概要
2006年にニンテンドーDSで3DとなってフルリメイクされたFF3。
FFでは珍しい、かつ初の完全作り直しのリメイク作品。
3Dポリゴン化したとはいえ、出現するモンスターはかつての面影を感じる。
作品自体は非常に待ち遠しいものであった為、リメイク作品としてはオリジナルと共に
シリーズ初のミリオンヒットを達成した。
FFシリーズのリメイク作品の中では商業的に成功している部類であると言える。
処理落ちなどもないため、まともに遊べる。読み込みがやや長いのが玉に瑕。
FC版体験者・新規問わず多様な評価がある。
- 当初はワンダースワンからFF1-2と同じリメイク仕様で発売される予定だったが
企画が頓挫してしまい、代わりにFF4の移植版が発売される事になった。 - FC版体験者からは、おおむねオリジナルに沿った正統リメイクだという評価がある反面、ゲームバランス・キャラづけ・ポリゴン化などの変更点を否定的に評価する意見も存在する。
- 他方、新規プレイヤーにもDS版発売当時のスクエニのRPGに比べて遊びやすさ王道RPG的な要素を好意的に評価する者がある反面、画質やストーリーの陳腐さを批判的に評価する者もいる。
FC版と比べると敵の出現数は減っているが、反面、すさまじいパワーインフレを起こしている。
これがDS版4でも影響を受けている。
難易度は、序盤はレベルをしっかりあげて進まないとキビシイ作り。
中盤からはジョブの熟練度も高くなるので楽になっていく。
昔のゲームらしいシンプルなシステムやストーリーでとっつき易いことも、
本作がミリオンヒットとなった一因だろう。
容赦無い強さの裏ボス・鉄巨人も居るので鍛え上げたパーティーの腕試しもできる。
全体的に戦闘テンポは良くなっている反面、町に入るときに少しだけ待機時間がある。
また、FC版で難所だった暗黒の洞窟は短くなっているが、
ネプト神殿やドラゴンの住む山などは長くなっている。
- 特殊コマンド全てに術者が発光するエフェクトがついたため、これらを重視する場合はテンポが悪い。
DS版では主人公の4人にルーネス、アルクゥ、レフィア、イングズと言う固有名詞と、
明確な人格が設定された。
- 主人公の4人にはそれぞれイメージカラー(らしきもの?)があるようで、
一部のジョブではその色に合わせてグラフィックが変わる部分もある。
分かりやすいのはたまねぎ剣士と風水師だろう。
ルーネスが紫、アルクゥが緑、レフィアが水色、イングズが赤。- 主人公の登場順がFC版のたまねぎ剣士の色と逆なのが伺える。
「スタッフが狙ってやったのでは?」という意見も出ていた。
- 主人公の登場順がFC版のたまねぎ剣士の色と逆なのが伺える。
後ろにくっついていたサブの人達も戦闘中は攻撃支援や回復支援をしてくれる。
NPCとの会話は健在だが、主人公キャラに個性が付いているので会話の内容も合わせて変わっている。
ジョブバランスが大幅に変わり、弱かったジョブは強化、強すぎたジョブは弱体化と
どのジョブでもクリアができるようになった。
(勿論、吟遊詩人やシーフでも)
- ネットで検索するとクリア時のジョブは皆結構バラバラで、このバランスは評価できると思う。
- 「導師を入れてるパーティーが多い」くらいしか共通点がない。本当にバラバラ。
- 攻めの戦士・守りのナイトのような棲み分けによる旧上位ジョブの変化はいいとしても、白魔道師・黒魔道師に対して上位にしか成り得なかった導師・魔人の低レベル魔法使用回数を減らして白・黒魔道師の優位な部分を作るなど無理矢理な調整もある。
- それを無理矢理な調整と断定する根拠は?
- 他の一般的なRPGでは、上位魔法を使えるようになる為に下位魔法を前より使えなくなるケースなんて存在しないでしょう。つまり不自然。無駄に差別化にこだわった結果と言える。
- あれってむしろ、面白い差別化だと思ったがなあ。上位の魔法だけ得意で下位の魔法を苦手とする魔法使いなんて、ファンタジーとしてはそこまで珍しい設定でもないし。
- でもこれゲームだし。大切なのは設計だし。実際には結局最後まで黒魔道師を使う選択肢は縛り・ネタ以外に基本ありえないし。その辺から考えれば「どのジョブでも最後まで使えます。全てのジョブに全能力で上回るジョブは存在しません」と言う為だけの調整だとわかるし。
- 下位は低レベル帯が多め、高レベル帯が少なめ→道中での回復が容易だが長期戦が苦手。
上位は低レベル帯が少なめ、高レベル帯が多め→戦闘での立て直しが容易だが道中での回復に制限アリ。
と明確に差別化されている。問題は能力の関係上、低レベル帯が少なくても回復量そのものが増しているのでデメリットとしてあまり機能していないこと。
(変更点)
- マップ、バトルシーンの3D化
- 敵が3体までしか出ない(一部イベント戦闘を除く)
- ダンジョンマップの変更
- 画面の切り替わり、キャラのモーションが遅い
- 追加要素(モグネットの通信で開放)
- シナリオ変更
- 主人公に若干個性がついた
- ストーリーの一部改変
- ジョブ調整
- バトル調整
- 敵のパラメータ・使用魔法大幅変更
- 一部の敵が2~4回行動するようになった
- 通常攻撃で状態異常の追加効果を持つ敵が多くなった
- 回復魔法の回復量大幅増加、状態異常の成功率大幅低下
- アイテムの大幅追加
- アイテムが無制限に持てる
- NPCが援護してくれるようになった
- ボスを倒すと完全回復
等々変更点をあげればキリがない。FC版はFC版、DS版はDS版と完全に割り切れば楽しめる作りだと思う。
上記のようにゲームバランスは大幅変更されている。
ジョブの個性はより明確にしつつ、実用性の差は小さくなっている。
敵についてはザコ敵があまり脅威でなくなった代わりに、ボスキャラは全体的に強くなった印象。
(ただし2ヘッドドラゴンなど、FC版で特に手強かったものは弱体化している)
戦闘からの逃走も普通に出来るようになった。
モンスターは処理の都合か基本的に3体までしか出現しない。
もちろん、それに合わせて一体一体が強く設定されているのだが、
黒魔法や召喚魔法等、全体攻撃の強みが減ってしまった。
さすがに4倍は無いという判断が働いたのか、逃走入力中の被ダメージは2倍に下方修正。
最終ボスと隠しボスのHPが6桁に対して、闇の世界とレッドドラゴンのHPが99999となっているが
攻撃形態が変わるところで別のVerと入れ替わっている可能性がある。
ギサールのつるぎざきさんはいなくなり、代わりにモンスター図鑑を見せてくれる人が居る。
できればモンスター図鑑はいつでも見れるようにして欲しかったところ。
特殊技能発動時、ある程度の確率で使い手がクローズアップされるが
キャラクターデザインの吉田氏繋がりで、FFTにおける詠唱のようなものだと推測される。
- エグゼクティブプロデューサーの田中弘道氏は、FC世代のユーザーに「これぞFF3だ」と言ってもらえる自信があると発言していた。
この発言に同意するのもこの発言を批判するのもFF3を心から愛したユーザー一人一人の自由である。
ジョブバランス調整や追加アイテム、
更にエグゼクティブプロデューサーが田中氏ということもあってFF11の影響が強いリメイクである。
魔法詠唱時のモーションもFF11を意識しているものと思われる。
開発当初はFF11のモンスターのデザインをそのまま流用する案もあったとのこと。
(キングベヒーモスや鉄巨人のようにFF11の影響を受けている敵はいる)
「たまねぎ剣士の入手」
「(伝説の鍛冶屋イベントに伴う)各ジョブ専用最強装備の入手」
「追加ダンジョンの出現と追加ボスとの対戦」にモグネットの通信環境が必須
という仕様は非難轟々であった。
キャラクターに個性が付けられているが、最初から最後まで他シリーズに比べてイベントでもあまり喋らない。
実はDS版FF3には『ボツセリフ』があり、データ上にかなりの数が残っている。
開発中の予定ではキャラクター同士の会話などはもっと濃いものだったようである。
(「公式サイトで『レフィアがルーネスと衝突することもしばしば』て書いてあるのに
実際プレイしてみたら特に喧嘩なんかしてないじゃないか」と思った人もいただろうが、
ボツセリフの中ではこの二人の絡みは多いのだ)
恐らく、スタッフがリメイクする際のキャラクターの個性付けを考えた際に、
オリジナルの無個性さが好きだったプレイヤーのことも配慮して、
最終的にこのような形になったと思われる。
- ちなみに本作で良く指摘される、シナリオ改変によって発生した時系列の矛盾は、
本来なら伏線のつもりだったようだ。
(エリアが浮遊大陸について『時間が停まる前にはなかった場所』だと話している。
浮遊大陸の存在そのものに、何か特殊な事情があったのだろう)
投げ捨てられた伏線である以上、矛盾そのものの擁護にはならないが。 - 4人だけで情報整理する会話が複数存在する。
NPCのいない場面でも、仲間同士で会話のできる予定だった模様。 - 公式コンプリートガイド内で浅野氏が「ファミコン版経験者だと違和感を
感じやすく、個性が出すぎてボツになったシーン」について
「イングズがサラ姫と一晩ともにしてから旅立つとかですね」と語っており、
実際この内容のボツイベントがデータ中に存在している。
ファンへの配慮という意図もあった様子。 - これらについての経緯はインタビューで確認できる。
彼ら4人のジョブの大半は、『清純』なイメージを強調させたデザインが多く、
紅一点の露出度もあまり高くない。
清純と言うより「エスニック」に近い感じかも。
- FFTの女性のデザインもそんな感じになっている。
- なお彼らの場合は、オーソドックスな外見が多いバッツとガラフ、
露出度が高い女性的な外見が多いレナ、男勝りなイメージを強調させた外見が多いファリス、女の子らしさを強調した外見が多いクルルと違い、割と落ち着いたものが大半である。
なお、露出度が高いジョブはシーフだけである。 - いくら露出が目立つからと言え、「やりすぎ」と言ってはいけない。
- キャラクターは全てデフォルメとなっている。GBA版FF1,2と同様低年齢にも楽しんでもらうと言う考慮かな?
- 単純に「デザイナーの違い」だと思うんだが。
劇中で彼らは「強き心」「優しき心」「愛しき心」「信じる心」の持ち主である事が明かされる。
これはバッツの「風と探求の心」、レナの「水といたわりの心」、ファリスの「火と勇気の心」、ガラフとクルルの「土と希望の心」とは違う意味であろう。
ちなみに、プロローグの一部がオリジナルとちょっと変わっている。
「これから訪れるものに比べればちっぽけなものである」が
「これから起きることに比べれば 些細なことにすぎない」に変更された。
まさに、「些細な」変更ではあるが。
- また、キャラ設定の変更の影響で後半の「ほんの度胸試しのつもりだった」の部分がばっさりカットされている。
全体的にFC版に忠実なストーリーなのだが、以下のように細かい設定が改変されている。
- シドと主人公の4人はもともと地上世界の出身。10年以上も前にシドが飛空艇に乗客を乗せて飛んでいた時、急に世界が闇に包まれ、次に意識が戻った時には浮遊大陸に墜落していた。
このとき生き残った乗客が主人公たち4人。 - ドーガの発言によれば、ザンデが闇で世界を覆い、星の全ての活動・時の流れを停止させた。その無理矢理な行動により星の一部が切り離され、浮遊大陸が出来上がった(浮遊大陸は時間停止を免れる)。
また、生きている森の長老によれば、闇に世界が覆われ浮遊大陸が誕生したのは1000年前の出来事。
…このため、『闇に世界が包まれ時間が停止したのは10数年前なのか?1000年前なのか?』とプレイヤーを混乱させることになった。
一応、『1000年前に世界が闇に包まれたときから、地上世界もシドの飛空艇もずっと時間停止していた。ところが、10数年前に時間停止を免れていた浮遊大陸と接触したことで、飛空艇も時間停止が解けて大陸に墜落した。つまり、シドが意識を失ってから目覚めるまでに990年近く時間が経過していた』と考えれば筋が通りそうだが…。
『ザンデが寿命から逃れるため地上世界の時間を停止させた』という改変は、ザンデの行動に理由付けするためだと理解できるのだが、浮遊大陸の誕生経緯を改変した理由はよくわからない。
『FC版通り、1000年以上前にオーエンが浮遊大陸を造った』『ザンデが闇で世界を覆い、時間を停止させたのは10数年前』という設定にしておいたほうがわかりやすかったのでは…?
- 地上が1000年間止まっていたことになったため、シドが10数年前に飛空艇事故に遭ったというのがどういうことかとか、地上に四戦士やデッシュの家族や親戚がいないのかなど、説明不足の点は多々ある。
- サロニアには飛行中に闇に包まれてしまったシドを心配する人が登場する。どうせなら、地上世界にいたころの主人公たち4人を知る人々との再会イベントだってあってもよさそうなのだが。
- 実は、ボツセリフには、ルーネスやイングズが、地上世界の景色に見覚えがあると話す場面が存在していた(暗黒の洞窟、ファルガバードなど)。
ゲーム本編では「主人公4人は地上世界の出身」であることは明かされるが、それ以上のことは深堀りされないので、なんだか中途半端になっている。
- 上記の通り、ゲーム中のテキストでは説明不足どころかはっきり矛盾している。ファイナルファンタジーIII 公式コンプリートガイドによれば、十数年前に地上世界が闇に覆われ時間が止まった と記述されており矛盾が解消されている。
- なお、この本では浮遊大陸については『1000年前に光の力を悪用しようとした者の手によって、世界の一部が切り離されてしまった際にできた』と記述されている。
詳細はこちら参照。
移植
2011年3月、ios(iPhone、iPad、iPod touch)へと移植された。
後に、ios移植版と同様の内容でAndroid、WindowsPhone7/8用向けにも移植されている。
これらまとめて「スマホ版」と呼ばれることが多い。
- グラフィックは高解像度に対応し、DS版よりも精細になっている。
- スマホに合わせたインタフェースになっている。スクエニのスマホ移植作品では初めて「(通称)どこでもコントローラー」が採用された作品。
画面をタッチすると、その位置から若干動かす(動かし続ける必要はない)だけで動かした方向に進むというものである。
向きを変えたい場合は、その位置からまた少し動かすだけでよい。
個人的には非常に快適な操作性だと思う。- FF1や2にはこのインタフェースは導入されていない。ほかの移植作品ではクロノ・トリガーで採用されている。
- 「どこでもコントローラー」という名称は安藤武博氏の発言から。安藤氏の発言によるとスクエニの特許であるとのこと。
本来の名称は「電子なんちゃら」とかいうすごく大層な名前なので、皆「どこでもコントローラー」と言ってる。
- モグネットはゲーム内で自己完結するようになっている。
モグネットを進めるにはゲームの進行度等が条件となっているため、通信しなくてもいいからといって早く手に入るというものではない。
2012年9月20日には、本作のPSP移植版が発売される。
こちらはスマホ版に準じた移植で、モグネットの仕様などはスマホ版と同じ。
ギャラリーモードやオートモードなど、スマホ版にはない追加要素もある。
- ギャラリーモードやオートモードはPSP版のみの利点だったのだが、
下記の通り今ではスマホ版にも搭載されている。
本作をPC用に調整したものが2014年にSteamにて配信が開始されたが、日本では購入不可かつ日本語も削除された状態での販売となった。
長らくそのままおま国状態であったが、実に6年経過した2020年2月28日に日本語等を追加し、日本国内向けに販売開始された。
国内向け販売開始のアップデートにて、ギャラリーモードやオートバトル機能を追加したためDS版とPSP版の良いとこ取りのような仕様になっている。
グラフィックも高解像度に対応している。
- 同時にiOS、Androidにもアップグレード版が配信され、ギャラリーモードやオートバトルが追加されている。
値段は旧版よりお高くなってしまっているが、その旧版を持っていれば無料でアップグレード版に出来る。
ちなみに値段はiPad(2080円)が一番高く、次いでSteam(1980円)、それ以外(1840円)となる。
解像度や操作性もあるので一概に比較出来るものでもないが。
なおAndroid限定でSQUARE ENIX MARKETでも購入でき、ここが最安値(約1540円*1)となる。