【住民】/“眩い霧”ニーハ

Last-modified: 2024-01-20 (土) 15:02:38

アルファベット表記:“Lunatic Seeker” Nyy hA
読み:“まばゆいきり”にーは
人種:真竜類-神代竜
性別:不明
年齢:100万歳以上(大陸歴1600年時点/1600年代中盤討伐)
属性:中立にして悪
活動時期:~1600年代中盤まで。
発案者:tocoma110
Tag: 住民 真竜類 神代竜 危険度等級EX 綴州 発案:tocoma110○


「それで、お前の出せる対価は何だ?」
「私の宝……私の国……ああ……どこに、どこに行ったのだ……」

概要

綴州に身を置く、謎多き「鱗なし」の白竜。
他の同族と異なり己の住処を隠蔽し、秘密の住処?に隠れ、研究に没頭している。そのため、素性については謎が多いものも、“妖賢”に匹敵する知恵者であり、精素それにまつわる知識に特に長け、極めて偏屈な性格の持ち主、という三点は広く知られている。
そういった事情から、精素についての真理を求める者たちはその力を頼るため、探し求める者が後と絶たない。


そして、史上最悪の真竜と名高い“黒き嵐”と大変不仲。
その対立で多数の被害をもたらすことでも知られる。

 

詳細

先に挙げたように自身は住処より出ることなく引きこもり、研究に没頭している。
その分野は多岐にわたり、精術はもちろんのことそれ以外でも自然科学から超古代文明、生物学、鉱物学、また人類種の作り出す社会にまつわることまで、節操がない。中でも生物学や超古代文明の知識を好み、とりわけ竜の秘密や命の創造、物質編成についてのものに目がない。

  • それらをもし提供出来るとすれば、大層喜ぶとされる。
    当該の情報を与えたところ、何らかの見返りを得られたという噂は、情報通の間では広く知られている。

情報には極めて強い興味を示す一方、個人に対して興味を示すことは少ない。
顔見知りとされる存在はいるようだが、それ以上の関係になったという話は皆無。実際に相対したことがある者からも、愛想のようなものは感じられない、と語られる。
実際、長く付き合いを持てる例は稀。

  • そして、付き合いを持てることがよいかと言われると、それも怪しい。
    いくつかこの存在と関連を持つとされる者は認識されているが、その多くはどこかいびつであり、異常性が目立つ。そのため、深くかかわることには大きなリスクが伴う……というのが大方の者の見解である。
  • また、一説には望みを叶える代わりに代行者として動く契約を持ちかけて来る、という話もある。
    • その意味では似たような性質を持つ“妖賢”と同様と言える。

詳細は後述するが、その姿は真竜としてもあまりにいびつなものである。
長い年を生きる真竜程個性的な姿になる傾向にあるが、その中でも際立って異形性が激しい。ある意味、その異質さは“妖賢”以上。一目で真竜だと確信出来るものは極めて稀である。
 
また、雌雄についてもはっきりしておらず、出会ったことのある者の間でもその印象・意見は割れている。

  • 例えば、真竜の念話一つとっても「しゃがれた声」であることは共通するが、その声はハスキーな女性のものにも、甲高い男の声にも聞こえるという。

古い竜によくある通り、これもまた己の住処に縛られているとされる。
が、前述の通りその居場所は不明瞭なため、他の規制持ちの真竜と比べてその身を狙われるような例は少ない。


“黒き嵐”とは犬猿の仲。
共に相手が持つ財宝(知識/古代文明の遺産)を狙い合う中であり、加えて性格の噛み合わなさも相まって余計に強い対立関係を築いている。
何らかの形で相手が欲するものを認知すれば、互いに従属生物を駆使し牽制し合い、また退屈まぎれに従属生物同士をぶつけ合うことさえある。何の利益も生まぬ小さないざこざのために、一つの国が犠牲となったことも。
そのため、通常はこの二者に好んで関わろうとする者はいない。


そして、その実態は……

世にも珍しい、神代竜級狂竜である。
ここまで長命な狂竜は他になく、故に真竜類の中でもことさら歪な個体とされる。
狂竜は本来邪悪ではないものだが、本個体は狂気の末に邪悪と呼ぶしかないほどに歪み、悪質さも桁違い。妖賢以上に強烈な執着心の持ち主であることから、極めてたちが悪い。その一方で邪竜じみた粘着性を持ちながら邪竜でない通り、これは守るべき宝を持っていない。
これにとって重要なのは、かつてその身を飾っていた、鱗にある。


求める知識は、すべて遠い日の姿を取り戻すため。
詳細は過去に詳しいが、それ以外のすべてがこれにとっては些事であり、当然、他者の尊厳の類などまるで気にしない。
邪竜の類ですら「何かを守る」姿勢には感じ入るものがあるというのに、これはそれを一切持たない。堕竜としても異常なレベルで他者への関心が薄く、他者の名前と姿*1も分類し記録しておかねば、まともに覚えられないほど。

  • 故に、機嫌を損ねず有用さを示せれば、長く付き合いを持つことも不可能ではない。
    ただし、明確な地雷をいくつも持ちながらそのことを明かさぬため、思いもかけぬ形で逆鱗に触れる可能性がある。

鱗を求める姿勢は遠い過去の傷に由来する。
とある悲劇がもとで、当時は持っていた主宝を失い、精神を完全に壊している。その際に、自身もまた鱗を全て失っているらしい。
そのため、過去の思い出は不可触の宝であり、たとえどれほどの敬意前置きがあろうと触れることは許されない。連想させるようなものを口にする・見せるだけで荒れ狂い、思い出させてきた相手を殺す。
特に、今の姿はその悲劇と密接にかかわるらしく、容姿について語ることは禁忌であるれ。

 

外見

その姿は竜というよりも魔界や地獄から湧き出た、悪魔の如きものである。
また、竜紋鱗は存在しない。

  • 眼孔のない鋭利なシルエットの頭からは、無数の捻じれた角が生え、額からは前に向かって一本の角が伸びる。
    長い首がつながる胴体は人間の上半身に似た形を持ちながら、肋骨の付け根からも人間のそれに似た細い腕が生えている。背面から広がる翼は、ステンドグラスのように多彩な色を放つ羽が無数に生え、蟲のそれとも、長大な葉をいくつも生やす枝のようにも映る。
    人間でいう腹部の位置からは十に枝分かれした尻尾が生えている一方、足と呼べるものはない。代わりに、翼によく似たひれ状の部位が広がり、まるでスカートか何かのようにたなびく。
    • そして、翼を除いたその全身は濃霧か大理石のように不透明な白一色となっている。

宿敵である“黒き嵐”とは逆に、真竜らしからぬ特徴で纏まっている。
この姿について当人は強いコンプレックスを抱いているようで、容姿について何かしらを述べることは禁忌とされる。


竜紋鱗は先の通り備えていないが、竜玉石は存在する。
異形化したためなのか、顎の奥にそれは備わっている。どす黒い紫の輝きを宿すそれは、まるでこの竜の魂を表すかのように淀んでおり、見る者の本能に恐怖を訴えかける。


なお、以前は今と全く違う姿をしていたという。

かつては美しく均整の取れた肉体を持ち、真っ当な真竜らしい姿をしていた。
細長い四肢を備えた、蛇のように長大な身体と今と同様の翼を備えた、美しい竜であったという。角も弧を描きながらもすらりと伸び、肥大から伸びる角は淡い金色を讃えていたとか。

  • 自慢であった鱗は、オパールや真珠のような白地に七色の光沢を泳がせる、それは見事なものであった。
    水面に走る波紋のように、緩やかな波を打つ竜紋はその色合いと相まって、幻想的な煌めきで見る者を魅了したという。
    また、竜玉石もかつては喉元に備わり、北方の月のような青白い輝きを放っていた。

その優美さは“夜明けの太陽”と比肩するほどで、かつては“月の虹”を冠したと伝わる。


全長:220m 直立体高:102m 体重:3万9000t 翼長:片翼190m

 

来歴

人類種の記録が始まるより以前のことについては、あまり知られていない。
だが、大陸同盟発足頃から現在のような「危険だが魅力的な知恵もの」としての噂は知られている。

  • 第一次魔北大戦期は裏方で暗躍していたようだが、そのほとんどは自己利益のためであり、人類種魔北種族のどちらにも利益と不利益のある事件を起こしていたという。

宿敵足る“黒き嵐”と比べ、表立った活動はほとんどなく、それ故にあまりその活動は知られていない。
しかし、何らかの暗躍をし続けていることは明らかであり、これとつながりのある代行者たちと目される存在が、様々な事件を起こしている。

  • その多くは超古代文明にかかわる遺跡や特異環境や、それらから採集された貴重品の眠る設備などで起きている。それらは防がれたこともあれば、防ぎきれなかったものも数多く含まれる。

中でも、第二次魔北大戦では混乱に乗じ、多数の貴重な研究品や秘境の成果物を奪取したとされる。
加えて、宿敵“黒き嵐”とも謀略をぶつけ合い、各地で無用な争いを招き、戦火を拡大させる一因となったとも語られる。
また、大陸歴1500年代後半では俄州戦争に乗じ、各勢力に干渉、そこで生み出した混乱の中でも同様の行動をとっていたとされる。


長きにわたり大陸中で暗躍を続けた恐るべき竜だが、しかし、その生涯は大陸歴1600年代中盤に幕を閉じることになる。
ひた隠してきた秘密の?住処?を明かされ、何者かに討ち取られてしまう。
その死をもってその悪行・非道の数々は正式に公となる。


過去について

その昔、これはかの大戦の中で活躍した真っ当な雌竜であった。
智を好み理を説き、また人と変わることを好む非常に珍しい竜として、『月光の国』と呼ばれた国に身を置いていたという。
その国は彼女との共存で文明を発達させ、他と比べても高度な精素技術を発展させていった。一説には、現代に残る精術理論の基礎となるものを、束ね上げたほどと。
当然、かの大戦では帝国・連合どちらにもつかず、やがて同盟軍の一員として国が組み込まれると、そこで国民や同族たちと戦い続けた。
中期ごろまでは奮闘を続けた彼女だが、しかし、その中で尊敬していた当代の竜王“黒鉄の竜王”?が大敵。“鋼の極竜”へと変貌したところから、運命が狂い始める。


竜王の陥落後、その初陣に遭遇し大敗を喫する。
眼は抉れ、半身は潰れ、自慢の鱗はすべてが根まで焼き尽くされるも、辛うじて自身は生きのびた。が、率いた『月光の国』の部隊は全滅し、同盟の同胞もほとんどが死に絶えてしまった。
たとえようのない悲愴と後悔に見舞われる彼女だが、不幸はそこにとどまらない。生きのびた真竜類の中で唯一逃げ出せなかった彼女を、帝国のとある将校が「第二の真竜類改造理造神製造の材料」とするため秘密裏に鹵獲、研究所へと送り込んだ。
そして、凄惨極まる実験材料として利用し始めた。


数年の間、彼女は真竜類であっても耐えがたいほどの苦痛と汚辱、悪意の嵐に晒され続ける。
それは途中から研究というよりも、下劣な欲望を満たすだけの嘲弄とさえ言えるものに変わり果て、気づけば彼女の身体は生前のそれとはまるでにつかぬ、醜い異業へと変わり果てていた。
だが、彼女は己の心に折れることを許さなかった。
どうなっても生きて戻り、故郷を再び守るために。彼女は持てる限りに策謀を尽くし、遂には研究所を壊滅に追い込み脱走、愛した『月光の国』を目指した。やっと、あるべき場所に帰れると信じて。


しかし、彼女を迎える声はなかった。
それどころか、故郷へ戻った白亜の竜に対し『月光の国』は何故か攻撃を仕掛けてきたのだ。その猛攻は疲弊した国の必死の反撃のような苛烈さで、やがて彼女は意識を失い──気づけば、その国はどこからも消えてしまっていた。
眼なき身でも感じるのは、全身を包む血と煙の香り、それに「鱗さえあれば」という、おぞましいほどの後悔の念だけ。
理由のわからぬ罪悪感と、愛すべき宝の喪失。それを前に彼女の精神はついに崩壊してしまう。彼女は『月光の国』を飛び去り、以降、大戦に関わることなく何万年もの刻を眠り過ごした。


永い眠りから目覚めた時、彼女の精神は完全に壊れ果てていた。
残るはあの愛おしい王国の陰と、それに付きまとう「鱗さえあれば」という罪悪感と執念。彼女は己の鱗を取り戻すべく、あらゆる知識を求めた。しかし、我が身を晒すことへの恐怖も覚えてしまうことから、己を晒すことなく、その目的を達成するための暗躍を始める。
そこには善や悪はもちろん、愛や情、信念や義信もない。あるのはただ、「鱗さえあれば帰れる」という、根拠の見えない確たる願いだけ。
飢えと渇きにも似た執着を晴らすべく、彼女は誰にも知られぬ隠れ家を組み立て、多くの者を利用し尽くす道を歩み始めるのだった。


なお、“黒き嵐”との確執もまたこの過去に由来する。
彼女がたった一度だけ各地を飛び回った際、偶然に対話の機会を得、その時伝えられた“真実”が、存在しない逆鱗に触れたのだった。
竜ならば決してあり得ない出来事を、知った風な口で、憐れみにほのかな蔑みを織り交ぜた声音で伝え、愉悦する黒き畜生に、彼女は生涯で二番目の怒りを抱かせた。以降、彼女にとってこの黒竜は最も唾棄すべき侮辱者となり、いつの日か取り戻した本当の姿で、その心臓をえぐりだしてやると誓う。
その“真実”に、何一つ言い返すことの出来なかった事実から、目を逸らしながら。

 

能力

我が身を晒すことはないことから、その肉体的な能力はあまりわかっていない。
だが、仮にも万年を超える神代竜だけあり、並大抵の個体では殺し得ないほどには頑丈であり、また力を備えている。
しかし、鱗を持たないこともあり、眼鏡性は他の真竜類に大きく見劣りする。故に、表立って動くことは少ないのだと考えられる。


この真竜の得意とする分野は、むしろ我が身を使わぬ戦法である。
精術を筆頭に、他種ではなし得ないような妖術じみた能力を多数備えている。それらを駆使することで、自らに近寄らせることなく敵対者を排除する。
その方針は直接的な戦闘のみに限らない。
前述の通り、代行者を介して何らかの行動をとることも含まれる。
何より、その力を最大限生かした戦法は「己の住処を明かさずに、これが望んだものだけを招く」という住処の状態に現れている。
宿敵の下僕たちを一度も近づけることがなかったこの技能は、その生涯が幕を閉じるまで、裏切り者が現れるまで続いたのだから。

得意技能・必殺技など

  • “竜の息吹”
    真竜最大の武器。竜玉石を備える本個体も当然ながら使用が可能。
    「圧縮された霧」と形容されるそれは、触れたものから「奪う」特性を持つ。何を奪うかは都度変わるようで、おそらくは任意に設定している者と思われる。主に奪取されるのは記憶、生命力、時間など。物理的には熱を奪う形で疑似的凍結を引き起こす。
    このような概念的な領分からのみ攻める“竜の息吹”は稀有であり、非常に異質。
    基本効果そのものは非常に強力である一方、“竜の息吹”としてはパワーに劣るようで、他の個体を打ち合って勝てるかは怪しい。
    • なお、かつては異なる力を持っていたとも言われるが、真偽は不明。
  • 精術
    彼の技能としては筆頭に来るもの。
    その腕前はあらゆる真竜の中でも最先端を行き、人類種の何十世代先を歩んでいた。少なくとも、彼に並びうる精術の理解者は人類種ではほとんどおらず、利用者にしても第四世代理造神実体精素現象くらいなものである。
  • 妖術
    詳細不明の技術。あるいは異能。
    精術とは異なる法則で動いているらしき力。同様の力を使う者は稀に目撃されるが、その中でも群を抜いて強力。
    この力は精術では防ぎきれず、真竜類の鱗にすら武器として機能する。そのため、本個体が持つ最大の直接的な戦闘能力と言える。
  • 陰謀
    言わずもがなである。
  • 知略
    人類種との交渉事においては“妖賢”・“黒き嵐”らに匹敵する。
    この二玉と比べてもより巧みな形で囲い込み、相手を利用する手管に長けている。目的意識がはっきりしている分、その手際がいい。
    当然、相手の意向や都合などは考慮せず、かつ気分で温情を見せることもないため、悪辣さと冷徹さではある意味最悪の部類である。

 

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相談コメント欄

  • ちょっと過去案を修正検討 -- 管理人? 2021-05-09 (日) 21:02:01
  • 過去・詳細を修正。 -- 管理人? 2023-02-06 (月) 04:34:30

*1 視覚は死んでいるので音や匂いなどが中心となる。