エストリエ
──お邪魔するわね。 早急に、あなたに伝えたいことがあるの。
『ヴァンパイア公爵』のことは覚えてる? ──そう、私と王国が同盟を結ぶ契機となった敵 とでもいうのかしらね。不本意ではあるけれど。
その公爵が吸血鬼の軍勢を引き連れて、 市街地への侵攻を始めたの。 近くにいた部隊が防衛線を張って応戦している状態よ。
兵士の話を聞くに、前にも同様のことがあったみたいね? 吸血鬼狩人たちが周辺を監視していたようだけれど……。 公爵の方が一枚上手だったわ。
闇夜に紛れた襲撃で、逃げ遅れた人間たちも大勢いるわ。 兵士達がバリケードを設置して時間を稼いでいるけれど、 このままじゃ占領されるのも時間の問題ね。
あなたは人間を助けてあげて。 私は公爵を探して……。
──え? 同盟者として共に戦う? ふふっ、 ありがたい申し出だけれど、本当に良いのかしら?
えっと、出発する前に、今回のミッションについて いくつか伝えておくことがあるわ。
大討伐ミッションでは通常のミッションと違って、 より多くの敵を倒すことを重視しているの。
数えきれないぐらいの吸血鬼の数だもの。 『多くの敵を撃破すること』を目的にして、 とにかく数を減らそうって考えね。
もし、ライフが0になってもクリアよ。 それまでに倒した敵の数は全てカウントされて、 戦果として記録されるから安心していいわ。
急な侵攻に対する出撃だから、 出撃コストの回復には期待できないわね……。
『援軍要請』のスキルを持つ兵士を 出撃メンバーに編成しておいた方が良さそうよ。
ちなみに、敵を倒してもEXPやゴールド、 ドロップ品は手に入らないから気を付けて。
公爵のやつ、襲ってきたタイミングといい、 今日のために周到な計画を立ててきたように思うわ。 あなたも対策を怠らないように準備しなさい。
そうね……吸血鬼やアンデッドに対して 効果的な能力を持った仲間を 編成に加えておくといいんじゃないかしら。
それと、吸血鬼化した魔物達の爪牙には 麻痺毒があることを忘れないで。 設置してあるバリケードを利用するといいわ。
報告では、スフィンクスの形状をした 霧の魔物が目撃されたみたい。
──ちょっと待って。もしそれが本当なら、 公爵は神獣スフィンクスを ヴァンパイア化させたってこと……?
とにかく気を付けて。 他にも、霧の魔物に遭遇した兵士達は、 身体の痺れを訴えているそうよ。
あと、霧の魔物が移動している間は、 遠くから姿を捉えることが難しいようだから、 奴の足を止めることで、射手の皆も戦いやすくなるわ。
……雲の動きが怪しいわね。 雲で月の光が遮られた『闇夜』では、 吸血鬼達の動きが更に活発になるわよ?
……ふふっ、心配いらないわ。 あなたは強硬派氏族の同盟者でしょう? それじゃあ王子『大討伐ミッション』開始よ!
兵士
──ぐ、吸血鬼の軍勢に押されている……! 仕方ない、一旦市街地まで防衛ラインを……。
ケイティ
衛兵の皆さん、お待たせしました! 状況の報告をお願いします。
兵士
はっ! 現在、設置したバリケードで魔物の侵攻を凌いでおります。
しかし、魔物に橋の一部を破壊されてしまい、 橋の上には少数しか展開できない状態です。
ケイティ
分かりました。 吸血鬼の相手は私たちに任せ、 あなたたちは市民の避難誘導をお願いします。
エストリエ
事態は一刻を争うわ! 早いところ公爵を見つけないと……。
公爵
──来たか。 強硬派氏族の小娘もいるとは、ちょうどいい。
我は強力な眷属を手に入れた。 有象無象が集う地で眷属を解き放ち、 人間共を吸血鬼化させ此度の目的を果たす。
王子よ、 人間らを救いたければ……我に抗ってみよ。
エストリエ
見つけたわよ、公爵! 私に続きなさい王子。 パパの『魔剣』を砕かれた恨みを晴らすわ!
ケイティ
──王子、お気を付けください。 状況に応じた適切な采配をお願いします!
エストリエ
あれが報告にあった霧の魔物!? 何よ、あの化け物は……。
ケイティ
あの姿は……スフィンクス!? ──どうやら公爵は、 神獣スフィンクスのヴァンパイア化に成功したようです。
エストリエ
奴の動きを止めない限り、姿を捉えるのは困難よ。 戦場にいるだけでも麻痺毒が身体を蝕むから気を付けて。 あの霧はヴァンパイア特有のものだわ。
兵士
──王子、霧の魔物に関して、追加報告がございます! あの爪に触れると、瞬く間に麻痺毒に侵されてしまいます。 麻痺毒に対抗できる戦士の起用をお願いします。
ケイティ
なるほど。……気を付けて下さい、王子。 ヴァンパイア化したことにより、強大な神獣の力が 更に強化されたようです。慎重な采配をお願いします!