炎のゴブレット/5~8章

Last-modified: 2021-09-10 (金) 14:54:35
 

5章

バーサ失踪

■日本語版 5章 p.94
「~バーサはたぶん地図を見まちがえて、アルバニアでなくオーストラリアに行ったのだろう~」

■UK版 p.58
‘...she probably misread the map and ended up in Australia instead of Albania…’

■試訳
「~どうせバーサのことだから、地図を見まちがえてアルバニアじゃなくアルゼンチンにでも行ったんだろうよ~」

■備考

  • パーシーのセリフ中にある失踪したバーサについてのバグマンの言葉。
    いくらバーサが困った人でも、アルバニアと間違えて南半球のオーストラリアに行くとは考えにくいので、これはバグマンの「冗談」と考えられる。
  • 原文でアルバニアとオーストラリアを並べているのは、英語だとスペルが似ている(AustraliaとAlbania、Aではじまり、iaで終わる)・イントネーションが同じで韻を踏んでいる(両方とも、後半の母音発音がエイイア)といった共通点があり、一種の駄洒落になっているから。
    しかしカタカナにするとふたつの国の名前はあまり共通点がないため、邦訳読者の中にはこれを冗談と気づかず、バーサは本当にそんなに馬鹿なのかと考え、そんな人が魔法省で働いていることを訝しく思った人たちがいたようだ。
  • 別に「アルゼンチン」でなくてもいいが、日本語でも駄洒落とわかるように工夫してくれれば、このような誤解は避けられたはず。


6章

クシャクシャ、グシャグシャ

■日本語版 6章 p.100
ハリーの足下のクシャクシャになった毛布からグシャグシャ頭の大きな体が二つ現われた。

■UK版 p.62
At the foot of Harry's mattress he saw two large, dishevelled shapes emerging from tangles of blankets.

■試訳
ハリーのマットレスの足側で、乱れた毛布から大きなくしゃくしゃのパジャマ姿がふたつ現われるのが見えた。

■備考

  • 6章冒頭、ワールドカップに行くために子どもたちが朝早く起こされるシーン。
  • クシャクシャ、グシャグシャ…。しかもグシャグシャ頭って、頭がつぶれてるみたい。
    双子の髪がひどく乱れてるってことなんですよね…。
    ついでにできれば「足もと」にしてほしかったなあ。
  • 訳者は擬音語が好きすぎるんだよな。
    ああいうのはたまにはさむから面白いのだろう。
    頻繁にやられるとテンポも悪いし。
  • At the foot of Harry's mattress=ハリー(起き上がってる)のマットレスの足を向けていた方
    dishevelled=髪や服が乱れた


7章

ゴム引き

■日本語版 7章 p.116
二人ともマグルの格好をしてはいたが、素人丸出しだった。時計を持った方はツイード背広に太腿までのゴム引きを履いていたし

■UK版 p.70
Both were dressed as Muggles, though very inexpertly: The man with the watch wore a tweed suit with thigh-length galoshes;

■試訳
ふたりともマグルの服装だったが、ひどくまずい着こなしだ。時計を持っている方は、ツイードのスーツに太ももまで届くゴム長靴を履いている。

■備考

  • ポートキーでキャンプ場に着いたシーン。
  • 素人って…原文でもプロフェッショナルではない感じの言葉が使われているんでしょうか?
  • ゴム引きの何を履いていたのでしょうか?
    「履く」というと靴のことですよね?ズポンなら「穿く」ですよね。
    どういう格好だったのか、イマイチイメージが結べない。
  • ゴム引きは長靴の古い言い方だと思う。
  • 「ゴム長靴」って訳せばいいのに。
    地の文にはスラングとか略した言葉を使わないでほしい。
  • inexpertly=素人っぽく、不器用に、下手に  
    galosh=ゴム(防水布)製のオーバーシューズ、ゴム長靴


イギリス代表

■日本語版 7章 p.121
「(略)自分がクィディッチのイギリス代表選手だったし(略)」

■UK版 p.73
‘(略)He played Quidditch for England himself, you know.(略)’

■備考

  • アーサーのセリフ。
  • 単なるミスだろうか?ちゃんとイングランド代表てなってるとこもあるし。


ペンパル

■日本語版 7章 p.131
「(略)ビルはブラジルの学校にペンパルがいたな……(略)」

■UK版 p.78
‘(略)Bill had a penfriend at a school in Brazil ...(略)’

■試訳
ビルはブラジルの学校に文通仲間がいたな……

■備考

  • ペンパルを訳さずそのまま片仮名で書いててなにこれ?ってなった。
  • 「ペンパル」と書かれても何の事か分からないから「文通仲間」にしておくべきだった。


ニョキニョキ

■日本語版 7章 p.144
行商人がそこいら中にニョキニョキと「姿現わし」した。

■UK版 p.85
Salesmen were Apparating every few feet,

■備考

  • ニョキニョキっておかしくありませんか?
    ニョキニョキ現れるのは普通植物系ですよね…


8章

黒板

■日本語版 8章 p.149(※原文は改行無し)
ちょうどハリーの目の位置に、巨大な黒板があった。
見えない巨人の手が書いたり消したりしているかのように、金文字が黒板の上をサッと走ってはサッと消えた。
それがピッチの右端から左端までの幅で点滅する広告塔だとわかった。

■UK版 p.88(※原文は改行無し)
almost at Harry's eye level, was a gigantic blackboard.
Gold writing kept dashing across it as though an invisible giant's hand was scrawling upon it and then wiping it off again;
watching it, Harry saw that it was flashing advertisements across the pitch.

■備考

  • 【黒板】
    原文も確かにblackboardだけど、日本語で黒板って書くと学校にある黒板を連想する。「巨大な黒い掲示板」では?
  • 【広告塔】
    原文の感じだと、横長の電光掲示板みたいなもの。そこに透明な巨人の手で書かれてるように光った字が現れては消える。
    「広告塔」というと縦長の「塔」みたいな建造物を思い浮かべる。
  • it was flashing advertisements across the pitch のitは
    厳密に言えば掲示板でも塔(?)でもなく、金色の文字(Gold writing)では
    ないかと思い「それは競技場を横切る光の広告文だとわかった」とか
    訳してもいいかもしれないと思ったのですがどうでしょう?
  • 邦訳ではその広告文がページの下部の変な囲みの中に入っているので
    とてもイメージしにくいですが、原書ではイタリック体で普通に書かれて
    いるので夜空を横切る光の文字列がすっと浮かんできて楽しいですよね。


口めくりルシウス編

■日本語版 8章 p.158
マルフォイ氏の口元がニヤリとめくれ上がったのはなぜなのか、 ハリーにははっきりわかっていた。

■UK版 p.92
Harry knew exactly what was making Mr Malfoy's lip curl.

■試訳
マルフォイ氏が不快そうに口元をゆがめた理由を、ハリーはよく知っていた。

■備考

  • クィディッチ・ワールドカップの客席にて、 ルシウスがハーマイオニーに嫌な顔をしてみせる場面。
    このlip curlはにらみ返したハーマイオニーへの冷笑ではなく、嫌そうに口元をゆがめたのではないかと思う。


赤むけ その1

■日本語版 8章 p.173
「ディミトロフがモランを赤むけにしました――わざとぶつかるように飛びました――(省略)」

■UK版 p.126
Dimitrov skins Moran - deliberately flying to collide there - (省略)

■試訳
「ディミトロフはモランに接触しかけた、ぶつかろうとしてわざといったものです。これはもうひとつペナルティをとらねばなりません」

■備考

  • 赤剥け=皮膚などが擦りむけて赤くなっていること。また、その部分。
  • skinにはサッカーなどで敵のディフェンスをすりぬける意味もあるのでここでは「接触しかけた」だと思われる。それをskin→皮をはぐ→「赤むけ」と誤訳した?




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