異常エリア
追憶の真実
神々の感銘
神による感銘を授かり、冥冥とした中で命は育まれる。
- 人形は人類の需要を解決するために生み出された。人類の直面し難い危機には、機械に対応させるのが最も適している――教誨師という職業も例外ではない。
人道的な観点から、一部の刑務所では死刑囚に最後の祈りと慰めを与えている。刑務所という劣悪な環境下で繰り返し囚人を諭し、幾度となく告解を聞き続けることは、それ自体が人類のメンタルに多大なマイナス影響を及ぼす。心理カウンセラーの心理が新たな問題となっているのだ。
UASはそういった需要に商機を見出し、教誨師人形SP VIIの開発プロジェクトを立ち上げた。
早く開発を終わらせて、市場シェアを独占しなくては
- 初め、SP VIIには囚人への哀れみと愛情をできる限り持つ教誨師としての人格と、強烈なマイナス感情の衝撃に耐えられるよう、強力な感情情報処理システムが搭載されていた。
だが、一代目SP VIIの業績はふるわなかった。メンタル空間における余剰データの増長速度が予想よりも遥かに速く、メンタルが頻繁にフリーズ。さらにその温厚で善良な性格は、あやうく囚人脱獄の突破口になりかけた。UASは仕方なく一代目SP VII人形の回収を急いだ。
新任プロジェクトマネージャーにより、二代目SP VIIにはまったく新しいデザインが用いられた。チームはその初号機にとあるニックネームを与えた――その名も、エリカ。このパワーに満ち溢れた名前が、彼女の独特な人生の始まりとなったのだ。
二代目SP VII、開発完了
- 監獄という名の、複雑かつ状況の変化し続ける環境に対応させるべく、エリカのメンタル内の感情モジュールには機能制限が設けられ、さらに暴動鎮圧スキルが新たに追加された。契約に基づき、一代目SP VIIを返品した刑務所は、そうして新たな教誨師人形を迎えたのだった。
当初、この外見の整った二代目製品に、刑務所側は微塵も期待を抱いていなかった。道を外れた囚人たちはなおさらだ。
エリカのポーカーフェイスに、囚人たちはいよいよつけあがった。彼女が忠告を聞かない囚人に対し、躊躇うことなく武器を取り出すまでそれは続いた。
急な事態だ、非常手段を用いてもかまわない
- 刑務所に受け入れられたエリカは、開発チームに与えられた名前を使い続けた。だが刑務所の面々は、彼女の個性などに興味はなかった。彼らを驚かせたのは、その尋常でない業務効率だ。
表情は冷ややかだが、エリアは教誨師としての基礎的な務めを順調に果たしていた。一般的な囚人の告解には辛抱強く耳を傾けたし、その冷静な情緒が発狂寸前の死刑者の心をなだめた。
エリカはその他にも、刑務官とともに所内の暴動鎮圧にあたっている。単独で暴動を鎮めたことも少なくない。圧倒的な武力に物を言わせ、彼女は刑務所の秩序維持に大きく貢献した。さらに、通常の教誨師の手には負えない犯罪者を前にした時の、彼女の果断な判断と手際の良さには、刑務所側も舌を巻いている。
数回のテストを経て、ようやく再び現場に投入できそうだ
- その後、完璧な業績が認められ、エリカは人手が著しく不足している刑務所へと配属された。
新たな環境では、エリカがこれまで見てきた以上の醜悪と犯罪が横行していた。それには重罪人の薄汚さや狡猾さだけでなく、暗に行われている取引の数々も含まれる。当然のように行われる職権の濫用も、エリカの仕事を大いに妨げた。
やがて彼女は、いまだかつてない苦悩に陥ってしまう。
二代目SP VIIは業務を立派に果たしている、良かった
- エリカは苦悩の中をさまよい続けた。一人のか弱い少女が、彼女の前へと現れるまで。
少女は重病に倒れた家族を養うために、とある権力者に代わって監獄へと送られてきたのだ。真犯人は彼女がひっそりと監獄で息を引き取るものだと考えていた。少女が刑務所に勤めるエリカと出会ったのは、まさに不幸中の幸いだった。
教誨師人形であるエリカは、まさか自分が諭され、救済される側になるとは思ってもいなかった。だが、彼女の身にはえてして思いもよらぬ事態が起きる。少女との出会いもそうだ。
他の二代目SP VIIとなんら違いはない
- 少女と触れ合う中で、エリカはこの罪なき「咎人」にあらん限りの庇護を与えた。そして少女とともに、自身の過去を見つめ直した。
己の維持する監獄の秩序とは何を意味するのか。彼女がそれに気づくには長い長い時が必要だったのかもしれない。
しかし、それらがはっきりしないうちに、業務の束縛や監理層の命令により、エリカが少女に与えられる庇護はますます限られていった。エリカとの出会いは、彼女の悲惨な運命を変えられはしなかった。
エリカの資料に、少女の名前は残っていない。その運命の結末も。
トラブルに巻き込まれているようだ
- 記録によれば、刑務所でのとある大規模な乱闘事件からしばらく経たずして、エリカは辞職を申し出ている。業務の引き継ぎが完了するまでは、彼女は罪人の告解と暴動鎮圧の業務を完璧に成し遂げていた。
彼女が退職したのは、自身から得られたデータに基づき、二代目SP VIIの大量生産が始まったことが理由だ。
二代目SP VIIのプロトタイプ、そしてシリーズを代表する人形として、エリカはたいして迷うこともなく42Labの招待を受け、ニューラルクルラウド計画に参加した。
事件は終わったが、事件による影響は続いている
- 「製品コード:SP VII」
「素体コード:MDB-LP199」
「製品シリアル番号:SQG950A45」
「アクティベート時刻:2054.08.27」
「製品名:Erika」
「メンタル活性度:??(メンタルプログラムは暗号処理が施されているため、検測不可)」
「SP VII、CALL NAME:エリカ…システム認証クリア」
ニューラルクルラウド計画に加わる。
「オアシスへようこそ、エリカ。ここでなら君は自由だ」
厄災迎撃
暴君が刀兵を動かし、贖罪されし者は刃を手に走る。
- 「行くな!」「えっ?どうしたのだ、エリカ?」
「この先にエントロピーがいる、危険だ」
「でも、武器があるのはあそこだけだよ」
二人の持つ変形した武器を見て、エリカは沈黙した。
新しい武器を手に入れよう(戦闘開始。撃破後、専用関数【広域衝撃】を獲得)
やっぱり下に進もう(立ち去る)
- 「エリカ、使えそうな物資があるよ!」
「あれ?吾しか通れないみたい…よいしょ…」
「ギギ…」エントロピーの物音が聞こえた。
「な…!戻ってこい!」「でも、あとちょっとで…」- 物資は少量でいい、すぐ戻れ(ランダムに関数を1つ獲得)
- できるだけ物資を拾ってこい(ランダムに関数を2つ獲得する代わりに、全員がHPを10%失う)
- 物資はあきらめろ、撤退だ(そのまま立ち去る)
- 「エリカ!」「手を放すな!道が…分かれてる?」
地形を利用して追ってくるエントロピーをまいた。
「いつもは緊急通路から下に行けるんだけど…」
「リスクのある近道と、安全な階段か」
危険な道を選ぶ(関数上限を増やす代わりに、全員の最大HP-10%)
念のため安全な道を選ぶ(全員のHPを15%回復)
断罪の道
血を以て罪を断ち、鋼を以て裁決す。毅然とした背中は、苦難の道をゆく。
- 「言っただろう、お前を守ると。もう二度と過ちは繰り返さない、今度こそ成し遂げてみせる」
「相手がなんだろうが、罪は償ってもらうぞ!」
戦闘を続ける(【報酬2倍】状態を獲得。今から3つの衝突エリアでの獲得CCが2倍になる) - 「チッ、数が増えてきた。埒が明かん…」
エリカは冷静に他の手段を考え始めた。
「回復役がいるようだ、そいつを先に潰せれば…」
「ギギ…」「だが、危険は伴う」
回復役を先に倒す(作戦開始!撃破後、専用関数【治療減衰】を獲得)
危険はおかせない(立ち去る)
- 「吾もエリカやみんなの役に立ちたい!」
ドゥシェーヴヌイの言葉に、エリカはやや驚いた。
「吾にだって、できることはあるもん!」
エリカとみんなを治療する(CCを20支払い、全員の最大HP+20%)
協力して周囲の地形と状況を偵察する(全員の最大HP+10%)
血海のの路
悲壮な笛の音の響く中、殉道者は孤独に血の道を切り開く。
- 「四肢への圧力過剰、素体側面の損傷率19%!」
「だめだ、まだ…やるべきことが…」
エリカは銃を支えに、フラフラと立ち上がった。
「さすがに…無茶しすぎた。だが、倒れるわけにはいかん」
戦闘を続ける(【脅威上昇・OC】状態を獲得。次の衝突エリアでの敵の最大HPと攻撃力+15%。その代わり報酬が4倍になる。出力端末を除く)
応急処置をしておこう(CCを40獲得) - ドゥシェーヴヌイは必死に前へと進んでいた。
「吾だって、エリカみたいにみんなを守れる!」
「エリカ、絶対に無事でいるのだ!」
前へ進もう(【報酬2倍】状態を獲得。今から3つの衝突エリアでの獲得CCが2倍になる) - 「悪の限りを尽くす暴徒ども、反省が足りんようだな」
増えてゆく敵を前に、エリカはトリガーを引いた。
「だが、貴様らを近づかせはしない」
「どんな手を使ってでも、どれだけ戦いが続こうともだ!」
強大な敵から倒す(関数上限を増やす代わりに、全員の最大HP-10%)
攪乱して敵を引き離す(全員のHPを15%回復)
旋盤モード
悪徒狩り
授恩感化
咎人に慈悲と恩恵を、感化せし中で懺悔に耳を傾けよ。
エリカ | ここが…教授の用意した記憶モジュール修復エリアか? |
---|---|
ドゥシェーヴヌイ | うむ。アントニーナどのが開発したプログラムを改造したんだって。えーっと…なんとかシミュレーション、過去の修正がどーのこーの… |
教授 | 半分正解かな。正確に言えば、記憶データの情景をシミュレートしてデータを較正し、メンタルシステムを安定させることで、記憶モジュールの修復をサポートするプログラムだよ。 |
エリカ | 情景をシミュレート…どうりで監獄に似ているわけだ。暗く冷たく、何かが蠢くような気配までしている。 |
ドゥシェーヴヌイ | な…なんだか怖い。エリカはずっとそういう所にいたの?わざわざ思い出させるなんて…でもエリカを治すためなのだ、きっと仕方ないのだ。 |
エリカ | ああ、心配いらない。お前は教授と外でモニターしていろ。 |
ドゥシェーヴヌイ | エリカ、なにがあっても前みたいに無理しちゃだめだぞ!問題が起きたら、すぐに吾たちに教えるのだぞ! |
エリカ | まったく、心配性だな…わかっているさ。 |
教授 | それじゃ、一つ目の較正テストを始めよう。まずは周囲の景色に慣れるところから。 |
教授 | 以前のように、このシミュレートされた監獄で出口を探してみてくれ。 |
悪徒の戯言
悪事を重ねる輩には、譴責による裁断を下せ。
教授 | 一つ目の較正テスト完了、これより第二段階に入る。 |
---|---|
ドゥシェーヴヌイ | エリカ、大丈夫?少し休もうか? |
エリカ | 問題ない、続けてくれ。次の任務はなんだ?目標地点への到達か? |
教授 | ああ、だがそれだけじゃない。二つ目のテストには新たな較正任務が加わる。 |
教授 | 緊張しなくていい、思うままに動けばいいんだ。これまで同様にね。 |
エリカ | わかった、そうさせてもらう、神のご加護があらんことを。 |
- 「ど…どうしてお前がそれを…!?」
「ひ、人に言われて仕方なく…俺はただ従っただけで――」
「や、やめろ、頼む!許してくれ!」
囚人は命乞いをやめて、今度は呪いの言葉を口にした。
「きさま…次はてめぇなんぞに…がッ!!」
記憶の中、囚人の怨みに満ちた醜い顔が、口を大きく開けてそう叫んだ。
監獄の規則通りに罰する(紫色関数を1つ獲得) - 「エリカ、素晴らしい腕前だ。奴らもずいぶんと大人しくなったよ」
「こうも早く鎮圧できたのは、お前のおかげだな」
刑務所長は目を細めて微笑んだ。
「だが、我が所の状況はお前も知っているだろう。この仕事も頼んだぞ」
記憶の中で、刑務所長はとあるファイルを投げてよこした。
受け入れる(CCを20獲得)
拒絶する(紫色関数を1つ獲得) - 「ありがとう、エリカ!!」
「前みたいに、また助けてくれた…」
少女ははにかむと、また顔色を暗くさせた。
「でも、知ってる…ここにはここのルールがある。エリカも大変なんだよね」
「次からは、私にかまわなくていいから」
記憶の中で、少女は俯いたまま、喜びや決意、名残惜しさ帯びた声でそう言った。
黙っている(マルチCCモジュールを3つ獲得)
聖弾の断罪
あらゆる一線を越えた不届き者は、弾雨の刑に処す。
エリカ | ぐっ…これが、私の、記憶… |
---|---|
ドゥシェーヴヌイ | エリカ!待つのだ、データが… |
教授 | エリカ、落ち着いて!メンタルが不安定なせいで、周囲の情景が変化したんだ。 |
教授 | まだ続けるか?少し休んでもかまわない、テストはいつでも始められる。 |
ドゥシェーヴヌイ | 教授の言うとおりなのだ。無理しないで、エリカ… |
エリカ | かまわん、続けろ。それが罪だろうと、懺悔だろうと、私は過去に向き合わなくては。 |
教授 | ハァ…わかった、続けよう。気をつけろ。ここには異なる出口が二つあるかもしれない。 |
教授 | 前の「典籍と書物」と同じだ、それらが二つの選択を表している可能性がある。 |
エリカ | 片方は思い出に満ち溢れた過去へと続く、容易な道。もう一つは、見知らぬ未来へと続く困難な道。 |
---|---|
エリカ | なるほど、これがお前の用意した。「テスト」か。 |
エリカ | ならば、決断は本官に委ねてもらおう。私の記憶を遡るか、それとも諦めるか。 |
エリカ | だけど、私に…諦めきれるのだろうか |
暗闇の中から、誰かが手を伸ばしてきた。 | |
?? | エリカ。ずっと、わたしを忘れないでいてくれて、ありがとう でも、もういいの。あなたには新しい生活と、新しい友だちがいる。 ここに留まっていては、過去に浸っていてはダメ。 |
?? | エリカがわたしの分まで生きてくれたら、それで十分。 |
エリカ | 私が……立ち去るべきなのはわかった。だが、お前は…… |
?? | わたしなら、心配しないで。 空の上からみんなを眺めているだけで、とっても幸せだから。 行きなさい、あなたの未来へと。わたしも、エリカの幸せを祈るね。 |
エリカ | あ…… |
ドゥシェーヴヌイ | エリ……起き……! |
エリカの聴覚モジュールが、ぼんやりとした、途切れ途切れの音声を捉えた。 | |
エリカ | ん……なんだ? |
ドゥシェーヴヌイ | エリカ!よかった、目が覚めたんだね! |
教授 | 今回の較正テストは、予想以上に大成功だったよ。 |
ドゥシェーヴヌイ | 聞いた、エリカ!?大成功だって! |
教授 | だからといって、楽観視は禁物だぞ 特殊な状況が見られれば、医療部門の手助けが必要になる。 |
ドゥシェーヴヌイ | そ、そうなの? |
エリカ | わかっている。この結果だけで十分だ。 |
ドゥシェーヴヌイ | 本当に……? |
エリカ | 問題ない。想像していたよりも遥かにな。 |
エリカ | 少なくとも、新たな未来へと歩んでゆける。あの子の想いと、私への祝福を携えて。 |