暗黒騎士団と狙われた癒し手

兵士

報告！　魔物がこちらに向かってきています！

アンナ

この先には民家もあります。
ここで迎え撃ちましょう、王子！

？？？

い、嫌ですっ！　離してください！

暗黒騎士の手下

うるさい！　さっさとくるんだ！

アンナ

王子、あそこに襲われている女性が！
急ぎ助けましょう！

？？？

ありがとう、ございます。
なんてお礼を言ったらいいか……。

アンナ

いいえ、ご無事で何よりです。
それよりも彼らは一体何者なんですか？

よろしければ、事情を聞かせてください。

ユーノ

先ほどは助けていただいて、ありがとうございます。
私はユーノと申します。

先ほど私を襲ってきたのは
暗黒騎士団の手の者です。

実は以前、暗黒騎士団に囚われていたことがあったんです……。
団長が不在になり騎士団が消滅した時に
隙を見て逃げ出したのですが……。

まさか、また狙われることになるなんて……。
彼らの狙いは、おそらく私の身に封印されている
『闇の神官』の魂です。

以前、闇の神官が私の住む街を強襲してきました。
私は仲間達とともに敵に立ち向かいましたが、
強大な闇の力の前であと一歩及ばず……。

自分の身にその邪悪なる魂を封じるのが精一杯でした。
普段は、この闇の神官の魂を
抑えつけることができます。しかし……。

暗黒騎士団のような闇の力を持つ者に近づくと、
魂が共鳴し、闇の神官の魂を抑えられなくなるのです。

彼らはその闇の神官の力を使って、
世界を滅ぼそうとしています。

このままでは、私は自分の手で沢山の人を不幸に
してしまう……。

お願いします王子。
どうか私にお力をお貸しください！

暗黒騎士デシウス

わざわざ我輩自ら迎えに来てやったのだぞ。
大人しくこちらに来てもらおうか！

ユーノ

お断りします。
私はあなたたちの言いなりになんてなりません！

兵士

報告！　暗黒騎士団の団長だと
名乗る者が現れました！

アンナ

団長が！？　一体どこに……っ！

暗黒騎士デシウス

ふっ。目の前にいるではないか。

アンナ

……え。
まさかあなたが……団長なのですか？

暗黒騎士デシウス

なんだその疑いの眼差しは！　無礼な奴だ！！
いいだろうっ！　我輩の強さを見せてやろう！

新生暗黒騎士団団長デシウス自らが
貴様らの相手をしてやろうぞ！

アンナ

なんとか無事に退けることができましたね。

ユーノ

ありがとうございます！
すみません、お力を貸していただくはずが、
助けてもらってばかりで何もできなくて……。

アンナ

お気になさらないでください。

闇の力に共鳴してしまう以上、
彼らには絶対に近づかないほうがいいです。
神殿に身を潜めて隠れていてください。

ユーノ

分かりました。

アンナ

王子！　なんとか間に合ったようです。
暗黒騎士団襲撃の一報を受け、
急ぎ駆けつけた甲斐がありました。

前線からの報告によると、分厚い鎧に身を固めた、
新手の暗黒騎士がいるようです。
気を付けた方が良さそうですね。

兵士

報告！　先ほど伝令が参りました。
領内に新手の暗黒騎士団が現れたようです！

アンナ

まさかこっちは陽動……。

ユーノさんが危ない……！
王子、急ぎ神殿まで戻りましょう！

グレーターデーモン

ふむふむ。うまくやっているようだね。
新団長のデシウス君。

暗黒騎士デシウス

はい。新しく作っていただいた団長の証のおかげです。

王子どもは我輩の陽動にまんまと騙されました。

このまま街へ向かい、
あの女の力を利用して住民どもに
暗黒騎士団の怖さを思い知らせてやります。

グレーターデーモン

ふふふ。楽しみにしているよ。

暗黒騎士デシウス

はい！　必ずやご期待に応えて見せましょう。

兵士

前方に暗黒騎士団を発見！

暗黒騎士デシウス

ほう、もう来たのか。さすが英雄の末裔の王子。
重装の暗黒騎士の足止めをものともせぬとはな。
しかし、我輩にはまだ奥の手があるのだ。

さぁ団員たちよ、我輩から素敵な武器を支給しよう。
鎧に身を包む我々が飛び道具を持てば
王子を葬る事などたやすいものよ。

アンナ

王子！　お気を付けください。
暗黒騎士団の者が何やら新しい武器を
手にしているようです……！

ユーノ

う……、あ、ぁ……ッ！！

これはっ、闇の力……！
身体の奥から……、
闇の力があふれてきて、いますッ……！

イーリス

お姉ちゃん……、力がうまく出せない……！
どうして……。

カミラ

（癒しの力が奪われていく……）
しっかりなさい、イーリス！
今こそ修行の成果を見せるのです！

アンナ

どうやら闇の力の影響で、癒し手の力が抑えられて
いるようです。お気をつけください。

アンナ

あなたの野望もここまでです。
降参してください。

暗黒騎士デシウス

さっすが王子だ！
こうなっては我輩も降参せざるをえないな。

……なーんて我輩が言うとでも思ったか！
愚か者め！

ユーノ

いやっ！　離してください……！

アンナ

王子！　暗黒騎士がユーノさんを連れて
森の中へ逃げていきます！　なんて卑劣な……！

急ぎ後を追いましょう！

アンナ

王子！　デシウスを発見しました！

……しかし、肝心のユーノさんの姿が見当たりません。
一体どこに……。

暗黒騎士デシウス

ふははは！　どこだろうなぁ？
我輩にもわからんなぁ。

アンナ

卑怯な……。

ドルカ

なんだか、癒しの力が奪われていきます……。

アンナ

王子、癒し手の力が弱まっています。
どこかにユーノさんが捕らわれているのは
間違いないようですが……。

なにかカラクリがあるのかもしれません。
お気を付けください。

ユーノ

ぅう……っ。闇の力を間近に感じるっ……。
早くここ、から……出なければ……ッ。

暗黒騎士デシウス

あ、こら動くでない！　くすぐったいだろう！！

アンナ

……？

暗黒騎士デシウス

おい。そこの者。貴様にはこいつを支給してやろう。
この新しいワンドを使えば、強力な魔法を
振るえる上に魔法に抵抗する力も与えられるのだ！

（まぁ、多少装甲を犠牲にするが、止むをえん。
こやつらには戦いに集中してもらおう）

暗黒騎士デシウス

おのれ！！
我輩の邪魔をしおって……！

アンナ

卑劣なことばかりしようとするから、
天罰が下ったのです。

暗黒騎士デシウス

くそっ……、お、覚えていろ！！

ユーノ

ありがとうございます。
本当になんてお礼を言ったらいいか……。

王子

……。

アンナ

ふふっ。私たちと一緒にいれば、
闇の神官の魂が覚醒することもないはずです。

よろしければ私たちの仲間になりませんか？
これからは王子と一緒に行動を共にしましょう。

ユーノ

私でよければ……。是非よろしくお願いします。

アンナ

それでは王子、お城に戻りましょうか。

グレーターデーモン

まったく。君には期待していたんだけどね。
これ以上失敗が続くようなら……。わかるね？

暗黒騎士デシウス

申し訳ございません……っ。
次こそは必ずや王子を倒します！！

（くそっ。いつまでも言いなりになると思うなよ。
いつか我輩が力をつけた時、
必ずや貴様も倒してやる……。）

ユーノ

ぅうっ、ぐ……ぁ……。

闇の神官の魂が……、暴走しています……っ！

アンナ

王子、ユーノさんの様子が！

暗黒騎士デシウスの
闇の力に長く触れていたせいでしょうか？

ユーノさんに封印されていた闇の魂が
暴走しているのかもしれません。

アリサ

力が出ない……。闇の力の影響か
癒し手の力がかなり削がれています……。

アンナ

これでユーノさんの中に封印されていた闇の神官も、
葬ることができましたね。

ユーノ

もう闇の力に共鳴することがなくなるのですね……。
これで安心できます。

心なしか体も軽くなったような気がします。

アンナ

王子、ユーノさんを救う事が出来て
本当に良かったですね。