鉄道信号

Last-modified: 2023-04-15 (土) 00:38:18

概要

Update #5で追加された鉄道信号を用いた線路設計に関する解説です。

なお、設備が巨大でスクリーンショットを1画面に収めるのは無茶なので、模式図で解説します。
(模式図を作成するためのdraw.io用scratchpadはこちら)

鉄道信号の必要性

同じ線路で複数の列車を運用する場合、駅に停車/ドッキング中の列車への後続列車の追突事故や、合流点での列車同士の衝突事故が起こる可能性が出てきます。
列車同士が衝突すると、脱線して運転が停止してしまいます。
その場合、事故現場に行き、列車にEキーでインタラクトして線路に戻し、自動運転を再びオンにする必要が出てきてしまいます。
事故防止、そして持続可能な工場運営のためには、信号の設置は必須となります。

信号の基本性質

まず、経路上に信号が全くない場合、経路全体は1区画(ブロック)と認識されます。
しかし、線路に信号を設置することで、その信号を境界線として複数の区間に分割することができます。

  • 区間は信号のみで区切られます。
    途中に駅や分岐があったとしても区間設定には関係ありません。
  • 信号にはブロック信号とパス信号の2種類があります。その区間に進入する信号の種類に応じ、ブロック信号区間かパス信号区間かが決定されます。
SignalSample_ja.png
ブロック信号区間
区間内に1編成のみが同時進入できます。
他の列車が進入中の区間ではブロック信号が赤信号になるので、他の列車は進入中の列車の移動を待って進入することになります。
パス信号区間
列車が相互に衝突しない経路であれば、複数列車の同時進入を許可します。
衝突する経路であれば、ブロック信号区間同様に逐次進入となります。
なお、パス信号は基本的には赤信号になっていて、自動運転車両が利用する場合のみ青信号になります。
即ち、以下のワークフローを取ります。
  1. パス信号区間の1つ前の区間に自動運転列車が進入する
  2. パス信号に対して列車が進入を要求する
  3. パス信号が経路の安全性を確認する
  4. 安全が確保できていれば青信号になる
  5. 列車がパス信号を通過した直後に赤信号に戻る
上記の通り、パス信号が青になるのは最速で列車が1つ前の区間に進入した時です。
したがって、直前の区間が短い場合、パス信号区間が空いていても青信号に変わる前に列車が減速します*1
青信号に変わった後に再加速するので運行は止まりませんが、スループットが若干低下します。
また、手動運転の列車に対しては常時赤信号なので、通過時は安全を目視確認した上で(あるいはせずに)信号無視をする形になります。
ちなみに、パス信号は Pass Signal (通過信号) ではなく Path Signal (経路信号) です。

注意事項

信号の配置は以下の制限があるため、設置時は注意しましょう(図中の「BS」はブロック信号、「PS」はパス信号を指す)。

  • 一方通行・双方向通行共に可能だが、双方向通行にする場合は上りと下りで信号の位置を統一する必要がある。
    TwoWayTraffic.png
  • 環状線も可能だが、自己循環する(環内に信号が1つしかない)線路は不可。
    LoopRail.png
  • 同一区間に進入する信号の種類は統一しなければならない。
    退出する側の信号は不問。
    ConflictingSignalTypes_ja.png
  • 線路が平面交差していたり線路同士が近接していたりすると、同一区間とみなされる。
    • 線路の中心から隣の線路の中心までの距離が7m未満だと同一区間扱いになる。
    • 複線の場合に線路同士が近すぎると、信号の動作不良や思わぬ区間統一での信号トラブルを招く。
    • 分岐でない平面交差(線路が接続されていない単なる平面交差)でも、分岐と同じ要領で信号を設置できる。
    NearbyRail.png
  • ver.5.0.5現在、分岐点の角度が浅すぎると、信号の動作不良を招く。

単線と複線

凡例

模式図の各記号の意味は以下の通りです。

  • 太い線: 線路
    • 黒色   : 双方向通行
    • 橙色   : 画面左方向への一方通行
    • 緑色   : 画面右方向への一方通行
  • 長方形: 駅
  • 円形: 信号機
    • BS: ブロック信号
    • PS: パス信号
    • 中の矢印: 設置方向

単線

線路全体を単線としたものです。
最も単純ですが、1編成しか運行できないので鉄道にしては輸送量が少なくなります。
当然、信号機を設置する意味はありません。

SingleTrack.png

単線 + 信号場

基本的に単線をベースとし、列車交換用の信号場(=すれ違い用の短い複線区域)を用いる手法です。

SingleTrackWithPassingLoop.png

信号場は、信号同士の距離が最長の列車より長くなるようにする必要があります。
分岐同士の距離ではなく、信号同士の距離であることに注意してください。
この時、長さがギリギリすぎると列車後部が前の区間に残っていると判定されて詰まりの原因になります。
土台1個分程度のマージンを取っておくと良いでしょう。

なお、単線区間へのブロック信号設置は厳禁です。
設置した日には、信号機を挟んで上り列車と下り列車が睨らめっこすることになるでしょう。
パス信号であれば適切な置き方をすればデッドロックは発生しません。
具体的には、信号場内部と駅直近をブロック信号区間、それ以外をパス信号区間にすることで運行が可能です。

SingleTrackWithPassingLoopAndPathSignal.png

上の画像では先ほどの例と全体の挙動は変わりませんが、単線部分が分岐している場合は大きく効率が良くなります

DoubleTrackWithPassingLoopAndPathSignal.png

この場合、C駅に電車が停まっていてもB駅からA駅に自動運行で到達することができます

ブロック信号の場合・・・
DoubleTrackWithPassingLoopAndBlockSignal.png

ブロック信号の場合も運行自体は問題なくできるのですが、C駅に電車が停まっているとB駅からA駅には自動運行で到達できません。
C駅に停まっている電車が信号場に侵入するまで待ち続けることになり、余分な停車時間が増えてしまいます。

比較的少ない土地で複数の列車を運行できますが、各単線区間には1編成しか進入できません。
そのため、運行できる列車数は信号場の数の3倍が理論上限になります。
実用上限は未検証ですが、おそらく信号場の数の2倍程度でしょう。

単線 + 交換駅

信号場方式の信号場部分に駅を設置したものです。
現実ではよく見る方式ですが、駅が土地食い虫な本ゲームでも有用かは未検証です。

SingleTrackWithPassingLoopAtStation.png

なお、駅での方向転換はデッドロックを招くため、途中駅での折り返し運転との相性が悪いことが難点です。
更に、終点駅は信号の無い単純な単線とするか、以下のようにループ線とする必要があります。
ループ線にする場合、鉄道の旋回半径の大きさゆえに土地消費が激しい点に注意が必要です。

TerminalLoop.png

環状単線

線路全体を一方通行の環状線とする方式です。

CircularSingleTrack.png

通常の(双方向通行の)単線と異なり、信号場や交換駅なしでも任意の数の列車を運用できます。
その結果、単線並みの土地消費で複線並みの列車数を運用できます。

一方、隣の駅との輸送であっても、往復の一方は環状線を大回りで走行することになります。
したがって、貨物輸送量あたりの消費電力や必要列車数が大きくなりがちなことが欠点です。

ほぼ複線

基本的には複線とし、駅部分のみ単線とする方式です。
複線区間は、信号機に挟まれた区間1つに付き1編成が進入できます。
したがって、信号機を多数設置すれば、駅の処理能力が許す限り列車数を増やせます。

MostlyDoubleTrack.png

なお、上図では右側通行としていますが、左側通行とすることも可能です。
信号が線路同士の間に来るので見た目が悪化しますが、土地は節約できます。

複線

完全に複線化した方式です。
莫大な土地と引き換えに、強力な輸送量を誇ります。
なお、交差部分は、シーサースクロッシング方式が標準です。

DoubleTrack.png

パス信号の代わりにブロック信号を使うと、以下のプロセスで列車が詰まります。

  1. 「A1→B2予定の列車αがA1で荷降ろし中」に「B1→A1の列車βがA1への進入を試みる」
  2. 交差部分はクリアなので、βが交差部分に進入してA1の開放を待つ
  3. αの荷降ろしが終わって出発しようとするも、βが交差部分を専有しているため出発できない
  4. デッドロックの出来上がり

分岐

複線・一方通行路線の分岐

複線や一方通行の場合、レールの分岐点の信号設置方法は至ってシンプルです。

  • 分岐点に進入する線路全てにパス信号を置く
    • 運行本数が少ない場合や単一T字分岐の場合はブロック信号でもOK
  • 分岐点から退出する線路全てにブロック信号を置く

単純なT字分岐から多方向の複雑な分岐まで、上記の設置方法で問題ありません。
また、「全て」というところが重要で、中途半端な置き方をすると信号トラブルを招きます。

JunctionSignal.png

単線の分岐

基本は複線と同じですが、ブロック信号のみで構築した場合「双方向通行の単線に信号を設置して複数の列車を運行すると、列車が同士がお見合いして詰まる」事による制約を受けます。
したがって、全方位が完全に単線の分岐は1編成の列車のみが分岐を利用するケースでしか機能しません。
基本的には、複線または一方通行環状線で敷設された本線から脇道として単線を伸ばす形になります。
その上で以下のいずれかの対応が必要になります。

  • 単線部分を通る列車は1編成のみとする。
  • 単線部分は一方通行とする
  • 信号場を作り、そこまでを1つの分岐とみなして運用する
JunctionSignal-SingleTrack.png

パス信号を用いる場合はその限りではなく、分岐・三叉路を含む場合でも基本的に単線で複数本の運行が可能です。

  • 分岐・三叉路・駅の間の区間は距離に応じて適当に信号場を設置
  • 駅を含む一本道と信号場はブロック信号区間、それ以外はパス信号区間
  • 信号を建てる場所は信号場の出入り口と、駅とその駅から信号場を挟まない最寄りの分岐の間
    • 後者は言い換えれば、ブロック信号区間を作らなければいけない部分との境界に信号を建てる

上記の条件を満たすことで円滑に複数本の運行ができる(はずです。理論立てて証明しているわけでいないので、間違っていたら修正をお願いします。十分条件ではあっても必要条件ではなさそうです)

JunctionSignal-SingleTrackWithPassingLoop.png

この例だと、時刻表が「A-B-C-E(-C)-」の列車と「B-C-D(-C)-」の列車が同時に運行できます。
話題がそれますが、C駅に両側からアクセスするのであれば二駅用意するか近くに反転用ループが必要になります。


*1 この減速は、120km/hで走行している場合は約190m手前から始まります。したがって、常時最高速を維持したい場合は、直前の区間の長さを190m (列車11.5両相当)以上にする必要があります。下り坂で120km/h以上に加速している時も速度も維持したいなら、更に伸ばす必要があります。