29章
ある程度犠牲になる
■日本語版 29章 p.338
困ったことには、練習をすると、ロンかハーマイオニーがある程度犠牲になるのだった。
■UK版 p.408
The trouble was that practicing it involved certain sacrifices on Ron and Hermione's part.
■試訳
- 困ったことにこの練習は、ロンとハーマイオニーに犠牲を強いることだ。
- 困ったことに練習すると、ロンとハーマイオニーが被害を受けることだ。
- 問題は、この練習がロンとハーマイオニーにある種の犠牲を要求することだ。
- 問題は、ロンとハーマイオニーを練習台にしなければいけないことだ。
■備考
- 失神呪文の練習台にされるので堪らないと言う事だよね。
「練習をすると、~犠牲になる」と言う言葉の繋ぎ方にも問題があると思う。 - 兵隊とかが大勢居て、その内の何割かが失われるような場合ならまだしも
一人の人間のある程度が犠牲になるってどんな状態だ…
犠牲になる=壊れる・死ぬって事なんだから腕や脚の一本位、再起不能になってそうだ。 - 犠牲って言葉を使うにしても
「ロンとハーマイオニーを犠牲にする」とか
「ロンとハーマイオニーに犠牲を強いる」とか
もう少し自然な表現も出来そうなのにね。
後は表現を変えて「被害を受ける」とか、思い切って
「問題は、ロンとハーマイオニーを練習台にしなければいけないことだ」とか。
気を挫かれた
■日本語版 39章 p.344
クラス中が、気を挫かれたように後退りした。
■UK版 p.501
The class backed away. They all looked unnerved.
■試訳
教室の皆はぎょっとした様子で後ずさった。
■備考
- トレロー二ーの授業中、ハリーが悪夢を見て倒れた後のシーン。
- unnerved=「怖気づいた」「狼狽した」
- 「気を挫かれる」はガッカリさせられた、「何かをしろうとやる気になっているのに、その気をそがれる」みたいな意味でニュアンスが違うのでは?
30章
いまや
■日本語版 30章 p.363
「(省略)いまや、わしが『死喰い人』ではないと同じように、スネイプも『死喰い人』ではないぞ」
■UK版 p.513
‘(省略)He is now no more a Death Eater than I am.’
■試訳
「(省略)わしが『死喰い人』でないと同じように、いまやスネイプも『死喰い人』ではないぞ」
■備考
- いまやの位置の為に校長は元死喰い人だと思った読者も居たらしい。
「いまや」の後ろに句読点があるので校長は元死喰い人では無かった事になり、
誤訳では無いが分かり難い文章ではある。
あいつ、あの子
■日本語版 30章 p.375(※原文は改行無し)
「ダンブルドア先生、あいつ、わたしに呪いをかけたんです。わたし、ただちょっとあの子をからかっただけなのに。
あの子が先週の木曜に、温室の影でフローレンスにキスしてたのを見たわよって言っただけなのに……」
■UK版 p.650(※原文は改行無し)
‘He put a hex on me, Professor Dumbledore, and I was only teasing him, sir,
I only said I'd seen him kissing Florence behind the greenhouses last Thursday ...’
■試訳
「彼に呪いをかけられました、ダンブルドア先生。私はからかっただけなのに。
先週の木曜に温室の裏でフローレンスとキスしてたの見たわよって言っただけなのに」
■備考
- 「あいつ」=「あの子」
- 重要なシーンでは無いので慎重に訳さなくても良いと思ったのだろうが、
一つのセリフの中で同一人物の人称代名詞を変えるのはダメ。
31章
一緒にドアから出ながら
■日本語版 31章 p.403
エイモス・ディゴリーが、ウィーズリーおばさんやビルと一緒にドアから出ながら、ハリーに聞こえるように大声で言った。
■UK版 p.536
said Amos Diggory, loudly enough for Harry to hear as he made to walk out of the door with Mrs Weasley and Bill.
■試訳
ウィーズリーおばさんやビルと一緒に部屋から出ていこうとするハリーに聞こえるようにエイモス・ディゴリーが大きな声で言った。
■備考
- ディゴリー氏が大広間から出て行くハリーに嫌味を言うシーン。
- 前後関係から見て「he」はハリーを指しているがハリーとディゴリー氏が逆に訳されている為、
ディゴリー氏が出て行く事になってしまっている。
スフィンクスのなぞなぞ
■日本語版 31章 p.
二つ目のヒント。だれでもはじめに持っていて、途中にまだまだ持っていて、なんだのさいごはなんだ?
■UK版 p.546
Next, tell me what's always the last thing to mend, The middle of middle and end of the end?
■試訳
- スフィンクスのなぞなぞ2問目。正解は「だ」。
- 「途中にまだまだもっていて」ではクイズとしてきちんと成り立ってない気が…。
32章
麻卑
■日本語版 32章 p.432
(略)感覚が麻卑していた。
■試訳
(略)感覚が麻痺していた。
■備考
- しょぼいトム・リドルの墓のイラストが載っているページにある酷い誤字。
トム・リドルの墓
■日本語版 32章 p.432
杖灯りにチラリと照らし出された墓碑銘を目にした。そのとたん、ハリーは無理やり後ろ向きにされ、背中をその墓石に押しつけられた。
※「トム・リドル」の墓碑銘は本文中ではなく、ページの左下にある「和風墓石のイラスト」の中にある
■UK版 p.554
Harry saw the name upon it flickering in the wand-light before he was forced around and slammed against it.
TOM RIDDLE
■試訳
無理やり後ろ向きにされ、墓石に強く押し付けられる直前に一瞬、杖明かりに照らされた墓碑銘を見た。
トム・リドル
■備考
- 西洋式の墓がどういうものか、日本の子供もテレビや映画で知ってるのに
わざわざ和風の墓のイラストを載せちゃう凄さ。 - 原書には墓石のイラストが無く、「トム・リドル」という墓碑銘が本文の中に効果的に入っている。
にも関わらず、日本語版ではこれを勝手に抜き出してしょぼい墓石の絵に入れている。
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「赤むけ」は、「赤剥け」と書けばまだ理解しやすいと思う。 -- 2023-05-20 (土) 09:17:52