※ 21話は終盤の山場につき、
道中チャットを含めたメインストーリーのセリフをノーカットで掲載しておきます。
♪マークは、その場面で使われているBGMです。
Serious3(雨中の迷い)と♪Musicbox2(羨望のカクレガ)以外は
フリー配布されていますので、探せばネット上でダウンロードしたり、聴いたりできます。
折りたたみ内のメインキャラのセリフは、文字色をそれぞれのイメージカラーにしています。
「ワタル」、「スミカ」、「ヤマト」、「アヤネ」、「クオン」です。
それ以外のキャラの色もメインキャラに準じて決めています。
詳細は折りたたみ内最初に記載しています。
'冒頭回想・ワタル&ヤマト編
※ 「」なし=先生のセリフ
♪オフ
──学校の倉庫をヤマトとワタルが掃除している。──
「うーん、このよごれ、なかなかおちないなー。」
──ヤマト、ワタルに紙を渡す──
「ああ、それはこっちの紙を使った方がいいよ。」
「ああ、おちる! さすがヤマトおかあさん!」
「だから、お母さんじゃないってば。」
──先生が様子を見に入ってくる──
ちゃんと掃除してるかー?
「やってまーす!ピカピカにしてまーす!」
ちゃんとできるか不安だったが、意外と頑張っているじゃないか。ありがとう。
「ヤマトがいろいろおしえてくれたんだ!
しょうらい、ゆうぼうなおかあさんなんだ!」
ちゃんと最後までやっておけよ。
──先生、出て倉庫から出て行く──
「なんでヤマトにはなにもいってくれないんだよ?」
「しかたないよ。おかね、はらえてないからね。
おおきくなって、せんしになって、
かせげるようになったら、かえさないといけないんだ。」
「……おれが、せんしになりたいっていったから?
だから、いっしょにこのがっこうにきてくれたの?」
「……そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
「うーん、わからない。」
「分からなくていいよ。だから──」
──画面暗転。──
プロクト城・謁見の間
※ 「大臣のセリフ」、「男の子のセリフ」、「女の子のセリフ」
♪オフ
「まさか、魔法戦士の中に大魔王が……。」
「ともかく、これで終わります。大魔王を倒し、世界を魔物から救うのです。」
──ワタル、大臣の言葉に後ずさると、謁見の間を走り去る──
「ワタル!」
──画面暗転。場面転換、夕方のプロクト内。走るワタルに子ども達が声をかける──
「あ、魔法戦士様だ! ねえねえ、大魔王倒しに行くんでしょ?
絶対勝ってね! 大魔王なんかボコボコにしちゃえ!」
──トモダチナンカボコボコニシチャエ──
「あたし、応援する! 大魔王がいなくなるように、お願いする!」
──ワタル、走り去る。驚く子ども達。画面暗転──
ワタルのモノローグ
※ 「アザリーのセリフ」
※ 回想シーンのセリフ以外は全てワタルのモノローグですが、雰囲気的に色をつける場所ではないので、全て黒で記載します。
──夜のプロクト。雨の中を走るワタル──
♪雨中の迷い (曲名:Serious3/素材:Light Novel Standard Music Vol.2)フェードイン
アザリーは分かってたんだ、オレの醜いところ。
だからああ言って教えてくれたのに
「その言葉は本当に、心の奥から出てきた言葉?」
自分が気持ちよくなれる環境だけを皆に押し付けていたんだ。
だからスミカにオレの励ましは届かなくて
「来ないで。心配してるフリに付き合いたくない。」
アヤネに命を天秤にかけた重い決断をさせて
「だから、そんなスミカちゃんだから、
世界を護ることを願いそうな、そんな気もしているんです。」
クオンに「友達が魔王」という事実を隠したまま死んでもらおうとして
「できるくせにやらねえ、でも、やらねえ理由は綺麗事ばっかり。
力のない人間から見たら当て付けにしか見えねえんだよ!」
♪ ボリュームMAX
(そうやって誰かの不幸から逃げてきたオレが
世界か親友か、選べるわけない……)
♪フェードアウト
──画面暗転。──
魔法戦士の家
♪オフ
──夜。スミカ、アヤネ、クオンがテーブルを囲んでいる。落ち込むスミカにアヤネが寄り添っている──
「……勇者は繋がりを力として、大魔王はその逆なんだよな。」
──クオン、皮肉めいた笑みを浮かべる──
── 一同、沈黙──
「あの馬鹿、まだ帰ってこねえのか。」
──クオン、席を立って部屋の入り口前でアヤネに声をかける。──
「もう一回見てくる。」
──クオン、出かける──
──スミカ、泣きながらアヤネに縋る──
──アヤネ、決然とした表情──
「それは違います。
お二人のことが大切だから、
大好きな今のままでいてほしかっただけです。」
──アヤネ、表情を和らげる──
──スミカ、顔を上げる──
「……話、してみる。」
──スミカ、表情に力が戻る──
──アヤネ、笑顔──
「はい! 大丈夫です、きっと伝わります。」
「ワタル、探しに行かないと。
アタシよりもショックだろうから。」
──画面暗転─
プロクト中央広場
──雨がまだ止まない。プロクト中央広場の噴水前にワタルがくる。
物思いに沈むワタルを見つけたクオン、背後から近づいて声をかける。──
「いつまで深夜徘徊してんだよ。」
──ワタル、振り返る──
「……クオンさ、前にオレに言ったよな。
「やらない理由が綺麗事ばっかり」って。」
──ワタル、横を向いて自虐的な笑みを浮かべる──
──ワタル、クオンに背を向ける。悲痛な表情──
──ワタル、クオンに顔を向けて叫ぶ。──
──クオン、ワタルを渾身の力で殴り飛ばす。ワタル、吹っ飛んで転ぶ。──
──クオン、ワタルを叱る。──
──クオン、やや表情を和らげる。──
──クオン、笑顔を浮かべる。──
──周囲がやや明転。アヤネとスミカがくる──
♪ワタル(曲名:I'm home/配布元:H/MIX GALLERY)
「アヤネ……。」
──周囲、さらに明転。スミカ、ワタルに強く訴える──
「……スミカ。」
──周囲、さらに明転。ワタル、笑顔が戻る──
──周囲、さらに明転──
「自分のことしか考えてない、ダメダメな勇者だったけど、
力を貸してくれないかな。」
「あんたがダメダメなのは
物資管理論14回赤点の時点で
分かってるからな、今更すぎるだろ。」
──クオン、澄まし顔から笑顔になる──
「言われなくても分かってんだよ、」
「ワタル。」
「もちろんです。皆でヤマトさんに向き合いましょう。」
「…………。」
──朝が来た。雨も止む。──
──画面暗転。場面転換、魔法戦士の家──
「大魔王城の奥、ダークラウンと戦った場所。さらに先に進む道があったはずだ。」
「扉の奥に、ヤマトさんがいらっしゃるのですね。」
「装備もいいやつに変えておきたいな。そろそろ、新しいのが作れるようになってるころ頃合いじゃないか?」
「行こう、大魔王城の奥に!」
羨望のカクレガ
※ 「」なし=ディカルアのセリフ
♪羨望のカクレガ (曲名:Musicbox2 /素材集:Light Novel Standard Music Vol.2)
──道中チャット──
(もう逃げない。見えないふりはしない。
本当の”皆の幸せ”を探すんだ)
──チャット──
♪フェードアウト
「……この先だな。」
「大魔王──ヤマトさんに対抗できるのは勇者であるワタルさんだけです。」
「俺達は支援に徹するかたちになるな。
おそらく防御を固められるだろうから、火力あげねえと。」
(何かあったはず、アタシの気持ち、伝える方法……)
大魔王戦前
「…………。」
──ワタル、前へ進み出る──
「護りに来たよ。ヤマトの本当の気持ち。」
「……終わるよ。俺がワタルに倒されれば終わる。
誰との繋がりのない命でも、世界のために使うことができる。」
「終わらせるもんか。命を”使う”なんて言うな!」
「こんな存在を世界に認めてもらうには消えないといけないんだ!
それが幸せなんだよ!」
「そんな幸せあるもんか! 幸せになるために生きるんだろ!」
「俺は幸せになれないよ。俺の生は世界の不幸だからだ。
正しい人として、幸せな人として、お前が、お前たちがいればいい。
その傍にいれば、自分のことも認めてもらえる気がした。」
──ワタル、さらに前へ進み出る──
──ワタル、武器を取る。──
「……譲れない。たとえヤマトが相手でも。」
♪大魔王戦(曲名:ATONE/配布元:ほわいとあいらんど工房)
「…………!」
「ヤマト……!」
──大魔王、ワタル達に攻撃をしかける──
──勝利後。
負の感情エネルギーから解き放たれたヤマト、元の姿を取り戻す。──
「ヤマト……!」
──ヤマト、再び異形へと姿を変える兆しを見せるが、自分の意思で押さえ込む。──
♪フェードアウト
──ワタルとヤマト、一騎打ちを開始──
「分からず屋はそっちだろう!
この状況が理解できていないのか! 俺は大魔王なんだぞ!」
「だったら何だよ!
自分には価値がないとか言うくせに、
界を救うには自分が死ぬしかないって矛盾してるじゃんか!」
──ワタル、渾身の一撃をヤマトに見舞う──
──二人、矛を収める──
♪ヤマト(曲名:Hamlet/配布元:Presence of Music)
「オレ、この世界で戦ってきて分かったんだ。
皆のため、皆の幸せ、そう言ってきたけど、
それで幸せだったのは自分だけだって。
オレはただ、皆の悩みや痛みから目をそらしていただけだった。
そういうのを受け入れた本当の関係でありたいって
うわべでは言ってたけど、心のどこかで避けてたんだと思う。
だから、皆で幸せになる方法が見つかるまで動けなかった。
けど、そのせいで他の人が痛みを背負うことになった。」
──ワタル、決意の表情──
──ワタル、改めてヤマトに問いかける──
──ヤマト、苦しみの表情──
「それを壊す可能性のある人間なら、ワタルの家族だろうが友達だろうが
憎んで恨んで魔王にしてしまうんだから、
やってることが父親(あのひと)と同じだよ。
そうやってでも、幸せになってもらわないと、
綺麗な世界にしておかないと、
大魔王として死ぬことを割り切れなくて──」
「ヤマトの家族にはなれないけど!」
──スミカ、ヤマトの傍に駆け寄る──
「アタシたちずっと一緒にいたでしょ。
この繋がりだって本物なんだから!」
──スミカ、涙を流す──
「……スミカ。ありがとう。」
♪フェードアウト
──背後から女性の声が聞こえる──
ああ、なんて感動的なの。
──ワタルの達のところへ一人の女性が歩いてくる──
♪ディカルア(曲名:Rumor/配布元:Presence of Music)
とてもステキね。作り物のように美しいわ。
「えっと、たしか、先日に……。」
「世界の狭間の神……? あの書物に書かれていたという……。」
──クオン、ディカルアの前へ進み出る──
「そんな神様が何の用だ。確実に訳ありだろ、あんた。」
困るのよ。勇者と大魔王には、小さな勇者と魔王を生んでもらわなきゃ。
感情を循環させてバランスを保つ。
この仕組みを作ったのは、私なのだから。
──スミカ、ディカルアの前へ進み出る──
「どうしてこんな仕組みを……!」
仕方ないじゃない。
あらゆる世界からの感情エネルギーが、
世界の狭間に流れてくるんだもの。
「最初にあの女──
アザリーを世界の狭間に呼び寄せたのもあんたの差し金ってわけか。」
そうよ。
理由は分からないけれど、感情を流してくる世界のひとつ、
プロクトと繋がることができてね。
またとない機会だったわ。彼女に勇者と大魔王の種を与えたのは私。
そうしたら、計画通り種を植えてくれた。
「小さいころ、ワタルと俺がアザリーさんに会った時にか。」
人間と魔物を争わせ、その過程で小さな勇者と魔王を生み、
感情の循環を行わせることで、私の感情処理の負担を軽減させる。
小さな勇者と魔王が感情の循環をしてくれているおかげで、
今は他の世界に身体を置くこともできるわ。
まあ、本調子ではないけれどね。
あなた達と同じ理屈よ。
あなた達の身体もプロクトに適応するために色々変えられたでしょう?
魔法戦士の儀式で。
あなた達のさっきの言葉、ステキだと思ったのは本当よ。
けれど、ひとつ聞いていいかしら。
──ディカルア、転移する──
「ディカルア!」
──画面暗転──