ダークネスキングダム　紡がれた絆

――少し前のこと

パリオス

――それじゃ、行ってくるね。

ユージェン

必ず援軍を連れて戻る。
……王子、消えたり、するんじゃないぞ。

リンネ

汝の刻は……必ず正しき道へ向かう。
歪んだ定めは、正されるべきじゃ……。

ヘカティエ

諦めたりしないようにね。
まぁ、あなたなら、そんな事はないだろうけど。

グリム

みんな、準備はいいですか？
意思を強く持って、それから帰る場所を忘れないように。

比較的異界の門が安定しやすい場所ですが、
それでも、大きな衝撃があるはずです。
あっ、手とか繋いでおくと良いと思いますー。

アンナ

この世界の運命を、皆さんに委ねます。
どうかよろしくお願いします！

グリム

よーし、じゃあいってらっしゃーい。
異界の門、解放！

アンナ

…………。
……どうか、皆さん、ご無事で。

グリム

ふぅ……逆召喚完了です。
みんな無事に、あっちの世界へ行ったかとー。

それにしても、アイギス神殿が無事で良かったですねー。
お外はもう、見たこと無い状況になっちゃってて、
異界の門も全然安定しないですし。

トワ

時間の操作も、異界の門も、
縁のない場所を対象にするのは難しいですからね……。

ケイティ

えぇ、何しろ「時間」と「歴史」そのものが、
大きく変わってしまったようですから……。

アーニャ

えーっと、よく分かってないんですけど……。
れきし？　が変わるって、どういうことですか？

街の皆も、軍の人も、
みんな王子のことを忘れちゃったみたいになってて、
すごく、怖かったんですけど……。

トワ

おそらくですが、何者かの手によって、
過去が書き換えられてしまったのかと。

今この時代に存在するあらゆるモノは、
過去に起きた出来事の積み重ねです。

その過去そのものが変わってしまえば、
その影響が、この時代に反映されてしまうんです。

今は女神アイギス様の力で、
王子と、私達一部の王国軍は守られていますが……。

アーニャ

どうしてそんなことを……。

アトナテス

……迷ってる暇はないだろ。
異世界の救援は、あいつらに任せたんだ。
俺たちは俺たちで、出来ることをするべきだ。

トゥアン

――王城へ、乗り込むか。
街の住人の話じゃ、王子不在だっていうのに、
王城にはその主がいるらしいからな。

サナラ

王国を乗っ取った人がいる、ということですよね。
もしかしたら、その人が原因かもしれませんし。

アンナ

……そう、ですね。
不安がっていても、何も変わりません。
王子、私たちも行動を開始しましょう。

リタ

……いえ、待ってください。
この気配……アイギス神殿が包囲されています！

ケイティ

向こうから仕掛けてくるなら好都合。
事件の黒幕まで、一気に辿らせてもらいましょう。

デシウス

――名もなき神殿に立てこもるとは。
貴様ら、何者だ。
その武装、ただの盗賊ではあるまい？

アンナ

デシウス！　無事……ではなさそうですね。
まさか王子のことも忘れて……。

デシウス

王子？　そうか貴様らは、
我が主君の首を狙う不届き者ということか。

王子

…………。

デシウス

よく見れば、主君にそっくりな男がいるではないか。
我が主君を殺め、成り代わるつもりか。

アンブローズ

どうやら、デシウスちゃんも
歴史の改変には抗えなかったみたいですねぇ。

トゥアン

この事件が起きた瞬間、
王子の近くにいたヤツだけが
記憶を維持できたみたいだな。

デシウス

歴史だ改変だと、わけのわからぬことを抜かすなっ！
我輩の剣技をもって、不逞の輩は斬り伏せてやろう！

王子

……来い、デシウス。

デシウス

…………くっ。
なぜ我輩をそんな目で見る……。

えぇい！　情けなどかけぬぞ！！
集え、暗黒騎士団！

アンナ

王子、暗黒騎士団が来ます！
存在が薄れつつある状況で、
指揮をお願いするのは心苦しいですが……。

トゥアン

戦わなければ、死ぬだけだ。
王子、勝手に消えかけるな、気合を入れろ！

デシウス

強い……我輩の剣に匹敵、いや、上回るだと……？

ヘイオス

……デシウス、その剣は何のために鍛えたのか、
その身体は何のために、
生なき鎧と化したのか、どうか思い出してください。

デシウス

くっ……何を……。

シャディア

復讐に走る姿も、記憶のない姿も見てきたが、
今のお前が一番哀れだ。
……必ず、元の歴史を取り戻すからな。

デシウス

くそっ……殿下……敵が……ぐふっ……。

アンナ

……どうやら、気を失ったようです。
王子、私たちはこのまま王城を目指しましょう。

王子

…………（こくり）

――そして現在

アンブローズ

……襲撃は、最初のデシウスちゃんだけ。
王城では誰も襲ってこなかったですねぇ。

アトナテス

ここまで来い、ってことだろ。
デシウスが派遣されたのも、
殺すためというより、顔を確認するためか。

リタ

……えっと、それだと、
王国を、歴史を乗っ取ったのが、
王子の知り合いみたいに聞こえますが……。

トワ

おそらく、そのとおりですよ。
時間遡行も起点となる遺物や縁がなくては困難です。
となれば、王子に縁のある者こそ、今回の黒幕。

アーリー

でも、ヘカティエ様は
この件に天界は関わっていないと言っていたわ。
王子に恨みを抱く、時間界編の力を持つ者なんて……。

ダーク王子

――恨みなどあるものか。
俺に似た男がいると聞いてな、興味がわいただけだ。

アンナ

あなたは……ダーク王子！？
まさかこの歴史改変は――！！

ダーク王子

……何を言っているのか分からないな。
しかし、王国を守るのが我が責務。
この世界を守護するのが、英雄たる俺の使命。

どうしてか体が消えかけているようだが、
こちらも手加減をするつもりはない。

――逆賊は、刈らせてもらうぞ。

ダーク王子は体力が
徐々に減少していきます。
　
またダーク王子がいる間、
全ての敵の攻撃と防御が
固定値で100アップします。
　
　　　　　　　(1/2)

ダーク王子がいる間、
全ての味方の攻撃、
防御が固定値で100
魔法耐性が5ダウンします。
　
　　　　　　　(2/2)

――強い。
俺に似ているだけ、ではなさそうだ。

ダーク王子の力が、さらに増していきます！
王子、どうかご注意を！

ダーク王子

くっ……心が、疼く……。
なんだ、この記憶は、この感情は……！

王子

…………ッ！！

ソーマ

ダーク王子さん！
思い出してください！！　あなたは――

ダーク王子

俺、は……。

――そう、か……。
これが、歴史改変の影響、ということだな。
ようやく、思い出したぞ……。

アンナ

ああ、良かった……。
ダーク王子、どうか助力を願えませんか？
今この世界は大規模な歴史改変を受けて――

ダーク王子

…………。
…………………断る。

ルイン

……なぜ？
あなたはこの世界を、
共に守っていくと言っていたではないですか。

ダーク王子

簡単なことだ……。
この歴史改変は、俺の部下が仕掛けたものだからな。

――王子、少し話をしようか。

ダーク王子

――俺は、死んでもいいと思っていた。

この世界にはお前が、オリジナルがいる。
お前にならば、未来を任せることができる。

だから、お前が神にでも挑む時、
この命の全てを燃やして、
そこで生を終えるのが俺の運命だと考えていた。

王子

…………。

ダーク王子

ぞんなことはさせない、とでも言いたそうだな。
……俺の部下たちも、お前と同じ顔をしていた。

俺の身体には、魔王ガリウスの影が残した、
魔力の残滓が宿っている。

この魔力が尽きた時、
俺はこの世界から消滅するだろう。

部下たちは、こう言った。
俺の魔力が尽きるより前に、
この世界そのものを書き換える、と。

王子

……お前は、それを許可したのか。

ダーク王子

するはずがない、と言いたいのだろう？
俺とて、お前が消えるような改変は望まなかった。

……だが、お前なら分かるはずだ。

俺たちは、ひとつだ。
光と影、表と裏、決して切り離せぬ写し鏡の魂。
お前が俺と同じ運命を辿ったなら、どうする。

王子

…………。
…………そう、だな。

ダーク王子

分かってくれた、か。
同じ俺同士だ、伝わると信じていた。
お前の部下たちは、どうやら理解していないようだが。

――これより、俺たちは歴史改変の仕上げにかかる。

ひとつ、王都陥落の再演。

ふたつ、お前がまだ幼かった頃の時代。

みっつ、千年戦争、その決戦の瞬間。

俺たちは、この世界を根本から書き換える。
だから王子、俺を追ってこい。

――俺を、殺しにこい、オリジナル。

さぁ、時空の歪みが訪れるぞ。
次に気付いた時には、ひとつ歴史改変の進んだ未来だ。

トワ

――くぅっ……こ、ここは、神殿前、ですか？

ココロ

記憶は……大丈夫、継続してるみたい。
もうこれ、禁忌とか言ってられないよ。
一緒に千年戦争まで一気に戻って――

トワ

いいえ、戦力の面でも、
時間遡行の面でもそれは危険すぎます。
あなたなら、分かるでしょう？

ココロ

……ダーク王子の配下は、
たぶん、歴史そのものを書き換える手段を持ってる。
でもこっちは、時間を遡ることしかできない……。

トワ

そう、歴史改変の速度に、
今の戦力だけでは追いつきようがありません。

ココロ

それじゃあ、いったいどうすれば……。

ダークアンナ

――諦めるのが、よろしいかと。
この世界に戻ってきてみれば、
やはりあなた方は、抵抗を続けていましたか。

アンナ

ダークアンナ……。
やはり、あなたも関わっているのですね。

ダークアンナ

首謀者だと思っていただいて、問題ないかと。
オリジナル、あなただって同じ状況なら、
きっと同じ選択肢を掴み取ったはずです。

我が主、歴史の掌握者、偉大なるダーク王子さまは、
オリジナルとの戦いを望んでいますが――

ユリアン

ここで、俺たちを倒すつもりってか。
ダーク王子はそんなこと望まないだろ。

ダークアンナ

……ですが、私はそれを望みます。
どうか、お覚悟を。
来なさい、猛き翼、不死たる鳥――魔神フェネクス。

？？？

やっとついた！
みんな、待たせたわね！

セレン

よっしゃ異世界到着！
気合入れていくぜ！！

リン

着地せいこーう。
ご主人くん、無事に異世界到着したよぉ♪

スズ

ハイヤー！　ふっふん、異世界とうちゃーく！
――って、あれ！？　クロミがまたいない！
もしかしてまた置き去りにしてきたのかな？

少年

王子さーん！　ご無事ですか！？

アンナ

ゲシュペンス島のみなさん……！！

エーリューズニル

ごきげんよう、異世界の皆さん？
さぁ、死者の国に行きたいのはどなた？

閻魔庁

久しい世界じゃが、どうやら空気が違うのう。
これが歴史改変というやつか。

柳川城

歴史を書き換えるなんて……。
日の本の者としても、見過ごすわけにはいきません！

立花山城

あら、あなたがそれを言う？
さぁ殿、戦友を救うわよ。

殿

…………！！

ヨユキ

日の本のみんな……！！

ダークアンナ

……どこまでもしつこいですね。
ならば、少し相手をしてあげましょう。

アテエル

好きな人の望みより、自分の望みを優先しちゃう、
そんな子には負ける気がしないわ！
さぁ、かかってきなさい！！

NPCのフェニックス娘、
スライム娘、ペガサス娘、
カッパードラゴン娘、
エーリューズニル、閻魔庁、
柳川城、立花山城、
は倒されても
★の評価には影響しません。

魔神フェネクスがいる間は、
全ての敵のHPが回復していきます。
　
また、魔神フェネクスは体力が
徐々に減少していきます。

ダークアンナがいる間は、
全ての敵のHPが徐々に回復します。
　
またダークアンナは体力が
徐々に減少していきます。

ダークアンナ

……舞台は、整いつつある。
そろそろ私は撤退させてもらいましょう。

少年

王子さん、ご無事――じゃないですね！？
き、消えかけてませんか……？

殿

…………。

王子

…………来て、くれたのか。

アテエル

来てくれたのかー、じゃないわよ！
ご主人様ったら、移動中もあなたのことが心配で、
ずーっとあたふたしていたんだから。

少年

そ、それは内緒にしてくださいよぉ！？

千狐

ともあれ、状況を教えてもらえますか？
歴史の改変は許されざるもの。
微力ながら、お手伝いします！

アンナ

では、一度神殿の中へ。
神殿内は女神アイギス様の力で守られていますから。

千狐

――なるほど、歴史そのものを
書き換える手段をあちらは持っている、と。

トワ

こちらはそれに対し、時間遡行後、
武力で対抗するしかない、という状況ですね。

アテエル

そして改変のターニングポイントは、
ダーク王子の言っていた3つの時代ね。

クレイブ

王都陥落――つまり魔物の復活したあの日。

アリシア

次に、王子が子供の頃……。

シャディア

最後に、千年戦争の、決戦の瞬間か。

ココロ

……でも、ちょっと待って。
数年、数十年くらいなら、
時の魔術で遡ることもできるけど……。

アーリー

千年戦争は、時の目印になるものがないわ。
王子の血筋をたどるにしても、
英雄王様の時代からは離れすぎているし……。

セレン

何かないのか？
千年前のワインとか、すごい古い武器とか……。

ユリアン

千年ワイン――は銘柄だしなぁ。
古の武器……そうだ、王子の武器はどうだ？

トワ

武器だと少々難しいですね……。
もっとも相応しいのは、
千年戦争時代から存在する建造物などで――

ソラス

――ありますよ。
千年戦争時代の建材でできていて、
英雄王が関わり、当時そのままに蘇った建造物。

千狐

コン！　それってあの時の！

ソラス

はい、英傑の塔です。
あの塔ならば、英雄王のいる千年戦争当時まで、
良い目印になってくれるはず。

柳川城

建造物の記憶を頼りに、歴史を遡っていく……。
なんだか、他人事のような気がしませんね。

アンナ

城娘さんたちも、
お城の記憶を持っているのですか？

閻魔庁

当然じゃ。
自分自身のことじゃからのう。

立花山城

さて、それじゃあ3つの時代に向かうわよ！
英傑の塔まで、案内してちょうだい！

ソラス

……英傑の塔は、
歴史改変の影響をほぼ受けていないようですね。

トワ

千年戦争時代の改変は、
まだ進んでいないということでしょう。

アテエル

間に合ってなにより、ってことね。
それじゃあさっそく時間遡行しちゃいましょ。

ベラート

――否、そうはさせませんぞ。
同盟国たる王国に剣を向ける者たちを、
まさか見逃すはずがありますまい？

レオナ

……面倒な男が湧いてきたな。
この歴史では、ベラート伯爵は反逆していないのか。

ベラート

王家に忠誠を誓いしこのベラートが！
裏切るはずなどなかろう！

さぁぬらりひょん殿、闇の長老殿、
ヴァンパイア公爵殿、妖狐仙殿、
そしてグレーターデーモン殿、行きますぞ！！

アトナテス

…………揃っちゃいけない連中が、
こうも雁首そろえてよく出てきたもんだ。

シノ

……斬るしかないでしょう。
たとえ縁ある者であっても、
ここは本来とは異なる歴史なのですから。

リン

えぇっとぉ……。
やっちゃっていい、ってこと？

シノ

えぇ、ただ問題は――

殿

…………。

シノ

そう、いずれも腕の立つ者ばかり。
時空を超える門を開くまで、
時間を稼げるかどうか……。

？？？

――ならば、私も手を貸そう。

スズ

わっ、まだ味方がいたんだ！
なになに？　英傑の塔の管理人さん？

ソラス

…………えっ。だ、誰です？

アテエル

ちょっと、知らない人みたいなんだけど！？
ねぇあなた、ここは危険だからどこかに隠れてて！

？？？

問題ない。
英傑の塔のことは、
英傑の塔たるこの私が一番よく理解している。

千狐

……英傑の、塔。
もしかしてあなたは、英傑の塔の――

英傑の塔

詳しい話は後にしよう、可愛い狐のお嬢さん。
王子よ、我が名は英傑の塔！
この力、望むがままに振るうがいい！

NPCのフェニックス娘、
スライム娘、ペガサス娘、
カッパードラゴン娘、
英傑の塔、
は倒されても
★の評価には影響しません。

NPC殿がいる間は、
城娘の力を借りることができます。
城娘は倒されても★の
評価には影響しません。
※殿は★評価対象
　
また、殿のいる配置マスには
味方を配置することができません。

・柳川城（石弓）
　遠距離攻撃と支援を行います。
　
・立花山城（歌舞）
　味方の回復と支援、
　防御力を無視する
　遠距離攻撃を行います。

・エーリューズニル（投剣）
　敵2体まで
　遠距離攻撃を行います。
　
・閻魔庁（法術）
　防御力を無視する
　遠距離攻撃を行います。

ぬらりひょんがいる間は
全ての妖怪の攻撃と防御が
アップします。

パーフェクトベラートは
縦横無尽に移動を行い
周囲のユニットに
ダメージを与えます。
　
また、ベラートがいる間は
全ての敵の攻撃力と
防御力がアップします。

ベラート

くぅぅっ、退け！　退くのだ！！
命を無駄にするな！

英傑の塔

ふん、他愛もない。
英傑の塔に挑むのなら、
もっと実力を磨いてからにするのだな。

立花山城

……城娘、ってわけじゃなそうね。

閻魔庁

まとう気配が違うのう。
これはどちらかというと、
魔術とやらの方に近いのではないか？

エーリューズニル

そうね……私の知る魔術とは、
方式も力の込め方も違うようだけれど、
確かに似た気配を感じるわ。

ソラス

あ、あの、私、英傑の塔にそんな機構は
組み込んでいないはずなのですが……？

英傑の塔

ふふふ、英雄王のやつめ、
設計者たるソラスにも言っていなかったのか。

私は英傑の塔の管理精神体だ。
ソラス、お前とは何度も会話していたのだぞ？

ソラス

……えぇと、英傑の塔との会話というと、
どこにどんな敵を配置してとか、
ここはもっと難しくしてとか、そういう……。

英傑の塔

ああ、その会話の相手こそ、この私だ。

こうして自我と肉体を持つに至るとは、
まったく想像もしていなかったがな。

千狐

……ま、まさか、英傑の塔の付喪神ってことなの！？

英傑の塔

近しい存在ではあるだろう。
さぁ王子よ、歴史を取り戻すのだろう？
我が力、存分に振るうがよい。

ソラス

…………絶対、絶対英雄王くんの仕業です。
私にも黙ってこんな精神体を
英傑の塔に仕込んでいたなんて……！

アトナテス

……まぁ、あいつなら、やりかねないな。

アンブローズ

ですねぇ……あの人ですし。

トワ

――では、これから3つの門を開きます。
単純な時間遡行ではないので、
千狐さんと、グリムさんも手伝ってくれますか？

千狐

コン！　任せてなの！

グリム

時間ごと超える異界の門――うぅん、次元の門！
ふっふっふ……楽しそうです。やります。

トワ

ダーク王子の軍勢は、同時に歴史改変を進めているはず。
ならばこちらも、同時に三箇所へ、
戦力を派遣する必要があります。

日の本の皆さん、ゲシュペンス島の皆さん、
そして王国軍でそれぞれの時代へ向かい。
歴史改変を阻止するのです。

少年

……だ、大丈夫でしょうか。
もし失敗したら……。

殿

…………（にっこり）

王子

…………（ぽんぽん）

少年

……あはは、しゃべってないのに
何を言いたいのか分かるようになって来ちゃいました。

アテエル

わぁ、あれが男の友情ってやつ？

セレン

ここであいつなら、私だって生やせば
ご主人くんと男の友情を～！　とか言うんだろうな。

スズ

何を生やす気なの！
まぁ想像できちゃうけど！

アテエル

それじゃ、また後で会おうね。
歴史をどどんと叩き直してから！

柳川城

はい、全部終わったら、
また皆さんで宴会でもしましょう。

トワ

では、行きます。
――千狐さん、グリムさん、助力をお願いします！

千狐

コンッ！　時空、転移術なのーっ！！

グリム

開け、次元の門！
いっぱい実験できる楽しい時間を、取り戻します！

――数多の歴史改変、その一幕

？？？

――来たか、反逆者たちよ。
ダーク王子様に剣を向けるとは、
実に愚かなことだ。

アンナ

デシ、ウス……？
いえ、それにしては雰囲気が……。

異界召喚士

キヒヒヒ、こやつはデシウスではない！
あやつは忠誠心と正義感が強すぎて
まったく使い物にならんからなぁ！

？？？

黙れ、異界召喚士。
我輩のオリジナルを愚弄するな。

異界召喚士

キヒィ！？　ひ、被造物のくせに！
創造主に逆らうつもりか！？

ケイティ

異界召喚士まで……。
ここにも歴史改変の影響が出ているのですね。

ダークデシウス

申し遅れた、反逆者たちよ。
我が名はダークデシウス。
不器用なあの男の、卑怯な心を排除した写し身だ。

オリジナルデシウスは、
何もかもを背負わんとするが、
心の弱さを捨てきれぬ男だ。

ゆえに、この吾輩が
オリジナルの代わりに、貴様らを駆逐する。

シャディア

……その心の弱さが、
あいつのいいところなんだがな。

ダークデシウス

理解はしている。
ゆえに、オリジナルは貴様らの排除をためらうだろう。

――ここで、決着をつけよう。
オリジナルの心を、これ以上さいなまぬように。

異界召喚士

キィィィィッ！
創造主をおいて話を進めるでない！！

ダークデシウスよ、
貴様は最初から気に入らなかったのだ！
だからその鎧にも細工をさせてもらったぞ！

その鎧は、攻撃を受けるほどに腐食していく……。
キヒヒヒヒッ！　無様な姿を見せるがいい！

ダークデシウス

馬鹿なまねを……。
味方にそのような細工をするとはな……。

だが、我らの勝負に、もはやそのような事は関係ない。
反逆者たちよ、いざ、剣をとるがいい！

ダークデシウスの
攻撃を受けた味方ユニットは
5秒間、防御力が減少します。
　
この効果は、状態異常に対する
ユニットの能力では
軽減、無効化できません。

異界の虫はHPが徐々に回復します。
ブロックされている間は回復効果が
無くなります。

心が昂る……。
何だ、この感覚は……。

デシウスの心は、正しく受け継いでいるようですね。

そうか、これがオリジナルの心か……。
ああ、楽しい、これが楽しいという感情……！！

まだだ、まだ強くなれる。
我輩の新たな姿を見るが良い！！

ダークデシウス

見事……だ……。
我が短き生に……悔いはない……。

異界召喚士

キヒィ！？　この役立たずがァ！！

撤退するぞ！　次は、次はもっと強い者をォ！！

アンナ

……ダークデシウス、傷の手当てを。

ダークデシウス

不要だ……。
鎧の腐食が、早すぎる……。
もはや……ぐっ……手遅れだろう……。

ああ、オリジナルが羨ましい……。
こんな楽しい戦いを、お前と、繰り返していたのか……。

王子

…………。

ダークデシウス

オリジナルに、伝えてくれ……。
我輩は、デシウスの名に恥じぬ、戦いをしたと……。

王子

…………必ず、伝えよう。

異界召喚士

キヒ、キヒィ……！
ここまで逃げれば……次こそ、次こそぉ！！

ダーク王子

――いいや、次などない。
歴史が変われば、心も変わるかと思ったが……。

異界召喚士

だ、ダーク王子ィ！　貴様も被造物のクセにぃ！！

ダーク王子

最後の言葉がそれとは、
どこまでも救えないな、貴様は。

異界召喚士

ま、待って、やめ、キ、キヒィィィィッ！？

グリム

――あーあ、あんなのから学んでたなんて、
ちょっと後悔しちゃいますね。

グリム

――はぁっ、はぁっ……うぅぅぅ……。
次元の門がぁ……めっちゃくちゃですぅー……。
ぎもぢわるいぃぃ……。

トワ

ほら、ゆっくり深呼吸してください。
書き換えられた、存在しないはずの時代に
無理やり跳躍したのですから、負荷も相当なものでしょう。

アンナ

私たちが到着したのは、
いつ頃の時代なのでしょうか……？

英傑の塔

…………ふむ。ソラス、ここは私の知らない風景だ。
確かに未来においては私が建造される地だが、
そこに「私」が建っていないということは――

ソラス

はい、この景色には見覚えがあります。
どうやらあなたのナビゲートどおりに、
千年戦争当時まで移動できたようですね。

アンナ

ダーク王子は、
この時代を書き換えると言っていたのですよね。
いったい、この地で何をするつもりなのでしょうか。

アーリー

歴史というものは、多少の改変なら、
自己修復して元の正しい道筋に戻ろうとするものよ。

ココロ

だからこそ、歴史を書き換えるつもりなら、
決定的で、致命的な変化をもたらす必要がある……。

アトナテス

そんなの、可能性はふたつしかないだろ。
あいつを――英雄王を殺すか、魔王ガリウスを殺すかだ。

ソーマ

英雄王様がいなくなったら、王国は存在しなくなる。
ダーク王子さんが魔王ガリウスを倒したなら……。
あ、あれ？　どうなるんでしょう？

ソラス

少なくとも、私たちの時代に繋がらないのは確かです。
その証拠に……王子くんの存在そのものが、
先程よりも希薄になってきています。

王子

…………。

アンナ

こんな状態の王子に、
無理をさせるわけにはいきませんね。
おそらく立っているだけでも辛いはず……。

トゥアン

王子は休んでろ。
ダーク王子との決着、お前が出るつもりなんだろ？
それまでは後ろに引っ込んでな。

アンブローズ

そんなに待たせはしないと思いますしねぇ。
ほら、見てくださいあの山脈のえぐれ方。
あれって、ガリウスとの戦いの前哨戦で――

サナラ

あぁっ、エフトラちゃんが抉っちゃった山！
……ってことは、今って！
決戦直前ということじゃないですかー！？

アンナ

――急ぎましょう。
王子の存在が消えていないのなら、まだ間に合うはずです。

クリッサ

よし、一気に魔物を蹴散らして、
魔王ガリウスの所まで駆け抜ける！
みんな、遅れないで！

ローパー系の敵から
攻撃を複数回受けると、
麻痺状態になります。

ディーナ

はぁ、王子の力が弱くなってるの、
ちょっと不安になるな……。

イリス

王子はいつだって、
みんなを勇気づけてくれる存在ですからね……。

デスピア

今は、私たちが王子を支える番よ。
魔王ガリウスと
英雄王の戦場まで、あとどれくらい！？

シビラ

伝承によれば、決戦の場まではそう遠くない……。
できればダーク王子が、
英雄王、ガリウスと遭遇する前に追いつきたいけれど。

ベルナ

あーもう！　魔物が邪魔ー！
王子の存在もどんどん消えかかってるし、
急がなくちゃいけないのに！

ナナリー

千年戦争当時の、魔物……。
やっぱり手強い。
女神アイギスに封じられる前だから？

ケイティ

今この場に、王国の全軍が揃ってさえいれば……。

アテエル

――ふっふっふ、戦力が欲しいってこと？

ケイティ

えっ……？　その声は――

アンナ

ゲシュペンス島の皆さん！？

アテエル

――とーう！
みんな、待たせたわね！

？？？

くっ……離せ！
ダーク王子様のもとへ向かわねば！

セレン

暴れるなって。
ちゃんと連れて行ってやるから。

アンナ

あ、あの……その方は？
新たなモンスター娘さんでしょうか？

？？？

おぉ、ダークアンナ様の面影……。
オリジナルのアンナ殿ですな？
まさかこの姿を見られてしまうとは……。

アーニャ

だーくあんな……？　おりじなる……？
もしかしてあなた、ダーク王子さんのところの――

セレン

ああ、ダーク王子の配下のリッチだ。
こっちでちょっと変わった溶岩に落ちちゃってなー。

アンナ

ようがん……？

アテエル

それで生前の姿に戻っちゃったみたい。
ともあれ、ゲシュペンス島に
置いてくるわけにもいかないでしょ？

セレン

だからこうして連れてきてやったんだ。
ほら、大人しくしろ！

ルイン

……あの、お願いがあるのですが。

アテエル

おねがい？

ルイン

リッチさんを、解放してあげてくれませんか？

リッチ

ルイン嬢、いったい何を……。
私は皆さまの敵、世界の敵、
この事態を引き起こした元凶なのですぞ！？

ルイン

さっきから、ダーク王子さんのことが気になって、
ずっとそわそわしていますよね。

……今すぐにでも、魔王の軍勢を蹴散らして、
ダーク王子さんの所へ駆け付けたいのですよね？

今、私たちは魔王の軍勢に対し、
戦力が足りない状況にあります。
この戦場を突破するために、力が必要なんです。

王子

…………（こくり）

ルイン

魔王軍は、私たちの共通の敵です。
――今だけ、手を貸してくれませんか？

リッチ

……ルイン嬢、王子殿。
いやはや、おふたりには敵いませんな。

しかし私は、魔王ガリウスの軍勢を切り抜け、
ダーク王子様のもとに到達次第、
皆さまの敵となりますぞ。本当に、いいのですな？

王子

…………（くいくい）

殿

…………（にっこり）

アンナ

えっ、と、殿陛下、いつの間に！？

殿

…………！！

リッチ

おぉ、縄を切ってくれたのですな。
それにしても見事な太刀筋、
さすがは戦乱渦巻く日の本の御方。

柳川城

ようやく合流出来ましたね。
ここからは、我々も助太刀いたします！

リッチ

さて、ではこの戦場においては、
私も力をお貸ししますぞ。

いざ、ダーク王子様のもとへ……！！

クリッサ

よし、敵の包囲を抜けた！

リッチ

……お見事。
私の助力がなくとも、時間をかければ突破できたのでは？

アテエル

それじゃあ歴史改変に間に合わないじゃない。
でも、そっちも敵ながら大したものだったわ。

ルイン

……墓守のリッチさん、
先程、この事態を招いた
元凶は自分だって言ってましたけど――

リッチ

……聞き過ごしては、くれそうにないですな。
肉体を得たせいか、どうにも
普段より感情に流されやすくなっているようで。

歴史改変は、ダーク王子様の計画ではありませぬ。
ただ、ひとえに、我ら臣下の声に
あの御方が応えてくださっただけのこと……。

あの御方は、最終決戦の折には
戦友たる王子殿のために、
命を投げ出す覚悟までしておられた。

ですが、我ら臣下は、
ダーク王子様に生きていてほしかったのです。
だから、不義を承知で私は――

エフトラ

――古代文明の遺産、
時を超える装置に手を出したのですね。

己の死期を悟り、その命を投げ出さんとする主のため、
主が生きながらえる未来を作らんと。

ルイン

……彼は、そんなことを、望まなかったのでは？

リッチ

ええ、困ったような笑顔で否定なさった。
しかしそれが我ら臣下の願いだと知って、
この計画を許可してくださったのです……。

お願いです、王子殿……！
どうか、どうか、我が主君のために、
御身の消滅を許容してはいただけませぬか……！！

アトナテス

……ここでこいつ、斬っておくか？

ソラス

いえ、王子くんに任せましょう。

王子

…………。

アテエル

えっと、よく分かんないんだけどさ……。
消えてくれって頼み込むのは、間違ってない？

そんなに実力を認め合った戦友同士なのよね？
それなら、最後の決着は、
自分たちの手でつけることを望むと思うわ。

ねっ、殿陛下？　だっけ？
君だってそう思わない？

殿

…………（こくり）

セレン

王子との戦いは、
ダーク王子にとっちゃメインディッシュだろ。
そんな美味しい戦いを奪ったら叱られちゃうぜー？

リッチ

……ははっ、私としたことが。

そう、でしたな。
我らの願いを無理強いした上、
友との戦いまで奪うところでしたぞ。

失礼、らしくもない行いはここまで。
決戦の折には、正々堂々、
敵として殺し合いましょうぞ。

ダーク王子

――俺の内に宿る、魔王の影が呼応している……。
この先に、魔王ガリウスがいるのか。

英雄王に先んじて魔王を討ち、
人類の勝利を、王国が誕生する可能性を打ち消す。

ハハッ、それこそ、魔王のような行いだな。
いずれ世界に生まれる数多の可能性を、
この手で摘み取ろうというのだから。

ゴブリン

ギャギャ。
ダーク王子サマ、王ナル。
世界、キットキラキラ、キレイナル。

オーク

そしてあの心優しき王子殿も、
痛みと苦しみを抱え、味方の命を危険にさらし、
世界を守護し続ける責務から解放される。

ダーク王子

俺がそんなことまで、責任を負うと思うな。
それに、あいつはその責務を、
負担だなと感じていないはずだ。

あいつは、俺だ。
あいつの輝きより落ちた影が、この俺だ。

きっと、あいつが俺を追ってここに来るのなら、
その理由はただ、ひとつだけだろう。

王子

――俺の存在が消えることなど、どうでもいい。

ダーク王子

ただ、どこかで、誰かが大切に想ってきた記憶を、
必死に抗ってきた人類の戦いを、
積み上げられた数多の命の歴史を――

王子

――絶対に、諦めたくない。それだけだ。

ダーク王子

本当に、追って来たな。礼を言う。
俺のわがままに、貴様を付き合わせてしまった。

それにしても、異世界にまで友がいるとはな。
おかげでこの計画も、その多くが妨害されてしまった。

柳川城

ダーク王子さん、
ここで止めることはできないのですか？

立花山城

あなたの命、もう尽きそうなのよね？
ならばせめて、穏やかに
時を終えるのも選択のひとつであるはずよ。

ダーク王子

それは出来ない相談だ、異世界の城娘。

俺の命が尽きることなど、どうでもいい。
悔いはあるが、
それを果たしてくれる民と、友がいる。

立花山城

……そう、そういうこと。
勝敗がどちらに転ぼうと、
結末は変わらない、ということね。

千狐

ど、どういうことです……？

リッチ

ダーク王子様が勝利すれば、
この世界から、王子殿は消滅するでしょう。
そしてその写し身たるダーク王子様も、また。

――つまり、王子殿が消滅する原因、
それ自体を生じさせたダーク王子様がいなくなり、
歴史は元通りに修復されていくのですな。

そして王子殿が勝利したなら、
ダーク王子様はその魔力を王子殿に受け渡し、
未来を託して眠りにつくことになるでしょう。

少年

えっ……それじゃあ、この戦い、
ダーク王子さんにとっては
何の意味もないじゃないですか……！！

英傑の塔

いいや、意味はある。
ダーク王子、これはお前の臣下の願いと、
お前自身の願いの両方を叶える妥協案なのだろう？

お前に生きていてほしいと、臣下は願った。
しかしそれが叶わぬ以上、
ならば本懐を遂げさせてやりたいと考えた……。

リッチ

然様、ただ力を継承するのではなく、
世界の危機として立ちはだかり、
友として、最大の敵として、王子殿と剣を交える。

その果てに、世界には何の影響も与えず、
未来の王子の力となって、己を受け継ぐ……。

それが、私とダーク王子様が導き出した答えですぞ。
――まぁ、それを受け入れられず、
ダークアンナ様は少々暴走しておりましたが。

ダーク王子

俺にわがままを言っていいのは、
ダークアンナだけだからな。
好きにさせるのも、俺の役割だ。

リン

……そんなの、悲しいよ。さみしいよぉ。
全部止めて、元の世界で楽しく遊べばいいのに。

スズ

ダーク王子さんも、王子さんも、
きっと寂しいはずだよ。
それでも戦って、生きた証を残したいんだ。

リン

じゃあ、手加減するのはよくないよね……。

スズ

うん、全力でダーク王子さんたちと戦おう！

柳川城

覚悟を決めているのなら、
こちらも相応の力をもって迎え撃ちましょう。

立花山城

死を覚悟した者に、
手を抜くような真似はできないわね。

ダーク王子

貴様も、良い友を持ったな。
さぁ、行くぞ王子。あの時の続きをしよう。

ダーク王子は体力が
徐々に減少していきます。
　
またダーク王子がいる間、
全ての敵の攻撃と防御が
固定値で200アップします。
　　　　　　　(1/2)

ダーク王子がいる間、
全ての味方の攻撃、
防御が固定値で200
魔法耐性が10ダウンします。
　　　　　　　(2/2)

オークシールダーは
味方ユニットの
射程範囲内にいる場合、
遠距離攻撃を自身に引き付けます。
　
ブロックされている間、
引き付けの効果を失います。
　　　　　　　(1/2)

スキルやアビリティなどで
攻撃の優先順位が指定された
敵がいる場合や一部の攻撃は
引き付けの効果を受けません。
　　　　　　　(2/2)

ダーク王子

くっ……なぜ、届かない。
偽物だから……いや、違う……。
俺の剣に、まだ迷いがあるということか……。

王子

…………。

ダーク王子

ハッ……待ってくれるのか。
そうだな、これは俺が始めた戦いだ。
俺が諦めるまで、終わることはない。

殿

…………。

少年

殿さん……止められないんですか……？
だって、何をしても、全部、無駄だなんて……。

殿

…………（ふるふる）

ダークアンナ

――無駄ではありません。
なにひとつ、無駄にはさせません。

ダーク王子

ダークアンナ、戻ったか。
結局、俺たち偽物は、
オリジナルに一片たりとも届かなかった……。

だが、それでも、俺たちの生に意味はある。
諦めることなく、剣を掲げ続け、歩んだ道に意味を刻む。

トワ

……こ、これは……。
王子殿下！　時空がねじれていきます！！

少年

ダーク王子さんの姿が、変わった……！？

アーリー

これは、時空の歪みじゃない……。
王子がダーク王子を止めたことで、
時が正常な流れに戻りつつあるのよ。

アンナ

では、なぜダーク王子にこんな膨大な魔力が……。

トワ

これは、魔王ガリウスの……。
いえ、魔王の影の魔力が……！

ルイン

彼にかけられた、寿命の呪い……。
それに今日まで抗えていたのは。
魔王の影の魔力を受け継いでいたからです。

いま、それを燃やしているということは……。

ダーク王子

世界は、全て修復される。
俺たちの戦いも、ただの歴史の一行と化す。

だが、この瞬間は、今この一瞬だけは、
俺たちこそが王子の最大の敵となる！

ついてこい、王子！
我が命、魔王の影が魔力、
その全てをもって果てに至ろう！

グリム

お、男の子はすぐこういうことを――っ！！
みんな離れないでください！
強制的に歴史がもとに戻りますッ！！

スズ

も、もとに戻るならいいことなんじゃないの！？

グリム

私たち、たっぷり千年は跳躍してるんですよ！
その反動で、どこまで未来にふっとばされるか――

かつてのソラス

――おかしいですね。
先程、強大な魔力の激突があったはずですが……。

それも、あなたの魔力によく似た力を、
ふたつも感知していたはずなのに。

……いえ、心配し過ぎかもしれませんね。
あの魔力の持ち主たちが、
もしあなたに連なる者なのであれば――

――きっといつか、
あなたの力になってくれることでしょう。

さぁ行きますよ、英雄くん！
早く他の仲間と合流しなければ！

トワ

――ここ、は……？

グリム

いたたたた……。
ん……えいっ、えいっ……とやーっ。
あれ……門がまったく機能しません。

英傑の塔

英傑の塔――私の本体の反応も鈍い……。
魔力が切れかけている、のか……？

柳川城

なんて、寂しい場所……。
確かグリムさんは、
反動で未来に飛ばされると言っていましたよね？

リッチ

――然様。ここは、遥か未来の世界ですな。

この世界が辿りうる、ひとつの可能性。
誰かが正しき道を、あるいは誤った道を
選んだだけで到達する、滅びた世界……。

人類は果たして、幸福な内に寿命を終え、
この世界を明け渡したのか……。

あるいは、何らかの外敵により、
抵抗虚しく滅び去ったのか……。

ダーク王子

リッチ、その身体を得てから、
やけに詩的な言い回しをするようになったな。

リッチ

はっ、も、申し訳ありませぬ。

ダーク王子

責めているのではない。
おそらく、ダークアンナに似たのだろう。

ダークアンナ

我が主、ダーク王子様、
私は斯様なほどに感傷的ではありません。

立花山城

どの口でそれを言うのよ。
ダーク王子大好き、消えないで
ずっと愛してるって、顔中にかいてあるじゃない。

ダークアンナ

それは否定しません。
私の愛は、ただひとり、ダーク王子さまのものです。

スズ

あはは、いいね、そういうの。
大好きな人に、大好きって伝えるのいいと思う。

リン

わたしたちもぉ、ご主人くんに
もっともぉーっと好き好きって言わなくちゃね。

ダーク王子

――皆、短くも長い旅路だったな。
その忠義に感謝する。とても、いい旅だった。

ゴブリン

……ギャギャ。

フライデーモン

もったいなきお言葉。

ハイオーク

世界の果てまで見せてくれたのだ。
最高の王だ、あなた様は。

ダーク王子

俺の墓守は、リッチ、約束どおりお前に託すぞ。

リッチ

……何人たりとも、墓所には近づけさせませぬ。

ダーク王子

そして、王子。

見えるか、この世界が。
俺たちがひとつ何かを過てば世界は容易く滅ぶらしい。

俺は、ここで死ぬ。
勝利しようとも、敗北しようとも、
我が魔力はここで尽きる。

世界を、未来を託すぞ、王子。

少年

…………？
何の光、でしょうか。
王子さんの方に、何かが集まって……。

千狐

コンッ！　これは……祈りの力なの！

ビビ神

……誰もいなくなった世界にも、
それまでに紡がれた願いと祈りが、
灯火のように残されていたのですね。

少年

最後の輝きが、ダーク王子さんから、王子さんに……。

立花山城

ダーク王子もまた、王子を信じ、
未来を託す者、だから……。

ダーク王子

これが、きっと最後だ。
オリジナル、俺の物語の終わる時だ。

ダークアンナ

我が主、愛しき貴方、蒼き空と緑の大地の王、
私の、最愛の、ひと……ダーク王子……っ！
どうか、どうか、悔いなき戦いを……！！

ダーク王子

ああ。俺とともに来い、ダークアンナ。
――これが、終焉の戦いだッ！！

世界と未来を託された王子に
滅びた世界に残された
願いと祈りの力が集まりました。
　
王子のHP、攻撃、防御が
大幅に上昇します。

ダーク王子は体力が
徐々に減少していきます。
　
ダーク王子は
一定時間経過するたびに
攻撃性能を交互に変更します。
　　　　　　　(1/3)

・剣を構えたダーク王子は
　貫通の遠距離攻撃を行います。
　
　また、全ての味方の
　攻撃、防御、魔法耐性が
　ダウンします。
　　　　　　　(2/3)

・盾を構えたダーク王子から
　攻撃を複数回受けると
　麻痺状態になります。
　
　また、剣を構えたダーク王子より
　攻撃・防御・魔法耐性が
　ダウンする能力が強化されます。
 　　　　　　　(3/3)

ダークアンナがいる間、
全ての敵のHPが徐々に回復します。
　
またダークアンナは体力が
徐々に減少していきます。

ダーク王子

…………見事、だ。

王子

…………。

ダーク王子

世界は、元通りになる……。
歴史も、異世界も、すべて修復されていくだろう。

オリジナル、お前のたどり着く未来を、
この目で見届けられないのだけが、心残りだ……。

王子

――約束、しよう。
俺たちの未来は必ず、輝きに満ちた、優しい世界となる。

ダーク王子

……約束を、違えるなよ。
我が終生の友、お前に、全てを託したぞ。

ダークアンナ

ダーク王子……ああ、お願いです。
お願い、消えないで、どうか……！

ダーク王子

……泣くな、ダークアンナ。
俺は、お前の笑顔が、好きなのだからな……。

ダークアンナ

あ、あなたの前で、笑ったことなど……。

ダーク王子

いつも、お前は微笑んでいた。
俺と話す時、ともに歩む時、
いつでも、お前は愛らしい笑顔だった……。

ビビ神

……何か、言い残しておくことはありますか？

千狐

コン……あなたの物語は、
きっと、すべての世界で語り継がれていくの……。

ダーク王子

本物の神に、神娘、か……。
ハハッ、あいにくと、神に祈る言葉は持っていない……。

ああ、本当に、良き生であった……。

ダークアンナ

ああ……ダーク王子、私は、私は諦めません！
必ず、どんな手段を使っても、必ずあなたを……！！

グリム

…………歴史改変が、完全に修復されました。
すぐに、もとの時代へ強制的に戻されるはずです。

皆さん、近くに寄ってください。
それから、戻るべき場所のイメージを忘れないで。

アンナ

では、英傑の塔へ。
あの花畑へ、皆で戻りましょう。

英傑の塔

ならば私が標となろう。
……だが、あの娘はいいのか？

アンナ

彼女に、ついてこいと言う権利は、
私たちにはありませんから……。

グリム

では、そろそろ次元の門が開きます。
もとの歴史へ、戻りましょう。

少年

――うぅぅ……むにゃ……。
……はっ！？　こ、ここは！？

殿

…………（ぽふぽふ）

少年

と、殿さん！　ずっと頭を撫でていたんですか！？

ビビ神

ようやく目覚めたようですね。
皆、無事に英傑の塔へ戻ってきましたよ。

千狐

時代も次元も超えすぎて、
さすがにへろへろなのぉ……。

王子

…………皆、ありがとう。

殿

…………（ふるふる）

少年

お礼なんていらないですよ。
だって、仲間、ですからね。

アンナ

ところで、皆さんお時間はありますか？
せっかくですし、少し王国でゆっくりされては……。

少年

わぁっ、いいんですか！？
あ、あのっ、王子さんの書庫をぜひ見せてほしくて！

アンナ

ごちそうも、たくさん用意しましょう。
モンスター娘さんに、城娘さん、
今回は大勢の方に助けていただきましたから。

……それでは王子、皆さん、
此度の戦いも、お疲れ様でした。

きっと、眩く輝く未来に、たどり着きましょうね。