24-0-1

Last-modified: 2025-11-03 (月) 15:32:02

田中将大(楽天→ヤンキース→楽天→巨人)が楽天一期目時代の2013年に挙げたシーズン成績。24-0-1S24-0と表記される場合もある。

概要

田中将大は「マー君神の子、不思議な子*1」と呼ばれた様に負けがつかない投手であったが、2013年はそのピークであった(ただし、先発全試合QSは達成している*2*3)。
開幕から白星を積み重ね、6月25日には無敗のまま10勝に到達。7月26日のロッテ戦では1点ビハインドの9回裏に嶋基宏がサヨナラ打を決めて14勝目が転がり込む強運を見せる。
そのまま連勝を続けると、チームが優勝マジック2で迎えた9月26日の西武戦で1点リードの9回裏にリリーフ登板。ランナーを出しながら無失点で締めてセーブを挙げ、楽天球団史上初の胴上げ投手になった。

最終成績は防御率1.27*424勝0敗1S*5、先発全試合QS達成、投手タイトルをほぼ総ナメ*6にしてイーグルスを初のリーグ優勝と日本一に導くという野球漫画でもボツにされそうなレベルの大活躍を遂げ、これを置き土産に翌2014年からニューヨーク・ヤンキースへ移籍した。また、1957年に稲尾和久(西鉄)が記録した20連勝(シーズンでは35勝6敗)を更新すると共に、下表にある間柴の15勝0敗のシーズン無敗記録*7も大幅に更新した。

投手のシーズン無敗記録

年度投手球団勝敗備考
1936秋景浦將大阪タイガース*86勝0敗最優秀防御率も獲得。野手でも規定打席。
1937秋御園生崇男大阪タイガース11勝0敗優勝に貢献。
1981間柴茂有日本ハムファイターズ*915勝0敗2リーグ制では初。リーグ優勝に貢献。
2013田中将大東北楽天ゴールデンイーグルス24勝0敗1Sリーグ優勝と日本一に貢献。
最多勝、最優秀防御率も獲得。

最高勝率記録の条件を満たしたシーズン無敗記録は田中を含めてこの4人のみ。最初の2人はシーズンが春季と秋季に分かれていた時代で試合数も少なかった(1936年秋は31試合、1937年秋は49試合)ことも考慮すると、長期1シーズンで24勝かつ無敗で終えた田中の成績は際立っている。

その後

  • 田中はCSでも1勝1セーブ、巨人との対戦となった日本シリーズでも第2戦で勝利投手になったが、第6戦は4失点を喫して160球を完投しながらも敗戦投手となった。だが、翌日の第7戦(クリネックススタジアム宮城)でも田中本人の志願により3点リードの9回表にリリーフ登板。村田修一ロペス2安打を打たれたものの、最後は矢野謙次を三振で斬って無失点に抑え、楽天の日本一が決まった。田中は再び胴上げ投手となったが、先述の通り翌年から渡米したためこの試合が渡米前最後の登板となった。
  • 田中は2021年に古巣の楽天へ復帰したが、NPB復帰初となる4月17日の日本ハム戦で5回3失点、敗戦投手となりNPBでの連勝記録が途絶えた。同年の田中は凄まじいムエンゴに陥ったことから、2013年の揺り戻しではないかと言われている*10
  • 2022年に9勝12敗、防御率3.31で、敗戦数、被安打、自責点の3部門で逆3冠となり、オフにNPB歴代2位の減俸額となる4億2500万円*11減額の4億7500万円で契約更改。更に2023年は防御率4.91(7勝11敗)と更に悪化*12。オフに2億1500万円の減俸で2億6000万円で契約。そして2024年にはわずか1試合の出場に終わると、オフに自由契約*13楽天を去り*14、復帰後は4年で20勝33敗という前述のように年俸に見合うはおろか死刑囚ともいえるほどの悲惨な成績だった。

余談

  • この24勝0敗1Sの話題になると「1S」の有無で議論になる場合が多い。1S肯定派の意見として「チーム総出で優勝を勝ち取った感がある」、否定派の意見として「ヌッスみたい」と言われる。
  • この年1位の楽天の成績は82勝59敗1分(貯金23)で、最下位となった日本ハムの成績は64勝78敗2分(借金14)。しかも田中は日本ハムと8回も対戦機会があったため、*15田中の活躍がなければ楽天は優勝どころか最下位もあり得た
    • 実際、田中がNYYに移籍した翌年の楽天は最下位に転落し、星野仙一監督が責任を取って辞任している*16
  • リーグ優勝時の1Sが付いた西武戦は、1アウト2・3塁のピンチを招いたが、そこから8球すべてストレートで連続三振を奪ってセーブを挙げている(ファンなどからは「田中の8球」とも称される。)。最後の打者は浅村栄斗で、テレビの特集などでも多く流れることがあったが、浅村が2019年に楽天に移籍したため現在はあまり放映されない模様。
  • 田中は自身の試合前と試合後にブログを更新することが多かったが、この年の記事タイトルは「明日投げます」「○勝目」が延々と並ぶという異様なものになった。稀に違うタイトルが入る場合もあるが、それは「月間MVP*17」か、趣味のももクロ関連であった。
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  • この年、田中は最優秀選手賞を満票で受賞。満票でのシーズンMVPは36年ぶりのことであった*18
    • また、この年の沢村賞選考はオリックスの金子千尋が選考の全項目を満たしていた*19 にもかかわらず、僅か10分で田中の受賞が決まった*20

関連項目



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*1 元は田中のプロ1年目、2007年8月3日の対ソフトバンク戦後の野村克也監督のコメント。この試合に先発した田中は前半に5失点と乱調だったものの後半に持ち直して7回までを投げ切り、打線の強力な援護も受けて7-5でチームが勝利したことにより勝ち投手になっている。
*2 自責3失点以上もしくは6回での降板によるHQS未達成の試合数も(救援登板でセーブを達成した優勝決定戦を除き)僅か4試合であり、HQS達成率でも85.2%という凄まじい値を記録するなど恐ろしいまでの安定感を誇っていた。
*3 ちなみに日本での通算勝率は.739で歴代1位の藤本英雄(.697)に大幅な差をつけ1位(ただし公式では2000投球回以上とされているため記録更新とはなっていない)、またMLBでの成績を含めても.640で日本で歴代5位の勝率である。
*4 規定投球回到達且つ2リーグ制以降では歴代6位の記録。
*5 シーズン24勝以上は1978年に鈴木啓示(近鉄)が25勝を挙げて以来35年振り。
*6 最多奪三振のみオリックスの金子千尋が獲得。
*7 1985年までは規定投球回以上の投手が対象(1リーグ時代は勝数条件付きの年度あり)。1986年から、パのみ「規定投球回にかかわらず13勝以上」、2013年からはパ・セ両リーグともに同条件での記録。すなわち、最高勝率記録の規定をクリアしている必要がある。
*8 阪神タイガースの前身。61年までの名称。
*9 東京時代。
*10 この年の田中の防御率は3.01(4勝9敗)だったが、これに対して「推定年俸9億円NPB史上最高額)に見合った活躍が出来ていない」という声もある。
*11 1位は杉内俊哉の4億5000万円。
*12 敗戦数、被本塁打、自責点の3部門で逆3冠を達成。
*13 なお球団からは減額制限越えの減額提示をされていた模様。
*14 最終的に2013年の日本Sで対戦した巨人拾われ、移籍後1年目の2025年シーズン末に日本人史上4人目の日米通算200勝を達成している。
*15 実際、田中の勝利数を全て除いた時の成績は楽天が58勝59敗の借金1、日本ハムは64勝70敗の借金6。
*16 その後星野は2015年から楽天野球団取締役副会長に就任したものの2018年に逝去したため、星野にとっては2014年が生涯最後の監督を務めたシーズンとなった。
*17 2013年は5月以降の月間MVPを総ナメにした。5期連続の月間MVPはもちろん史上初。
*18 前回は1977年の王貞治。パ・リーグ限定だと1965年の野村克也以来48年ぶりとなる。なおこの次の満票受賞は9年後のヤクルト・村上宗隆であった。
*19 29先発15勝8敗、勝率.652防御率2.01投球回223.1イニングリーグ最多)、200奪三振最多奪三振)、10完投リーグ最多)。
*20 田中がMLBへ移籍した翌年にシーズンMVPと沢村賞を獲得したことでリベンジを果たした。