概要
言わずと知れた【集英社】の【週刊少年ジャンプ】で連載された【鳥山明】の人気漫画作品。同誌が大きく関わっているドラゴンクエストシリーズとお互いに影響しあっていると見られる描写が多い。
タイトルの由来は作中に登場する7つの球のことで、すべて集めると「神龍」が現れて願いを叶えてくれるというもの。
1984年(昭和59年)51号(11月19日発売号)から1995年(平成7年)25号(5月22日発売号)まで10年強にわたって休載することなく連載された。話数は全519話+特別読切1話、単行本(ジャンプ・コミックス)は全42巻。
アニメ版は東映動画(現・【東映アニメーション】)で製作され、【フジテレビ】系列で1986年(昭和61年)2月26日から放映され、以降『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボールGT』とタイトルを変えて1997年(平成9年)まで放送が続けられた。
黄金時代のジャンプを支えた大黒柱にして今なお派生作品が作られ続け、人気は留まるところを知らない怪物級の人気作。
その知名度たるや、昭和末期生まれでドラゴンボールを知らない者はいないといっても過言ではないほどである。平成生まれでも多くの人は知っているだろう。
日本はもちろん海外でも凄まじい人気を誇っているので、『ファイナルファンタジー』と違って海外での人気はそれほどでもないドラゴンクエストを売り込むために、海外版では鳥山明やドラゴンボールっぽさを前面に押し出している。
アニメの放送開始から3ヶ月後に発売されたのが、【ドラゴンクエスト】第1作である。
ドラゴンボールは放送開始当初から絶大な人気があったこともありその主人公「孫悟空(「こ゛くう」)」の名前を【主人公(DQ1)】に入れてプレーしようとしたプレイヤーもいただろう。実際にその名前を入れると、アニメのイメージとは真逆にやたら弱い初期値(【えにくす】と同じHPが13しかない初期値ボーナス0のDタイプ)になってしまうので、幻滅されることも多かったのではと思われる。
もっともDタイプは力と素早さが伸びる、ある意味武闘家のようなタイプではあるので、悟空のイメージには合っているかもしれない。
一見すると最強に見えるのはAタイプの初期値ボーナス3だが、それよりも低いレベルで竜王を倒せるので、成長して逆転するという点でも興味深い。
ちなみにジャンプ・コミックス12巻までの巻末には、読者から届いたファンレターの内容を鳥山自らが紹介し、回答をするコーナーがあり、その中で11巻にてドラゴンクエストを話題にしたファンレターを2通取り上げていた。
1991年7月20日公開の東映アニメフェアでは『ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強』『まじかる☆タルるートくん』と一緒に【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】の劇場第一作目がテレビアニメ化に先駆けて同時上映されていた。
2022年、2年後の本作40周年に向けて【最強ジャンプ】の裏表紙で「DRAGON BALL SUPER GALLERY」というDBのカバー絵を豪華作家が描き下ろす企画が開始され【稲田浩司】は悟空と亀仙人、そしてダイ大の【マァム】と【チウ】を共演させた。
ドラゴンクエストへの影響
鳥山明が関わっている点や、【堀井雄二】が【集英社】関係の仕事をしていたことなどから、それなりに影響を与えていることが確認できる。
ただ、直接的なセリフ引用のパロディはDQ11になってからである。
DQ3初登場の【あばれザル】の系統は、満月を見て大猿と化したサイヤ人に似ている。
DQ5の【ゲマ】は、丁寧な言葉遣いとそれに反した残虐非道な性格が、ナメック星編のラスボスであり同作の象徴的な悪役であるフリーザと類似しているという意見が指摘されている。
フリーザが連載で登場したのは1990年~1992年で、DQ5の発売が1992年と、時期も近い。
その他、側近が頭脳派と脳筋の二人組、リメイク版の【メラゾーマ】の火球がどう見てもデスボール(またはスーパーノヴァ)など、共通点が多い。両方とも主人公の父を殺害したという点(アニメでは、DBの方では辛うじて生き延び、過去の世界へ飛ばされたことになっている)も同じ。
CVが付いた作品では長らく声優はフリーザ役とは別の声優だったが、ライバルズエースでついにフリーザ役の中尾隆聖が充てられた。
同じくDQ5にて危険な魔物である【ブオーン】を【ルドマン】の先祖のルドルフが壺に封印したが、封印が解けて復活したという設定がある。イルルカでも、【狭間の闇の王】が宝箱に封印されていたが、こちらも復活してしまった。
両者とも、電子ジャーに封印されていたが、ピラフ大王によって封印が解かれたピッコロ大魔王を彷彿とさせ、ブオーンの壺についてはまさに電子ジャーをイメージしたデザインになっている。世界が破滅の危機に晒されるという点も一致している。
SFC版DQ6の【公式ガイドブック】では東映動画がイラストを担当。
呪文・特技の紹介ページにおいて、ドラゴンボールの有名な技・場面のパロディと思われるイラストが大半をしめている。
【まぶしいひかり】の使用ポーズが太陽拳の構え、【におうだち】の構図がピッコロがナッパの攻撃から孫悟飯をかばった後のシーン、【メガンテ】は洗脳されたベジータが魔人ブウに仕掛けた自爆技の構図、【テリー】がテンツクを一刀両断している構図はトランクスとフリーザそのまま……などなど。
リメイク版DQ3ではクリア後のダンジョンに【しんりゅう】が登場。
そのデザインも、願いを叶えてくれるという特徴も、神龍(シェンロン)とよく似ている。が、HD-2D版での声優はシェンロンとは違う声優が当てられている。
リメイク版DQ4の真ボス・【エビルプリースト】の体色は紫に白と、フリーザを思わせるカラーリングになっている。
またFC版での最終ボスである【デスピサロ】と違って、さらにもう一段階変身できるが、これはフリーザの兄である劇場アニメオリジナルキャラ・クウラを彷彿させる。
DQ8の制作にあたって【日野晃博】らレベルファイブの開発陣はドラゴンボールのアニメを研究し尽くしたという。
海外版DQ8の主人公のスーパーハイテンション状態で、バンダナが吹っ飛び髪が逆立つという、鳥山デザインで光り輝きながら髪を逆立てる彼の勇姿は「超サイヤ人」を彷彿とさせるものであった。
DQ10では【元気玉】というアイテムも登場し、DQ7やDQ8のリメイク版にも逆輸入された。名前の元ネタはもちろん孫悟空の必殺技だろう。
【竜笛】はナメック星人の宇宙船ほぼそのままと言っていい形状をしている。
(オンラインに登場する)一輪車バイクの【ドルボードプリズム】は同作に登場するバイクのフォルムに酷似している。
DQ11ではいつもより多くパロディネタが登場。
フリーザのセリフを直接引用してきた【フールフール】(DQ11Sでは声優にフリーザ役の中尾隆聖が起用されており、パロディであることがより明確になった)、かめはめ波と同様の動きで放つ【ロウ】の【グランドクロス】、とある登場人物を思わせる【預言者】の正体など。
これらの登場はプレイヤーが作品全体のイメージをつかんだストーリー中盤以降であり、パロディが世界観を壊さないように配慮している。
ゲーム制作側によるネタではないが、【ドラゴンクエスト4コママンガ劇場】では【タイジャンホクト】がFC版DQ4の作品で「エイジ」という、ドラゴンボールの作中と同じ年号を登場させたことがある。
ぱふぱふ
今日ではドラゴンクエストの伝統の一つとして知られる”【ぱふぱふ】”だが、実は鳥山明の造語でありドラゴンボールが初出。
張りと弾力性と柔らかさと挟み込んで揉むという仕草の様態をみごとに表現した絶妙な表現と言える。
「ドラゴンクエストが先かドラゴンボールが先か」と議論になることもあるようだが、1984年11月(上述)から連載開始されたドラゴンボールにおいて、「ぱふぱふ」は第5話・第15話に登場。
DQ1の発売日は1986年(昭和61年)5月27日なので、これはどう考えてもドラゴンボールが先。
なお【堀井雄二】は当時、ジャンプの読者投稿欄に連載を持っていたのも周知の事実。
具体的には次の通り。
- 其之五 紳士に化けたウーロンがブルマを見て『は 85か… い いいな パフパフができるな…』と思うセリフに「これがなさけないぱふぱふだ!」と小さな図解つきで載ったのが初出。実は図解の中の女性は裸であり、それがぱふぱふの正しい姿なのかもしれない。(ジャンプ・コミックス単行本1巻p.88)
- 其之十五 ブルマに化けたウーロンが亀仙人に施す。胸を盛大にはだけさせ施し、亀仙人の「おおっ」「ぐおおーーっ」「ずげげーーっ!!!」という驚きの叫びが聞こえてくるのだからやはり生は違うのだろう。
- 其之十九 セリフの中だけで登場。「なーーーんだ ハダカにされて へろへろとか ぱふぱふとか きょいきょいとか いんぐりもんぐりとか されるかと おもっちゃった!!」(ジャンプ・コミックス2巻p.111)
ちなみに詳細は割愛するが、初期のドラゴンボールでは他にも、パンチラやパンティを脱がす等のほか、乳房・乳首までハッキリと描かれるシーンもあった。しかし1987年頃よりピッコロ大魔王編以降のシリアス路線に進み、ドラゴンボールでのエロ描写は見られなくなる。
他方ドラゴンクエストで「ぱふぱふ」を全シリーズ作で絶えることなく登場させ続けた結果、今日では「ぱふぱふと言えばドラクエ」というイメージが定着するに至っている。
ドラゴンクエストからの影響
影響は一方通行ではなく、ドラゴンクエストのほうが影響を与えたと思われる例もある。
第22回天下一武道会の予選の背景に、【おおナメクジ】、【あくましんかん】などDQのモンスターが描かれている話がある。
DQ3の【上の世界】のボス【バラモス】は、ピッコロ大魔王の腹心ピアノとデザインがよく似ている。
時期的にバラモスの原画が先であり、ジャンプ誌上にピアノが登場するのはDQ3発売後。早々に始めたプレイヤーなら大抵クリアした頃だった。
また同章では、小悪党のピラフがピッコロに世界の半分をくれるように要求し反故にされるという展開がある。
さらにTVアニメ『ドラゴンボールZ』第40話「ホントにホント?あれが希望のナメック星」では、【サマルトリアの王子】そのままの姿をしたモブ少年(服に【ロト】の紋章は無い)が登場。
第241話「悟天 トランクス 全世界に指名手配」(リメイク版に当たる『ドラゴンボール改』では123話「見えた!かすかな希望 目を覚ませ戦士達!!」)にて魔導師バビディと魔人ブウが入ったケーキ屋さんの店員はDQ5の【ビアンカ】にソックリである。
ついでに劇場版「龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる」でも町人が逃げているシーンに【トルネコ】にそっくりな人物がいる。
そして、何の偶然か、DQ11発売直前の7月16日に放映された『ドラゴンボール超』第99話「見せつけろ! クリリンの底力!!」でクリリンと人造人間18号が披露した「気弾を跳ね返し合って最後に相手にぶつける」という技は【魔闘演武】の前半部分にそっくりである。
なお、2015年4月24日放送の漫道コバヤシで公開された鳥山明へのアンケートにおいて、フリーザの4段階の形態変化のうち最後の第4形態で突如それまでとうってかわってシンプルなデザインになることに関して、「ドラクエのラスボスのようなさらにゴチャゴチャしたデザインになると思わせて逆をとった」という回答を得ている。ドラゴンクエストシリーズのモンスターデザインを続けてきたゆえの影響とも言える。
ドラゴンクエストシリーズへの出演・コラボレーション
2025年3月6日、サービス開始から5.5周年を迎えたDQウォークがアニメ『ドラゴンボール』(無印)とのコラボイベントを行うことがYouTube公式動画で発表された。9日より序章が開始され、12日より正式スタートとなった。
それに伴いコラボ武器の【如意棒】「ホイポイカプセル」「ピッコロ大魔王の玉座」やコスプレ防具といったコラボ装備。孫悟空、ハッチャン、ウパのこころなどを実装。
コラボモンスターとして、レッドリボン軍仕様になったDQのマシン系モンスターが登場。ボス敵として強敵のヤムチャ、ギガモンの大猿、イベントスポットでバトルジャケット、ほこらボスに桃白白、メガモンのピッコロ大魔王が登場した。
ウォークがドラゴンクエスト以外のアニメ作品とコラボするのはこれが初なのもさることながら、実はドラゴンクエストがドラゴンボールとコラボするのもこれが初めてなのである。
ドラゴンボールとドラゴンクエストが互いに多大な影響を与えているのは上述した通りだが、集英社との関係性が影響してか、ドラゴンクエストと同作とのコラボはこれまで長らく行われていなかったのだ。
このコラボは発表されるや大きな話題を呼び、【堀井雄二】もX上で「ありそうでなかった」と書き込んだ。おりしも作者の鳥山明の訃報から1年を迎えた時でもあった。鳥山明が存命の時にコラボできなかったことが悔やまれる。