このページには、22話「ブラッドストーン」における重要な会話を載せています。
会話はごく一部を除き、ほぼ全て(およそ95%ぐらい)掲載しています。
完全なネタバレですので、ご注意ください。
折りたたみ内のメインキャラのセリフは、
文字色をそれぞれのイメージカラーにしています。
「ワタル」、「スミカ」、「ヤマト」、「アヤネ」、「クオン」です。
それ以外のキャラの色もメインキャラに準じて決めています。
詳細は折りたたみ内最初に記載しています。
冒頭回想・ワタル&ヤマト編
♪オフ
──秘密の場所にヤマトとワタルがいる。──
「……やっぱり、うそつくのって、たいへんだな。
ばあちゃんのことも、じいちゃんのことも、どっちも、だいすきなんだ。
ありがとう、ヤマト。
ないていいよって、いってくれたおかげでだいすきなきもち、うそにしないいですんだ!
だから、せんしになる。
だれも、うそつかなくていいように。
さいしょの、ほんとうのきもちのまま、いられるように。」
魔法戦士の家
※「レオのセリフ」、「ユウジ、パンテラのセリフ」、「トゥードのセリフ」、「メルのセリフ」、「コルニクスのセリフ」
♪真実(曲名:Recurrence/配布元:Presence of Music)
──5人がテーブルを囲んでいる──
「えっと、「世界の狭間の神」が
ディカルアさんだったってことなんだよね?」
「あらゆる世界から流れてくる感情エネルギーの処理。
それに嫌気がさしていたところに、プロクトとの道が繋がった。」
「プロクトからアザリーさんを呼び出すことに成功したディカルアさんは、
アザリーさんに2つの種を預けました。
勇者と大魔王の種ですね。」
「それでアザリーがイカルガに来て、
小さいころのオレとヤマトにその種を植えたってことなんだよな?」
「今でこそ、血を吐きながらではあるものの
別の世界に顔を出せるようになったが、
当時はそれができなかった。
だから別の人間に種を預けたんだろうな。」
「魔王が生んだ負の感情を、小さな勇者が正の感情に戻す。
この感情の循環を繰り返すことで、エネルギーを処理する仕組みを作った。」
♪フェードアウト
「……ディカルアは言ってた。
「最初にプロクトへの道が繋がった理由は分からないんだ」って。
けど、オレには分かる。
それを伝えたい。
”皆”の中にディカルアを入れないなんてそんなことできない。
それが戦士を目指す理由だから。
そのために、勇者の力をもらったと思うから!」
「はいはい、花畑、花畑。」
──ワタル、クオンを見る──
「また、お気楽なこと言っちゃったか?」
「性善説の狂信者だとは思ったが。」
「反対のお言葉がないということは
ワタルさんのお考えに納得していらっしゃるのですよね。
以前ならすぐに否定されていましたから。」
──アヤネ、笑顔でクオンの言葉を「通訳」。
クオン、いたたまれなくなって後ろを向く──
「アタシもそうしたい。
ディカルアさんも絶対に、はじまりの気持ちがあったはずだから!
辛くなった時って大切なものが、最初の気持ちが、
迷子になっちゃうものだから。
アタシも、それはよく分かる。
でも、皆がアタシを呼んでくれたから、思い出せたんだ。
はじまりの気持ち。
だから次はアタシが、ディカルアさんに呼びかける番だよ!」
「ヤマトはどう思う? やっぱり、無茶なのかな。」
「やれることはやるよ。大魔王である俺に──」
──クオン、ヤマトの方を向く──
「「できることなんて何もない。
俺が生きたいと言ったせいでこんな賭けをさせて申し訳ない」とか
ほざいたら爆発魔法百億回ぶち込む。」
「何でそんなに喰らわないといけないんだよ。
後ろめたい気持ちを一切持たないなんて無理だ。」
──アヤネ、再びクオンの言葉を「通訳」──
「それだけヤマトさんのことを心配していらっしゃるのですよ。」
──言い当てられたクオン、再度明後日の方向を向く──
「……二人には謝ろうと思っていた。
俺を心配してくれたのに、怒鳴ってしまったこと。
すまなかった。」
「私は大丈夫です。クオンさんは少し落ち込んでいらっしゃいましたけど。」
「涙で枕を濡らす美男子、それを映し出す月の光、
この情景をなんと詠めばいいのか、ああ、己の筆力が憎い!」
──再三の暴露にクオン、ついに拗ねる──
「時間がないんだよ、循環の間に行く方法を考えろ。」
「あーん、そんなに怖い声出したらせっかくのイケメンが台無しよ!」
──アヤネ、不安げにスミカに問いかける──
「余計なことを言ってしまったのでしょうか……?」
「うーん、大丈夫じゃないかな? たぶん。」
──物音がする。玄関からのようだ──
「ああ! 玄関の扉が!」
「器物損壊罪で消し炭にしよう。」
──5人、玄関へ出て行く──
「クワエリエレズ!」
「灰にしよう。」
「この人怖いから嫌いですですぅ!」
「えっと、すみません、何故かご機嫌がよろしくなくて。」
「君たちは、循環の間へ行くつもりなのだろう?」
「知ってるのか!? どうやって行けばいい!?」
──ワタル、トゥードの前に出る──
「ボッチョーロ祭壇の奥。前に戦ったところね。そこから行けるのよ。」
「あんたらの言っていた「救ってくれたお方」とやらが
ディカルアのことだったってオチか。」
「オレ達は世界の狭間に投げ出されたところを、
ディカルア様に助けられたんだ。」
「魔法の力も、ディカルア様からもらったものだった。」
「だから私達は、ディカルア様の力になりたくて、
勇者と大魔王探しに協力したです。」
「アザリーさんが誰に種を植えたのかまでは、
ディカルアさんも把握できなかったのですね。」
「でも、自分は感情エネルギーの処理で手一杯。
そこであんたらに頼んだわけだ。」
「世界のためなんだと思ってたの。
世界を脅かす大魔王を倒す。
そのために勇者の力が必要。
だから探すんだって、そう思ってた。
でも本当は違った。
ディカルア様は、本当は、
自分の思い通りのシステムに作り変えるために……!」
「ディカルア様の傍にいながら、
その苦しみを受け止められなかったのはクワエリエレズ全員の責任だ。」
──トゥード、悔しげな表情──
「我々にとって、ディカルア様は世界の破壊者ではない。
命を救ってくれた恩人なんだ。
たとえ、利用されていたとしても!
ディカルア様を救ってくれないか。
魔法戦士の君たちならディカルア様のもとへ行ける!」
「ああ、必ず助けるよ。任せてくれ!」
「場所も分かったし、これでディカルアさんのところに行けるね!」
──ワタル達、顔を見合わせる──
「届けに行こう。クワエリエレズの気持ちも、オレ達の思いも!」
ボッチョーロ祭壇~循環の間
※ 「」なし=ディカルアのセリフ
♪オフ
「この先にディカルアがいるんだよな。」
「そう簡単には会えないだろうけどな。
あんたらの勇者と大魔王としての力を利用するために
何か仕掛けてくるはずだ。」
「世界の狭間──あらゆる世界の中心に存在する場所。
そのような場所を統べる神様ですからね。
何ができてもおかしくはないかと。」
「魔法戦士の儀式で蘇生やら記憶操作やらができたのも
ディカルアが関与したんだろうしな。」
──ヤマト、何か思う様子。気づいたスミカ、声をかける。──
「何があっても、アタシがいるから!
だから、変なこと考えちゃダメだからね!」
「ああ、分かったよ。」
「行こう、ディカルアのところに!」
──循環の間・奥部魔法陣前──
♪循環の間Ⅰ(曲名:アルケミ/配布元:ほわいとあいらんど工房) フェードアウト
「ディカルアが何かしでかすかと思ったが
歩かせるだけで何もねえな。」
──場面転換、循環の間・上部。前へ進むワタル達5人──
声
ようこそ。魔物が多くて大変だったでしょう?
──ディカルアが前方から歩いてくる──
でも仕方ないわよね。魔物はあなた達の負の感情の象徴なのだから。
「話がしたいんだ。ディカルアに伝えたいことが──」
必要ないわ。正の感情の強制なんて、誰にでもできることだもの。
せっかくだわ。
感情エネルギーの処理がどういうものか少しだけ体験してみない?
──一組の親子が出現──
子ども「パパ、これ! 似顔絵描いたんだよ!」
父親「おお! どれどれ……。上手じゃないか!」
母親「よかったわね。パパ、喜んでくれて。」
子ども「うん! マリナね、パパとママだーすき!」
父親「父さんも、マリナのことが大好きだぞ!」
「頭に声が響いてくる……。」
父親「こんなヘッタクソな絵で喜ぶと思ったのかクソガキ!」
──子どもに手を上げる父親──
母親「やめて、あなた!」
父親
「ああ!? 指図すんのか!? 稼ぎもしねえ雌豚の分際でよぉ!
酒だ! 酒持ってこいやクソガキ!」
──子どもをさらに殴る父親。
ディカルアが同じように殴られる痛みを受け、正の感情をもたらす。──
父親「さあ、マリナ。今日はどこに出かけようか?」
マリナ「お買いもの行きたーい!」
母親「そうね。皆で行きましょう。」
──親子、消滅。ディカルアに歩み寄るワタル。──
「ディカルア!」
負の感情を正の感情へ戻すには、
自分も同じ肉体的・精神的苦痛を受けたうえで
それでも感情を変換しないといけないの。
深い絶望の中で、正の感情を抱くことを強制される。
この苦しみを私ひとりだけが背負うなんて、とても耐えられなかったのよ。
「だから小さな勇者や魔王を生んで、
自分と同じ目に遭わせようってのか。
それだけ苦しいと分かっていながら。」
感情をまき散らすのはあなたたち生命じゃない。
その代償は自分たちで支払うべきだわ。
いい場所へ連れて行ってあげる。
勇者と大魔王。小さな勇者と魔王を生んで頂戴!
──白い光が5人を包む。──
イカルガ
──波の音がする。墓地にクオンが一人で立っている──
「おい、誰かいねえのか!」
──クオン、自分のいる場所を把握する──
「何のつもりだよ。
今更こんなところに連れてきやがって。」
──ディカルアがクオンの隣に出現──
──わずかな間を置いて──
──ディカルア消滅。クオン、家族の墓の前に立つ──
──クオン、気持ちを切り替え素早く状況判断──
(他の奴らもこんな感じになってるならイカルガに行った方がいいか)
──クオン、走り出す。──
──場面転換・アヤネの家の前。アヤネが父と向き合っている──
「……お父様。」
……あの赤子はお前を生け贄に産まれたものらしいな。
赤ん坊の声
あー! あー! あーねー!
──ディカルアがアヤネの隣に出現──
──わずかな間を置いてアヤネ、ディカルアを無視して父に話しかける──
「一言だけ、お伝えすることをお許しください。」
──アヤネ、笑顔になる。驚く父親とディカルア──
「ありがとうございました。」
──ディカルア消滅──
──父親に背を向けて歩き出すアヤネ──
「儀式で産み出された赤子は、私の弟、になるのでしょうか。」
──ふと足を止め、振り返るアヤネ、笑顔になる。──
──アヤネ、去る。──
赤子の声
あー! あーねー! あーねぇー!
──場面転換・魔方陣前──
※ 「ユウジのセリフ」
「ここって……イカルガ?」
──周囲を見渡すスミカ──
「やっぱり、ここ、学校近くの公園にある──」
──スミカの周囲に多数の魔物が出現──
「魔物……!」
──スミカ、構えるが、ペルグランデアーラが魔物を一掃。ユウジ登場──
「この辺りはとりあえず──」
──ユウジ、スミカに気づく──
「スミカ!?」
「お兄ちゃん!」
「無事だったんだな、よかった!」
──笑顔でスミカに駆け寄るユウジ。
しかし、スミカの身体を通り抜けてしまう。──
「よく分からないんだけど、完全に戻ってきたわけじゃないみたい。」
──ディカルアがスミカの隣に出現─
──スミカ、ディカルアを無視して笑顔でユウジに話しかける──
「……お父さんとお母さん、元気?」
「二人とも大丈夫だよ。」
「よかった。むこうの世界でもずっと、心配だったから。」
「俺のために、スミカはこんな目に遭ってるんだぞ。」
──スミカ、ユウジの真正面に立つ。──
──ディカルアに向き合うスミカ──
──ディカルア消滅──
「だから、お兄ちゃんにはお父さんとお母さんを、イカルガの幸せをお願いしたいんだ。
皆を思って頑張るお兄ちゃん、
そんなお兄ちゃんのことが大好きで、妹でよかったって思ってるから!」
──ユウジ、笑顔を浮かべる──
「分かったよ、スミカ。」
「ありがとう!
それじゃあ、行ってくるね!」
──ユウジに背を向けて走り出すスミカ──
──場面転換。学校の中庭にヤマトの母と新しい家族がいる
それを後ろから無言で見ているヤマト。──
ヤマトに似た男の子
お父さん、お母さん。魔物がいなくなったら、
もっと綺麗な公園にいけるかな?
男性
ああ。いつか3人で行こうな。
女性(ヤマトの母)
そうね。
今は魔物がいるから、イカルガ学校の中でしかお散歩できないけれど……。
お弁当を持って出かけましょうね。お母さん、頑張るから。
男の子
うん、約束ね! 楽しみだなあー。早く出かけたいなー。
──ヤマトの隣にディカルアが出現──
──スミカ、クオン、アヤネが駆けつける──
──ディカルア消滅──
──ヤマト、自分の気持ちに気づく──
──ヤマト、暫し親子3人を見つめてから仲間たちのほうを向く──
「行こう。ワタルも来ているはずだ。」
──場面転換・学校の体育館(避難所)──
※ 「」なし=ワタルの父のセリフ、「シマカのセリフ」、「ケイスケのセリフ」、「ワタル母のセリフ」
──できないわよ、じっとしているなんて!
──ワタルの母を、ワタルの父・ケイスケ・シマカが囲んでいる──
「ワタルがいないのよ! 放っておけるわけないじゃない!」
魔物がいるんだぞ。お前に何かあったらどうするんだ!
「母さんが怪我でもしたらワタルがどう思うか考えろって!」
「お母さん!」
──母、少し押し黙る──
「……ワタルの気持ち。そんなものを語る資格なんてないわ。」
──母、何度も拳を打ちつけつつ、後悔の思いを叫ぶ──
声
……それはダメだよ。
──母、声のほうを振り向く。ワタル、姿を現す。
「……母さん。」
「ワタルお兄ちゃん!?」
──シマカ、ワタルの傍に走り寄る──
帰ってきたのか!?
「えーっと、完全に戻ってきたわけじゃないんだ。
神様の力で一時的に、っていうか。」
「神様にお願いでもすれば、完全に戻ってこられるってことなのか?」
「分からない。
だけど、すぐには戻れそうにない──戻ってきたくない。
オレ、自分のやり方でここに戻ってきたいんだ。」
──少し間を置いて、ワタル、話し始める──
♪決心(曲名:Prologue/配布元:Wingless Seraph)フェードイン
♪ボリュームUP
♪ボリュームUP
──黙って聞いていた母、突如ワタルの頬をひっぱたく。──
♪オフ
「行かせるわけないじゃない。
必ず帰ってくるって、約束はできないんでしょう。」
──魔法戦士たち4人、ワタルのところに駆けつける──
──ワタル、揺るがない表情──
「知ってるよ。
父さんも、母さんも、兄ちゃんも、シマカも、
どれだけオレを思ってくれているか。
オレのはじまりの気持ちは、みんながくれたものだ。
「皆で幸せになりたい」、それがオレの、最初の気持ち。
皆が教えてくれたこの気持ち、絶対に忘れないから。
何があっても、負の感情に変わっても、
もう一度、必ずこの気持ちに戻すから。
この気持ちで繋がっていたいんだ。
父さんも母さんも兄ちゃんもシマカも、
皆大好きだって、この気持ちで。」
「もしお前が一生戻ってこなければ、
タクヤ君を失った時のお前と同じ気持ちを
皆が味わうことになるんだぞ。」
♪再開 ボリューム小さめ
♪母の「行ってらっしゃい」に合わせボリュームUP
──ワタル、他4人と合流し、家族を振り向く──
──ワタル達消滅。──
♪フェードアウト
循環の間~ラスボス戦
※ 「」なし=ディカルアのセリフ
♪オフ
──循環の間。ワタル達、戻ってくる。──
どうして……!?
あのまま家族といる幸せを受け入れていればよかったのに!
そして小さな勇者を生み出せばいいのよ!
──ワタル、拒否を示す──
「誰かの幸せを祈る気持ち、
オレのはじまりの気持ちを利用する仕組みなんていらない。
そんな必要のない世界にする!
そのためには、ディカルア。
ディカルアが最初の気持ちを思い出さないといけない。
初めから誰かを傷つけたいわけじゃないって!」
馬鹿ね。この期に及んで、まだ私の幸せなんて言っているの?
あなたの幸福とは相反するものなのに。
「この期に及んで誰かの幸せを望んでるのはディカルアだろ。
世界の狭間の神様なんだろ、すごい力が使えるんだろ。
クワエリエレズに勇者捜しをさせるなら
もっと効率のいいやり方があったはずだ。
それこそ、今オレたちにやろうとしたように、
洗脳でも何でもすればよかった。」
黙りなさい……!
──ワタル、前へ進み出る──
「そうしなかったのは、クワエリエレズの幸せを考えたからだ!
魔法の力を与えるなんて方法を使ったのは
教会の子どもを救う力にさせるためだ!
他人への気持ちを捨てきれないのはディカルア自身じゃねえか!」
黙りなさい!
──ディカルア、ワタル達に背を向ける──
もういいわ。
からめ手が通じないのなら、実力行使しかないわよね。
待っていてあげる。
──ディカルア、決戦の場に転移
魔法戦士たち、円陣を組む──
──決戦前──
無駄よ。最初の気持ちになんて戻れない。
負の感情に飲み込まれたまま、生命は闇に堕ちていく。
「そんなことない、絶対に思い出せる。
そのために、魔法戦士がいるんだから!」
無駄だと言っているでしょう!
♪世界の狭間の神戦 (曲名:Lazuli:/配布元:ほわいとあいらんど工房)
「届けてみせる、ディカルアの最初の気持ち!」
──勝利後──
♪フェードアウト
「ディカルア!」
……私の負けね。いいわ。受け容れるわ。
とどめをさしてちょうだい。それで終わるわ。
「できないよ。
ディカルアのはじまりの気持ち、まだ思い出してもらってない。」
私の、最初の気持ち……?
「言ってたよな。
「最初のプロクトへの道が繋がった理由は分からない」って。
「誰かに助けてほしい」「幸せになりたい」
「生きたい」って気持ちだよ。
神様だって、はじまりの気持ちを忘れることもある。
でも、大丈夫。オレは見捨てない。
何があっても、絶対ディカルアと繋がってる。
一緒に生きたい。自分が苦しい時、その優しさで、暖かさで、
さいしょの気持ちを教えてほしい。
たったそれだけなんだから。」
私……わたしは……。幸せになりたかった……!
──突然、轟音が鳴り響く──
──ディカルア、世界の狭間に引き込まれていく──
「ディカルア!」
「力がどんどん強くなって……!」
「……負けるもんかああああああ!」
──ディカルアを追うワタル──
「ワタル!」
──ディカルアを掴んだワタル、
渾身の力を振り絞ってその場に止めようとする──
「くっそおおおおお!」
何をしているの!? あなたも世界の狭間に閉じ込められるわよ!
「さっき言ったばっかりだろ! ディカルアと絶対に繋がってるって!
最初の気持ちを伝え続けるって!
ディカルアが言ってくれた、「幸せになりたい」って気持ち、
それを失くすような世界の狭間になんて
閉じ込められる必要ないじゃねえか!」
「ああ、任せとけ!」
──二人、その場から消滅──
「……ワタルは?」
──ヤマトに詰め寄るスミカ──
「ワタルは、二人はどこに行ったの?」
──ヤマト、答えられない。問いかけをやめないスミカ。──
──スミカの絶叫が響き渡る──