【行きはよいよい 帰りはこわい。】

Last-modified: 2024-03-05 (火) 06:45:31

トルネコ1

不思議のダンジョンを表した詩の一節。元ネタは文字通り「とおりゃんせ」。
全文は、

行きはよいよい 帰りはこわい。
こわいながらも
とおりゃんせ とおりゃんせ。

城の古文書に、不思議のダンジョンの宝の【しあわせの箱】について、27階にあることが記されていたが、同時に書かれていた詩である。
これだけだと「ははん、戻ろうとするとボス戦になるとかだろう。」とほとんどのRPGプレイヤーは軽く考えがちだが、実際に箱を取った時に初めてわかるというその怖さとは、帰り道にはアイテムがないという事実である。
「どんなに強い敵より恐ろしいのは、個々が弱くても補給なしで連戦を続けること。」という、現実でもなかなか教訓になる理屈で、未熟なプレイヤーは満身創痍でやっと箱を見つけても帰り道で無念にも倒されてしまうだろう。
「箱を拾ったら【リレミトの巻物】で帰ればいい」と油断していたプレイヤーも多いかもしれない(箱を持っていると無効)。
 
ただし救いもあって、帰り道では嬉しさのあまり空腹を忘れたのか【満腹度】が減らず【餓死】の心配はなくなるため、直前にパンや【ハラヘラズの指輪】は処分し、アイテム欄の空いた分を他のアイテムに充てれば、少しは生存率が上がる。
ハラヘラズの指輪は貴重なアイテムだが、箱を持ち帰ったときにどのみちそのときの所持品はすべて消滅するので、キープしても意味はない。
この状態でもHPは自然回復するため、敵との戦闘で体力が減ってもこれでいくらでも回復はできるが、経験値をいまさら稼ぐ必要も薄いため、なるべく戦闘せずに階段を見つけたら迷わず【即昇り】が基本になる。
アイテムは帰り道に落ちていないが倒した敵が落とす可能性があるため、これに賭けてもよい。
また、当然ながら戻るごとに敵が弱くなるので、27階ではギリギリの能力でも、20階を登る頃には楽に戦えるようになる。
 
なお、幸せの箱以外にも同じく取得して帰還できるようになる王様の宝石箱や奇妙な箱も仕様は共通している。
そのため、「箱を取った時に初めてわかる」とは言うものの、多くのプレイヤーは【ちょっと不思議のダンジョン】の帰り道で同じことを経験している。
ただし、あちらは10階層と短い上に構造も単純で、アイテムが枯渇して困るということもほぼない。
数回昇れば強敵と呼べるのは刺激しなければ無害の【まどうし】ぐらいになるし、即昇りを繰り返していれば大抵はアイテムがないことに気づかないまますぐに帰れてしまうレベル。ちょっと不思議にはリレミトの巻物もないので、なおさら異変には気づきにくい。
仮に多少の違和感に気づいていても、ここに来るまでに最初のダンジョンの帰り道なんて忘れてるプレイヤーも多いだろう。
 
また、【落とし穴】【地震】で下の階に落ちた場合も、箱を手放して落ちたりしない限りこの状態は継続する。
この仕様を逆手に取り、地震で落ちるまで粘る→落ちたら登る、と繰り返すことで、餓死に悩まされることなく永久的に同じ階層に留まり続けることができる。
かつて公式ガイドブックの161ページでは「箱を手に入れて上の階に来たら箱を捨ててまた地下30階へ降りる」という【強くてニューゲーム】を彷彿とさせるテクニックが紹介されていたが、地震のメカニズムが確立されている現在では「好きな階層で地震まで粘る」が安全である。
難易度の低い階層に留まって敵からのドロップアイテムを稼ぎ続けることで、装備の修正値や杖の回数を強化したり貴重な指輪の入手を粘ったりすることができる。
既に目的を達成している手前留まる意味は全くないように思えるが、【さいごの巻物】【証明の巻物】が眠る深層を目指す場合には有効なテクニック。
留まるならば以下のフロアが狙い目。おばけキノコやくさったしたいといった、使われると後に響く特殊能力を使うモンスターには注意。

  • ドロップ率MAXのベビーサタンやドロップ率が高めのゴーレムやうごくせきぞうなどが出現する16~18階
  • ベビーサタンが出現してばくだんいわが出現しない10~12階
  • 木の矢稼ぎ用のリリパットやドロップ率が高めのまどうしが出現する4~9階

 
余談だが、この「帰り道はアイテムが落ちていない」というシステムはトルネコだけでなく不思議のダンジョンシリーズでは定番ではあるものの、実は「帰り道」自体が無いシリーズの方が一般的だったりする。
目的を達成して、「帰り道」を通る不思議のダンジョンシリーズには『風来のシレンGB 月影村の怪物』があるのだが、あちらはアイテムを持ち帰るのではなく護衛対象を守りながら帰る(当然護衛対象が倒れたら再び上に戻って助け直し)という形である。
ほとんどのシリーズでは、上るタイプのダンジョンで落とし穴に落ちると、落ちた先の階(後戻りした階)にはアイテムが落ちていないという現象に名残があるぐらいである。
 
また、チュンソフトが開発したゲーム『街』では、主人公の一人である篠田正志が「とおりゃんせ」を歌うシーンがあるが、一通り歌った後に、

「行きはよいよい、帰りはこわい……そんな
TVゲームがヒットしたこともあったっけ……
あれは確か……」

という台詞を残す。トルネコ1(やシレンGB)を指している可能性が高い。