【チビィ】

Last-modified: 2022-09-17 (土) 06:08:10

DQ7

DQ7に登場する、キャラクター兼イベントモンスター。
英語版での名前はPS版ではChibi、3DS版ではWiggles。
 
【ルーメン】を襲った【ヘルバオム】の根っこにくっついていたという虫で、【ロッキー】を亡くし傷心気味だった【シーブル】にペットとして飼われている。
最初はかなり小さかったのだが、シーブルに美味しいものをたくさん貰ううちに瞬く間に大きくなっていった。
シーブルはいたく可愛がっていたのだが、住人の間では三度町を危機に陥れる怪物ではないかと懸念されていた。
そしてある日、町の有志達がシーブル宅に集団で直談判してきたためシーブルを守ろうと前に出たところ、住人達は「バケモノが襲ってきた」と大騒ぎ。
当初は住人達もシーブルのことを考えチビィを外に追い出すだけの予定だったが、これによりルーメン内ではチビィが襲ってきたという噂が一気に広まり、チビィを退治しようとする意見が強くなった。
こうして住民達は主人公達にチビィを退治するよう依頼してくるのだが、この時取る行動によってシナリオに分岐が生じ、最終的にルーメンの町が滅びるかどうかは、この時の判断によって決定される。
 
ちなみにグラフィックは【サンドワーム】と同じ。住人が忌避するのも仕方のないことではあったのだろう。
また、【モンスター大図鑑】によると、体色は違えどチビィも種族的には【ヘルワーム】であるとのこと。
その見た目から【メルビン】は住民達が恐れるのも無理はないと退治も止む無しといった反応だが、【マリベル】はチビィの見た目には嫌悪感丸出しなものの、それ以上に住民達の態度が気に入らなかった様子で腹を立てている。
そして【ガボ】はどちらの選択肢を選んだ場合でもチビィを退治することを嫌がっていたりと、分岐によって仲間達の台詞や感想も違ってくる。

選択による展開の分岐

チビィを逃がす選択をした場合

住人からのチビィを退治して欲しいという依頼を断り、その旨をシーブルに伝えるとこちらのルートになる。3DS版では断った直後にマリベルからシーブルに相談した方がいいとアドバイスされる。
住人は退治したがるほどにチビィを恐れているとシーブルは知り、チビィをこれ以上町に置いておくのは無理だと考える。そこで住人たちが退治しにくる前にチビィを逃がすことになり、夜を待ってから【ルーメン東の丘】に逃がしに行くことになる。
 
直後にヘルワームの大群が町を襲撃し、町が3度目の滅びの危機にさらされる。が、主人公たちとシーブルがヘルワームの大群に包囲されると、突如チビィが助けに現れる。
そしてチビィが身を挺してヘルワームの群れを退け、町は守られる。
だが、その代償にチビィは命を落とし、町の人々も自らの過ちに気づくことになる。
 
このルートを辿った場合は、現代のルーメンが滅びずに済む展開となる。
また、現代では当時の言い伝えが誤って伝わっており、ヘルワームの大群を退けたことやその際に負った傷で命を落とした点はそのままだが、普通の英雄として扱われ、手下の主人公一行とともに闇のドラゴンやヘルバオムもすべて倒したことになっている。
曰く「勇敢な男」「悲劇の勇者と呼ばれるにふさわしいお方」と言う事で、現代の住民には「どんなハンサム男だったのだろうか」と想像する者もいる。チビィが魔物のような姿の虫であることは伝わっていなかったようで、英雄にしては変な名前と言われることも。
もっともチビィの活躍が無ければ確かにこの町は滅んでいたので、このぐらい尾ひれが付いてもバチは当たらないのだろうが、プレイヤーは苦笑いを禁じ得なかったであろう。
真実が歪められて後世に伝わったという点では後に訪れる村と同じではあるが、大事な事実そのものはしっかり受け継がれ、主人公たちの立場も悪質な形で歪められたわけでもないので、自分たちのメンツを守るために都合よく歴史を改竄した挙げ句、主人公達に擦り付けて悪い魔物扱いしたそちらの住民とは比べるまでもない。

チビィを退治する選択をし、チビィを倒した場合

住人からのチビィを退治して欲しいという依頼を承諾すると、こちらのルートになる。
このルートを選択する際には、住人から再三にわたって「後味の悪い仕事になるかもしれない」「本当にいいのか?」と問われるので、中にはそれで選択を改めた人も居るかもしれない。【ガボ】からも殺さない方がいいと忠告される。
それでもこの件を承諾すると、シーブルが寝ている夜を待ってから屋敷でチビィと戦闘になる。
チビィを倒すと、直後に【ヘルワーム】というチビィそっくりの虫の大群が町を襲撃。
倒しても倒しても次々湧いてくるワームたちの数に逃げ場を失った主人公たちとシーブルは町のはずれの井戸に逃げ隠れ、一夜を明かすことになる。
そして翌朝、井戸から出ると町は壊滅して誰一人として残っておらず、完全に滅んでしまっている。
 
このルートを辿った場合は、シーブル一人だけが生き残り、町は滅んでしまう結末となる。
また、襲撃に関してはどちらのルートでも同じタイミングで発生するが、この場合だとシーブルは「チビィが人間を恨んで仲間を呼び寄せたのでは」と思い、自責の念に苛まれることになる。

チビィを退治する選択をし、チビィに敗れた場合

【やみのドラゴン】【ヘルバオム】を倒したパーティーなら負けることはまずないとは思われるが、チビィとの戦闘で全滅した場合は、教会送りにはならずにそのままイベントが進行することとなる。
その後の展開は「チビィを逃がす選択をした場合」とほぼ同じ展開となり、すぐにチビィを逃がしに行くことに。
そして直後にヘルワームの大群が町を襲撃し、チビィが身を挺して群れを退け、自らは命を落とすこととなる。
 
このルートを辿った場合も「チビィを逃がす選択をした場合」と同様に、現代のルーメンが滅ばずに済む展開となる。

戦闘能力

上記の通り、住人の退治依頼を承諾するとチビィと戦うことになる。
戦ってみると意外に強く、全ての面で通常のヘルワームを上回る実力を持っている。
特にHPはヘルワームの2.5倍、守備力は1.5倍もあり、さらに眠りに完全耐性が付き、どとうのひつじなどにも強くなっている。
 
1~2回行動かつ完全ローテーションで行動する。
行動パターンは、糸はき → 通常攻撃 → 通常攻撃 → 糸はき → 甘い息 → 通常攻撃 の順。
【糸はき】はこの系統のモンスターのみが使う特殊攻撃で、1ターン休み系の技。こちら1人を行動不能にする。
 
とはいえ、普通に戦っていれば長期戦になることはあっても全滅することはないはず。
効率よく倒すなら、守備力が高いのでルカニを唱えたりかまいたち等で攻めるといい。攻撃呪文も全て良く効く。
ヘルワームとは異なり毒の息を吐かないのは、シーブルの愛情を受けてすくすく育った結果なのだろうか。かわりに甘い息を吐くので、もっと厄介になっているのだが…。
 
負けようとするなら防具を全部外していけば簡単。
素っ裸なら一撃で80~90食らうので、逃げるを連打して無防備を貫けばすぐに死ねるだろう。
 
一応ボス戦として扱われている為か逃げることはできない。
負けた≒チビィとの戦いにはなったが戦うのを拒否したストーリー進行があるのなら、【マチルダ】と同じく逃げて終了できるボス戦でも良かったように思えるが、曲がりなりにも町人の依頼を受けてチビィの前に立った以上、逃げて放り投げるのはできないという事だろうか。

ルーメンの第三の災厄について

見た目で物事を判断し、無実の者を虐殺するのは【レブレサック】の住民と同じこと。
しかも主人公達はルーメンが滅びることを知っている(=固定観念+極限状態)ため、判断条件はレブレサックの住民とほぼ同じ。
原因が判明しない中、疑わしきチビィを本当に倒すか、チビィを最後まで信じ切れるかどうかはプレイヤー次第。
DQ7は人の内面の負の部分を時折表現しているが、その決断をプレイヤーに委ねて結果を分岐する辺り、このイベントの構成は非常に巧妙で、シナリオを手がける堀井雄二の手腕が光る場面だと言えよう。
チビィを殺してしまった人は、レブレサックのイベントを苦々しい思いで見ることになるだろう。
 
実際は「チビィ=悪玉」と思い込みチビィを倒す人もいるし、普通に倒さない人もいる。
また倒すと答えると3回も確認され、倒さないと答えるとそのまま話が進むため、ここで分岐シナリオだと気付く人もいる。
いずれにせよ殺した人は殺さずに済んだことに気付かず、殺さなかった人は殺せたことに気付かない場合が多い。
ネットなどで自分の意見が多数派かを調べる人も多いが、実際にどちらが多いのかはよく分からない。
 
また、作中内のルーメンの住民達はチビィによって救われた場合、反省するものの、町の神父が「人々の心の中には割り切れぬ思いが渦巻いて町中が動揺している」「これからどうやって人々の心をまとめていくか、それが真の試練である」と言う通り、彼ら自身も結果論とはいえ何が正しかったかを思い悩んでいる。
その中で、町が救われた後には主人公達にチビィの討伐を依頼した男から「自分達の判断が間違っていたことは認めるが、町を守るために自分達がしようとしたことまでが間違っていたとは思わない」といった風なセリフを聞くことができる。
判断を要求された時点ではどちらの選択も「間違いだ」と断言できるものではなかったのだから、ある意味ではこの男の言葉が一つの真実なのだろう。
どちらの選択にも、選ぶ上での「理」は存在する。
 
ちなみに、ルーメンが滅びても買い物や移民集めに若干の支障が出るだけでクリアには何ら影響はない。
モンスターパークも存在するし、【チビィの形見】もちゃんと手に入る。
自分の手で殺しておいて、形見も何もあったものではないが……。

リメイク版

選択と行動によって、記述される「かこのぼうけん」が変わる。

  1. 「チビィ退治を依頼され、引き受けた」
  2. 「チビィ退治を依頼されたが、断った」
  3. 「チビィ退治を相談している事をシーブルに知らせた」
  4. 「夜のうちにチビィを殺した」
  5. 「チビィを殺さずに逃がしておけばと後悔する」
  6. 「チビィに負け、シーブルに知られた」
  7. 「チビィを東の丘に置いてきた」

  ↓

  • 依頼を受けてチビィを討伐する
    1と4と5が載り、ヘルワーム襲来の部分は隠れてやり過ごした話が載る。
  • 依頼を断ってシーブルに知らせる
    2と3と7が載り、ヘルワーム襲来の部分はチビィが助けに来た話が載る。
  • 依頼を断った後に再度話しかけて依頼を受け、チビィと戦わずにシーブルに知らせる
    1と2と3と5と7が載り、ヘルワーム襲来の部分はチビィが助けに来た話が載る。
  • 依頼を断った後に再度話しかけて依頼を受け、チビィと戦って討伐する
    1と2と4と5が載り、ヘルワーム襲来の部分は隠れてやり過ごした話が載る。
  • 依頼を断った後に再度話しかけて依頼を受け、チビィと戦って負ける
    1と2と3と6と7が載り、ヘルワーム襲来の部分はチビィが助けに来た話が載る。

 
チビィの対応の部分だけでも全てを網羅する事はできないが、「断った後に再度話しかけて依頼を受け、戦って負ける」パターンが一番多く載せる事ができる。
ただし、一部順に読んでも話が繋がらなかったり、重複した部分がある(3は戦わずにシーブルに知らせた事が描いてある、3と6でシーブルに知られたことが2回書かれる等)ため、単に多く載るというだけである。

余談

現代のルーメンには、チビィの子孫を名乗る爺さんがいる。
もちろん嘘で、隣のおばさんも「ホラ吹きだから本気にするな」と忠告、しかも「勇者チビィは若くして死んだのだから子孫なんているわけない」とバッサリ。
本人がチビィの正体を知ってしまったらどうなるのだろうか...。