このページには、17話「ピンク・ジルコン」のメインストーリーにおけるセリフをノーカットで掲載しています。
(サブイベントとチャットは含まれません)
ネタバレ以外の何者でもありませんので、ご注意ください。
折りたたみ内のメインキャラのセリフは、文字色をそれぞれのイメージカラーにしています。
「ワタル」、「スミカ」、「ヤマト」、「アヤネ」、「クオン」です。
それ以外のキャラの色もメインキャラに準じて決めています。
詳細は折りたたみ内最初に記載しています。
冒頭回想・ワタル&ヤマト編
♪オフ
──図書館で勉強中のワタルとヤマト。ワタルが唸っている──
「分からない分からない分からない分からない分からない分からない
分からない分からない分からない分からない分からない分からない」
「生産的という言葉から最もかけ離れた
無理・無駄・無意味の三拍子が集う
奇行に走るから余計に分からなくなるんだよ。」
「だいたい、なーんで計算に文字が出てくるんだよ!
計算といえば数字様の独・場だろうが!」
「数字の計算すらまともにできるかどうか怪しいけどな。」
──ワタル、神妙な態度になる──
「……オレさ、間違えてると思う?」
「何を?」
「タクヤのこと、庇ったの。この間、
タクヤが殴られてるの止めに入ったらさ、オレも怪我しちゃってさ。
母さんに嘘ついたけど、心配かけさせちゃって。」
──タクヤ、図書館に入ってくる──
「オレだって怖いよ。何にも心配してないわけじゃない。
けど、助けたい気持ちは本当だから。それに嘘つきたくないから。」
「止められないんだろう、その気持ち。
なら、仕方ないじゃないか。
ワタルの色々考えている気持ち、伝わっていないわけがない。
それで友達なんて言えないだろう?
ワタルはワタルのままでいればいい。周りのことなんて関係ないさ。」
「……そうだよな!
タクヤのことが大切で、それは変えられないんだから!
うん、元気でた! さすが我らのおっかさん!」
「最後の一文がなければ綺麗に終わったのに。」
「終身名誉賢母に任命してやったんだ、有難く思わないと!」
「有難さが一ミリもない有難迷惑だな。
ほら、はやく続きに取り掛かれ。」
──タクヤ、何か思案している様子。画面暗転──
──ヤマトとこの話をした次の日だった。
屋上から飛び降りたタクヤが発見された。
どうしてタクヤを救えなかったのだろう。
その答えが、分かったかもしれない。
プロクト城・謁見の間
「大臣のセリフ」、「王様のセリフ」
♪王様と大臣(曲名:城04/配布元:魔王魂)
「パジャーユ火窟に、魔王へと繋がる魔法陣が……。
いいでしょう。直ちに討伐してください。
兵士も少しずつ回復してきました。
ですが、いつどうなるか分からない。迅速に頼みますよ。」
「クオンも一緒にって、あっさりオーケー出たな。」
「それが、この世界を作った魔王の意思なのでしょう。自分のところに来てほしいということですね。」
──国王、突然ヤマトに向けて言葉を発する──
♪フェードアウト
「……汝は。」
「はい。」
「知っているのは、それだけか。」
「はい。」
「あの娘と同じ精神の厄災を生むことはないな?」
「己の価値に無知な者は、過大評価する者よりも重大な役際をもたらす。
以前にそうおっしゃった続きでしょうか。
自分の価値は正しく理解いたしております。」
──国王、何か気にしている様子──
──場面転換・謁見の間手前の階段──
♪プロクト城(曲名:city today/素材集:Dignified Fantasy Music Vol.1)
「ワタル、忘れてないよね?」
「うん、ちゃんと話すよ。最初の魔王のことも、今の魔王のことも、
魔法陣の向こう側に行ったら。」
「よろしい。さ、出発だよ!」
パジャーユ火窟
♪パジャーユ火窟(曲名:Volcano /配布元:Presence of Music)、フェードアウト
「この先に魔王がいるんだね。」
「進む前に、教えてほしいんだけど。」
──スミカ、ワタルの前に立つ。──
「最初の魔王って誰だったの?」
──ワタル、勇気を奮い立たせる。悲しげな表情──
「オレのじいちゃん。」
──スミカ、アヤネ、クオン、驚く──
「おじい様、ですか?」
「声が頭の中に聞こえてきて。
あの言葉は、あの声は、絶対にオレのじいちゃんだった。」
「どうしてワタルのおじいちゃんが……?」
──画面暗転。直後に明転──
「この先にいる魔王に、確かめたい、聞きたいんだ。
どうしてこんな世界をつくったのか。大切だからこそ、痛みを知りたいんだ。」
「あんたの望む答えは返ってこねえぞ。それでもか?」
──ワタル、明るい表情で──
「それでも、オレの気持ちはちゃんと伝えたい。」
──ワタル、笑顔──
「クオンがオレにしてくれたことで、伝えたいことを見つけたんだ。」
「うるせえ、調子のるな馬鹿。」
「出発! 魔王のところまで!」
──ワタル、魔方陣に乗る。残った4人、それぞれに沈黙──
「なんで、ワタルの大切な人ばかりが魔王にならなきゃいけないの?」
「それが分かれば大魔王の正体に近づけそうだけどな。」
「自分の大切な人が、魔物を生み出すようになるなんて、
そんなのあんまりじゃない……。」
「今は目の前の魔王に集中しないと。大丈夫。ワタルなら乗り越えられるさ。」
「うん、そうだね。アタシが落ち込んでるわけにいかないよね。」
──スミカ、ヤマト、魔方陣に乗る。アヤネ、クオンの傍に寄る──
「……ワタルさんの望む答えは返ってこない、どうしてそう思うのですか?」
「俺の生き方が、あいつに反するものだからだ。」
──クオン、自嘲気味の笑顔を浮かべ、魔方陣に近づく。──
──クオン、アヤネ、魔方陣に乗る──
魔王の世界
♪魔王の世界(曲名:recollecthions /素材集:Dignified Fantasy Music Vol.2)
「これが、魔王のいる世界……?」
「綺麗……というか、でも、何だろう。
もやもやしたものが、こみ上げてくるっていうか。」
「魔物は負の感情で強くなる存在。
魔王ともなれば、多くの負の感情を抱えているだろう。
負の感情エネルギーが流れているんだ。
位置でいうと、プロクトと世界の狭間の中間にある。
世界の狭間に溜まった感情の一部が流出しているのもあるんだろう。」
──ヤマト、防御魔法を使う。クオン、ヤマトの言葉に思案する様子──
「こうやって、軽く防御魔法をかければ大丈夫だ。」
「うん、よくなった!ありがとう!」
「よっしゃ!ガンガン行こうぜ!」
魔王の世界・魔法陣前
♪魔王の世界(曲名:recollecthions /素材集:Dignified Fantasy Music Vol.2)
♪フェードアウト
「ひとつ聞いていいか。」
「イケメンにアプローチされるなんて、アタクシにもモテ期到来かしら!?」
「突っ込みどころがありすぎて処理しきれない。」
──ワタル、少し考える──
──ワタル、笑顔。──
「オレは皆一緒に幸せになりたいんだ。
だから、ここにいることを後悔なんてしない。」
「あら嫌だー! こんなところで、積極的なんだからっ!」
「図太いお花畑なのは認めるわけ?」
「よっしゃ!行こうぜ!」
──画面暗転──
イカルガ・シマカとココロ
※ 「ココロのセリフ」、「シマカのセリフ」、「ワタル母のセリフ」、「」なし=生徒のセリフ
♪オフ
声
てめえのせいでこんなことになってんだろうが!
てめえが変なことしたから、魔物とかいうのが出るんだろ!?
──画面明転。斑鳩・避難所になっている学校の体育館。6人の生徒がココロを責め立てている──
「私はただ、オーブを誰かに渡せば、
お兄ちゃんを生き返らせてくれるって……。」
そんな虫のいい話があるわけないでしょ! 自分がよければそれでよかったわけ!?
落ちこぼれのクズの妹は、世界を滅ぼす疫病神だったってことか!
「違う……! 私はただ、お兄ちゃんと一緒にいたくて……!
こんなことになるなんて……!」
そのかわりに、兄貴の友達を異界送りにしたんだろ? ゲス兄妹だな!
死んでて正解だったのに!
可哀想よ! あんな気持ち悪い化け物と戦わされるなんて!
人の心を持ってるとは思えないわ。こんなことをするなんて!
犠牲になった子が辛すぎて痛々しいわ。きっと今頃魔物にやられてあの世で──
──シマカが走ってくる──
「やめて!」
──シマカ、ココロを庇う──
「ワタルお兄ちゃんは、皆で幸せになる方法を見つけるために
一生懸命戦っているはずなんだから。
ココロちゃんのことだって!」
──何らかの光がココロに向かうが、誰も気づかない──
「誰かを傷つける理由になるために頑張ってるんじゃないんだから!
お兄ちゃんが、お兄ちゃんたちが、戦っているのをムダにするな!
自分が気持ちよくなるために、他の人を嫌な気持ちにさせたら
意味なんてないんだから。
だから、ワタルお兄ちゃんはかえってくるんだ。
シマカたちのことだって、置いていかない、忘れないんだから……。」
──ワタルの母、シマカのそばに来る。シマカ、感極まって泣き出す──
「戻ってこないなんていわないでよぉ……!」
──ワタルの母、娘を気遣う。シマカ、母にすがりついて泣く──
「シマカ。」
「おにいちゃぁん……! おじいちゃぁぁんっ……!
うわああああぁぁ……!」
「…………。」
(どうしてよワタル。どうしてワタルはいつも、私に何も言わないのよ……!)
──ワタルの母、苦悩の表情──
イカルガ・ケイスケとユウジ
※ 「ユウジのセリフ」、「ケイスケのセリフ」
♪オフ
──場面転換・魔法陣前を囲んでケイスケとユウジがいる。──
「タクヤくんは、この魔法陣の先に?」
「確証はない。けど、ここではぐれたんだ。
原因があるとすれば、これだと思う。」
「どうにかしてこの先にいけないのか?」
「俺にはできない。
結界、空間、その系統の魔法は試したけど、どうにもならなかった。」
──ユウジ、表情を曇らせる。ケイスケ、お手上げの表情──
「ユウジでもムリなのか。タクヤくんに何かあったら……。」
──ケイスケ、ユウジの傍に寄る──
「大丈夫か?」
「すまない。さすがに少し参ってるんだ。」
「ライバル校のやつらがここぞとばかりにユウジを叩きやがるもんな。
「妹を犠牲に天狗になってる戦士」とか何も知らずにほざきやがって。」
─さすがにユウジの表情が疲れている。怒るケイスケ──
「そういう現場に出遭ったら割って入らずにいられないのは、
ケイスケ兄妹の共通項?」
「ワタルは特にそうなんだ。あの時からかな。」
──ユウジ、ケイスケの方を向く──
「母方のばあちゃんが亡くなってさ、葬式やったんだけど、
ワタルは来られなかったんだよ。」
「どうして?」
──ケイスケ、ユウジの傍から少し離れる──
「父さんの家族と、母さんの家族の仲が悪くてさ。
父方のじいちゃんが「俺はあんなやつの葬式なんて行かんぞ」って。」
──ケイスケ、辛そうな表情──
「そんなじいちゃんをなだめる役にワタルが選ばれたってわけ。
オレは長男だし、唯一の女であるシマカをばあちゃんは可愛がってたからな。
大切な人とのお別れの場に自分だけが行けなかった。
その経験がムダにワタルを家族離れさせた。」
──ユウジ、ケイスケの言葉の続きを待つ。ケイスケ、もとの表情に戻る。──
「ユウジがスミカちゃんのこと、いろいろ悩んでるのだって、
参って当然だ。
だから、ちょっと力抜けって。」
──ケイスケ、笑顔になる。──
「……本当、ケイスケには敵わないよ。」
──ケイスケ、怒ったフリをして最初の位置へ戻る。──
「それは嫌味か!?
座学体術魔術知名度モテ度、すべてにおいて大敗北だぞオレは!」
「その意気その意気!
ユウジのそういうところにスミカちゃんは憧れてたんだろうからな! 」
──ケイスケ、ユウジの隣に並び、魔方陣の方を向き、苦笑。──
魔王の世界・最奥部
※ 「タクヤのセリフ」、「ココロのセリフ」、「」なし=魔王のセリフ
♪オフ
ワタルのモノローグ
──少し考えれば分かることだった。
──空間魔法は対象との関係が浅いほど術にかかりにくい。
──どうしてクオンがいち早く気が付けたのか。
オレと深い関係があって、クオンにはない人物。
──あの人がいなくなってしまったのは、クオンが転校してくる前だった。
「……伝えに来た。教えてもらいに来たよ。自分の気持ち、本当の気持ち。」
──異形となったタクヤがいる。ワタルの呼びかけにも、魔物のうめき声しかしない──
「聞こえてないの……?」
──突然、タクヤの声が聞こえてくる──
……いやなんだ。たったひとりの ともだちを ぎせいにして
いきるなんて たえられない……!
「犠牲なんかじゃない!
タクヤのことが大切だから、タクヤに生きてほしいから!」
きずついてほしくない たたかって いたいおもいをして
そんなめに あわせたくない!
──魔王出現──
「タクヤ」
──ワタル達、武器を手にする──
♪もう一人の魔王戦(曲名:LAMION/配布元:ほわいとあいらんど工房)
──戦闘開始──
──勝利後。負の感情から解き放たれ姿の戻ったタクヤ、意識を取り戻す──
♪フェードアウト
「タクヤ!」
「ワタル……?
そうだ、こんなのやめよう。もともと僕は死んでるんだ。
ワタルが犠牲になる必要なんてないんだ。」
「嫌だ。きけないよ。」
「どうして! 辛いんだ、苦しいんだ!
自分なんかがのうのうと生きるなんて、胸が痛い、耐えられないよ!」
「皆で幸せになるには、皆が生きていないといけないから。
オレも耐えられないんだ。タクヤを失う痛み。
今ここでタクヤのこと諦めたら一生後悔して、一生幸せになれないから。
生きるとき、幸せを探すとき、他の誰かの幸せとぶつかって、
痛くなることもあるけど、その辛さは分かっているつもりだけど。
それでも、タクヤに生きてほしいんだ。」
「そこまでしてもらう価値、僕にはないよ。
この世界で分かっただろう?
ワタルを護るというエゴのために、たくさんの人を傷つけた。
存在を消そうとした。
ワタルと対等な関係であろうとした、あると思い込みたかった。
そのために、幻惑世界の中とはいえ、多くの兵士を苦しめたり……。」
──タクヤ、クオンに向き合う──
「君は僕を恨んでいるだろう?
この世界の中で殺そうとしたんだから!」
──クオン、少し考えてからタクヤの正面に歩み寄り、返答──
「そうだな。爆発魔法一発ぶちこみたい程度には。」
「クオンくん!」
──スミカ、焦ってクオンの背後から呼びかけるが、クオン、笑顔。──
「タクヤが生きること、幸せになること、間違いだなんて言わせない。
誰かの幸せを否定するなら、オレはそいつを許さない。」
「タクヤが忘れないでくれれば、オレも忘れないでいられる。
タクヤといる時間が、痛みに変わらずに済む。」
「タクヤの痛み、この世界でしっかり感じたのに、
その痛みから逃げさせないで、生きてくれって頼むんだから。
謝るのも、お礼を言うのも、オレの方。
ありがとう。オレの幸せ、叶えてくれて。」
──間を置いてからヤマト──
「現実問題、どうするんだ。
魔王として存在している以上、魔物を生み続けることになる。」
「それは嫌だ。
父さん、母さん、ココロ、イカルガの人達が……。」
──ココロがタクヤの背後に現れる──
「ココロ!?」
「お兄ちゃん……!?」
「何でココロちゃんが!?」
──ヤマト、思案後に──
「アザリーさんの時と同じだな。」
「アザリーの時と同じって……。
嫌だ! また世界の狭間に追い出すなんて!」
──ココロ、ワタル達の方に近づく──
「私、何をすれば……?」
「魔王のもつ負の感情を、もとの感情に戻すこと。
負の感情が魔物を生む前に。」
「僕の感情が魔物になる前に、ココロが止めるってこと?」
「何かないのかよ、他の方法!
二人は世界の狭間に追い出される!
アザリーとじいちゃんみたいに!
誰かに全部押し付けて解決する、そんなのおかしいだろ!」
「シマカちゃんの言うとおりですね。」
──ココロ、笑顔になる──
♪決心(曲名:Prologue/配布元:Wingless Seraph)
──ココロ、後悔の表情──
「私はお兄ちゃんを助けたい一心で、
多くの人を不幸にしてしまいました。
私の幸福と引き換えに。」
──ココロ、決意の表情──
「だから今度は、他の誰かの幸せを救いたいです。
その方法があるのなら、私はそれにかけたいです。」
♪ボリュームUP
「ココロちゃん、でも……!」
「僕も同じだよ、ワタル。
大丈夫、生きたいって気持ち、
幸せな気持ち、ワタルが教えてくれたから。
だから死なないよ。自分の感情にだって負けない。
本当の気持ち、最初の気持ち、忘れないよ。」
♪ボリュームUP
「タクヤ……!」
「…………。」
──ワタル、決意の表情──
♪ボリュームUP
「絶対見つけるから! こんな繰り返し、終わらせる方法!」
「うん。待ってるよ。」
──タクヤとココロ、世界の狭間へ移動──
「空間魔法が解ける。本当のプロクトに戻るんだ。」
「絶対に見つけてみせる!
勇者と魔王の繰り返しを、終わらせる方法を!」
──ワタルとヤマト、空間から出る。スミカ、アヤネに声をかける──
「アタシ達も探そう。
幸せになりたいって気持ちが、誰かを不幸にする仕組みなんて嫌だよ!」
「はい。終わらせましょう、私達の手で!」
──アヤネ、決意の表情で空間から出る。続こうとしたスミカに声をかけるクオン──
──スミカ、笑顔で告げる。──
──スミカ、脱出。クオン、憮然とした表情──
──クオン、その場にいないタクヤに声をかける──
──クオン、脱出──
クオンのモノローグ