堕天使の誕生/会話

Last-modified: 2020-01-28 (火) 11:02:23
ネタバレ注意
1:ゴブリンの発掘現場
1:開始時

ゴブリンクイーン

ウフフ……このあたりの岩盤は全て
爆弾で破壊できたようねぇ。

ゴブリン

ギャギャッ……壊シタ、壊シタ!
封印トイタ、人間タオセル!

グスタフ

王子、こっちじゃ!
ゴブリン達が我ら一族に伝わる封印を
メチャクチャにしおったんじゃ!

アンナ

な、なんですかこれは……。
どうやらグスタフさんの言っていたことは
本当のようですね……一体なんの為に……?

ゴブリンクイーン

ウフフ……早速、騒ぎを聞きつけたのかしら?
だけど、一足遅かったみたいねぇ。
もう封印は解かせてもらったわ。
さぁ出てきなさい!
いにしえの天使たち!

天使

人間を……確認。
これより、神の命令により、
人間達を……浄化する。

ゴブリンクイーン

ウフフ……ようやくのご対面ね。
さあ、共に人間たちを滅ぼしましょう?

エルン

あれは……まさか……。

ドロシー

天使達がゴブリン達と一緒に向かってくるよ!
もしかして、
ゴブリンクイーンに操られているのかな?!

アンナ

そんな……。
王子、今は彼らと戦うしかないようです。
1:終了時

アンナ

敵、攻撃を停止しました。
ですが、破砕した岩盤の奥から、天使達が、
更に出現しているようです……。

ドロシー

何で、目覚めた天使達が攻撃をしてくるの?
魔物と違って、私達の
味方だと思っていたのに……。

ゴブリンクイーン

ウフフ……な~んにも知らないのね。
まあ、知らない方がいいこともあるわ。
それじゃ、ワタシはこれでお暇するわぁ。

ケイティ

逃げられてしまいましたね……。
ですが、この状況は一体どういうこと
なのでしょうか……?

エルン

王子、あの天使達は危険な気がします……。
もし、かつて神からの指令を受けていたのなら、
大変なことに……。

アンナ

エルンさん。
あの天使たちの事を知っているのですか?

エルン

……はい。
かつて天使たちと一緒に暮らしていました。
私は地上に堕ちて堕天使になりましたが……。
地上に堕ちた時に記憶を一部失ったので、
はっきりとは思い出せないのですが、
かすかに覚えてるのは 「浄化せよ」 という言葉……。

ドロシー

さっき天使たちが言っていた言葉だね……。
その言葉は何を意味しているの?

エルン

それは……。
地上の生命体の一部に介入する事……。
すなわち 「1つの種族を滅ぼす」 と言う指令です。

ドロシー

えっ……!?
どうして神様がそんな命令を?!

グスタフ

おい!
悩んでいる場合ではないぞ!
天使達が次々に地上に向かっているぞ!

エルン

王子、天使たちを追いかけましょう。
彼らは危険です。
2:天使の行軍
2:開始時

アンナ

天使の皆さん、どうか侵攻をやめてください!
私達の話を聞いてください!

天使

なぜ我ら天使を追いかけてくる……?
堕天使どもの手先か……?
命令遂行の妨害をするならば排除する。

エルン

……やはり。
彼らは、千年戦争の頃に神から指令を受けた
天使達の生き残りのようです。
浄化の対象は……人間です。

ドロシー

じゃあ神様が人間を滅ぼそうとしてるって事?!
そんなの嘘だよ!
そんなこと……あるはずないよ……。

天使

祈れ、地上の子らよ。
これは、神の剣による断罪だ。

エルン

王子……、
神の意志は天使にとって絶対です……。
迎え撃つしかありません……。
2:戦闘中

シャルロット

天使だか何だか知りませんが、アタシの
魔法剣で、足止めしてさしあげますわッ!

天使

はかなき人の子よ……。
未熟な精神なれば……。
操るのは……容易い。

シャルロット

──きゃぁァアッ!?
そんな、身体が、うごか……ない……?

ニエル

天使達に操られてるんだ!
天使たちの力なら、
未熟な人間を操ることは不可能じゃないよ!

シャルロット

誰が未熟ですってぇ──ふあッ!?
か、勝手に魔法剣が発動しちゃいましたわ!
……お願いですわ、誰か止めて下さい~!!
2:終了時

シャルロット

はぁ……はぁ……何とか、助かりましたわ。
前にもこんなこと、あったのに……、
アタシ、まだまだ未熟ですわ……。

エルン

天使達の力は人間には推し量れない
特殊なものなので仕方ありません。
元気出してください、シャルロットさん。

シャルロット

気遣いは無用ですわッ!
この汚名は、これからの戦いにて、
絶対にそそがせていただきますわッ!!
さぁ! 王子!
天使たちを追いかけますわよ!
3:目覚めし天使長
3:開始時

???

永らく封じられていた我が身ですが……、
どうやら力は衰えていないようです。
神の命を遂行するのは容易いでしょう。

天使

天使長様。計画は問題なく進んでおります。
すべてはあのお方の御心のままに。

アンナ

王子! あそこに天使たちが……!
そんな……天使達が、街を襲っている……。
これは、悪い夢ではないのでしょうか……?

???

おや……こんな所にも人間がいたのですね。
そのように息を荒げて、
いったいどうしたというのですか?

ドロシー

あ、あなたは!?
これまで見てきた天使とは、
何だか違うような気がするけど……。

ミルノ

私は天使長ミルノ。
天の御使い達を統べる者。
主の命によって此の地にやってきたのです。

アンナ

天使長!?
でしたら、天使達に今すぐ進軍を止めるように
命じてください。このままでは街が……。

ミルノ

恐れることはありません。人の子らよ。
全ては美しき世界への架け橋……。
死は、始まりでしかないのです。

アンナ

そんな……。本当に私達を、滅ぼす気なのですね。
このままでは街が……。
王子、立ち向かうしかありません……。
3:終了時

ミルノ

なぜ抗うのですか?
神の御心による滅びは、ただ美しく、
優しさに満ち溢れているというのに……。

エルン

千年戦争の時に神が下した命令は、
未だに天使達を縛りつけているのですね……。
天使長、お久しぶりです。

ミルノ

貴方は……エルン……? そう、貴方ほどの
天使が、地に堕ちてしまったのですね……。
天使は、人を導いてこそ、天使であるのに。
今からでも遅くはありません。
ともに、浄化の炎をもって、この地を清めるのです。

エルン

天使長……そこに貴方の意思はありますか?

ミルノ

……何を、仰っているのですか……?
私たち天使の意思は、すべて神によって形作ら
れるのです。私の意思など、ありはしない。

エルン

……永い封印の時を経ても尚、
貴方は、純粋で、疑うことを、
知らずにいるのですね。

ミルノ

……私を、そのような眼で、見ないでください。
これは、神意なのです。私は、間違ってなど、
いない……絶対に、間違ってなど……。

ドロシー

………………行っちゃった。
天使は、人間の敵だったんだ……ぐす……。
こんなのって……ないよぉ……。

エルン

ドロシーさん……気持ちを強くお持ちください。
天使長は私達の心の声を聴いてくれるはずです。
必ず……必ず分かってくれるはず……。

ドロシー

エルン……。分かったよ。
王子、天使長が話を聞いてくれるまで
頑張るしかないね!
4:浄化の狂炎
4:開始時

ミルノ

まさか……これが、神罰……なのですか?
悲鳴、怒号、絶望、恐怖……ここは、おかしい。
全てが混沌として、美しさなど……ない……。

アンナ

ミルノさん!
お願いです! 天使達を止めてください!
このままでは、本当に全ての人々が……ッ!?

ミルノ

し、しかし……神の命じられたことです……。
私がそれに背くなど……主は、間違わない……。
間違うはずが……ない、のに……。
なのに、なぜ私はこんなにも心乱れて……。
胸が……苦しい……これまで耳にしていた
神罰が、こんな非道な行為だったなんて……。

エルン

目の前の光景をしっかりと見てください、
天使長! これが、あなたが仕える、
神と呼ばれる者の内心なのです!

ミルノ

堕天使に身をやつした者の言うことなど……。

エルン

私も貴方のようにあの方を信じていました。
ですがあの方は、人間を罰すべき愚物と決め
つけ、何も見ようとはしていなかったのです。
人間には原罪が内包されると同時に、愛があ
ります。それは、天使や神すら持ち合わせなか
ったこの世界の唯一の輝きではありませんか?

ミルノ

愛……? わからない……私には、そのような
もの……いいえ、天使長である私が神を疑うなど
あってはならない……あってはいけないのです!

エルン

……天使長!
なぜ分からないのですか……?
本当はもう気づいているはずです……!
天使長……私は私の意思を持って、貴方を止め
ます! これこそが、堕天した者にしか果たせな
い責務だと、今はっきりと私は理解しました!

アンナ

戦う事は、避けられないのですね……。
王子……ミルノさんを迎え撃ちましょう。
4:戦闘中

エルン

あの天使は……!
王子、お気を付けください!
あの天使は他の天使を癒す力を持っています!
4:終了時

ミルノ

なぜ……天使長である私が、
人間などに……負けるの、ですか……?
分からない……理解が追い付かない……。

エルン

貴方の心は、もう理解してしまって
いるのではありませんか? 神にではなく、
人間こそが、信じるべき光なのだと……。

ミルノ

……嘘です。
あなたは堕天使……悪魔です。
私をたぶらかし、地獄に引きずり込む気ですね。

エルン

ならばこの光景は何なのですか!?
見なさい! 貴方達が産み落とした戦火を!
これを地獄と言わず何を地獄とするのですか!!

ミルノ

──ッ!?
……あ、ァあ……私は……私は……そんな、
こんな……ことの……為に……うぅ……ぁ、ァ……。

エルン

大丈夫です……私がついています。
自らの心奥に問いかけるのです……。
貴方の心は、どうしたいと叫んでいますか?

ミルノ

私は……助けたい……人を、助けたいと、
願ってしまっている……こんな、ことって……。
でも、こんな地獄は、見たく、ありません……。
私は……世界が美しくあってほしい……。
そして、私は正しく……ありたいのです……。
その為には……背くしか、ないのですか……?

エルン

神に従い、自らを偽るか……。
神に背き、自らを正すか……
ミルノ……苦しくても、選ぶしかないのです。

ミルノ

……貴方には、迷いがないのですね。己の信念
に裏打ちされた瞳が、ただ美しい……私も、
美しく……ありたい……正しくありたい……。
主よ……ここにざんげします。私は、貴方ではなく、
己に従う事を選びました……不意に生まれた
この心を、人への慈愛を、お赦しください……。

アンナ

ミルノさん……天使達の襲撃は何とか退け
ましたが、これで終わったようには見えません。
王子、一度戻り、来るべき時に備えましょう。
5:女王、再び
5:開始時

ゴブリンクイーン

天使達の攻撃すら退けるなんて、
あの王子の力は計り知れないわねぇ……。
でも、そんなことで私が退くと思ったら大間違いよ。

ゴブリン

エイユウ! タオス! 街、襲ウ!
エイユウ! タオス! 街、襲ウ!

ゴブリンクイーン

その意気よぉ。
さぁ、アタシの計画をつぶしてくれた王子たち
の大切なものを全て奪っておやり、ウフフ……。

シャルロット

──させませんわ!!

ゴブリンクイーン

あら?
誰かと思えば……あなた天使に操られていた
小娘ね。アタシはこっそり見てたわよぉ。

シャルロット

な、なぜそれを……ッ!?
ですが、今は天使はいません!
もうアタシは誰にも屈しませんわッ!!

ゴブリンクイーン

そうねぇ……天使はいないわねぇ。
だけど、あなたの前にはクイーンがいるの。
そう、このゴブリンクイーンがね……ウフフ。
アナタ、勝ち気ないい顔をしているわぁ……。
さあ、アタシの眼を見なさい……ウフフ。

シャルロット

ゴブリンクイーン様に逆らう人間たちは
貴方たちですか?
覚悟しなさい!

アンナ

シャルロットさん……。またですか。
ですが、そんな気もしていたので大丈夫です。
さぁ、王子、参りましょう。
5:終了時

兵士

敵、退却していきます!

シャルロット

はぅぅ……ようやく、身体の自由が戻りましたわ。
もう、誰かに身体を好き勝手されるのは……
たくさんですわぁ……はぁ……。

ゴブリンクイーン

操られやすいのはいいことだけど、
いまいち使えない小娘だったわねぇ。
まあいいわ、次に期待しましょう……。
6:クロエの意地
6:開始時

兵士

目的地に到着!
この一帯にて、堕天使が暴れているとの
報告を受けております。

アンナ

堕天使……。
先日、天使達の封印が解かれた事と、
何か関係があるのでしょうか?

クロエ

もぉーッ!
また人間達が邪魔しに来たの~?
何人来たってここは通さないんだから!!

ロイ

そのように殺気立たれて、
一体どうしたというのですか?
困ったことがあればお力になりますよ。

クロエ

そんな言葉には騙されない。
てこでもここを動くつもりはないんだからね。

山賊手下

怪しいな……?
さてはお前、何か隠しているだろ?
お宝か?

クロエ

べ、別になにも隠していない!
(どうしよう。あの人間たち絶対に
気が付いてる……! こうなったら……)
もうッ!! 帰る気がないんなら、
容赦なく返り討ちにしてやるんだから!
ほら、みんな出番だよ!

ゴブリン

ギャギャッ……人間、タオス!
アイツ、守る! 人間、タオス!

アンナ

問答無用、というわけですね。
王子、戦いのご準備を!
6:終了時

山賊手下

これでもう逃げられないぜ!
いったいどれ程大層なお宝を隠してんだ?!

クロエ

はなせッ、はなせよぉー!!
せっかくできた仲間を、人間なんかに
傷つけさせたりしないんだから~!

アンナ

仲間……?
やはり誰かを庇っていたのですね。

天使長ミルノ

クロエ……もうよいのです。
彼らは、敵ではありません。

エルン

ミルノ!?
何故このようなところに?
それにその姿は……。

天使長ミルノ

全てを……お話いたします。
いつ誰が来るか分かりません。
場所を変えましょう。
6:終了後

天使長ミルノ

改めて、自己紹介させていただきます。
私は天使長ミルノ……いえ。
今は堕天使ミルノ、ですね。

堕天使ミルノ

千年戦争の際に女神アイギスによって施された
封印から目覚めた私は、かつて神に命じられた
責務を果たす為、人間を抹殺しようとしました。
事実、私達は天使の軍団を率いて人間の
住む街を襲撃しました。
全ては神の御心のままに……。
あれは、この身に刻まれたただ一つの信念に
裏打ちされた、慈悲なき粛清でした。
ただ美しく、正しくあるようにと、
私はいっさい迷い無く、仲間たちに
人間を殺すよう命じていました。
ですが、それまで知識としてしかなかった
神罰の真の姿を目の当たりにすると、
私の内に迷いが生じてしまったのです。
火の海と化した街には、無数の悲鳴と怒号が
溢れ、そこに美しさなどありはしませんでした。
そして、かつての仲間であったエルンとの
出会いと、彼女の言葉によって、
私は己の間違いを理解してしまったのです……。
護りたいと……思ってしまったのです。
人を、この地に溢れる美しい自然を……。
それは、神に背かなくては叶わない、
私の願いとなってしまった……。
だから、私は堕天したのです……。
この黒い穢れた羽と醜い角こそが、
堕天使である証であり、罪なのです。
こんな私を……あまり見ないで下さい……。
7:堕天の罪
7:開始時

クロエ

もう、行っちゃうの……?

堕天使ミルノ

いつまでも、クロエに
甘えるわけにはいきませんから……。

クロエ

そんなこと気にしないでよ!
ねえ、ずっとここにいなよ?
私が護ってあげるから。何も心配いらないよ?

堕天使ミルノ

クロエ……私は──。

天使

見つけた……ミルノ……。
裏切り者の……堕天使……。

エルン

あれは天使!?
まさか……。

クロエ

あ~あ、今度は天使かぁ。
人間や魔物と違ってやっかいなんだよなぁ~。
でも安心してミルノ。私にかかれば──。

堕天使ミルノ

いいのです、クロエ。
私はもう天使長ではなく、
堕天使ミルノ……なのですから。

天使

穢れた天使……浄化する……。
堕天使を……浄化せよ……。

堕天使ミルノ

天使たち、私は浄化を受け入れます。
穢れた私は浄化されるべき存在です……。

アンナ

天使達が戦闘態勢にはいりました!
王子、ミルノさんを護りましょう!
7:終了時

天使

……一時撤退。
……大天使長様をお呼びする……。

アンナ

どうやら危機は脱したようです。
ミルノさん、大丈夫ですか?!

堕天使ミルノ

私は……大丈夫です。
クロエにも怪我はなかったです。
ありがとうございます。

クロエ

ミルノ……。
やっぱり……行っちゃうの?

エルン

ミルノ、しばらくは皆と一緒にいませんか?
独りでいるよりも、幾分かは
安全なはずですよ。

堕天使ミルノ

私がここにいては、いつまでも皆さんに
迷惑をかけてしまいます。天使の追っ手たち
は躍起になっていますから……。

クロエ

それでもいいのに……ううん、何でもない。
今まで楽しかったよ、ミルノ。

堕天使ミルノ

私もです、クロエ……。

クロエ

…………行っちゃった。
ねぇ、王子。お願いがあるんだ。
あのままじゃミルノはダメになってしまうと思う。
一緒に、ミルノの後を追ってくれないかな……。
ミルノがずっと自分の中に深い罪を抱え込んで、
永遠と自分を責め続けるなんて、……嫌だよ。

エルン

私からもお願いします。
天使にとって堕天とは、恥ずべき大罪……。
清廉なミルノでは耐えられるかどうか……。

アンナ

そうですね。
それに、追ってきた天使たちの事も気になります。
王子、少し後を追ってみましょう。
8:大天使長の裁き
8:開始時

アンナ

待って下さいミルノさん!
一人ではいずれ天使達に捕まってしまいます。
私達と行動を共にすべきではありませんか?

堕天使ミルノ

何故来たのですかッ……?!
……そうか、これが無償の愛……人間には
やはり天使には無い、きらめきがある……。

???

一時の気の迷いに惑わされ堕天するとは……。
実に嘆かわしいですね。
天使長ミルノ。

堕天使ミルノ

貴方は……大天使長様……。
いずれ、貴方が来ると思っていました。
全ての天使を監視し、その罪を罰する者……。

大天使長

貴方は導きものの典型であったのに……。
知恵に満ち、美の極みであったはずなのに……。
貴方を惑わす全てを私が罰しましょう。
手始めに貴方の前で、
まずはこの堕天使を浄化するとしましょう。

クロエ

──やだッ、ちょっと、離してよぉ!!
私を誰だと思って……くぅ、っが……ぁ……。
な、何……この力……こんな……ぁ、ぁあ……。

堕天使ミルノ

クロエ!
……彼女は、関係ありません……大天使長様!
罰せられるべきは私のはずです!

大天使長

まだ理解できていないようですね。
この堕天使だけでなく、貴方を堕落させた
人間達も、全て罰するべき罪なのです。

エルン

そんなこと……させません!
ミルノは人を護ると決めたのです。大天使長で
あろうと、彼女の邪魔はさせませんよ!

大天使長

全ては神の御心のままに……。
さあ天使たちよ。
普く光を以て、粛清を始めましょう。

アンナ

ミルノさんもクロエも、
絶対に死なせたりしません!
王子、戦いのご準備を!
8:終了時

大天使長

グッ……ぅう……このようなことが……ばかな。
薄汚れた堕天使などに、この私が、負ける?
有りえません……有りえるはずが、ない……。

アンナ

天使たち、撤退していきます。
何とか、ミルノさん達を護れたようですね。

クロエ

ミルノぉ~!!
怖かったよぉ……でも、大天使長を退けられた
んだね……よかった、よかったよぉ~。

堕天使ミルノ

クロエも無事で良かった……。
王子、ありがとう……心から感謝します。

エルン

誰かを護りたいという強い思いが、王子や私達を
動かしたのです。
天使長の崇高な精神に敬意を表します。

ニエル

私もエルンさんと一緒の気持ちだよ。
ミルノさんは、天使であった時よりも、
今の方が輝いて見えるよ。やっぱり天使長だよ。

堕天使ミルノ

こんな穢れた羽をもった私に、
そのような言葉は勿体ないです……。

クロエ

まーたそんなこと言ってぇ~!
私にとってはミルノはずっと天使長なんだから!
忘れないでね。

堕天使ミルノ

皆さんの言葉が……胸に響くようです。
こんなに暖かな気持ちになったことは、
今までにありません……。
……王子、ご相談があります。
私を貴方たちの仲間として頂けないでしょうか。
王子のもとで、人々を護っていきたいのです。

アンナ

その言葉、大変嬉しく思います。
私達は、ミルノさんを歓迎致します。
これから、宜しくお願いしますね。
天使との争いは続いていくのでしょうね……。
ですが、ミルノさんのような天使がいることも
忘れてはいけません。王子、お疲れ様でした。
9:炎獄と轟雷
9:開始時

???

全く……。
こうも簡単に魔界の門が開くなんてね。
あの魔神たち、まだ諦めてないってわけね。
……まぁ、それもそうか。
永遠の混沌を求めるのはデーモンの本能だしね。
神と魔神に人間かぁ……。
まぁ、各々の思惑なんて知ったことじゃないし、
私はいつも通り自身の正義に従うだけかなっ?

アンナ

魔物が暴れているという報告があったのは、
どうやらこの辺りみたいですね。
皆さん、警戒を強めてください!

???

おっと、人間だぁ!

アンナ

貴方は……?

???

私? そうねぇ。
ただの通りすがりの天使だよ。
ま、堕ちてしまった羽の穢れた天使だけどね!

アンナ

つまり、堕天使さん……なのですか?

???

おっと、お喋りしてる暇はないみたいだね。
戦う姿を見られたくはなかったけど……。
これも運命というのなら、私は従うまでだ。
さあ、時は満ちた。
人の子らよ、私に力を貸してくれ!
眼前のデーモン達を滅するは今……行くぞッ!

アンナ

はいっ!
9:終了時

アンナ

すごい……あれほどの敵を、
ああも容易く倒してしまうなんて……。

???

ふぅ……ま、こんなところかなっ?
貴方達もけっこー良かったよ。
人間と一緒に戦うのも悪くないね。

アンナ

あの、お名前は……?

パフィリア

ふっ……名乗るべき名など無いわ。
だけど、強いて言うならば……パフィリア。
そう! 人は私を堕天使パフィリアと呼ぶ!

ユリアン

(……名乗ってんじゃん)

アンナ

もう行かれてしまうのですか?

パフィリア

悲しまないでくれ、美しき人の子よ。
私は孤高の堕天使……。
在るべき場所へ、行かなくてはならないのさ。
機会があったらまた会おう。
運命が交わっていれば、
再会できるかもね……じゃあね!

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