- ラグビーのニュージーランド代表チームの愛称。試合開始前に行う「ハカ」などで知られる世界屈指の強豪であり、その名の通り黒を基調としたジャージを身にまとっている*1。
- 2019年の日本シリーズにおける読売ジャイアンツのこと。4戦全敗という成績から名付けられた。2015年に発覚した野球賭博と絡めて「オールトバックス」と揶揄されることもある。
- 2.から転じて、日本シリーズで引き分けを挟まずに4戦でスイープ負けすること。
本項では2.と3.について解説する。
【目次】 |
概要
2019年の巨人はペナントレース優勝、CSでも阪神を撃破。日本シリーズの対戦相手は2018年から2年連続でシーズン2位から西武に下克上を果たして勝ち上がったソフトバンクとなった。しかし、
- 優勝したとはいえ成績は77勝64敗2分の勝率.546で、対戦相手のソフトバンク(勝率.551、これでもパ・リーグ2位)よりも低かった。
- 直前に鈴木尚広コーチが「一身上の都合」で退団。
- クリスチャン・ビヤヌエバが造反まがいの行動を取っていたと報じられる。ただしソースは東スポ。
など、開幕前から雲行きは怪しかった。
開幕後は坂本勇人と丸佳浩の絶望的不振*2、守備でも山本泰寛や増田大輝らのボーンヘッドが重なり、巨人は33-4以来のスイープ負けを喫してしまう。
この惨状には温厚な人柄で知られる和田一浩*3ですらも「日本一の戦いに相応しくない」「戦力差が歴然」などと酷評。
巨人ファンが唖然としたのは言うまでもないが、他球団ファン、ひいてはアンチ巨人すらも呆れ返るほどであった。
この頃日本では「ラグビーワールドカップ2019」が開催されており、ラグビー日本代表が史上初となるベスト8入りを成し遂げる*4など快進撃を見せていた。この影響でラグビーへの注目度が高まっていたことから、上記の「オールブラックス」と 「対戦成績が全て黒星」を掛けたこの蔑称が作られた。
試合結果
各試合の詳細についてはこちらも参照。
第1戦
10月19日(土) 福岡 ヤフオク!ドーム |
開始18 : 34 試合時間3時間15分 入場者37,194人 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 6 | 0 | |
ソフトバンク | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | X | 7 | 10 | 1 |
バッテリー | 巨 | ●山口(0勝1敗)、マシソン、田口、澤村-小林、炭谷 |
---|---|---|
ソ | ○千賀(1勝0敗)、甲斐野、森-甲斐、高谷 | |
本塁打 | 巨 | 阿部1号(1)、大城1号(1) |
ソ | グラシアル1号(2) |
第2戦
10月20日(日) 福岡 ヤフオク!ドーム |
開始18 : 31 試合時間3時間12分 入場者37,052人 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 4 | 1 | |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | X | 6 | 7 | 0 |
バッテリー | 巨 | メルセデス、●大竹(0勝1敗)、桜井、高木-大城、小林 |
---|---|---|
ソ | ○高橋礼(1勝0敗)、Hモイネロ、高橋純、森-甲斐、高谷 | |
本塁打 | ソ | 松田宣1号(3)、柳田1号(1)、福田1号(2) |
第3戦
10月22日(火) 東京ドーム |
開始18 : 18 試合時間3時間38分 入場者44,411人 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 0 | 1 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 7 | 0 | |
巨人 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 1 |
バッテリー | ソ | バンデンハーク、○石川(1勝0敗)、甲斐野、モイネロ、森-甲斐、高谷 |
---|---|---|
巨 | 高橋、鍵谷、●戸郷(0勝1敗) 、高木、澤村、田口、中川-大城 | |
本塁打 | ソ | グラシアル2号(1) |
巨 | 亀井1号(1)2号(1) |
第4戦
10月23日(水) 東京ドーム |
開始18 : 18 試合時間3時間22分 入場者44,708人 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 8 | 0 | |
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 3 | 6 | 2 |
バッテリー | ソ | ○和田(1勝0敗)、スアレス、嘉弥真、H甲斐野、Hモイネロ、S森(1S)-甲斐、高谷 |
---|---|---|
巨 | ●菅野(0勝1敗)、中川、デラロサ-小林、大城 | |
本塁打 | ソ | グラシアル3号(3) |
巨 | 岡本1号(2) |
総スコア*5
試合 | 会場 | スコア (H - G) |
---|---|---|
総スコア | 23-10 | |
1 | 福岡 ヤフオク!ドーム | 7-2 |
2 | 6-3 | |
3 | 東京ドーム | 6-2 |
4 | 4-3 |
オールブラックスのバカ
第3戦の9回裏、4点差の状況で森唯斗(ソフトバンク)が暴投するが、代走の増田大輝が無理に三塁を狙いアウトになった場面。当記事見出しの1.と掛け合わせて「オールブラックスのバカ」とも。
5点取れば逆転できる点差であることから、ラグビーのプレーで1度に5点入るトライと掛けて「トライ狙ってる」とネタにされた。
後日談
- 巨人は2020年2月からランニングシューズを黒に統一することが発表され、「オールブラックス」は現実のものとなった。
巨人「オールブラックス」ランニングシューズ色統一(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/m/baseball/news/amp/202001010000409.html
リーグ連覇と日本一奪回を目指す巨人が、足元まで統率をとる。
2月の宮崎春季キャンプからランニングシューズのカラーを黒に統一することが1日、判明した。昨季までは赤、青、黄、白など各選手の好みでOKで、特にチームとしてのルールはなかった。より強固な集団としての意識を高める意味でも、今季から統一させることが決まった。(中略)ブラックと言えばラグビーのニュージーランド代表、オールブラックスが象徴的。ラグビーを愛する原監督の意向も加味された。指揮官は常々「チームとして戦う。みんなで戦っている。誰一人として欠けてはいけない。我々は全員で戦っている」と口にしてきた。昨季は4年ぶりのリーグ優勝を果たすも、日本シリーズでソフトバンクの前に屈辱の4連敗を喫した。悲願の日本一へ、足並みをそろえる。
- 春季キャンプでトークショーに登壇した原辰徳監督は「(去年の)日本シリーズにジャイアンツは出ていませんね。あまり記憶にもないですね」とブラックジョークを飛ばし、指揮官にすら日本シリーズがなかったこと扱いされてしまった。
- 2021年の巨人のチームスローガンは「1Team!~和と動」と発表された。
もともと「ONE TEAM」は、2019年ラグビーW杯日本大会においてラグビー日本代表が一つのチームとして結束するために掲げたスローガンである。
この結果、ラグビーニュージーランド代表に因んだ「オールブラックス」を2019年から2年連続で達成した球団のスローガンが、ラグビー日本代表を連想させるものとなっている。
- 日本シリーズでの8連敗を含めた巨人の対ソフトバンク戦の連敗は、最終的に2021年5月30日に4-3で勝利するまで11連敗、オープン戦を含むと14連敗にも及んだ。同日の勝利時には約2年ぶりの勝利が大々的に報道されるに至った。
オールブラックス2020
翌年の日本シリーズでも、今度はペナントレース1位のソフトバンクと巨人の同カードが再び実現。案の定を通り越してこの年以上の悲惨な内容でオールブラックスが緊急再来日した(当該項目参照)。
オールブラックス一覧
日本シリーズにおける引き分けなしのスイープは7回存在する。
年度 | 勝利 チーム | 敗退 チーム | 点数 | 合計 点数 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1959 | 南海 | 巨人 | 10-7 6-3 3-2 3-0 | 22-12 | 南海の勝利投手は全試合で杉浦忠。 |
2 | 1960 | 大洋 | 大毎 | 1-0 3-2 6-5 1-0 | 11-7 | 全試合1点差。 川崎球場で日本シリーズが行われたのはこの年のみ。パリーグ初の屈辱。 |
3 | 1990 | 西武 | 巨人 | 5-0 9-5 7-0 7-3 | 28-8 | 1960年の時とは逆にこちらは全試合得点差4点以上。2020年現在の両監督が現役で出場。 |
4 | 2002 | 巨人 | 西武 | 4-1 9-4 10-2 6-2 | 29-9 | 史上初の全試合ダブルスコアでのスイープ*6。 巨人は複数試合に登板した投手がゼロ。 就任初年で日本一を達成。 |
5 | 2005 | ロッテ | 阪神 | 10-1 10-0 10-1 3-2 | 33-4 | 日本シリーズ最大得失点差。 最低防御率(8.63) 最少本塁打(0) 最少得点(4)他多数。 |
6 | 2019 | ソフトバンク | 巨人 | 7-2 6-3 6-2 4-3 | 23-10 | 56年ぶりの日本シリーズにおける勝利試合数パリーグ勝ち越し。 シリーズ出場監督で史上初のストレートの4連勝・4連敗を経験。 シリーズ出場監督として史上初の選手・監督双方で4連勝を経験。 |
7 | 2020 | ソフトバンク | 巨人 | 5-1 13-2 4-0 4-1 | 26-4 | 史上初の2年連続+同カードでのスイープ。 最低チーム打率(.132) 最少安打(16) 最少塁打(21) 4試合における最多三振(41) 最少得点(4) 70年ぶりの日本シリーズにおけるパリーグ勝ち越し。 |
昭和初(つまり史上初)、平成初、令和初のスイープはすべて巨人を相手に達成されている。
ユニフォームがオールブラックス(2022)
(写真左から順に、大勢・吉川尚輝・岡本和真・高梨雄平)
2022年9月6~8日の対DeNA3連戦(東京ドーム)にて球界初となる、ファッションデザイナーの山本耀司氏とのコラボ企画が実施。氏が展開するブランド『Yohji Yamamoto』とのコラボレーションユニフォームをチーム全員が着用したが、そのデザインは全身真っ黒であった。当カードの戦績は2勝1敗で、名実共に『オールブラックス』となる事態は免れた。