ミサイル時代の海軍論-50年代以降の戦略と設計思想-

Last-modified: 2025-01-30 (木) 20:43:14

はじめに

RtW3では1970年までの技術が実装されてますが、50年代以降になると仕様が大きく代わります。
本ページではミサイル時代での装備の特徴、艦艇設計、平時での運用を「個人的見解」も含め解説します。
プレイヤー国:日本 艦隊規模:SuperLarge ゲームデータ:1890年からスタート。

要点だけ見たい方向け。

  • LSAMはミサイル迎撃能力を持つ。コルベット以外の全艦艇への搭載がオススメ。
  • 維持費がかなり上がるため、軍縮必須。退役した大型艦・潜水艦の穴は、ミサイル装備の軽巡・駆逐で埋める。
  • 大型艦は建造期間が伸びるため、後継艦の建造が予定通りにいかないことが多い。大改装も選択肢に入る。
  • 全コルベットに対艦ミサイル(SSM)を積もう。

概要

まずミサイル時代とは言いましたが、実際にはジェット機の実用化、社会福祉の拡充による人件費の増加、植民地収入の大幅減収など、ミサイル以外のあらゆる項目が変わります。
これらは簡単に言うと、減収と支出増を意味します。
さらに艦艇の維持費と建造費も上がり、一艦当たりの価値が大幅に増加しながら、建造費が高いと数が揃えられず、旧式艦の更新が間に合わなくなります。
戦時直前に艦隊を動員したら、建造を全て止めても赤字となり、破産することさえあります。
そんな1950年代以降でも「戦える海軍」を整備しつつ、平時でも余裕のある運営ができるよう解説します。

軍縮について

ここで言う軍縮とは、ゲーム内での軍縮イベントではなく、プレイヤー自らの操作で艦艇数を削減することです。
まず軍縮を行うため、余剰となる戦力を確認しましょう。軍縮の目安にしやすいのは

  • 潜水艦数
  • 命令が「Independent」になっている戦隊の数
  • 飛行場の位置と規模
  • 就役から35年以上経過した艦艇(維持費が10%割増)

であり、これらをなるべく退役させ、新造艦の建造費を捻出していきます。

潜水艦

潜水艦はゲームバランス調整のため、年々維持費が高くなる仕様です。そのため100隻もの潜水艦を抱えれば、破産待ったなし。
せめて3~50隻を目安に潜水艦数を削減しましょう。

「Independent」戦隊

駆逐艦で割とよくあることです。
ゲーム内時間で10年以上も艦隊編成を変えなかったり、戦時に急造した駆逐艦を適当に戦隊に入れたまま放置してませんか?
そのせいで軍事費を無駄に浪費してるかもしれません。
特に命令が設定されず、使う予定のない戦隊は解散させ、その戦隊に属していた数だけ古い艦を解体していきましょう。

飛行場の位置と規模

50年代以降、ジェット機の時代に突入するため、維持費が跳ね上がります。
「取り敢えず全海域に飛行場作って、航空支援を受けさせる」という体制は、動員時に航空機維持費が払えず破産に繋がります。
これは持論になりますが、本土海域での集中運用を心がけ、まず戦闘を起こす気のない海域(インド洋など)からは航空機を撤収させ、戦闘が起こるかもしれないと思う海域には20or40機程度の飛行場を1つだけ置くべきです。
また航空機の高性能化により、10機程度のJAでも十分な戦果を挙げられるようになるため、飛行場規模は最大でも60機で十分です。
AIがSAMを多用するようになると、自然とJAの被害も増えるため、基地航空隊のJAは多めに編成するのが良いでしょう。

就役から35年以上経過した艦艇

防護巡洋艦や装甲巡洋艦を、FSに送ったままにしてませんか?
就役から35年経過した艦艇は、維持費が10%も上がるため、装甲巡洋艦1隻の維持費がミサイルで武装した最新重巡並になるかもしれません。
特にFSは艦艇が常備戦闘準備に就き、本土から離れるため余計に維持費が増えてしまいます。
「Colonial Service」をつけた「ミサイルコルベット」を多数用意することで、FS費も圧縮できて、通商破壊戦でもミサイルで対抗可能になります。

武装・航空機について

SAMについて

SAM(艦対空ミサイル)は、ミサイル数や発射機の本数を調整することで、重量を調整できます。
例えば無装甲軽巡に積む場合、重量が軽すぎると言われたなら、装填数を20本から34本にすれば重量軽すぎエラーを直せます。
駆逐艦の場合、LSAMを単装発射機にして、ミサイル数を14本にすれば、2500トンでもギリギリ載ります。(ただし流石にミサイル本数が少ないため、排水量2800トンが望ましい)

LSAM

武装ではとにかくSSM(艦対艦ミサイル)が主軸となり、砲戦は少なくなります。
そのため「相手より多くのミサイルを撃ちつつ、自分のミサイル被弾を抑えるか」が重要になります。
これの最適解が「LSAM」(小型艦対空ミサイル)です。

LSAMは最初からミサイル迎撃能力を持っているため、これをコルベット以外の全艦に配備するのが、艦隊の質の上昇と損害の減少に繋がります。
単装にして装填数を14本程度にすれば、2500トン級の駆逐艦にも搭載可能です。
また60年代後半になれば、LSAMも艦艇攻撃能力や、他艦艇へのミサイル迎撃能力を持ち始めるため、駆逐艦だけでも数さえ揃えば十分なミサイル迎撃能力を持てるのも重要です。
70年以降では、LSAM、MSAM、HSAMの3種で艦隊防空網を築き、ミサイル迎撃能力を高めることが勝利の鍵になるでしょう。
駆逐艦に積む場合は、射角が広くて前方に撃てるB配置に置くことをオススメします。

MSAM

MSAMは最初に開発できる対空ミサイルですが、初期はミサイル迎撃能力が無く、防空軽巡の主兵装になる程度でしょう。
しかし60年代後半になれば、対艦攻撃能力はもちろん、ミサイル迎撃能力も持つようになります。
1970年以降もプレイをするなら、1万トン未満の無装甲軽巡にMSAMを多く積み、なんちゃってイージス艦として運用することも出来ます。

HSAM

HSAMはMSAMに次いで開発されるミサイルで、ミサイル発射前の敵機や、発射された対艦ミサイルを叩き落とすことが主任務となります。
そのためとにかく弾数が必要で、システム自体も1万トン以上の艦艇にしか積めない制約が存在することから、搭載する船は戦艦・巡洋戦艦・重巡といった大型艦になります。
ただしMSAMやLSAMがミサイル迎撃能力を獲得する一方で、HSAMは性能が伸び悩み、飛行機を撃墜する機会もどんどん減ってしまいます。
70年以降は跡地にMSAMを載せたほうが、有効活用できると思います。

対艦ミサイル(SSM)

対艦ミサイルは47年頃にはHSSMが開発されるため、50年にもなればミサイル飽和攻撃が可能となります。
ただし自艦が見えない目標に対して撃つ「ブラインドファイア」は、1954年前後まで開発されませんので、それまでは従来の砲撃戦の機会も多いでしょう。
MSSMが開発される頃になれば、ミサイルの長射程化・ブラインドファイア技術の進歩で、砲戦の機会は激減します。ブラインドファイア技術の実用化を合図に、艦の設計思想を大きく変えるのが一番です。
60年代になれば、大型で長射程のHSSMは重巡や戦艦、中型で迎撃されづらいMSSMはSAMの搭載でスペースが圧迫されやすい軽巡・駆逐に搭載するべきでしょう。
なお発射管は四連装1基よりも、二連装2基の方が重量を削減できます。また発射管の配置も、なるべく艦前方から発射できるようにした方が使いやすいです。
最期に重要なことですが、対艦ミサイルは開発された時点でコルベットに搭載可能です。既存コルベットに対艦ミサイルを載せれば、通商破壊に出ている敵巡洋艦を返り討ちにしやすくなります。

主砲

まず駆逐艦・コルベットの主砲は、単装3インチ両用砲が最強になります。
とにかく3インチ砲は強化が入り、発射速度・対空砲としての性能などにバフが乗り、対駆逐砲として最優秀かつ、運が良ければ対艦ミサイルを迎撃できます。
ただしこれはブラインドファイアが発明されて以降の話ですので、ブラインドファイアが発明されるまでは従来通り、5インチ砲を運用したほうがいいでしょう。
海外では、将来の改装を見越して、6インチ単装砲を運用できる3000t駆逐艦を量産し、50年代前半までは砲撃駆逐艦。ブラインドファイア発明後は大改装を実施し、3インチ単装砲とLSAMを装備する駆逐艦として運用することが人気のようです。

次に軽巡・重巡ですが、軽巡は6インチ砲、重巡は8インチ砲のままで良いと思います。いずれも十分な火力を持ち、自動装填装置のお陰で三連装砲でもROF1.6を叩き出します。(つまり20秒に1斉射できる)
ただし6インチ両用砲はミサイル迎撃能力に乏しいため、「Topside load」節約のため両用砲としての機能を削除するのもありと思います。
軽巡・重巡は地上目標攻撃任務に駆り出される事があるため、軽巡は連装砲1基、重巡は三連装砲1基が必要になるでしょう。

空母はテンプレートで搭載されている、3インチ砲のままで良いでしょう。
ただし機関更新などの大改装の際は、主砲を撤去してLSAM発射機を装備するのがオススメです。
その頃には既に敵機がミサイルを発射するのが当たり前になり、

最期に戦艦ですが、こちらは16インチ砲三連装3基が1番強いと思います。
巡洋戦艦はリシュリューのように、16インチ砲か15インチ砲を4連装2基前方集中配置し、後部はHSAMマシマシ、ヘリ多数運用といった感じにしてみるのもよいでしょう。

AAとAA Director

HAAは両用砲の項目で、ミサイル迎撃能力に乏しいものの、敵AIが60年代になっても急降下爆撃機を使う場面があるため、駆逐艦では引き続き3インチ両用砲を装備するのがオススメ。
MAAとLAAはどちらもレーダーを搭載し、レーダー装備型MAAとCIWSに進化します。しかし個艦防空能力は両者とも4つ装備するのが一番効果的で、5つ以上の装備は逆に迎撃能力が下がります。つまり、4つで十分ですよ!
また重要なのがAA Director(高射装置)で、これは最低でも1つ無いと、MAAとHAAの能力がガタ落ちします。装備忘れにご注意を!

航空機

50年代中盤より、LJF(軽ジェット戦闘機)のみならず、HJF(重ジェット戦闘機)やJA(ジェット攻撃機)が登場します。
HJFやJAは夜間飛行可能で、かつ航続距離も長いため、この2機種の実用化によって既存の艦上攻撃機・急降下爆撃・レシプロ戦闘機は旧式化します。
空母ではLJFを1個飛行隊にだけ配置し、後は夜間飛行訓練済みのHJFとJAを多数配置し、打撃力を上げるのがオススメです。
また50年代初頭より、空母には早期管制機や対潜機、ヘリなどを一括した「Special Squadron」を、搭載機数の2割分を割いて編成する必要が生じます。
そのため上記のHJFとJAを集中運用することで、打撃力の低下を最小限に食い留める必要があります。

平時での建造計画について

50年代と60年代に軍艦の建造期間延長が発生し、最終的には2500トン級駆逐艦でも20ヶ月、戦艦・空母は6万トン級なら40ヶ月もの時間が必要となります。
オマケに、このゲームをやったことなら誰でも分かりますが、やたらと予算削減イベントが多いくせに、他国の艦艇数はロクに減ってくれません。
つまり、建造期間の長い大型艦ほど予算削減イベントのせいで建造遅延しやすく、数も揃えにくいから戦場に出しにくい事態が発生しやすいです。
これにより、いかに戦力整備を計画通りに行うかが重要となっていきます。

大型艦建造のコツ

大型艦は前述の通り、とにかく建造遅延しやすいです。これは艦隊規模「SuperLarge」であっても、6万トン級空母の同型艦4隻揃えるのにゲーム内時間で8~9年もかかったと言えば、その難しさが分かるはずです。
なので建造に3年以上かかる艦艇は1隻しか作れず、同時に2隻も作れば、その皺寄せで駆逐や軽巡の更新が遅れてしまうという事態になります。
そこで建造が後回しにされがちな戦艦・巡洋戦艦・重巡は、大改装を実施するのが重要となります。

ただし就役から20年以上は経過した艦は、大改装しても10年ほどで維持費高騰を理由に退役となるでしょう。なので改装せずさっさと退役させ、ついでにそれの護衛艦になる軽巡や駆逐の数も削減したほうが改装費を捻出できます。
機関更新やHSAMなどの搭載といった大工事は、新造艦と同じくらいの月額建造費がかかるものの、わずか1年で新造と変わらない大型艦が手に入ると思えば安いと思います。

なおこの大改装案は、空母で実施する場合は艦載機数を考えて実施するかどうかを判断してください。
最低でも60機ほど居ないと、敵機の数に圧倒されてしまいますし、何より機数が少なすぎて艦載機の損耗で継戦能力を失いやすいと言えます。

空母について

なるべく大型の、6万トンクラスで100機運用可能なスーパーキャリアが好ましいです。ただし舷側装甲4インチ、甲板装甲2.5インチほどが必要だと思います。
理由はミサイルが被弾した場合、LSSMならギリギリ耐えられるかもしれない他、AIは1960年代でも急降下爆撃機を使うので、2500ポンド爆弾対策にある程度の甲板装甲が必要となります。
艦隊規模「SuperLarge」の日本では、このスーパーキャリアを12隻揃えることも出来ますが、Mediumだとアメリカ以外の国では作れません、
艦隊規模「Medium」かつ、アメリカ以外の国家だと、艦載機数を60~70機まで落とし、場合によっては防空用にCVLの運用も視野に入れるべきかもしれません。
艦載機も重ジェット戦闘機(HJF)を少な目に、軽ジェット戦闘機(LJF)を多めにして維持費をケチりましょう。LJFも60年代後半には、小型空対艦ミサイル(LASM)を搭載し、対艦攻撃可能となるためバカには出来ません。

小型艦建造のコツ

大型艦を裏で作ってる内に、軽巡や駆逐を整備していきましょう。
軽巡と駆逐による戦闘が増えるため、この2種類は量産性を考慮し、値段重視で排水量もケチったほうがいいです。
特に軽巡は、1956年頃に無装甲で建造可能となりますので、時期的にブラインドファイアも開発済みなこともあって装甲を省いてミサイルを載せた方が良いです。

軽巡は、前述のMSAM項目の通り、最終的にはなんちゃってイージス艦になるのでMSAMを2基運用するのを前提にする設計が良いでしょう。
また1万トン以上なら排水量に余裕ができますので、MSAM2基4門に加え、個艦防空用にLSAM発射機を置くこともできます。

駆逐は可能なら、LSAMを装備したほうがいいです。技術が進むとLSAMだけで、自艦以外に迫るミサイルを迎撃できますし、艦隊全体の防空能力の底上げが出来ます。
ただし体感ですが、月額建造費が700ポンド以上になると、数を揃えにくくなります。

コルベットの重要性

コルベットは、HSSM開発当初から対艦ミサイルを積めます。これにより通商破壊艦を手動操作で返り討ちにする確率が上がります。
またヘリが開発された場合、1機を搭載するだけでもASW値が上昇し、敵潜水艦への抑止力として機能します。
FS用コルベットには機雷掃海具とColonial Serviceを装備させ、TP用コルベットにはヘリを積みましょう。

艦種ごとの設計の実例

戦艦・巡洋戦艦

7万トン級戦艦(改装前)

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1950年に起工し、53年頃に就役。HSSM2発程度では沈まない。

7万トン級戦艦(改装後)

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68年頃に大改装し、69年~70年には就役。コンセプトは「万能艦」
HSAMの弾数は30発は欲しいところ。

6万トン級巡洋戦艦(改装前)

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6万トン級巡洋戦艦(改装後)|

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旧式艦の大改装の一例。軽巡以下の艦艇の相手を味方に任せ、自身はHSAMとLSAMで艦隊防空しつつ、ミサイル一斉飽和攻撃で敵を殲滅する設計思想

空母

46000トン級(70機運用)

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多分、コスパに一番優れている空母。艦隊規模「SuperLarge」なら、これを4隻集中運用する。

62000トン級(100機運用)

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1953年就役。多分、艦隊規模「Medium」でギリギリ建造できる最大サイズ。それでもかなり無理して100機搭載してるので、武装や装甲にしわ寄せが来ている。
艦隊規模「Medium」ならこれ1隻で戦隊組んでも良いと思う。

69000トン級(100機運用)

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艦隊規模「Large」以上でしか建造できない。
前述の62000tから妥協を無くした産物。

軽巡洋艦

有装甲軽巡

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無装甲軽巡(なんちゃってイージス)

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同クラスの軽巡同士の比較。後者はとにかく大量のMSAMを発射し、艦隊防空を行う。またMSAMもこの時期になれば、対艦ミサイルとして使えるので、ブラインドファイア後の切込みにも使える。

1万トン軽巡(なんちゃってタイコンデロガ)

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かなりギリギリの設計。これが作れるのは、恐らく1960年代に入ってから。

駆逐艦

旧式駆逐艦大改装前

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旧式駆逐艦大改装後

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1950年就役の駆逐艦を大改装し、1970年代でも通用する性能に仕立て上げた。
このように建造計画で乱れが生じ、更新が間に合わないと判断された場合、こうした大改装が必要となる。

駆逐艦試案

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月額建造費700ポンド未満かつ、LSAM装備を実現させたもの。
本来ならLSAM搭載数を12本ぐらいにしてケチるが、相互防空が可能になると弾切れになりやすくなるので、装填数をデフォルトのままとした。

コルベット

戦時急造駆逐艦転用コルベット

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名前の通り、戦時急造駆逐艦をコルベットに改造したもの。対潜装備をマシマシにしてTPに出している。

FS用大型2,500tコルベット

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KEB2.png
FS用に作ったもの。掃海具で下がったASW値を、ヘリの2機搭載でカバーするゴリ押しスタイル。