シナリオ型聖杯戦争のコラム

Last-modified: 2018-07-26 (木) 13:11:21

シナリオ型聖杯戦争

 聖杯戦争と言うとPvP、つまり対人戦を思い浮かべる人が多いだろう。
 実際、このシステムもPvPを念頭に置いて作られたルールであるし、そもそも聖杯戦争が対人戦である。
だが、それとは別にゲームとしてPvPが苦手な人も数多いのは間違いない。
 PvPと聞くだけでコテンパンにやられる初心者の自分の姿が目に浮かぶ様だ。
 そう言う人達向けに、ここではGMがNPCのエネミーを用意して(勿論やられ役として)、なんらかのストーリーに沿った展開で聖杯戦争を展開し、PvPが苦手なPLでも気兼ねなく遊べる聖杯戦争として、シナリオ形式の聖杯戦争のコツを記述する。

必要な要素

 そもそもシナリオ形式の聖杯戦争をやるとして、どんなものを準備すべきなのか。どこから手を付けるべきなのか。
 簡単に要素を解説しよう。

共通の敵

 まずはこれが無ければ始まらない。PCの目的になると言ってもいい。
 PC達は最終的にこのエネミー、共通の敵を倒す事で、ゲームの終了チケットを得る。
 そうでなければ結局PvPをして誰か一人を決める事になるだろう。
 この共通の敵さえいれば、ストーリーはあまり深く考えずとも、ゲームにはなる。

協力する為の設定

 共通の敵がいると言う事は、PC達は最初から最後まで協力するのが前提となる。
 だが、聖杯戦争において、これは大きな矛盾だ。
 聖杯を手に入れるのはひとつの陣営だけなのだから、協力せずに敵対するのが聖杯戦争だ。
 しかもPC達が大団円に終わる為には一人しか手に入れられない聖杯を諦めなければならない。
 それをせずに何故、共通の敵に協力して立ち向かうのか?
 聖杯を諦めてでも果たすべき目的とは一体何なのか?
 そう言う『PC達は協力してかつ聖杯戦争に優勝しなくても良い』理由を考えてあげなければ、シナリオ形式にしてもPC達はすぐに目的の矛盾に頓挫することだろう。

PCが勝つ事

 これが大事だ。
 用意された敵はあくまでPCと戦い勝利を与える為のNPCだ。
 ここでPCが負けてしまったらそこで話が終わってしまう。
 PCは苦戦するが、最後には勝つ。
 その様に盤面を作り出そう。

シナリオ型のコツ

 必要な要素を上にあげたが、これだけでシナリオ型聖杯戦争がお手軽に作れる人はそうは多くない(もしもキミがそうなら誇っていい)。
 例えば、エネミーとしてどれくらいの強さにすれば良いのかとか、フィールドをどうするかとか色々だ。
 ここではそのコツを話しておこう。

PL人数

 別に何人でやっても構わないが、聖杯戦争なのだから敵は当然、同じサーヴァントにするのが簡単だ。聖杯戦争におけるサーヴァントは7騎なのだから、PC以外の残りのクラスが敵となる。
 それを考えると、PLは2~3人に絞り、他はNPCとして敵として出したり、物語のスパイスとなる味方として出すと良い。

サンプルキャラ

 PLにとって参考となるキャラクターデータ。
 この聖杯戦争でそこそこ戦えるデータを複数用意してPLに提示する(搦め手やスキルの相互効果を利用したデータだと尚良い)。
 するとどうなるか。
 PL達は目隠しをされた手探りの状態から、この聖杯戦争で戦い抜く為のきっかけを得るだろう。
 結果として活き活きとキャラクターを作る事が出来る
 勿論、サンプルキャラをそのまま渡しても良い。

エネミー

 シナリオ型の聖杯戦争を作るに辺り、おそらく最も困るのがここだ。
 エネミー。敵キャラ。つまりやられ役。
 だが、問題なのは、このルールではPvPを想定している為、サーヴァントはほぼ同じポテンシャルを持った存在である事だ。
 つまり必ずしもPC有利のデータになる訳ではない。さらに言えば、あえて弱く作ったとしてそれが弱すぎてはPLが面白いかどうかも疑問である(楽しいと思う人はいる)。
 難しい問題なのだ。
 と言う訳で、ある程度のコツを伝授していく。

・危機感を煽る事
最初に言っておく事がある。それは“危機感を煽る事”がエネミーの存在には大事だ。単純に強いエネミーは面倒なだけで面白くも何とも無い。ただ、「このエネミーはヤバイ!」と思わせる危機感を煽る事が、PLにとって大事な事となるし、ゲームを面白くする適度なストレスになるだろう。
・宝具
まずはこれだ。あまりダメージ増加に偏重した宝具をつくるのはよろしく無い。PCを即死させてしまっては意味が無いからだ。逆に言えば、PCが即死しないなら攻撃力は高くてもいい。ちなみにエネミーが即死するのは構わない。
・HP
高い方が良い。HPが高いとそれだけで危機感を煽れる。しかも、他の能力に回すパワーをHPに回してるにも関わらず、だ。手軽でオススメだ。
・防御力
別に無くてもいいし、それなりに高くてもいい。ただし、マスターのダメージを完全に無効化しない程度に(一回二回ならいい)。このルールでは、防御力は攻撃力よりもコストやリスクが高めに設定されている。つまり、防御力にコストを回すことで他に回せるパワーが無くなるので結果的にPCにとって泥試合になる安全な奴となる。まぁ軽減が10を超えるとマスターのダメージが入らないので、優先順位はHPだ。ちなみに数値的に軽減が20を超えると宝具を使わないといけない防御力になるので、攻撃力が高いPCが居る場合の参考にしてくれ。
・ステータス
あまり気にする必要はない。ただ、高い方がPLの危機感は煽りやすく、ゲームは面白くなる。
・真名
ヤバイ方がいい。強そうで有名なのにしよう。真名看破しやすく、名前から危機感を煽りやすいからだ。
・PCを倒す
マスターは即死しないなら狙って良い。サーヴァントも倒せる時に倒して良い。あからさまに手加減する必要はない。ただ、倒すにしてもPLにつき一人はPCを残す事だ。そうすれば良いエネミーになる。

 以上がエネミーのコツとなる。

フィールド

 なるべく多く設置すると良いのでは無かろうか。
 PC達がいざと言う時に逃げ回って再び態勢を整える為にフィールドを広くする。
 後はフィールド効果も付けておく。
 最後に、フィールド効果をPC側からアプローチできる手段で破壊できる様にしておくと完璧だ。PCにとっていらないフィールド効果を残しておくのは危険だし、自分達の手で破壊できれば爽快感がある。
 そうそう、勿論エネミーもフィールド効果を使って良い。

救済措置

 さて、シナリオ型聖杯戦争と言えどPC側にとって“詰み”状態になる事がある。
 味方サーヴァントの全滅だ。
 知っての通り、サーヴァントは強い。勿論、マスターを強くする事も出来るがサーヴァントに勝つのは難しいだろう。
 そう言う時にどうするか。
 いくつか手段がある。

・サーヴァントの復活
文字通り、PCのサーヴァントを復活させる。再召喚とか、何かの宝具で蘇生するとか理由付けをしておけば良い。
・新たなサーヴァントとの契約
PC以外のサーヴァントとの契約だ。例えば敵対していないNPCのサーヴァントと新たに契約する事も可能だろう。もしくは、ストーリーの流れで、敵対したサーヴァントが仲間になっても良いだろう。
・サーヴァントの力を手に入れる
これは、マスターが何らかの理由でサーヴァントの力の一部を受け継いだ事を示す。宝具を手に入れたり、ステータスがサーヴァントそのものになったり。これならばマスターでもサーヴァントに対抗する事が出来るだろう。

シナリオ

 最後になるが、シナリオ型聖杯戦争と呼ぶのだから、シナリオについて話をしておくべきだろう。
 ぶっちゃけて言えば、厳密なシナリオは必要ない。
 『共通の敵が存在し、何故かPC達は協力してソイツを倒す事になった』
 これだけで良い。
 聖杯に関してどうするの、とかは特定のPCが最初から手にする事になってるとか、そもそもその敵のせいで聖杯の能力が失われたんだとかにすれば良い。
 後はところどころでNPCのイベントを挟んでまるでストーリーが進んだかの様に演出するだけだ。
 つまるところ、目的の設定と要所のイベントだけ設定しておけば、PL同士が戦う聖杯戦争とは一風変わったシナリオ型聖杯戦争となるのである。