編集時Ver3.3.2.38
SteamEngines構築がwikiで一番長い記事になってしまったぽいので…
もっと書きたいクドい話をここで勝手に書くよ!
まえがき
グデーリアンが「エンジンは武器だ」と言ったとか言わなかったとか。その主旨は機動力は戦力の重要な要素というものであったと思う。
ところで、FtDにはエンジンが生み出すエネルギーを攻撃力に転化する武装があるので、グデーリアンの言よりも直接的な意味になるがやはり「エンジンは武器だ」と言えるだろう。
蒸気ピストンエンジンは、PPV重視の小さくて強いエンジンも、PPM重視の燃費性能の優れたエンジンも組むことができる。
そして、
PPV重視で設計した蒸気エンジンは、他の種類のエンジンと同一PPVならより高いPPMを達成し、
PPM重視で設計した蒸気エンジンは、他の種類のエンジンと同一PPMならより高いPPVを達成する。
つまり、
蒸気エンジンの性能は世界一ィイイイイイイイイイイイ!
…なのだが、その優秀さ程にはあまり利用されてないように感じる。アプデの波が悪い。
真におせっかいながら、PPV重視,PPM重視のそれぞれの決定版(と筆者が勝手に思ってる)蒸気エンジンをここでいくつか紹介したいと思う。異論は認める。
なお、レーザーやPAC,レールガン等のエネルギーを消費する兵器が主兵装のビークルに適した、最低でも万単位の出力帯のエンジンが対象となる。
世界一ィイイとは言ったが、蒸気エンジンが全セグメントで優位にあるわけではない。
例えば、超高効率(PPM1000以上)という要求仕様だとスーパーチャージャーマシマシの燃料エンジンが一番だろう。
蒸気エンジンはPPM800台が実用上の限界になる。また、PPM800台と同時に小出力は実現できない。
航空機で小出力なら、カスタムジェットにジェネレーターブロックを追加するだけで動力も取り出せるようになるので、そちらに軍配があがるのではないだろうか。
とはいえ、花形たるエネルギー兵器用の大出力エンジンとしてはやっぱり蒸気エンジンが世界一ィイイイイイイイイイイイ!
PPV番長 Sピストン多軸
Sピストン本体は1x2m^3という極小の体積ながら、単ピストンエンジンで出力1328となかなかの力を持っており、SMLの蒸気ピストンの中で最も出力密度が高い。
ただ、蒸気ピストンなので接続先のクランク、蒸気入口配管、蒸気出口配管(または排気スペース)にそれぞれ1m^3で最低でも計3m^3の付随的な体積を必要とする。本体体積よりも付随的体積の方が大きいのだ。
この付随的体積は各ピストンの専有ではないので、他のSピストンと上手く共有してエンジン全体での付随的体積を圧縮してやれば、その高い出力密度をエンジン性能に活かせる。
そういった方向で検討すると、高さ4幅4の構成が付随体積を最小にした最密構造の基本単位となる。
この基本単位を上下左右に拡張したものを1スライスとしてこれを必要なだけ連ねることで蒸気エンジンを構成する。
4軸7x7と5軸7x7はクランクシャフトの数が違うがピストンの数は同じ12。配管とシャフトを入れ替えて、ピストンの前後の向きを逆にすれば互いに変換される。
摩擦損失はクランクシャフトごとに計算されるので、同じピストン数12でクランクシャフトが増える5軸の方がPPMで不利になる傾向がある。
7x7から更に拡張して7x10,10x10,10x13,13x13…といったより大型のスライスを使ってもよい。
構成例
蒸気ピストンエンジンは隙間が多いが燃料エンジンは箱型で中身もほぼ隙間が無い場合が多いので、両者の出力密度を比べるにはPPVではなくPPBBが適切な指標。
特に設置容積の制約が多いお船らしいお船のビークルの場合。
二段エンジン
- 4x7スライス9枚、5:4二段エンジン
prefab:4x7スライス9枚_2段エンジン.blueprintDONE要目 最大出力 48644 PPM 487.9 PPBB 108.5 PPV 136.7 size 4x7x16 volume 359 cost 3080 Materials use/s 7
- 4軸7x7スライス9枚、5:4二段エンジン
prefab:4軸7x7スライス9枚_2段エンジン.blueprintDONE要目 最大出力 84096 PPM 492.3 PPBB 107.2 PPV 139.4 size 7x7x16 volume 603 cost 5130 Materials use/s 170.8
ちょっとだけPPMがよくなる5:4の黄金比に拘泥せずに1:1で構成すれば、より小出力のエンジンもつくれる。
三段エンジン
- 4x7スライス15枚、6:5:4三段エンジン
prefab:4x7スライス15枚_3段エンジン.blueprintDONE要目 最大出力 52636 PPM 567.2 PPBB 81.7 PPV 104.2 size 4x7x23 volume 505 cost 4180 Materials use/s 92.8
- 4軸7x7スライス15枚、6:5:4三段エンジン
prefab:4軸7x7スライス15枚_3段エンジン.blueprintDONE要目 最大出力 82584 PPM 579.1 PPBB 73.3 PPV 99.8 size 7x7x23 volume 827 cost 6875 Materials use/s 142.6
PPM王者 Lピストン多段
Lピストンは高いPPMとそこそこのPPVを実現できる。
二段以下だとSピストン多軸とPPMが近い割にPPVで大負けして存在価値がない。
三段でPPM700以上というSピストン多軸では到達不可能な値になる。三段以上の高PPMが本領。
1:1構成だとPPMの最高は九段(!)にwheel21個(!)付加して870前後、PPVは約24。1:1構成以外だと、本家discordにて11段でPPM930、PPV30の構成が報告されている。
これらはさすがに実用的ではないが、それでもRTGのPPV15より高い。
PPMはwheelチョット付けの三段で720、四段で790、五段で820程度になる。このあたりが実用上の限界か。
クランクに最大3ピストンを接続できる。3ピストン接続の方がPPMとPPVで有利になるが、凸型の角張った形状のためPPBBの数値は悪い。
2ピストン接続の扁平なエンジン形状だとPPBB的にもよく扱いやすいが性能は僅かに劣る。
3ピストン接続の凸型と2ピストン接続の扁平な対向水平型を構成例として紹介する。
Lピストンのみシリアルピストンとパラレルピストンの2種類がある。シリアルピストンは無配管の多段エンジンが簡単に作れる。パラレルピストンは前段と後段のつなぎ目の配管を1m^3だけと極少にできる。
5:4の黄金比で組もうとすると、この無配管という利点を失う。高PPMはLピストンの伸ばすべき長所だが、容積比5:4以外にもPPMを向上させる手法はあるのでそれらを採用して容積比は1:1で組んで可能な限り無配管にしたい。
5:4以外のPPM向上策としては、双子化とかwheelマシマシとか。
構成例
三段エンジン
- Lピストン対向水平、1:1三段エンジン
prefab:Lピストン対向水平_3段エンジン.blueprint
1クランクに2ピストン接続の扁平な対向水平エンジン。幅13なので大型のお船ならギリ積めるだろうか。
3段直結シリアルピストンと直結Mボイラで無配管。要目 最大出力 29251 PPM 716.9 PPBB 50.0 PPV 61.8 size 3x13x15 volume 473 cost 4980 Materials use/s 40.8
- Lピストン双子対向水平、1:1三段エンジン
prefab:Lピストン双子対向水平_3段エンジン.blueprint
前掲のエンジンを双子化したもの。
同じエンジンを二つ配置するよりも双子化した方がPPM,PPVで若干有利になる。
直結ボイラを前後に2基ずつの計4基。要目 最大出力 58870 PPM 721.4 PPBB 55.9 PPV 64.9 size 3x13x27 volume 907 cost 9600 Materials use/s 81.6
- パラレルピストン対向水平、1:1三段エンジン
prefab:パラレルピストン対向水平_3段エンジン.blueprint
前掲の双子エンジンと等価なパラレルピストンエンジン。
配管極少パラレルピストンの参考用。要目 最大出力 58846 PPM 722.9 PPBB 55.9 PPV 65.8 size 3x13x27 volume 894 cost 9340 Materials use/s 81.4
- Lピストン双子凸型、1:1三段エンジン
prefab:Lピストン双子凸型_3段エンジン.blueprint
「船のためにエンジンがあるのではない。エンジンのために船があるのだ」という強い意思を感じる凸型形状。
当然、PPM,PPVは対向水平型より向上する。要目 最大出力 88775 PPM 726.4 PPBB 31.6 PPV 71.1 size 8x13x27 volume 1248 cost 12945 Materials use/s 122.2
四段エンジン
- Lピストン対向水平、1:1四段エンジン
prefab:Lピストン対向水平_4段エンジン.blueprint要目 最大出力 28891 PPM 785.0 PPBB 41.1 PPV 49.3 size 3x13x18 volume 586 cost 6130 Materials use/s 36.8
五段エンジン
- Lピストン対向水平、1:1五段エンジン
prefab:Lピストン対向水平_5段エンジン.blueprint要目 最大出力 28565 PPM 825.5 PPBB 34.8 PPV 40.6 size 3x13x21 volume 703 cost 7300 Materials use/s 34.6
- Lピストン凸型、1:1五段エンジン
prefab:Lピストン凸型_5段エンジン.blueprint
wheelをあと8個追加するとPPMは835.9まで向上する…
こいつだけ回転数制限を設定してあるので部分負荷でもPPMの低下は少ない。他のは設定し忘れた。要目 最大出力 43083 PPM 829.0 PPBB 20.7 PPV 44.7 size 8x13x20 volume 963 cost 9735 Materials use/s 51.9
こまかい話
なぜSピストン多軸の出力密度が高いのか
蒸気容量/体積が高いから。
ピストンには蒸気容量が設定されている。SとMが5000、Lが40000。
これがでかいピストンほどたくさんの蒸気を流せて出力が大きくなる。
ピストン単体での蒸気容量/体積を見てみると、
S 5000/2=2500
M 5000/4=1250
L 40000/45=888.88…
ぶっちぎりでSピストンが高い。
SMLは摩擦損失でかなり差があるので、蒸気容量/体積だけ見てSピストンが万能ということにはならないが、
出力密度(PPV)を求める場合、どのような構成にしろSピストンを使ったものが候補になるだろう。
ピストン単体ではなくもう少し実態に近い構成で評価すると、
Sピストン多軸の4x4基本単位は、体積16(bounding box方式)にSピストン4基で蒸気容量20000、1250蒸気容量/体積。
4x7は1250蒸気容量/体積。4軸7x7は1224蒸気容量/体積。
Lピストン2基をクランクに接続した扁平型は、体積117にLピストン2基で蒸気容量80000、683.76蒸気容量/体積。
Lピストン3基をクランクに接続した凸型は、体積162(bounding box方式にあらず)に蒸気容量120000、740.74蒸気容量/体積。
リバースエンジニアリングめいた事をしたわけじゃないので、異なる種類のピストンで蒸気容量/体積で比較するのが適切なのかはよく分からん。
でも、同じ種類のピストンを使った構成同士で比較する分には問題ない…はず!
スチームプロペラの頁の表https://wikiwiki.jp/ftdjp/Steam%20Propeller#s090ef33 を見ると
1段ピストンエンジンでSの出力は1330.5、Mは1539.0、Lは12716.8となっている。
L/S=9.5579, L/M=8.2630と大体8倍になっており、蒸気容量の比に近い。1段以外についても同様。
L/Mが8倍に近くL/Sが8倍からやや離れるのは、摩擦についてLが最も低くSが最も大きくMが中庸に設定されていることと符合する。
残差は全部摩擦のせい!
排圧低下*1
最終段ピストンの排気口にsteam pipe 6way等をつなげると何故かピストンの最終排圧が下がる。
利点
- 蒸気をより低圧になるまで使い切ってから大気に放出する。単位蒸気あたりから取り出すエネルギーが増える。PPMが若干向上する。
- 投入蒸気の気圧が10のままで最終排圧が下がるので、蒸気流量が増える。少しだけより多くの蒸気を処理できる。出力とPPVが若干向上する。
単価5の配管をちょっと追加するだけで、膨大な量のマテリアルを消費する大出力エンジンの燃費がわずかでも向上するんだから使わない手はない。
ピストンの排気口がボトルネックになって、その先でただの配管がどうなっていようが排圧低下しなくね?そうはならんやろ…と思うんだけど、
なっとるからしょうがない、使おう。
構成例のプリファブには採用している。
蒸気ピストンエンジンから動力と電力の同時出力
周知のように、蒸気ピストンエンジンにwheelとジェネレーターをつけると電力も出力できるようになる。
ジェネレーター付きで動力のみか電力のみ出力させると、ジェネレーター装着前よりPPMが低下する。
動力のみだとジェネレーターが死荷重になって摩擦損失を生むだけの無用の長物になり、電力のみだとギアボックスが無用の長物にになる。ギアボックス無しだと蒸気エンジンとして成立しないのでギアボックスは外せない。
動力と電力を同量程度で同時に出力させると、ジェネレーター装着前より回転数が低下して摩擦が微減、PPMが若干向上する。
動力消費の装備と電力消費の装備を両方採用すると具合がいい。
ジェネレータ装着前より向上するケースとして確認しているのは、双子凸型のような大規模Looooooooooongエンジンの場合と、Sピストンで最大出力時の回転数が高い=摩擦がでかい場合である。
どちらもジェネレータ装着で最大出力時の回転数が低下して摩擦損失も低減した結果としてPPMが向上しているように見える。
例
Sピストン多軸で紹介した「4x7スライス15枚、6:5:4三段エンジン」の4つあるシャフトのそれぞれににsmall shaft generatorを3個装着すると、
最大出力で88596→96276(動力と電力の出力の和)
PPMで621.2→675.4
PPVで102.3→109.6
と、なかなかの性能向上を見せる。
(Sピストン多軸が最も顕著な向上幅を示すので例として挙げている。Lピストン多段だとここまでの向上幅はなく、PPMでせいぜい+10~20。)
generator装着前の状態と、1段目と2段目のつなぎ目のwheelにgenerator3個を装着した状態。ジェネレータ装着により回転数が低下し摩擦損失は低減、その分だけ総合出力は向上している。
ジェネレータの装着数でPPMが最高になる動力と電力の出力が決定され、そこから外れるとPPMの向上幅は低下する。
動力と電力に全負荷掛かっていたら、特に調整しなくても自然にPPM最高になる出力をしてくれる。
電力こんなに要らねえよ!という場合は各シャフトのジェネレータの数を減らすことでいくらか調整できる。Sピストンの場合は。
Lピストンだと1個より多くジェネレータをつけるとPPMは低下するので、ジェネレータ数の調整はしようがない。
wheelをつけてPPMをあげたい!…でも何個つける?
蒸気エンジンのクランクにwheelをつけて伸ばすと、燃料消費はそのままに出力が向上し、PPM、PPV共に改善する。
たくさんつければ無限に向上するわけではないし、ある程度の数以上つけるとむしろ性能は低下する。
可能なエンジン構成は無数にあるので、PPMを最大化するwheel個数は事前には分からず試行錯誤するしかない。
wheelで燃料消費は変化しないので、PPMを最大にするには出力を最大化すればよい。
それにはクランク等のポップアップで出力を見ながらwheelを追加削除して調整するのが手っ取り早い。
wheelの数を増やすほどその効果は逓減していくので、厳密なPPM最大化は実用的でない。
エンジンの評価
AARパーツ考察/PPBの計算方法/補足説明にもあるように、戦闘時間を加味したエンジン評価ではPPMが非常に重要になってくる。
前掲のリンクでは燃料込の体積効率を指標としたエンジン評価を行っているが、PPMジャンキーの自分としてはマテリアルコストで評価した方が直感的で分かりやすく感じる。
例えば、1会戦の戦闘時間を15分=900秒と決めてその間ずっと全力稼働した場合の燃料消費とエンジン本体コストの和を最大出力で割れば、単位出力あたり1会戦あたりのマテリアルコストになる(この値が小さいほどよい)。
100万カスタムバトルのような時間制約とコスト制約がある場合には、この指標が一番いい気がする。
とはいえ大きいエンジンだと装甲も多くいるからそれも評価すると………………ボンッ!(頭がオーバーヒートした音)
謝辞
Sピストン多軸のアイデアを最初に示したくれたrakutukiさん*2
実装例を共有してくださったBarさん*3
お二人に感謝申し上げます。
- 3.3.2betaでSピストンの摩擦が増加、Lボイラの能力向上がありました。これにあわせて、S多軸のプリファブと要目を更新。出力とPPBBが5~7%減少、PPMが10%減少、PPVは微減となりました。ついでにグラフをつけました。 -- DD1392? 2021-11-30 (火) 20:35:40