいぶん経つなぁ。師匠の教えどおりに、復習してみるか。 |
---|---|
絳雨 | ここはその名も「綻びグリッド」!どうにかしてこの上に立てば、死角から敵のスキを突けるの!一撃必殺ッ! |
絳雨 | 教授、自分の部隊を選んで。 |
絳雨 | 教授、ここまで移動してみて。 |
絳雨 | ちなみに「綻びグリッド」の原理がわかるのは味方だけだから!敵が乗っても反応しないから安心して! |
道場の代理人 | お嬢ちゃん、どこのモンだ?いきなり道場の扉を蹴り破るたぁ、いい根性してるぜ! |
---|---|
絳雨 | 近所の住民に聞いたぞ!怪しい黒ずくめ者たちが、この道場に出入りしていると! |
絳雨 | しかも、中からは人の悲鳴と金属のぶつかり合う音が聞こえるんだとか。言え!ここでコソコソと何をやっている!? |
道場の代理人 | わけのわからんことを。とっとと失せろ、でないと容赦はしねぇ! |
絳雨 | 暴力は避けたかったけど……付近の住民が困ってるのを、放っておくわけにはいかない! |
絳雨は構えを取った。 | |
絳雨 | 時間を無駄にしたくない、全員かかってこい! |
道場の代理人 | こいつ、ナメやがって……かかれ! |
道場の門下生 | うおおおおお……!!! |
---|---|
道場の門下生 | つ……強すぎる…… |
絳雨 | ふぅ……ちょっと力入れすぎたかな、ちゃんとコントロールしなきゃ。 |
道場の代理人 | 全員でかかれ!女一人にやられてたまるか! |
絳雨 | あのさ、フラグ台詞って知ってる? |
絳雨 | よしと。残るはあんただけ、逃がさないからね。 |
---|---|
道場の代理人 | な、なんて精確な攻撃……娘、お前、只者じゃないな。一体なにモンだ!? |
絳雨 | そうだなぁ……んーと……あ、こういう時は―― |
絳雨 | 「お前に名乗る名前などない!!」 |
道場の代理人 | フッ……人をナメんのも大概にしろよ。お前をわざとここにおびき出したのがわからねぇか? |
絳雨 | えっ、どういうこと? |
道場の代理人 | 地形を利用して、死角から隙を狙う。それがお前の戦い方だ。 |
道場の代理人 | 俺の背後は壁だ、お前の技は通用しない! |
絳雨は道場の代理人と、その背後の壁を交互に見て、 納得の表情を浮かべた。 | |
絳雨 | ふっふっふ……よくわかったな…… |
絳雨 | だがしかし!お前は一つだけ忘れてる! |
道場の代理人 | なんだと? |
絳雨 | それは……お前も逃げられないってことだ!はぁっ! |
ディテクティブ・ドゥ
ふっふっふ、真実はただ一つ!犯人はお前だ!…アリバイ?なにそれ?
絳雨 | 小さな道場の下に、こんな空間があったなんて…… |
---|---|
絳雨 | ここで妙なものを作っていたのか…… このあたしが暴いてやろう。 |
絳雨 | でも、なんで誰もいないんだろう?みんな隠れちゃったとか? |
絳雨 | それとも……待ち伏せ? |
絳雨 | まぁいっか。兵来たりて将擋ける、水来たりて父覆う……あれ?なんか違うような気が…… |
絳雨 | とにかく、まずはめぼしい情報がないか調べよう。 |
絳雨 | あれ?行き止まりだ。 |
---|---|
絳雨 | でも、この距離なら…… |
(絳雨は大きく深呼吸をした) | |
絳雨 | よし……体力は足りるね、イケる。丹心に力を込めて…… |
絳雨 | 教授、自分の部隊を選んで。 |
絳雨 | ボタンをタップして。 |
絳雨 | 飛んでく方向を選べば、そっちに向かって最大で4マス移動できるから。着陸するマス目も、特殊なエフェクトで表示されるよ。 |
絳雨 | うまく使えば、人だろうと物だろうとカンタンに飛び越えちゃうんだから……まぁ、壁はさすがに無理だけど。 |
絳雨 | このステージからは、モンスターを倒すと「闘気」が手に入るよ。マップにも「闘気」が落ちてるし。 |
絳雨 | 「闘気」さえあれば、何度でもジャンプできるから。敵と闘うか、専用のマス目に立てば「闘気」を回復できるの。 |
絳雨 | あれっ?ここの隙間から、後ろの構造が見えるよ? |
---|---|
絳雨 | おお~…やっぱり大勢集まってきたね。 |
絳雨 | ここで待ち伏せする気だな。この場所、ますます怪しくなってきた! |
絳雨 | 敵が多いね、闘気の使い方に気をつけなくちゃ。 |
絳雨 | でも、敵の位置がわかったってことは、自由に探索できるってことだね! |
絳雨 | ん?ここ、資料室かな……もしかしたら、手がかりが見つかるかも! |
---|---|
絳雨は資料室の資料をしらみつぶしに調査し始めた。 | |
絳雨 | 光熱費のレシート、懇親会の領収書……この道場の人たち、けっこうマメだな…… |
フォルダから出てきたのは、どれも道場の日常的な支払い記録ばかりだ。怪しい点は見当たらない。 | |
絳雨 | んー……ゆで卵の調理時間と柔らかさの対照表?意味わかんないんだけど。 |
絳雨はがっかりした表情で、フォルダを戻した。 | |
絳雨 | 役に立つ情報はないの?まったく…… |
絳雨が次のフォルダを手に取る。 その中に記された内容が、絳雨の興味を引いた。 | |
絳雨 | これは……購買記録? |
絳雨 | BD1 1000個……BD2 3000個? |
絳雨 | どういう意味だろう……まさか、麻薬!?ここ、もしかして…… |
絳雨 | もっとはっきり調べないと! |
絳雨 | ん?ここには本がたくさんあるな……倉庫かな? |
絳雨は一冊の本を手に取った。 大量のホコリが散らばる。 | |
絳雨 | ゲホゲホッ……ゴホッ、ゲホゲホッ……も~、どんだけ掃除してないのさ! |
絳雨 | うっわぁ……きったな、触りたくな~い! |
絳雨は二本の指で挟んで、本をゆらゆらよ揺らした。ホコリがどんどん落ちてゆく。 | |
絳雨 | 念のため、確認しとくか……『新・役・者の素養について』 |
役者たる者、堅実な訓練だけでは意味がない…… | |
絳雨 | 「最も重要なのは視聴者数だ」……このどっかで聞いたような理論は…… |
表紙をめくると、案の定、そこにあの名前が記されていた――「カクロット」 | |
絳雨 | またカクロットの仕業なの!? |
絳雨 | なにこの道場、なんの手がかりもありゃしない……時間の無駄だったな…… |
---|---|
絳雨 | このヘンテコな服と、ヘンテコな機械はなんだろ? |
絳雨 | ん?今度はなに?記録端末みたいだけど…… |
絳雨は訝しげに、再生ボタンを押した。 | |
男A | やぁ、ボク。 ここに面白いものがあるよ、見てみないかい? |
男B | えっ、新しいゲームかなにか? |
男A | なに言ってんだ! ゲームなんかより、よっぽど刺激的なモノだよ! |
男A | ほら、こっちへおいで、見せてあげよう…… |
男B | うわっ、うわっ、うわぁぁ……! |
男A | どうだい?興味深いだろう? |
(画像が途切れる) | |
絳雨 | ……なにこれ……どういうこと? |
絳雨 | もしかして、これが伝説の誘拐ってやつ!? |
絳雨 | 証拠として取っておこう。 |
絳雨 | あたたたたた――ほぁッたぁ~ッ!! |
---|---|
ドォン―― | |
絳雨 | ふぅ。まさか、扉がこんなに頑丈だなんて……きっと、何か秘密が隠されてるに違いない! |
しばらくして、絳雨は封筒の詰まったダンボール箱を見つけた。 | |
絳雨 | ん?この箱、重たいなぁ。 |
絳雨は中から封筒を一通取り出して、開けてみた。中身は分厚い札束だった。 | |
絳雨 | お金……こっちもお金!なんて額! |
絳雨 | 小さな道場に、なんでこれだけのお金が……それぞれの封筒の上に、名前が書いてある…… |
絳雨はダンボール箱の中にしまわれた、封筒の数を数えた。 | |
絳雨 | これだけのお金があったら、インスタントラーメンとチョコバー、どれだけ買えるだろ…… |
絳雨 | でも、どうしてこんなにお金がいるのかな? |
絳雨 | 絳雨は手中の証拠を一つ一つ確認し始めた。 |
---|---|
絳雨 | ヘンテコ物資の購入レシート、札束の詰まった封筒、誘拐と思しき映像記録…… |
絳雨は、先ほどの本を手に取った。 | |
絳雨 | やっぱ、一番怪しいのはこれだよね……すべての証拠は、カクロットを指している! |
絳雨 | あいつと……再びまみえる時が来たか…… |
天下無騙
そうそう、これこそが天下無双…え、違う?無騙?
絳雨 | カクロット……! |
---|---|
カクロット | ……まさかこんなに早く再会するとは……言え、なぜ私の道場を壊した!? |
絳雨 | フン、お前に話すことなどない!くらえ! |
カクロット | うわぁっ!いきなり攻撃してきたぁ!? |
絳雨 | 小娘が……しばらく会わないうちに、ここまで強くなってたなんて…… |
カクロットは慌てて道場の奥へと逃げていった。 | |
絳雨 | チッ……避けられたか…… |
カクロット | 弟子ども!全員表に出ろ!あの小娘をやっちまいな! |
絳雨 | (さすがはカクロット、代理人とは格が違う……連れてる弟子たちも、さっきの奴らより何倍も強い……) |
絳雨 | (だけど、師匠の教えを正しく使えば……きっと大丈夫!) |
カクロット | ぐっ……あ…… |
---|---|
絳雨 | カクロット!洗いざらい吐いてもらうよ! |
カクロット | 吐く?吐くって何を……そっちこそなんか訊いたらどうなのさ!?何言ってるかサッパリなんだけど!? |
絳雨 | えっ?訊かなかったっけ? |
カクロット | 訊いてない!いきなり現れたかと思えば、人の道場メチャクチャにしてくれちゃって……要件があるなら先に言え、先に! |
絳雨 | あ、そう言えばそうだったかも……なら、これを見ろ! |
絳雨はこれまで集めてきた証拠を、カクロットの足元に投げつけた。 | |
絳雨 | さぁ、説明してもらおうか。罪なき者たちの誘拐、出処不明の大金、ヘンテコな購買記録、それに、お前の著書…… |
絳雨 | きさま、人を捕まえて人体改造をするつもりだな!? |
カクロット | …… |
絳雨 | どうした、図星か!? |
カクロット | はぁ!?何言ってんのあんた、バッカじゃないの!? |
絳雨 | なんだと? |
カクロットは興奮した様子で、足元のリストを拾った。 | |
カクロット | その目かっぽじって、なんて書いてあるかよく見てみろ! |
絳雨 | へっ? |
その時、絳雨はようやく、リストに書かれている一列の文字に気づいた。 | |
絳雨 | えーっと……「NotREAL?」アルバムコレクション……? |
絳雨 | ま、まさか……あんたたちが買い込んだのって…… |
カクロット | そう!!ぜんぶ「NotREAL?」のライブアルバム!! |
絳雨 | な、なら、あの大金と誘拐の動画はどういうこと!? |
カクロット | 誘拐?大金?冗談キツイわ!「NotREAL?」のライブ映像布教してただけだっつの! |
カクロット | アルバムのディスク買いたいって言い出したのはあっち!! |
絳雨 | …… |
絳雨 | ちょ……ちょっと意味が、わかんないんだけど…… |
カクロット | フッ。かつての私は視聴者数に囚われていた……だが、「NotREAL?」を見た今…… |
ガタッ! | |
カクロットの言葉を待たずに、薄暗かった道場内に突然明かりが灯った。 | |
リーゼ | カットカット! |
悄然とした、それでいて怒った様子のリーゼが、撮影を止めた。 | |
クロ | なにさ、いいところだったのに!肝心の台詞を最後まで言わせなよね!? |
野良 | クロ……さっきから黙って見てりゃ……あんた、アドリブ入れすぎやっちゅーの! |
クロ | え、カクロットが改心したのを解説するシーンじゃなかったの? |
絳雨 | まぁ、それはそうだけど…… |
クロ | 「NotREAL?」の歌声に癒されたことで、悪役から「NotREAL?」の忠実なファンへと心を入れ替え……そして超有名なポジティブ系配信者に…… |
クロ | って……ちょっと、みんななんでそんな怖い顔してんの……? |
クロ | こ、絳雨……なんとか言ってよ……あんただってノリノリだったじゃん? |
絳雨は頭をかいた。 | |
絳雨 | えへへ……さっきはその、とっさに合わせちゃったっていうか……でもさ、やっぱり事実と異なるのは良くないと思うんだ。 |
絳雨 | カクロットが道場を開いたのは、心から入れ替えて、武術への憧れを取り戻したからだよ。 |
絳雨 | でも、営業許可証が手に入らなかったから、こっそり練習してたんだけど、結局大事になっちゃって。 |
絳雨 | あのお金も、道場を建てて営業許可証を申請するために、お弟子さんたちがかき集めたものでしょ。 |
クロ | で、でもさぁ、このアドリブだって悪くはないじゃん? |
野良 | このシーンば消すったいね。 |
リーゼ | 野良さんに同意ですね。尺が足りません、このシーンは不要でしょう。はやく残りの場面を撮影し終えなくては。 |
クロ | へっ?ちょ、ちょっと待ってよ、せっかくの迫真の演技を……って、おい、聞いてんの!?やめろ……やめろぉぉおおおお!!! |
メンバーはクロの悲鳴にはかまわずに、道具を整理して次の撮影現場へ向かおうとした。 | |
絳雨が台本を手に取る。 台本の表紙には、三つの文字が大きく書かれていた――『帰り道』 | |
絳雨 | これが最後のシーン…… |
絳雨 | お姉ちゃん、待っててね……もうすぐ家に着くからね。 |