18章
蒲柳の質
■日本語版 18章 p.517(※本文は改行無し)
この妹の存在さえ、アリアナが「蒲柳の質」だという話を間違いなく鵜呑みにする、
「ドジの」ドージのような少数の者を除いては、外部に知られていなかった。
■UK版 p.289(※本文は改行無し)
Her very existence continued to be known only to those few outsiders who,
like 'Dogbreath' Doge, could be counted upon to believe in the story of her 'ill-health'.
■試訳
- アリアナが「健康ではない」という話を間違いなく鵜呑みにする、
「ドジの」ドージのような少数の者を除いては、この妹の存在さえ外部に知られてはいなかった。 - この妹が存在していることさえ、ほとんど知られていないままだった。
知らされていたのは、「ドジの」ドージをはじめ、彼女が「病弱」だなどという話を信じ込んでくれそうなごく少数の者だけだった。
■備考
- リータ・スキーター著「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」の一節。
- 日刊予言者新聞等の報道文、本などの訳はほとんど全滅と言われているくらいに酷い。
- 「蒲柳の質」の原文、'ill-health'は特に古かったり難しかったりする言葉ではないので普通に訳せばいいのでは。
大鍋と相性
■日本語版 18章 p.520
(略)――才気溢れる若い二人は、まるで火にかけた大鍋のように相性がよくてねぇ――(略)
■UK版 p.291
(略)- both such brilliant young boys, they got on like a cauldron on fire - (略)
■試訳
- (略)――才気溢れる若い二人は、若い二人は、大鍋の中で沸きあがる湯のように意気投合していったというわけよ――(略)
■備考
- 「~のように相性がよい」って比喩に「火にかけた大鍋」が出てくるのに違和感を覚えました。
どんな相性のよさかよく分かりません…。 - 原文のthey got on like a cauldron on fireは、get on like a house on fireというイディオムを捩ったもの。
- ベルトン本によると、"get on like a house on fire"のa house on fire(燃える家)は
友情が盛んに燃える様子を表わしているらしい。 - 「相性がいい」もおかしいよね。
19章
「死」の腕
■日本語版 19章 p.539
胸の周りを締めつけているのは、「死」の腕に違いない……。
■UK版 p.302
~and the arms that closed around his chest were surely Death's …
■試訳
胸の周りを締めつけているのは、死神の腕に違いない……。
■備考
- ハリーが池で溺れかけているシーン。
- この後、下巻21章、三人兄弟の物語でも同じものがあるので関連して。
- こちらは「一重カギ括弧」、21章は『二重カギ括弧』だが意味はあるのか?
滅亡した分霊箱
■日本語版 19章 p.565
ハーマイオニーは滅亡した分霊箱をビーズバッグに入れ
■UK版 p.314
Hermione put the vanquished Horcrux into the beaded bag,
■試訳
- (略)破壊済みのホークラックスを(略)
■備考
- 「滅亡」は国や民族が滅びた時に使う言葉。こんな誤用、他で見た事ない。
- vanquishedは「撃破された」というような意味です。
「破壊済みのホークラックスを~」とかそんな感じでいいと思うんだけど。
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- 「死」の腕 UK p.302 -- ヘキサ 2018-10-05 (金) 20:12:54