第2章 もしサイバーパンク世界の住人がオカルトパンク世界に転生したら
- 第2章 もしサイバーパンク世界の住人がオカルトパンク世界に転生したら
- 2-1 氷血のコルセスカ
- 2-2 転生者(ゼノグラシア)
- 幕間 『悪夢』
- 2-3 魔女と狂犬
- 2-4 六淫操手
- 2-5 王獣カッサリオ
- 2-6 がらくたなんかじゃない
- 2-7 炎は黄金を証明する
- 2-8 その視座の名はゆらぎの神話
- 2-9 シェイドラン
- 2-10 春の魔女
- 2-11 欠落と渇望
- 幕間 『前夜』
- 2-12 リーナ・ゾラ・クロウサーより
- 2-13 メクセトの神滅具
- 2-14 転生者殺し
- 幕間 『涙の価値』
- 2-15 そんなことよりゲームをしよう
- 2-16 鏡(ミラージュ)
- 幕間 『棒(ワンド)』
- 2-17 レジンキャストエピゴーネン
- 2-18 null参照のアリュージョン
- 2-19 サイバネティクスとオカルティズムの幸福なマリアージュ
- 2-20 その名はアズーリア
- 幕間 『もし狂犬が戦国乱世に転生したら』
2-1 氷血のコルセスカ
- タイトル参照元
- 魔法や幻想が存在する異世界であっても数学だけは変わらない。
大きく物理定数の異なる世界はお互いを認識出来ないことが理由ではないかというのが定説だが、真相は定かでない。
- 犯罪者、というよりも、犯罪が露見するような「へま」をやらかした者は「人狼」と呼ばれ、死者同然の無残な扱いを受ける。死にも匹敵するアウトローの宣告。
墓荒らしや大逆罪・魔術使用は教会によって重罪とされ、その容疑などで有罪とされた者は、社会及び共同体から排除され、追放刑を受けた。この際、受刑者は「狼」と呼ばれた。
当時のカトリック教会から3回目の勧告に従わない者は「狼」と認定され、罰として7年から9年間、月明かりの夜に、狼のような耳をつけて毛皮をまとい、狼のように叫びつつ野原でさまよわなければならない掟があった(当時のフランスでは彼らを見て「狼人間が走る」と表現した)。人間社会から森の中に追いやられた彼らは、たびたび人里に現れ略奪などを働いた。
Wikipedia>狼男
- 第五階層には手足を欠損した物乞いが多い
- アキラの当面の目的
- 医療福祉・言語コミュニケーション・情報インフラの三本柱の達成とアズーリアに言葉を伝えること
- この老人は指差しのセンスが絶妙で、更には『一度通じた仕草』を組み合わせて抽象的な概念を伝える、即席の手話めいた技術まで有している。
- ロドウィは肉体言語魔術師一級
- どうも接尾辞『-y』にはなにか文法上の意味がありそうだが
- 最後が『イ』とか『ィ』で終わるような名前を、ハザーリャ教徒彼は生と死、破壊と再生といった概念と結びつけている
- それ自体が発光する、奇妙な材質の石。内部に呪術的エネルギーを蓄えたこれは、第五階層でも高い交換価値を持つ。
- 呪力核のこと。モンスターを倒すとドロップする。
- 歌姫『Spear』登場?
黒髪の女性が歌い、軽やかに踊っている。アイドル歌手のプロモーションビデオっぽい、と俺は思った。
- アキラくんは自殺したっぽい?
そして金があっても、自ら死を選ぶ者もいる。
俺がそうだ。
- ファッション:コルセスカ
膝下までの白いワンピースは広めの襟や短い袖に精巧なカットワークが施され、色合いはシンプルながら複雑な縫製のものだと知れた。礼装用にも見える高級そうなロンググローブが二の腕辺りまでをすっぽりと覆い隠している。迷宮を歩くのに不向きそうな黒いウェッジソールと肩から提げたポシェットだけが全体のシルエットから浮いていた。
思わず、一歩下がってしまう。
そしてそのとき、ワンピースが目を見開いた。
布地のスカート部分表面に、巨大な目のような模様が浮かび上がったのだ。いや、『ような』とか『模様』とかではなく、それは服の上に存在する平面の目だった。
- コルセスカはアキラよりやや背丈が低い
- 「なんか言語の意味を理解せずに箱から規則的な回答が出てくる的な無理があるような、ないような、チューリングテストみたいな」
- 『過去遡及的な言語の翻訳』
「この会話や貴方の思考そのものが貴方自身によって事後的に生成された、『捏造された過去』であると解釈することによって、その矛盾は解消されますね。私のような言語魔術師はこれを『信用できない時制と語り手の解決』と呼んでいます」
- 「ハイデガーでも読んでればいいんじゃないですか(適当)」
- 「二回目の改変は貴方にとって救いだったのでしょう。けれど最初の改変は、どうも不穏なもののようです。最初に出逢った呪術師に気をつけるといいでしょう」
- 意味ありげに俺の失った左手に視線を向けているようだが。それ以上説明する様子は無い。
- この時点で大体察してるコルセスカ。その上で牽制して、奪いに来てる。
- 文字
- 認識が『書かれたもの』に先立つ。音声言語として日本語を定着させれば、ついでに漢字なども備わる。
- 貴方が文字を読めないのは、貴方がこの世界のどこにも居場所を持っていないからです
- 「ああ、思っていることが素直に外見に出てしまう方ですね。そんな、態度で答えを示さなくても」
2-2 転生者(ゼノグラシア)
- 「私はそれほどのものではありませんよ。魔女としては、上に七十人はいますし」
- 70人。キュトスの姉妹の姉の数。
- 「ああ、あれは【Spear】という、いわゆるアイドル歌手ですよ。上だけでなく最近は下でも人気だとか」
- 「弓、銃、砲といった投射武器は法で厳重に規制されています。資格を持っていないと、単純所持であっても禁固刑は確実です。器用さが足りないとそもそも扱えませんし」
- 「それは減速符ですね。対象にSlowを付加する補助系呪符でコストパフォーマンスに優れています。ちなみにSlowは累積します」「呪術の専門用語がよくわからないんですが」
- 数ある異世界の中には惑星の公転軌道が違ったり衛星が複数あったりして一日の時間が二十四時間ではないことも多いそうだが、なぜかこの世界はそうした点で元の世界とそっくりなのだった。
- 何かの伏線?
- 「塩パスタをやらなかったのは最後のプライドだよなあ」
- レオを助け、アズーリアに貰ったマントを渡す。
- 「異獣とは、現代では端的に敵対する異種族を示す言葉となっていますが、古くはグロソラリアあるいはゼノグラシアを包括する概念でした。つまり、異言の民ということです」
旧約聖書:詩篇:114章:1節 イスラエルがエジプトをいで、ヤコブの家が異言の民を離れたとき
- 異なる言語に神秘性を見出す、バベルの塔神話の裏返し。
- 「『念写』の呪術を使いました。私の記憶から再構成したものなので、呪的権利は私に帰属します」
- 普通の撮影機械には人間を写せないように安全装置が付いています。
- ファッション:カーイン
褐色の肌にモンゴロイドに近い顔立ち。日本人である俺の美的感覚から言って美形といっていいだろう。精悍な顔立ちと鋭いまなざし。長くつややかな黒髪が肩よりも下に流れている。
道衣とも和服ともつかない白い着衣。前を左右交互に重ね合わせて帯で結んでおり、下は赤いスカート状の衣裳が足下まで覆っている。この世界ではスカートは男女関係無く着用するようだ
- 三報会
幕間 『悪夢』
- 『アキラくん、私が、頭を良くしてあげるよ――』
そうして、俺の意識はゆっくりと解体され。
浮上するような感覚と共に、覚醒した。- しばしば登場するモチーフ
- トリシューラの自己申告によれば生理学的な処理を脳に施してそれと気付かれないように洗脳!みたいな事はしていない
2-3 魔女と狂犬
- タイトル参照元
- 『3-6 魔女と英雄』と対になっている。
- 『4-61 狂姫と狂犬』と対になっている。
- ファッション:トリシューラ
左右に流れた毛束が黒いシュシュによって肩の所で二つに結ばれており、毛先は緩やかに巻かれていた。
私服なのだろう、服装は黒い長袖のワンピース。丈が短く、すらりとした脚がよく映えていた。黒いタイツがショートブーツまでの脚部を完全に覆っているので、全体のシルエットは細く、そして非常に暗い。
まるで影のようだった。
見るものに鮮烈な印象を残す赤い髪とは相反する衣装。いや、逆に服装が暗色系だからこそ燃えるような髪色が際立つのか。トリシューラの服装の中で、髪色の次に目立つポイント。
冬らしさを感じさせる、灰色のファーストール。
既視感はこれだ。俺は半年前にこれと同じ色を大量に目にしている。
おそらく彼女の肩にかかっているファーストールは人狼のものだ。エスフェイルの死から流通量が減り、一月ほど価値が跳ね上がったこともあったが、既に十分な数が探索者たちによって確保されており、ほぼ同じ材質の狼毛皮がより安価に手に入るため、そこまでの高級品というわけではない。
- アキラとトリシューラの目線は同じくらい
- 思考の隅に留まり続ける、わずかな既視感。俺はこの少女と会ったことがある。
- アキラの腕を食いちぎり四魔将からアキラを救った、人狼の中の人。
- 貴方の言うような面倒な翻訳作業なんてしなくても、辞書やコーパスなんかの電子データをそっちの世界から送ってもらえばいいわけでしょう。言語資源は非常に価値が高い上に権利関係が複雑だから、こっちの一般人が手に入れようとしても難しいけれど。
- 杖のメソッドによるもの。コルセスカがやっているのは呪文のメソッド。
- 『塔』はそちらの世界との繋がりがあるからね。
- 星見の塔のこと。【永劫線】を介して異界の書物を蒐集している。
- ちなみに英語のデータは既にこの世界に定着してるよ、などと補足された。
- 松明の騎士団は古くから【猫の国】と接触しており、英語が至るところで使われている。
- アキラは騎士団と敵対的だったから気づかなかったのだろう。
- アキラの来る半年前から英語はブームだったので、単にアキラが周囲に興味なかっただけかと
- 階層掌握者としての権限は相手の殺害か、本人による譲渡によってのみ移動する(とヲルヲーラに聞いた)。
- 「私の目的は、この迷宮『世界槍』を攻略すること。最深部である第九階層――地獄に辿り着き、そこに封印された異獣たちの帝王、火竜メルトバーズを倒す事です」
- 「保留で」
- キーワード。
- 異世界転生においても、竜を退治して財宝を得るというライフプランを組んでいる人は多いと聞く。つまりそれだけ普遍的な娯楽であるということだ。
- 現代日本における話。
- 「アキラは、動画信仰がある人ですか?」
動画の情報ソースとしての確度って再生回数によって変動するの。『動画の価値は再生回数に依存する』という動画信仰が、その呪力によって動画そのものの情報量を拡張する。逆説的に、正確な動画は爆発的に再生回数が伸びるんだよ
- サイバーカラテの修練は肉体による実践を伴う必要が無い。閉じた目蓋の裏に投影される仮想道場の中
- 『ありがとう。貴方は、尊敬に値する』
- その場ではわからなかったレオの言葉が、過去の記憶を再生している今理解できている。
- コルセスカは日本語を世界に定着させたが、アキラに異界知識を定着させたわけではない。
- 知らぬ言葉を理解する現象を、ゼノグラシアと呼ぶ。シナモリ・アキラはこの意味でもゼノグラシアなのである。
- 『貴方は僕にとって、アズーリアの次に大切な人だ。縁があれば、また逢おう』
- コルセスカが俺を獣と評したように、トリシューラは俺を機械と形容した。
- たぶんキーワード。
- 世界槍内部の各階層は、物理的な構造として繋がっているわけではない。位相の異なる亜空間が、掌握者の意思によって階段で繋げられているのだという。
- 「自分から申し出ておいて、恩着せがましい。貴方がアキラを助けようとするのは徹頭徹尾、己の為でしょう」
- トリシューラは自分から負傷したアキラを助けに来た。
- ファッション:コルセスカ
身に纏う色彩が白なのは普段通りだが、絹を思わせる滑らかな生地が形作るのは豪奢な夜会服である。緩やかなドレープ使いの比較的おとなしいデザインで、異彩を放つ眼球の模様は相変わらず。アームロングが両腕を覆い隠しているのも既に見慣れた光景だが、今日はその表面に蚯蚓がのたくったような模様がびっしりと浮かび上がっている。ヒールの高い靴は硝子製かと思ったが、よく見ればそれは氷でできていた。
2-4 六淫操手
- タイトル参照元
- 奉竜山
- ジャッフハリム東方に聳え立つ山。内家拳の総本山。
- 『似た名前』
- アキラが殺したカインのこと。どちらも四十四士から引用している。
- 減速符は自らを中心として半球状にその効力を発揮する。中心から離れるほど効力は薄れるが、効果範囲を重ねるとその領域内における物体の運動が均質に減速していくという特性を有する。
- 知り合い程度であれば、数人を介せば世界中の人々と繋がると言うぞ。
- 地獄と地上の断絶も半年前までのこと。
- 第五階層が中立として開放され、地獄と地上が交流していること。
- 電子的、呪術的な情報網がある現代ではその傾向はより一層高まると言っていいだろう。
- アストラルネットとその模倣である杖的インターネットの両方がある。
- 圧倒的な情報転送速度。脳に直接情報を送り込んで、それを俺が事後的に音声や文章として再現しているかのような感覚。時間の順序が遅滞し、因果が逆転している。俺は違和感の正体を探ろうと、必死に目をこらした。
- いわゆる、火風水地とか温乾湿冷とかそういうのだろうか。
温乾湿冷の四性質が転変することで、火風水地の四元素が立ち現れるという思想
- 四大系統の初出
- 「喰らえ必殺! 聖絶の神火(サクリファイヤー)!」
- 「キーワード定義『凍結』。スタック上にある呪術は『解決されない』」
- よく見ればそれは氷でできた精緻な五十八面体。つややかな光沢を持ったリングが形成され、魔女の指にあつらえたように嵌っていく。
- 浮遊する目玉
2-5 王獣カッサリオ
- タイトル参照元
烏兎紀>一の獣
一なる獣カッサリオ。十九匹の中、最も強大で強力な獣。かつてパンゲオン・ライオットに生き残った獣の王の、別宇宙における写像存在。カッサリオとの一騎打ちにおいて、他の獣に勝算はない。
十六の獣ネオコージェ・カッサリオの父。
- あの恐るべき魔将エスフェイルを(ほぼアズーリアの功績だが)曲がりなりにも倒した俺より格上のカーインが逃げ隠れするレベルの強さであるコルセスカを一撃でバラバラにする魔将クラスの怪物カッサリオ。インフレが激しすぎてついていけない。
- 女性型だからガイノイドが正確なのかもしれないが、現代日本においては過度に性的なニュアンスが多分に含まれている用語なため、使用が躊躇われた
- 創発的人工意識
- いにしえの言語魔術師ゾートが生み出した『生命吸収』の秘儀
ファイアマインドの住み処>[TCG]おまけ・フレーバーテキスト
はるかな太古、海に漂う原生生物だったわれらを哀れんで、魔術王ゾートは 生命吸収 ドレインライフの秘儀を授けられ、そのための器官である口を与えられた。こうして口を得たわれらは声を得て魔術の言葉を唱えられえるようになったのだ。
魔術はすでにわれわれの生活を覆い尽くしている。魔術を極めんとするならば、日常を極めることだ。わかったら水を汲んで、薪を拾って来るんだ。終わったら七面鳥を買ってきてくれ。
(シュテファン・セオルグ『魔法使いの弟子』) - 通じない故事成語
「まさに前門の虎、後門の狼といったところだな」
「よし、準備できた! アキラくんはバカ言ってないで左腕出して! あと下系のネタほんとやめてキモイ!」
「今のは下ネタじゃねえよ?!」- 肛門と勘違いされた?
- 『第十四の杖『ヴァレリアンヌ』は空間の断層を作り出して相手を攻撃するよ。基本的に防御不可能だけど、燃費がものすごく悪くてエネルギーが切れるとただの手斧になっちゃうのが欠点かな』
- 「邪魔だっ!!」
- ライバルと言い争いしてるときに敵が来た時のお約束
- 融血呪の初登場
2-6 がらくたなんかじゃない
- 『泉』と呼ばれる迷宮内の安全地帯である。
- ダンジョンゲーのセーフポイント的なアレ
- 「許可もなく人をトロフィーにして競争のダシにしてんじゃねえ不快だ殴るぞ」
- この時点では、こんなことを言うアキラ。
- 「――使い魔の魔女、トライデント」
- トライデントの名前の初出
- ホモセクシャル、バイセクシャル、アセクシャル、ヘテロセクシャル
- 同性愛者、両性愛者、無性愛者、異性愛者
- 「俺は別に単性愛者でも幼児性愛者でもないし、仮にそうだったとしても個人の性的指向や性的嗜好に関して他人に文句を付けられる筋合いはない。成人するまで待つくらいの理性は存在している。人を幼い子供を虐待する屑のように言うのはよせトリシューラ。そして謝罪しろ」
- 現代日本では両性愛か無性愛が基本のよう。SFではよくある倫理観。
- 呪術というのは人類のごく普遍的な行いを、類推によって拡張する技術なの。
- 人類の〇〇の拡張。という言い回しは、BEATLESSを参照しているように思える。
- アナログハック・オープンリソース
- 【シャルマキヒュの凍視】
内部を青、緑、黄の三色の光が循環し、まるで何かの回路のような有様だった。
「無駄です。【シャルマキヒュの凍視】は受動型呪術。行動を終えた貴方たちに、回避の権利はありません」ファイアマインドの住み処>3レベル追加スキル
シャルマキヒュの凍視のコストは水(あお)、風(みどり)、地(き)
- 死ぬ直前のランキングはいくつだったかな、と確認してみると、丁度七十一位だった。こんなものだ。
2-7 炎は黄金を証明する
- タイトル参照元
ローマ帝国の哲学者、セネカの言葉。
「Ignis aurum probat; miseria fortes viros.」(いぐにす・あうるむ・ぷろばっと;みせりあ・ふぉるてーす・うぃろーす)
「なぜ神は善き人に非業の運命を与えるか」に答えて曰く、「炎は黄金を証明する」。
- 彼だけが美しく孤立していた
ハーモニー、トァン15歳の回想シーンで「彼女は教室で美しい孤立を保っていた」
- 『どうしてだろうね。貴方は何をどうやっても僕と引き合ってしまう巡り合わせらしい』
- レオの無彩色の片手に、アキラがまた遡られ語り直される。
- 地獄への道は善意で舗装されている
イギリス・ドイツの諺
- 五十六億七千万年後に来たる救世トリクルダウン。
- 優しくて柔らかな虐殺の文法。
- 虐殺器官
- 凍死の十二月。無造作な死。千引きの岩は段ボールで出来ている。来世は実在する。
- 千引きの岩は死者を現世へ戻さないための封印。死が終わりでも隔絶でもなくなった現代日本。
- 1-1で冷気のブレスを受けたときに「良く知った死の臭い」と言っているし、ホームレスでもしていたのだろうか。
- 闇色の左手
- 自己紹介、宣名こそが最大の自己強化呪術
- 「流れ出せ我が涙」「活動せよ我が錫杖」
- P・K・ディック「流れよ我が涙、と警官は言った」
- カバラの四世界、アツィルト、ブリアー、イェツィラー、アッシャーより
- 「Date et dabitur vobis.」
- だて・えと・だびとぅる・うぉーびーす
- 与えよ、さらば与えられん。新約聖書より。
- 「唵南無湿婆」
- オン・ナム・シバ
- 破壊神シヴァへの祈り。
- 「パワードエクゾスケルトン、モデル『狼の皮を被る者』、起動」
「偽預言者に気をつけなさい。 彼らは羊の皮をかぶって あなたがたに近づくが 心の中は貪欲な狼なのだ」 (『新約聖書 マタイ伝』より)
この引用を踏まえると、羊の心をトリシューラは持っているのだろうか。
- 恐らくあれは、極めて原始的な運動エネルギー弾によるものだろう。矢のような弾体が高速で射出され、目にも留まらぬ速度で標的に命中し、分厚い肉の塊を貫通していったのだ。射出直後に分離したと思われる安定翼付きの装弾筒が砲口近くに放り出されており、かろうじて俺にも何が撃ち出されたのかが理解できた。
2-8 その視座の名はゆらぎの神話
- ヒ感想
- タイトル参照元
- 階層と階層の何もない空間を繋ぐ移動用の泡状の亜空間⇨星界の紋章のフラサス(時空泡)が元ネタ?
"<平面宇宙航法> 平面宇宙(ファーズ)とは2次元の空間と1次元の時間が存在する通常空間とは別の物理法則が支配する宇宙であり、宇宙船は時空泡(フラサス)で船体を包み、ソード(門)からこの空間に入り中を移動して別のソードから通常空間に出る。"
- あのロウ・カーインとかいう男、あまりに駒めいてはいなかっただろうか?
- 16ゼタバイト
16 * 11垓8059京1620兆7174億1130万3424バイト
- 巡槍艦マツヤ
- ノアズアーク
- 彼は俺の文字しか読めない。彼の書いた文字も基本的には俺にしか読めなかった。
- アキラくんとレオの謎の繋がり。
- 円筒形の水槽と、その中に浮かぶ様々な人体の部位。
- 狼の頭部が丸ごと浮かんでいるのを見て、かつての記憶が甦りやや身が固くなる。開いた目がこちらを見ているような気がして、寒さが増したような錯覚を覚えた。
- 「ぴぴっ」
- 表面的な行為にこそ人間性が宿るんだって、口癖みたいに言ってた。形式を定めてなぞらえることが呪術の真髄なんだって
- レジンキャストキット
- 【最後の魔女】【未知なる末妹】
- 人間の知的営みを四通りに切り分けたこの区分は、正確には『世界観の拡張』『言語の拡張』『関係性の拡張』『身体性の拡張』と定義される呪術なの
- 私達がアキラくんをゼノグラシアと呼ぶのは、その『世界観』が異質だからだよ
- 囚われたクレアノーズお姉様
- 杖の派閥の盟主であるラクルラールお姉様
- 私と似た境遇のアーザノエルお姉様
- 『第二次厨房襲撃事件』
- 二人零和有限確定完全情報ゲーム
- ゲーミングアプリ『盤外の夜』
- 踏みしめていた足場は、さしずめ処刑台へ続く十三階段といった所だ。
- 「修業時代、私がセスカに勝ってた数少ない分野だしね。それはもう磨きをかけるよ」
- 「これなるは世にも稀な古代の王獣、カッサリオステーキにございまーす♪」
- 「うん。よりにもよって戦わなきゃならない時に来ちゃうなんてセスカもついてないよねー。私には分からない苦しみだけど、昔から初日が一番重いって辛そうだったし。邪視使いは体調とか精神状態次第で能力の揺れ幅大きいって聞くし、本来の実力なんて全然出せてなかったんじゃない?」
- コルセスカの生理現象。吸血衝動のこと。
- スルタン
- 【紀元槍】
- 「でもねアキラくん。別に私、貴方のママじゃないんだよ?」
- 初出
- ホスティングサービス
- 俺の運命だった。
- 初出
- ファッション:トリシューラ
俺は見た。その鮮やかな緑の瞳を、ビスクドールのようなかんばせを、深い赤色の髪を、細く長い手足を、その身を包む黒い衣服を、編み上げのブーツを、重心の安定した美しい立ち姿を、微笑みの中に揺るぎない自尊心を秘め隠しているその表情を、機械の身体でありながら人になる為に世界にぶつかっていこうとするその躍動を。
- ビスクドール
- 大断絶
- 空前絶後の言震によって地獄と地上が分かたれたこと。
2-9 シェイドラン
- タイトル参照元
- ファッション:トリシューラ
今日のトリシューラは黒と白のボーダー柄のシャツに黒系のキュロットと赤いタイツを合わせ、シンプルな黒のパンプスという装い。グレーのベレー帽がワンアクセントになっている様子だ。
- 店員さん初登場
- ファッション:店員さん
女性は一見すると探索者のようだった。黒と紫を基調とした呪術師の服装で、手には大きな杖を握っている。杖の先端には皿のように窪んだ巨大な円盤が取り付けられており、巨大な匙のようにも見える。立ち姿に隙が無い。
上着の裾にほとんど隠れている淡い色のショートパンツとそこから伸びる黒いストッキングに包まれたすらりとした脚がリズム良く動く。
店員さんは細い顎に人差し指をあてて少し思案する。金色の首輪が喉元を隠しているが、その下の胸元、肩、脇は大胆に露出した紫と黒のキャミソールドレス。紫の生地を覆うように、黒く透ける生地が胸元から広がっており、重ね着風のデザインが印象的だった。
- 団子虫人や矮小複眼人
- 店員さんは古グラナリア語を理解する
- この世界における端末とは、通信と情報処理の役割を果たす小型の機器のことを指します
- 書かれたもの(エクリチュール)としての文字情報は、再帰的な自己参照を繰り返す性質を持ちます。この性質を利用して論理演算を行うのが伝詞回路です。現代の情報機器はほぼ全てこの仕組みで動いており、魔導書やスクロール、呪符などと基本原理は同じですね
- 最新式の非線形参照型差延機関(セルフ・ディファレンス・エンジン)を搭載しておりマシンパワーが従来の五倍以上、
- 呪文の座のハルベルトが開発したもの。参照元は、Self-Reference ENGINE。
- 四十枚一組の【図書館(ライブラリ)】
- 遊戯王のデッキ枚数の理想は40枚。多分関係ない。
- アキラ、レオの名付け親になる
- 彼の猫耳が真っ白だったことが、俺にホワイトライオンを想起させたのである。
ジャングル大帝 - (んー、白? 白だったっけ?)
- 彼の猫耳が真っ白だったことが、俺にホワイトライオンを想起させたのである。
- 歌姫の名は【Spear】。今流れているナンバーは【エスニック・ポリフォニー】。
- 英語をそのまま使っているのは、一年ほど前、二つの世界が接触した頃から始まったこの世界のトレンドみたいなものなんだとか。
- 【モロレク】【三報会】【夜警団】【マレブランケ】【マグドール商会】
- アニス
- ファッション:アニス
詰め襟の軍服めいた黒服に身を包んでおり、身体の線から性別は分からないが、ゆるやかに波打つ豊かな黒髪と線の細い顔だちは年若い娘のものだ。
2-10 春の魔女
- 迫害されるティリビナ人
- コルセスカが残念ないきものであることが発覚。
- ファッション:コルセスカ
キャラを崩壊させながら絶叫するコルセスカの姿態が白日の下に晒される。裾の短いスリップ一枚で、白い肩や胸元、細い脚などが見えてしまっている。加えて、身体を横たえている為にウェストから腰にかけての柔らかく、そして引き締まった曲線がはっきりと浮かび上がってしまっていた。不摂生な生活をしている割に細く、女性的なラインを維持しているようだ。
それは暗い紫の包帯であった。枕を掴んだ手から腕、肘にかけて、肌が見えなくなる程にびっしりと暗色の帯が巻き付けられていたのである。包帯には蚯蚓がのたくったような不可思議な紋様、あるいは文字のようなものが血液を思わせる赤い塗料で記されていた。
- ファッション:コルセスカ
白いブラウスに格子模様が特徴的なクリーム色のカーディガンを合わせて、足首までを覆い隠すロングスカートにはいつものように目玉の模様。身体のラインが分かりづらい服装なのは先程の一件を気にしてのことだろうか。いや、これは男目線の余計な勘繰りか。
- 第五階層限定の物質創造能力は、この階層に一定期間、厳密には259,200秒滞在することで付与される。
- 259,200秒=3日
- 意思やイメージ力、そして具体的な行為なんかが引き金になって創造能力は発動する。つまりそれは、能力発動の度に第五階層がその意思をくみ取って階層自体の形を変えているということでもある。この世界は住人をずっと見続けていて、その願いに可能な限り応えるようになっているんだよ」
- 「階層そのものが住人の思考と動作という膨大な情報を常時取得し続けている?」
第五階層は、住民の願いを叶える性質を持つ。
第五階層=願望機・聖杯?
- トリシューラ、義肢代用システムについて説明する
- ピアツーピア
- ヒエロス・ガモス
- アナロギア
- ギリシャ語で類推のこと。
- アナロギア(類推)・ミメーシス(模倣)・パロディア(諧謔)がギリシャ詩学の三本柱。
2-11 欠落と渇望
- ヒ感想
- 【サイバーカラテ道場第五階層支部(仮)】の設立
- 「グレンデルヒ=ライニンサルという、いわゆる地上の偉人ですわ。現在も存命で、天才と呼ばれて讃えられております。毀誉褒貶の激しい人物で、正直わたくしはあまり好きではありませんが」
- 新紙幣の肖像の男について
- 新紙幣の肖像の男について
- 紙幣っていうのはその在り方が既にして呪符なの。呪符は紙幣であるとも言えるけど
- 現実に呪的なエネルギー源であり実用品でもある呪符は、それ単体で通貨としての価値を保持できる。最悪の場合は物々交換という形に持って行けるからだ。
ニコニコ大百科>商品貨幣論 - 店員さんによると、この紙幣は【保全】の呪符であり、使い手を守る護符として使えるとのこと。状態を保ち、維持する呪術が込められているため、紙幣そのものの交換価値を維持し続けられるのだとか
→幕間 『涙の価値』で、その維持呪術の正体が判明 - 魅了とか思想の伝播みたいな洗脳系呪術も込められている
- 固有の文脈、歴史、文化などを紙幣が反映するのではなく、紙幣から逆に反映させようとする逆説の理論
- 流通する紙幣をメディアとして扱い、親【公社】的な情報を伝染させようとしているのかも
- 図像に呪術的意味を付与した呪力紙幣の発行は、多大なコストがかかる上に、呪術が破綻した時にその信用を保証する組織全体に大きな反動がもたらされるハイリスクな行為
- 紙幣の発行には高位の呪符を大量生産できるレベルの高位呪術師の存在が必要不可欠
- 現実に呪的なエネルギー源であり実用品でもある呪符は、それ単体で通貨としての価値を保持できる。最悪の場合は物々交換という形に持って行けるからだ。
- (在野の占星術師なんて珍しい。塔の外では絶滅したと思ってたよ)
- なんと言えばいいのだろうか、あの店員さんといると、何故かは知らないが頭の中の変な回路に電流が流れるような感覚があるのだ。その理由までは判然としないが、単に好みのタイプとか美人だからとかそういう問題でも無いような気がする。
- 自動礼拝機というのは、その名の通り、迷宮内部で宗教儀式を簡易に済ませるためのサービスである。
- キロン初登場
- 灰色の瞳が、熱病にかかったかのようにこちらを見つめてくる。そして俺は、出会ってしまった。運命の、分岐点と。
- 美しい人間と出会うと、とりあえず運命持ち出すアキラくん
- 【キュトスの姉妹】
- 寄生異獣の術を地上に齎したのはトリシューラ
- カインをゾンビとした屍霊術を地獄に齎したのもトリシューラ
- 「ただし、もし刻限までに来なかった場合」「心配せずとも逃亡なんてしない。どうせ俺には逃げ場なんて無いんだからな」
キロンはこのときルウテトの持つ絶対順守の権能を使用している。ただ罰則を想起できなかったので効果は弱め。
- 最下層民――【人狼】【生きた死体】
- マクガフィン
幕間 『前夜』
- ヒ感想
- セージ
- 【聖フォグラント兄弟団】、【達人】、【三倍の報酬を得る兵士】
Wikipedia>聖マルコ兄弟団
1487年には、フリードリヒ3世によって、「長剣の達人(Meister des langen Schwerts)」という称号を独占的に用いることが保証され、団は剣術家の同職組合になった。この称号はランツクネヒトにとって重要であった。というのも、「長剣の達人」の認定を受けた両手剣を振るう者は、「二倍の報酬を得る兵士(Doppelsöldner)」の資格を与えられたからである。
- 【騎士の中の騎士】
- アルテミシア
- ファッション:アルテミシア
無数のフリルに彩られた純白の衣裳。
冷めた瞳は視点の低さにも関わらず周囲を睥睨するかのようである。豊かな金色の長髪が、純白の帽子から溢れるように流れ落ちる。
深くかぶった帽子が片方の瞳だけを隠しているのが奇妙と言えば奇妙だった。
- ローズマリー
- ファッション:ローズマリー
一人は豪奢な衣裳に身を包んだ艶やかな女性である。ホルターネックのドレスから覗く背中が艶めかしい。
- トラフィッキング
- 【小人】、"貴方の母親が試験管"
- 現代日本の倫理に従って試験管で生まれたシナモリ・アキラとの共通点?
- エニアグラム、五番(しらべるひと)
- 「Alea jacta est(賽は投げられた)」
- セレクティフィレクティと店員さんについて
"わたくしの大切な半身に、血塗られた戦いは似合わない"
"足下に存在しない影、その輪郭を慈しむように、空いた手で虚空を撫でる。存在しないものに触れるかのように。"
- カーインの主について
"さすがは呪祖の勇士――裏切りさえしていなければ、彼女の手元から引き抜いて魔将にしても良かったというのに。"(セレクティフィレクティ)
"自分はシナモリ・アキラの好敵手として彼の前に立ち塞がり、彼の一段上の目標として、そして時には彼を守る盾としてその身を捧げなければならない。"
2-12 リーナ・ゾラ・クロウサーより
- ヒ感想
- タイトル参照元
『3-22 シナモリ・アキラより』と対関係
- 「その打鍵、一体何をしてるんだよ」
「打鍵速度は言語魔術師の技量とイコールだと見なされているの。だから速ければ速いほど侵入の成功率は上昇する」
ハッカーの能力を打鍵速度で測るのは『ニンジャスレイヤー』から?
タイプ速度@ニンジャスレイヤーWiki
- ICE(Intrusion Countermeasure Entrancement:侵入対抗入神機器)
- ICE(Intrusion Countermeasure Electronics:侵入対抗電子機器)。
「ニューロマンサー」で有名なウィリアム・ギブスンのSFに出てくる用語。いわゆる攻性防壁
- ICE(Intrusion Countermeasure Electronics:侵入対抗電子機器)。
- 「私は、必ず貴方を迎えにいくから」
2-13 メクセトの神滅具
タイトル参照元
- ファッション:トリシューラ
そんな彼女の本日の服装は、飾り気のない黒いブラウスにアイボリーのロングスカートというシンプルなものだった。編み上げのブーツが「らしい」感じだったが、全体的におとなしめだ。
- ファッション:コルセスカ
白い袖無しのワンピース。極端に短いスカートから、黒のタイツに包まれたすらりとした脚が伸びている。いつも通りの白い長手袋は二の腕までを覆い、ノースリーブの肩と首から上だけが白い肌色を晒していた。
- 邪視系の使い魔【アブロニクレス】といって、邪視に強い抵抗力を持っています。
2-14 転生者殺し
- ヒ感想
- 白と黒だけの世界。
- 漫画的展開の暗喩か?
- 【転生者殺し】
- 転生物のアンチテンプレとして、悪しき転生者を狩るというものが存在する。
「重力制御や空間制御、磁力制御の異能者たちはかなり厄介だったよ。光の速度で動ける者や一度見た呪術を再現できる者との戦いは流石に死を覚悟した。他には約束の遵守を強制する力やあらゆる攻撃から身を守る力、万物を断ち切る魔剣、高い知性と戦闘能力を兼ね備えた使い魔。変わった所では、世界を特殊な視界で捉え、あらゆる生命の詳細な情報を把握し、自らを自在に成長させるという能力の持ち主もいた。いずれも、俺一人の力では到底敵うはずの無い強敵達だった」
- ラーニング能力はなろうテンプレとして根強い。知性があるモンスターをパートナーとする物語も多い。ステータスの閲覧と振り分けもなろうテンプレ。
- 憑依事故からの下り
- 上書き失敗、中途半端な同化、逆に消滅などは憑依モノの派生テンプレである。憑依元の人格が失われた事を問題にするのも憑依モノではテンプレ。
幕間 『涙の価値』
- ヒ感想
- 観ていることを超えて進む事はできない――邪視の基礎理論を想起して、コルセスカは自らの特性を再確認する。それは己にとっての優位性であるが、この場合は劣位性にもなり得る。
- 灼熱の怪鳥【撃鉄鶏】
ゆらぎの神話百科事典>撃鉄
2-15 そんなことよりゲームをしよう
- ヒ感想
- タイトル参照元
- 「これから正義の話をしよう」にも語感は似てる
- 俺の運命だった。
- 二度目
- コルセスカ:ファッション
俺は見た。そのアシンメトリーな異相を、深い青の左目を、氷のような右目を、白雪のような肌を、白銀の髪を、隠された両腕を、その身を包む黒と白の衣服を、光沢を湛えた氷の靴を、氷細工のように煌めく姿を、怜悧な仮面の奧に燃え上がるような意思を秘め隠しているその表情を、過酷な運命を乗り越えようとするその力強い抗戦を。
- 最初に出会った時、貴方には既に二つの注釈と、敵性マーカーが付けられていました。
- 敵性マーカーというのは、世界槍における審判役ヲルヲーラにつけられた【上下双方の敵】という理不尽なレッテルのことだろう。
- 「注釈というのは、貴方の魂に書き込まれた呪的な情報のことです。それなりのレベルの呪術師にしか読み取れないようになっていますが、逆に言えばそのレベルの呪術師に対するメッセージでもある。二つとも別々の人物が、それもほぼ同時期に付けたものですね」
- 『この者、シナモリ・アキラの世界槍内部における行動の全責任を、アズーリア・ヘレゼクシュが負うものとする』という、免責事項に関する注釈です。
- 「ですから、『わたしの』という一言だけです。所有代名詞のみ。誰が付けた注釈か、この頭の悪さと幼稚さから何となく察していただければ幸いです」
- 「私の本物の右目は、昔トリシューラに抉られたのです」
- 義眼は、二人の共同制作物
- 「貴方は共感を脳の誤作動だといいました。けれど、誤作動でも脳の――心のはたらきの一部でしょう? その価値を定めるのも同じ心です。悪意を持って共感作用を利用することができるなら、善悪を問わない利用だって、可能なはずです」
Wikipedia>ハッカー- それはすなわち、シナモリ・アキラの感情全てをコルセスカが引き受けるという宣言だった。俺の意思を挫いて揺るがせてしまう、痛みと恐怖、不安と絶望の全てを、彼女の牙が取り除く。
- 「成功すれば、貴方はあらゆるストレスに対して眉一つ動かさない、不動の心を持った戦士となる。けれど、恒常的に呪力の経路を繋ぎ、常に感情を流出させる術の性質上、満たさなければならない条件が一つあります」
- 「貴方が私に対して全てを委ねてくれること。心を開いて、私を受け入れてくれること。私に共感してくれること。そうでなければ、この試みは失敗に終わるでしょう」
- 「――あのですね。貴方には自覚が無いだけで、貴方が抱いた感情や欲求や痛みは全て私が知覚しているんです。ですから、なるべく妙な事を考えたり、危険な状況に陥ったりしないこと
- 二人の繋がりは目に見えない呪術的なものであり、二人が共感し続けている限り途切れないらしい。どちらかが相手を共感可能だと思う限り、その呪術は破れない。
- 「ロボ、ですか。おそらく他意は無いのでしょうが、できればその言葉を彼女の前で使わないほうがいいでしょう。特に、今のような状況では」
- 「【鮮血呪】使用後の自己同一性の乖離、情緒の不安定化、心身の喪失や恐慌などは、彼女の【活動的生活】のレベルが低下することによって引き起こされます。【鮮血呪】をどれだけの規模で発動させるかによりますが、およそ三回の発動で一つ下の段階に落ちると思って良いでしょう。貴方を助けに第六階層まで降りてきた時、彼女は【活動】のレベル、つまり好調な望ましい状態でした。現在の彼女は【仕事】のレベル、それもかなり低調のようです。
- 「これ以上無理に【鮮血呪】を使ったりすれば、彼女の状態は最低レベルの【労働】にまで落ち込みます。この危険域に陥ることは絶対に避けるべきです。もし万が一このレベルから更に低下するようなことがあれば」
- 「その時、トリシューラは意思無きロボットとなり、完全な『死』を迎えるでしょう
【活動的生活】は、『人間の条件』などの本を書いたハンナ・アーレントの思想から。
彼女による人間の行為の序列では、【労働】が最も価値が低く、政治などの【活動】が最も価値が高い。
コルセスカが、ロボという呼称を避けるよう忠告したのも、ロボットの語源が【労働】であるためであると思われる。
Wikipedia>ハンナ・アーレント
Wikipedia>人間の条件
[Wikipedia>ロボット
- 「その通りです。自己の存在証明を果たす事が生存とイコールである為、トリシューラ以外の候補者が【最後の魔女】になれば彼女は存在意義を否定されて自死するでしょう。そしてそれは、竜殺しの神話をなぞる為に生み出された架空の存在――私も同じ事。私も、そしてトリシューラも。敗者はただ死の中に埋没していくだけです」
- 【歌姫Spear】の【三叉路の染色分体】が奏でる不協和音のイントロが、服の内側で誰かからの連絡を知らせていた。
- リーナ・ゾラ・クロウサー。今朝方に関係性を築き上げたばかりの、新たな友人からの知らせが、窮状を鮮やかに塗り替えていく。
- 「個人的な好みで言わせてもらえば――悩むくらいなら両方の要素をぶち込んでしまえばいい。収拾がつかないとか辻褄とかバランスとかは気にしないで、滅茶苦茶なくらいが一番面白いと、俺は思う」
シナモリアキラ、自称リーナからの連絡によって活路を見出す。
2-16 鏡(ミラージュ)
- ヒ感想
- トリシューラの師にして姉にして育ての親である空虚大公クレアノーズ
- 人形師ラクルラールから受けた徹底した人格否定。
- 呪術医ベル・ペリグランティアによる人間性の解体。
想像力はつくりもの。神が土塊から紛い物の神を捏ね出すとそれは人になった。神の模造は人の模造。人の模造を人形と呼ぶならば、さしずめお前は女神の天形あまがつ。模造品が模造を作れるのならそれは叡智の証明だわ。
- 「天形」の初出
- ゆらぎの神話百科事典>クランテルトハランス
- ああ憎い憎い、忌まわしいアーザノエルの落とし子め。
- 【杖】教室の同期生たちの中でも図抜けた邪視適性を持つ人形姫のアレッテ・イヴニルはラクルラールお姉様の一番弟子で、彼女こそ【最後の魔女】候補者――【杖の座】に相応しいと評判だった。
- 「過つこと、それこそが暗き願いを育む。取り返しのつかない失敗体験こそが心の奥底に強い呪いを植え付けるのよ。コルセスカも哀れなこと。創造主によって与えられた右目の傷は、永遠に刻まれて残る事でしょう。奇しくも一なるキュトスが愚かな槍神によって七十一の断片に引き裂かれ、魔女の姉妹へと不可逆の変化を果たしたように――そして槍神が永遠の後悔と嘆きを抱えて世界を跛行し、天と地に呪いをもたらしたように。ねえトリシューラ。後悔に苛まれる気分はどう? 消えない過去を呪わしく思う不快さを噛みしめている? その苦痛が怨嗟となって呪いを生むのよ。お前は確かに、呪術師として前に進んでいるわ。誇らしく、恥じなさい」
罪悪感と呪術の関係
リストに並んでいるのは、とあるプレーンで転生事故と呼ばれる時空情報流に巻き込まれた者たちの名とその詳細なプロフィールだった。
他世界への転生や転移に成功するしないに関わらず、その事故に巻き込まれれば情報体が流出し、別の世界に流れ着くことになる。そうして外の世界から漂着した情報構造体は古来より【墓標船】と呼ばれ、有益か無益かを問わず様々な情報をこの世界にもたらしてきた。
- ゆらぎの神話百科事典>墓標船
「墓標船」の初出
- 探索者集団の最小構成単位は三人だ。人はその数字に安定を見出す。
- 「個人的な好みで言わせてもらえば――悩むくらいなら両方の要素をぶち込んでしまえばいい。収拾がつかないとか辻褄とかバランスとかは気にしないで、滅茶苦茶なくらいが一番面白いと、俺は思う」
幕間 『棒(ワンド)』
- ヒ感想
- 「私はきっと、アキラくんのパールヴァティにはなれないよ」
シヴァ神の穏やかで心優しい奥さん、ちなみにトリシューラは過激な戦女神カーリーを引用することが多い。
- メンテナンスの時に人工脳マップ表示したのは立川流の頭蓋骨の代わりかも。
- 第五階層のログを参照した悪夢、関係しているのは第五階層の裏面
4章の伏線
- 「何があってもトリシューラの傍にいる。死が二人を別つまで」
「――ううん。貴方に拒絶されるまで、だよ」
- コルセスカの略称「コア」
- 何故だかはわからない。しかし、その名前がコルセスカとトリシューラとを結ぶ複雑な因縁を解きほぐしてくれるような、根拠のない予感がある。
2-17 レジンキャストエピゴーネン
- ヒ感想
- タイトル参照元
レジンキャストはガレージキット製作等で使われる、型に流し込んで使う液。エピゴーネンは「模倣」のこと。
直接は藤原祐「レジンキャストミルク」(電撃文庫刊)からか。
幕間『もし狂犬が戦国乱世に転生したら』においてもゾーイ・アキラが同作品を読んでいる描写がある。
余談だが、この作品の主人公のファーストネームもアキラ。
- 永劫の時を重ねるキュトスの姉妹たちの中で、最も古い叡智をその身に宿していたという、偉大なる六女、ミスカトニカお姉様――彼女が自ら滅びを選んで以来、筆頭の弟子であったラクルラールお姉様が代理に立ってはいますが、【代替わり】が正式に認められた事はありません。これはつまり、先代があまりに偉大であったために、未だ第六位の座に相応しい者が見つかっていないということではないでしょうか。
- 「あの――先程の言葉と矛盾するようで申し訳無いんですけど、二人の時――血を吸わせて貰う時だけでいいです。その時だけ、コアって呼んでくれませんか?」
- 赤黒カプセルの中身
王獣カッサリオの骨を砕いて粉末にしたもの、鴉の鰓と兎の角、岩の吐息と転生者の細胞
- キロンから奪われていく創造能力
セージの手で回収されている
「力が、欲しいですか」
「欲しい。力が欲しい。誰にも負けない――を守れるだけの力がっ」
- ARMSのジャバウォック。
2-18 null参照のアリュージョン
- ヒ感想
- タイトル参照元
「ぬるぽ」または「NullPointerException」は、プログラミング言語Javaにおける典型的なエラー。
「参照先のモノが在ると思いこんで、プログラムを書いたが、実際やってみたら無かった(null)」ときに起こる。
「ぬるぽ」から「ガッ」と頭を殴られるところまでがテンプレ
ニコニコ大百科>ぬるぽ
- ウィッチオーダー:ヴァレリアンヌ
網膜に映し出された指示映像に従い、左掌を伸ばして口を覆い、舌で血を舐めるように掌に触れた。しないはずの、血の味がする。
緑色の短い髪と、身の丈よりも巨大な斧が特徴的な背の低い少女。年の頃は十四かそこらのミドルティーン。その周囲には無数の扉。少女が一つの扉を開いて向こう側を覗き込むと、その他の全ての扉から少女の顔が現れる。
「改型十四番・【縮地】」
トリシューラから託された円筒状の不格好な義肢。かつては斧から発生する空間の断層であらゆるものを切断する能力を有していたが、改良されたこの腕の真価は攻撃力には無い。
空間制御。キロンが用いていた、転生者の能力。サイバーカラテに存在する【縮地】の技法が、この世界の呪術によって再現されようとしていた。
- ダキニ=虚空を飛ぶ魔女の印。
Wikipedia>荼枳尼天
- ダキニ=虚空を飛ぶ魔女の印。
- オールインワン
レジンキャストミルクの主人公とヒロインの必殺技
- ウィッチオーダー:漆黒のシャクティ
左手の親指と人差し指で輪を作るような印相を結ぶと、ウィッチオーダーが光に包まれてその輪郭を消失させていく
想起されたのは、黒い肌の尼僧。あらゆる異世界、あらゆる時空を想像と予測のみによって見透かすという恐るべき視野の求道者である。
黒く染まった左手と、その手の甲に取り付けられた巨大な円環が再構成される
正体不明の攻撃を、獲得した鋭敏な感覚で捉えて回避する。重力制御による防御不能、視認不能の攻撃が俺に襲いかかっているのだと今の俺には理解できる。
回避性能に特化した義肢で数秒先の自らの死滅を予測しつつ、俺は左手の円環を回転させて上空に撃ち出す。回転しながら自動で標的を追尾する戦輪チャクラムが、キロンの構えた盾の防御を迂回し、背後から強襲してその背を切り裂いていく
- 印相は阿弥陀如来?
- ウィッチオーダー:ルスクォミーズ
瞬間的に浮かんだイメージは、波打つ黒髪と凄烈な美貌を持った魔女の姿。その周囲に跪くのは見覚えのある悪鬼の群れ。特定の集団を悪鬼に変貌させる忌まわしい呪術を生み出した魔女にして、喰らった相手の力を己のものにするという恐るべき自己強化呪術の使い手。九人の姉を除けばその実力は随一。最強の妹ルスクォミーズ。
鮮やかな深紅を基調とした義肢には、一見して特殊な兵装は存在しない。
(熱伝導制御能力によって一方向に効率よく進む熱フォノン。サーモクリスタルの兵器転用によって実現したフォノニックブラスター)
自然界には存在しない負の屈折率を持つ左手系メタマテリアルの使い道は遮蔽装置だけではない。トリシューラは原子の振動を熱フォノンとして記述することにより、それを自在に収束させ増幅させる。義肢内蔵という個人レベルの兵装でありながら、ウィッチオーダー下位ナンバー内で最大の瞬間火力を誇る、熱と炎の左腕。
王獣カッサリオの角を材料にしたこの腕は、あの振動砲と同じ原理の破壊を発生させる。
- 「いかに高速で動いても、俺に近付いて攻撃する瞬間には僅かな遅れが生まれる。」
- ゼノンのパラドックス
- 「この世界ではネット上にアップロードされたありとあらゆる文章、単語に呪的なハイパーリンクが形成されます。地下茎(リゾーム)的なデータベースの参照によって、それらは常に相互に影響を及ぼし合う」
- ザナドゥ計画?
- 恐らくゆらぎの神話の活動拠点である「はてな」のキーワードリンクを参照していると思われる
はてなキーワード>はてなダイアリー
2-19 サイバネティクスとオカルティズムの幸福なマリアージュ
- Wikipedia>アンドロギュヌス
幻想再帰のアリュージョニストの初期タイトルは「アンドロギュヌスの左手」
- ウィッチオーダー:ヘリステラ
彼女は女王だった。勇壮な面差し、輝く両の眼、そして充溢する圧倒的な呪力のオーラ。その背には途方もなく大きな車輪が乗せられ、上方には禍々しい竜、下方には極彩色の猫、左右にはそれぞれ鴉と兎が鎮座していた。その身体を押し潰さんばかりに巨大な車輪を担ぎながらも、強靱な山羊脚で大地を踏みしめ、踏みとどまり続ける女性。彼女が押しつぶされずにいるのは何故か。その足下に、沢山の妹たちがいるからだ。彼女は長姉。七十一に分かたれた不死女神、その最初の一欠片。膝の屈伸と共に途方もない質量が持ち上がっていき、やがて最高点に達した車輪が天を突き破り、大地から隆起して女王と姉妹たちを乗せていく。回り出した車輪は、魔女達を乗せて果てのない旅路を進み始めた。
手の甲の部位に車輪、あるいは歯車のようなパーツが追加され、それが高速で回転し始める。
(キュトスの姉妹No.1【ヘリステラ】、またの名を【車輪の女王】――私達キュトスの姉妹の頂点に立つ、一番上のお姉様。呪装機巧【アーザノエルの御手】が参照し、引用する能力特性は【輪廻】。車輪の女王の二つ名は複数の解釈があるけれど、そのうちの一つがキュトスの姉妹が無限に転生を繰り返すことを、車輪が回転する様子に喩えたというもの。キュトスの姉妹の長姉が司る【不死】は、【輪廻転生】なの)
(輪廻転生の能力特性は、エネルギーの移転。消滅し、直後に出現したエネルギーをアナロジーに基づいて同一のも>のであると画定することができる。このことが何を意味するかと言えば――)
無駄になった運動エネルギー、断絶してしまった威力が、一つの流れの中に纏まって拳に集約された。信じがたいが、そうとしか思えない。つまりこういうことだ。死んだ運動エネルギーが、生まれ変わって再生した。(類似点が僅かでもあれば、そこに連続性を見出す能力。アキラくんの動作は、全てが最適効率になる)
- ウィッチオーダー:トリシューラ
【アンドロイドの魔女】の名を冠したこの強化義肢は、外装を追加していくことによって無限に自己を強化していく特性を持つ。力が足りなければ外側に付け加えればいい。
- ウィッチオーダー:氷血のコルセスカ
白銀の輝きを放つ、長大な刃と短い二本の刃を併せ持つ氷の三叉槍。余りにも穂先が長い為、むしろ柄の長い剣とでも形容した方が適切であるかもしれない。
- 「際限なく加速していく主観時間。無限に引き延ばされ続ける苦痛。終わりのない拷問。」
- ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
- 無数の使い魔を使役するビートダウンの魔女
2-20 その名はアズーリア
- タイトル
『3-30 その名はサイバーカラテ』と対応。
- 睨んだ相手を石にしてしまう下半身が蛇の少女
- 目が大きくて綺麗な人を見るとすぐに石化させたがる(=巨大な義眼の持ち主であるコルセスカの事か?)、ニガヨモギ(=フレテリウス)好きという記述から脚を砕いて逃げ出したアルテミシアの事か。下半身が蛇になっているのも砕いた脚の代替なら合致する。
幕間 『もし狂犬が戦国乱世に転生したら』
- ヒ感想
- 青嶺瑠璃の名が初めて出る
- ゾーイ、ケイト初登場
- もうひとりのアキラくんの末路