【ドニの領主】

Last-modified: 2021-04-26 (月) 13:00:34

DQ8

【ククール】とその異母兄【マルチェロ】の亡父。
しかし劇中で本名は出ておらず、遺影もないので容姿も不明と、はっきりしない点の多い男である。
 
その領地の規模についても、【マイエラ地方】のかなり広範な地域だったのか、【ドニの町】だけの領主だったのか、明確ではない。
いずれにせよドニの支配者だったことは間違いないので、ここでは「ドニの領主」と称する。

人物

トロデーン国王である【トロデ】にもその名を知られる程の家柄だったが、そのトロデが「ごうつくばりで女好き、ばくちで身を持ち崩した」という悪評を口にするほどの人物。
強欲なくせに金儲けや博打の才能は皆無だったのか、遊蕩三昧の末に屋敷を失って家名も断絶してしまった。
領民やトロデの発言から、最終的には流行り病にかかり看病していた妻も巻き込んで揃って若くして病死したことがわかる。
ククールが仲間会話で「住んでた家も残ってない」と発言している通り、現在のマイエラ地方にその屋敷らしきものは見当たらない。ドニの町は岩場に囲まれている上に半分近くが酒場の狭い土地なのであの中に他に屋敷があったとは考えにくい。【ゴレムス】がいる遺跡辺りにあったのかもしれない。
 
当然だが領民の人望は皆無で、支配下にあったドニの町の住人からは「ダメ領主」「死んだ時は町のみんなが喜んだ」と死後10年以上経っている現在ですら散々に言われている有り様で、相当嫌われていたであろうことが伺える。
彼が生きていた頃のドニの町は今より栄えていたのに「性格は悪いが仕事だけはできた」といった話も聞こえて来ない。
ばくちで身を持ち崩したのと複数の女性に手を出した以外具体的にどんな失敗をしたのかは不明ではあるが、それだけなら例え家名が断絶しても住民からここまで嫌われることもないと思われる。
「ごうつくばりで女好き」というトロデの言からすれば、住民に重税を課したり、本編で明示された以外にも他人の女性に手を出したなどの可能性が考えられるが、詳細は不明である。
しかも悪評が聞こえるのは彼のみで、奥方の悪評を聞くことはなく、今の住民たちは息子のククールに対して揃って友好的であり、こいつ一人だけがとことんやりたい放題していたようだ。
 
正妻との間に子供ができず、その女好きからメイドに手を出して産ませたマルチェロを一時は跡継ぎとして迎え入れながら、正妻との間に正式な嫡男となるククールが産まれると用無しとして母子ともども無一文で追い出し、それによって(元)メイドは心労で病死しマルチェロは孤児となり、ククールの方もまた、領主と本妻の死と残された多額の借金によって路頭に迷い孤児となってしまった。
天涯孤独となった二人が流れ着いたのは【オディロ】が孤児の受け入れを行っていた【マイエラ修道院】であり、そこで二人は因縁の再会を果たし複雑な感情を持って【聖堂騎士団】として生きていくことになる。
 
そのため、あの不仲極まりないマルチェロ・ククール兄弟ですら、父への最低評価という点においては意見が完全に一致する。
身勝手な理由で産ませられた上に母ともども捨てられたマルチェロからは自分たちの人生を滅茶苦茶にした仇としか見られておらず、【法皇就任演説】で徹底的に否定材料として扱われ、その遊蕩ぶりを見せられた末に借金を残した挙げ句に死別という形で幼くして路頭に迷わされ、さらには兄からの憎悪を死んだ父に代わって受ける羽目になったククールからは「好き勝手やって死んだ」「クソ親父」といわれる始末である。
そもそもこいつの所業こそが息子二人の人生を大きく狂わせ、回復不能な亀裂を生じさせたのだから無理からぬ事、最低の父親であることは疑う余地もない。
 
トンビが鷹を生んだとでも言おうか、息子2人はどちらも非常に有能であったのが皮肉である。或いはこの領主の方が一族で特出した不出来のバグだったのかもしれないが。
…と言いつつ、「ごうつくばり」がマルチェロに、「女好き」と「賭博好き」がククールにと、悪い部分も確かにそれぞれ受け継がれてしまっている。
そんな2人もマイエラ修道院でオディロに育てられたお陰で、なんとか人の道を踏み外さずに済んでいたのだが…。
また、2人とも容姿端麗である事から顔だけは良かったのかもしれない。ただ、2人の顔はあまり似ていないのでどちらが父親似なのか、或いは両方母親似なのかは不明。
 
善意や熱意や望むもののすれ違いが大きな悲劇や事件に繋がる事もあるドラクエシリーズだが、こいつはまったく身勝手な動機や経緯で多くの人生を狂わせる起点になっており、為政者としても一人の男としても父親としても、登場人物としてさえも一切の美点が無いと言う、ある意味すごいキャラクターである。

3DS版

さすがに妾腹ではCEROの関係上マズかろうということで、マルチェロとその母親に関する設定が下記の様に変更された。

  • 「平民の恋人がいて子供(マルチェロ)を妊娠していたが、貴族の娘との縁談が成立したことで子供ごと捨てた。そのショックで元恋人は死亡」
  • 「妻との間に子供が生まれなかったため昔の恋人との間に生まれた子供を養子に迎え入れようとしたが、妻が子供(ククール)を妊娠したためその養子縁組を破談にした」

オリジナル版の時点で十分に人でなしであったのが、さらに非道で醜悪な男にレベルアップしている。
こんな領主なら、訃報が朗報になって当然だろう。
 
ちなみに、元の設定は旧約聖書のアブラハムの跡取りに纏わる話とよく似ている。アブラハムは妻サラとの間に子供ができず、ハガルという奴隷の女に子供(イシマエル)を産ませたが、後にサラがイサクを産んだことで前者のイシマエルは棄てられたとされている。
が、イスラム教の間ではイシマエルが正当な相続人と看做されているので宗教同士の対立の原因にもなっているのがややこしい。
そう考えるとこの設定変更には宗教的な配慮もあったのかもしれない。