AARパーツ考察/PPBの計算方法/補足説明

Last-modified: 2017-01-15 (日) 23:50:45

編集時Ver1.966

実用的なfuel engineの評価法

 このページではfuel enginesを実用するための評価を行いますが、その前にエンジンの評価の指標を以下に示しておきます。
 

PPB
 体積あたりの出力。自分で計算する必要があるが、よく使われる。
PPBB
 エンジンが収まる最小の直方体の体積あたりの出力。バイタルパート内の空間は直方体で確保することが一般的なので、その空間に合わせてエンジンを設計するならばこの指標も実用的。
PPC
 使用マテリアルあたりの出力。エンジンをプレハブ登録したとき、勝手に計算され表示される。初期投資のようなもの。
PPF
 燃料消費1あたりの出力。エンジンインターフェースに表示され、燃料タンクの設置数にも関係する。運用コストにも影響する。
PPW
 重量あたりの出力。計算が面倒なうえ、重量が影響する要素は少ないのであまり使われない。
FPS
 秒間燃料消費量。Fuel use per secondより。 運用コストともいえる。出力をPPFで割った値だが、エンジンインターフェースに表示される。

 
エンジンの性能評価で特によく用いられるのはPPBとPPFです。
 

出力の理論値と稼働時間を考慮した評価の必要性。

 本項目では実用的なエンジンの評価法を説明する前に、その必要性を説明します。計算をいくらか行うため、エンジンの構成要素の個数に文字を割り当てることにしましょう。
 

G=エンジンジェネレータの数。マテリアル50。重量30。
B=キャブレタの数。マテリアル10。重量20。
C=シリンダの数。マテリアル10。重量30。
S=クランクシャフトの数。マテリアル5。重量30。
A=アダプタの数。マテリアル5。重量30。
I=インジェクタの数。マテリアル20。重量30。
R=ラジエータの数。マテリアル10。重量30。
T=ターボチャージャの数。体積はその2倍になる。マテリアル5。重量40。
P=排気管の数。マテリアル0.25。重量10。
F=燃料タンクの数。マテリアル100。重量45。燃料保有量1000。

 

  • インジェクタエンジンの場合
     インジェクタエンジンではクランクシャフト1個に対し、4個のシリンダを接続し、4個のインジェクターを接続した形が最大の出力を与える1単位であり、その出力の大きさは1600です。
     このとき、シリンダ1個につき、1個の排気をつなげた形が最小の構成要素になります。このことから、ジェネレータやラジエータのような要素を除いたインジェクタエンジンのPPB、PPC、PPWが計算することができます。
     
    PPB=1600/(C+I+S+P)=1600/(4+4+1+4)=1600/13=123.1
    PPC=1600/(10C+20I+5S+0.25P)=1600/(40+80+5+1)=12.7
    PPW=1600/(30C+30I+30S+10P)=5.16
     
     ただし、インジェクタ2つが接続されているシリンダは、排気が1つでは冷却が追い付かないので、オーバーヒートしてしまいます。基本的に、1つのシリンダに接続されているインジェクタの数と排気管の数は同じであるか、排気管の数の方が多いことが好ましいでしょう。
     
  • キャブレタエンジンの場合
     キャブレタエンジンではAスライスとBスライスを交互に重ねていく構造が最大の出力を与えます。この時、3x3x2の空間に収まるコアが最大の出力を与える1単位であり、その出力の大きさは2400です。
     この時、最小構成では8つのシリンダに1つずつ排気管をつなげればよいですが、それではぎりぎりオーバーヒートしてしまいます。スーパーチャージャーかターボチャージャーを用いることで、シリンダの過熱を抑制してオーバーヒートを予防でき、しかも燃料の消費量も削減できるので、これらの使用を推奨します。高出力域での使用の場合は多くの排気を通したターボチャージャーの方が効果が大きく、熱による出力低下を抑えることができます。ここではキャブレタエンジンはターボチャージャーを用いたものを主に扱います。PPB、PPC、PPWを計算しましょう。
     
    PPB=2400/(C+B+S+P+2T+A)=2400/(8+6+2+8+2*6+2)=2400/34=63.2
    PPC=2400/(10C+10B+5S+0.25P+5T+5A)=2400/(80+60+10+2+30+10)=2400/192=12.5
    PPW=2400/(30C+20B+30S+10P+30T+30A)=2400/(240+120+60+80+180+60)=2400/740=3.24
     
     以上のように、普通キャブレタエンジンよりもインジェクタエンジンの方が出力面で優れています。しかし燃料エンジンは燃料がなければ出力を生み出すことはできません。インジェクタエンジンはPPF70程度であるのに対し、キャブレタエンジンはPPB重視の構成であっても300PPF程度となります。そのため同じ出力で同じ時間稼働したければ、必要な燃料箱の数は4倍ほど異なります。しかも燃料タンクの設置にかかるマテリアルはエンジンのパーツの比ではなく多いです。そこで燃料エンジンを評価するために、想定する稼働時間tを変数として導入することにします。稼働時間tが定まれば、FPSから必要な燃料箱の体積を求めることができるためです。ただし特別に理由がないのであればあなたが想定する稼働時間を定数として評価に用いた方がよいでしょう。この稼働時間tの導入により燃料エンジンに実用するための評価を与えることが可能になります。
     

実用的なエンジン評価

 燃料エンジンは出力を生み出すために燃料が必要であることと、ビークルに搭載するべき燃料の量を求めるためには稼働時間tを決める必要があることはすでに説明しました。以下に実用的なエンジン評価の方法を示します。いずれもPPFが計算に含まれた値となります。また、今回は稼働時間tの単位は 分 で説明していきます。
 

PPB for t min
 t分間連続稼働するために必要な燃料の体積を含めて計算した体積あたりの出力。
PPC for t min
 t分間連続稼働するために必要な燃料の体積を含めて計算した使用マテリアルあたりの出力。
PPW for t min
 t分間連続稼働するために必要な燃料の体積を含めて計算した重量あたりの出力。

 
 PPC for t minは、PPW for t minは特殊な指標であまり使われません。ここでは表記出力が5200の3種類のエンジンをPPB for t minで評価・比較しながら、目的に合わせたエンジンの選定・設計について説明します。評価するエンジンは以下の3つです。
 
A.燃費重視の5x5x7キャブレタエンジン。

20170114110359_1.jpg

100%稼働時の概要
出力 5194
燃費 538
体積 163
PPB  31.9

 
B.体積当たり出力重視の5x5x6キャブレタエンジン。

20170114110422_1.jpg

100%稼働時の概要
出力 5170
燃費 300
体積 121
PPB  42.7

 
C.3x3x8インジェクタエンジン。

20170114110444_1.jpg

100%稼働時の概要
出力 4643
燃費 68
体積 61
PPB  76.1

 
 以上の3つのエンジンについてPPB for t minを計算してみます。まずはFPSを計算します。これはインターフェースに表示されている値をそのまま使用しても構いませんが、今回は説明のためにも計算します。FPSは出力をPPFで割った値です。小数点以下の四捨五入の扱いのため、表記されている値とは異なることが多いです。
 

FPS=Power/PPF

 
 ある時間稼働するために必要な燃料の量はこれに時間を掛けた値です。エンジンAでは9.65となりました。
 

Fuel=tx60xFPS

 
 1つの燃料タンクには1000の燃料を保持できるため、計算した燃料の量を1000で割れば設置すべき燃料タンクの体積が計算できます。エンジンAでは579.3xtとなりました。
 

FuelTank=Fuel/1000

 
 ただし、燃料タンクは1ブロックごとの設置しかできないので、少数は適宜切り上げるか切り捨てるべきです。エンジンAでは0.5793xtとなりました。エンジンの出力を、この燃料タンクの体積とエンジン自体の体積の和で割ることで、PPB for t minを計算することができます。
 

PPB for t min=Power/(EngineVolume + FuelTank)

 
 この式は変形してPPBとPPFの式にできます。
 

PPB for t min=Power/(EngineVolume + FuelTank)=1/(1/PPB + 0.06t/PPF)

 
 つまり、稼働時間t[min]をある値に決めて評価する場合、tの値はエンジンのPPBとPPFのどちらを重視して評価するかを決める定数となるわけです。t=30[min]の場合はPPBよりもPPFを1.8倍重視しているともいえます。
 今回は3つのエンジンについて表計算ソフトを用いて稼働時間とPPB for t minのグラフを作りました。このグラフはエンジン自体のPPBをy切片としたtに反比例するグラフであり、稼働時間tが大きくなると0に漸近します。
 
PPB_for_t_min.png
 
 このグラフより、エンジンCは長時間の運用のためには燃料タンクが大量に必要なために。体積当たりの出力が小さくなってしまうことや、エンジンAとエンジンBは90分でやっと体積効率が逆転することが分かります。ただし、このグラフは補給なしの連続での運用を前提としたものです。1回の戦闘が15分で終わるような強力な火力を持つビークルでかつ、戦闘のたびに燃料を補給するのであれば、エンジンCが最も体積が少なくてよいでしょう。しかし戦闘のたびに補給することが困難であるとか、長時間の戦闘を行うのであればエンジンAやエンジンBの方が体積が少なくて済むというわけです。
 
 例えば、1回の戦闘時間を15分として、戦闘回数と補給の関係を考えてみます。エンジンCでは1回の戦闘ごとに補給を行うとき、もっともエンジンに要する体積が小さくなります。エンジンBでは補給はもっと少なくて済み、6回の戦闘ごとに補給するならば最適でしょう。これ以上ではエンジンAが良いといえます。
 単に同じ量の燃料でより長く稼働させたいならばPPFが最も大きいエンジンを積むべきですね。
 
 まだ説明していない重要な要素として形状の自由度と、稼働時間の抗堪性というものがあります。
 エンジンの形状は、接続面の存在のためにある程度大きな塊でなくてはなりません。これに対して燃料タンクは数だけが重要で、好きなように詰め込むことができます。これはバイタルパートの大きさや防御といった点で特に重要であり、大型艦に随伴するための小型のビークルであればエンジンAが防御と大きさの面で有利でしょう。
 
 稼働時間の抗堪性は少々難しいです。燃料タンクが保持する燃料の量はどの燃料タンクでも常に同じであり、燃料タンクが破壊され脱落するとその燃料タンクに保持されていた燃料は消えてなくなってしまいます。つまり、燃料タンクの数が多ければ多いほど、1つの燃料タンクが破壊されたときに失う燃料の割合が少なくなるということです。だから、燃費の良いエンジンだからといって燃料タンクの数をけちると、燃料タンクが1つ破壊されただけで燃料が1割や2割ほど一気に消えることになってしまいます。
 
 エンジンの選定・設計はビークルの構造や運用方法と密接に関係します。いろいろ試してみましょう。

コメント

  • PPC for timeの話をどう展開していくのか期待 -- 2017-01-15 (日) 03:47:06
    • PPC for time は燃料エンジンだけの比較だと 燃料タンクがべらぼうに高いからコスト気にするならPPFいいの積んどけ としかならないのですよ。蒸気エンジンと電気エンジンとの比較をしないと意味が薄いので、申し訳ないですが、ここではあまり言及するつもりはありません... -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 10:15:33
  • PPB for timeの式をせっかく出したのだから ・インジェクタ型、1ターボ型、2ターボ型、3ターボ型……と各エンジン型が優位となるおおよその時間 ・1ターボと2ターボが混在した場合、全体のPPFがどうなるか ・式から考えてなぜPPF重視のエンジンが不利になるかの説明 ・ではPPC for timeで考えるとどうなるか と話が展開していくのを期待していました。 燃料エンジン内だけでPPC for time比較しても4ターボ・5ターボ型はほとんど有利にはならないですからね。 -- 2017-01-15 (日) 19:34:03
    • PPB for time の大小が入れ替わるのは、ざっくりした理論値の計算ですとt[min]=15、150、310、 3360、 68400のあたりですかね。実際にエンジンを作るともっと違う時間の後になるでしょう。 -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 22:19:18
    • ターボチャージャーの接続数によるエンジン全体のPPFは今の私の知識の範疇にないので何とも言えません。各々が作ったエンジンを都度比較していただければと思います。 -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 22:19:29
    • PPB for timeではPPFは燃料タンクの容量のために影響が小さいといってよいでしょう。燃料タンクが保持できる燃料の量が1000から100に1/10になれば、PPFの影響は10倍になります。 -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 22:19:41
    • PPC for timeは、設置コストについてはターボチャージャーの接続数が増えると、キャブレタに接続できるシリンダの数が減るのでその分キャブレタの設置数を増やす必要があるため、4ターボや5ターボのエンジンはあまり有利ではないでしょう。しかし時間当たりの運用コストを考慮すると最大で3.93倍ずつ変化するはずなので、4ターボや5ターボのエンジンがほとんど有利にはならない、というべきかは疑問です。 -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 22:19:50
  • このページはあくまで、1. PPBはエンジンの評価に使えるよ。 2. でもエンジンが動くには燃料が必要だね。3. そこで燃料タンクも出力に関係するとしてPPBなどを計算する評価法があるよ。 という時間を考慮したエンジン評価を示す補足が目的であって4. 実際にエンジンを時間を考慮して比べてみるよ。 というのはおまけということでどうか納得ください。 -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 22:20:09
  • 回答ありがとう。趣旨分かりました。細かいことですがグラフの出来が良いので折り畳みにせず表示した方が多くの人にざっくりとした理解を促せるように思います。 -- 2017-01-15 (日) 23:31:14
    • 分かりにくい書き方をしてしまったようで申し訳ないです。グラフは確かに折りたたまない方がよさそうですから、表示にします。ご指摘に感謝します。 -- Bento_Box? 2017-01-15 (日) 23:50:23