推薦図書/性・性愛・聖婚関連/その他/さ行

Last-modified: 2024-03-16 (土) 10:56:53
  • アリュージョニスト以外のネタバレに注意
  • サイバーカラテを実践しよう (知ってる作品があったら、説明を追記しよう)
  • 最下部のコメントボックスで作品紹介を書き込むと、誰かが追加してくれるかもしれません
  • 多分図書じゃなくてもいいと思うよ
  • 参照と類似は呪力です。高めよう。
  • ほんの少しでも推薦図書に見えたのならそれが推薦図書です(邪視)。追加しましょう。五十音順に並んでいます。
  • 編集カラテ入門
    • 発勁用意! 次の2行をコピペして、自分の文章で書き換えます。ここは、Webブラウザ以外のアプリでやるのがオススメ。

      ** タイトル

      -説明1

  • NOKOTTA! 文章が出来たら、Webブラウザに戻り、画面の一番上の「編集」を押します。
  • GOOD! 編集ボックスが出てくるので、1で作った文章をコピペします。場所は、根性で探してください。
  • COMBO! 「プレビュー」を押して、うまくいってるか確認します。まだこの段階では、誰にも見られません。
  • EXCELLENT! 「ページの更新」を押せば、完成です!!

性・性愛・聖婚関連/その他

サキュバス オノレ・ド・バルザック

小説の項を参照

シェイクスピアの男と女 河合祥一郎

  • シェイクスピア劇の男女像を、その時代の男女観にもとづいて解説している本
    • それらにみられる女性差別や男たちの面倒臭さ、そして何より劇の構造や面白さを、時代背景を含めてしっかり説明している演劇批評
    • 女性差別的としての悪評も多い『じゃじゃ馬ならし』を中心に、いくつもの劇の男女やその時代背景を語っている
    • 特に、シェイクスピア作品中に見られるミソジニー(女性嫌悪)が、ただの「女性嫌い」ではないとする分析は、ジェンダー学的にも興味深い内容となっている
    • それは、自分の「男性性」が危うくなったとき、本能的に女性一般を攻撃することで「男性性」を守ろうとする病的な症状であり、
      • 娘に怒りをぶつけるリア王など、彼らは、自らの中に「女性性」を受け容れた男性が、自分の中から女性性を排除して自己を鼓舞しようとしているのだという
    • そこには、イヴに原罪の責任を負わせるキリスト教解釈の影響もあるとか
      →イアテムなどの女性嫌悪の正体?自身の弱さと悪の否定?ミサンドリスト(男性嫌悪者)も、性別逆で陥りがちな心情?
  • また、新聞の劇評やシェイクスピア以外の無数の劇を引用しているにも関わらず、かなり読みやすいのも良い
  • 加えて、この本では、クレオパトラから男装する女性戦士まで、さまざまな女性像も記述されていて、それもまた面白い
  • その文章からは、筆者の恋愛観や「男らしさ」へのこだわりも見え隠れはするが、
    • シェウクスピア劇は、「人間は愚かだからこそ面白い」とする作品なのだ、という方向性なので、妙な説得力がある
    • なにしろ、シェイクスピアは、恋愛や結婚ですれ違いラブコメから大団円に終わるような喜劇を、たくさん書いた劇作家なのだ
    • 現代まで残り続けるような面白い劇の背景として、ジェンダーという「役」や人間自体の面白さを呈示されたのなら、これは納得しないわけにはいかないではないか
  • ただ確かに、筆者が肯定する「気は優しくて力持ち」、女性に恭順する騎士道的な「男らしさ」は、時代錯誤ではある
    • 著者が、まるで文人の時代を嘆く武人たちのように「男」を演じられない情けない男の増加を批判するのも、シェイクスピアの時代ならまだしも21世紀には似つかわしくない
    • 男が男性優位主義を信じると同時に、女も女性優位主義を信じれば良いとしたり、男女が互いにプライドを認め合うからこそ、優雅な宮廷恋愛も生まれたとする主張にしても、
      • 男性優位主義がもたらす数々の弊害の前には、説得力はない
  • しかし筆者は同時に、 「男らしさ」や「女らしさ」があるからこそ、世の中は面白いのであるが、それは同時に愚かしいものでもあるともしている
  • また、男と女は、玉虫色でいかようにも解釈できる矛盾した共同体であり、 概念自体も対立しつつ共存する一方で、個々の男や女もまた玉虫色なのだ、としている
  • 人間の魅力や愛らしさは、愚かしさにあるのだ
  • 人間的な欠点を愛せなければ、恋もできないし、自分をも愛せなくなるだろう
    • 愚かさを愛することで人間としての喜びを味わうことが出来る、と
  • そしてまた筆者は、「恋は全て空想の所産」であるともしている
    • 幸せなど空想が産み出すものにすぎないけれども、その空想に身を任す決意をしなければ、幸せはつかめない
    • それはいわば人生を夢にかけるようなものだ
    • そもそも、文化自体、想像力の産物であり、それらも想像力の産物なのだと
      →『邪視』?
  • 『じゃじゃ馬』ならしは、主役ペトルーキオの愛とキャタリーナの陥っているジレンマを理解してこそ、意義ある劇である
    • 当時の社会観念では、女性には結婚する以外に生きる道が存在せず、キャタリーナも当然結婚したがっていた
    • キャタリーナは愛を求めていたし、結婚にもなんだかんだで応じている
    • ただ、彼女はお嬢様育ちのためにあまりにプライドが高すぎて、相手を受け容れるやり方を知らないのだ
    • キャタリーナが攻撃的であるのは、世間の目を気にして中傷から身を守ろうとするプライドゆえであり、あまりにも自尊心が高いために世間を敵に回している
      • 彼女は、自分に「じゃじゃ馬」のレッテルを貼った世間に対して激しく反応しすぎて、かえって「じゃじゃ馬」ぶりを発揮してしまうというジレンマに陥っているのだ
  • 現代人がキャタリーナ同様に見失っている価値観
    • 放縦が自由と履き違えられると、自分の不満を他人にぶつけるキャタリーナが自由な女と間違えられてしまう
    • 何でも好き勝手に言う自由を与えられれば、それで愛のある夫婦生活が保証されたことになるのだろうか?
    • 夫婦が愛し合うというのは、そうした即物的なレベルから離れたところにあるというのを、ペトルーキオはいわば逆説的なやり方で教えようとしている
  • ペトルーキオが説くのは、外見と内実の相違
    • 「他人の目や外見を気にせず、自分に素直になること」
    • プライドが高すぎれば、愛に身を委ねることは出来ない
  • 初期の喜劇でシェイクスピアが提示したのは、結婚によって〈個〉を〈夫婦〉のなかに解消する生き方だった
    • シェイクスピアの考える愛とは、自分のすべてを相手のものとするという激しいものであり、そのとき男女は一心同体というダブル・アイデンティティーとして存在する
    • シェイクスピアは古い人間であるがゆえに、彼が描く〈夫婦〉は、男性主導の因習的なものになってはいるが、そこに描かれているのは、ひとつの愛のあり方だ
    • 権利を主張し合う戦いは、真に愛し合う男女のあいだには成立しない
    • キャタリーナの屈辱ばかりに注目する人びとは、シェイクスピア流のどろどろとした(〈個〉が存在しない)夫婦愛のなかに、非シェイクスピア的な個人主義を持ち込もうとしているのである
      →トライデント的?
  • ただ、筆者も『じゃじゃ馬ならし』が、あまり出来が良くない(=しっかり正しい解釈がされないと成立しない)劇である、という点は暗に認めているところもある
    • この劇は、主役の演技が悪意的に見えると崩壊してしまうとされているので、その悪評や「誤解」も、またやむを得ないものではあるのだろう
      電子化×

ジェンダーとセックス 精神療法とカウンセリングの現場から 及川卓

  • ジェンダー系の「治療」についての論文をまとめた専門書
  • LGBTについての知識が更新された今では、もはや過去のものとなった記録ではあるが、日本の精神医療において、トランスジェンダーがどう扱われていたのかを知るには適している
  • 更に、伏見憲明氏やゲイ心理学者との対話まであり、内容も充実している
  • 小児性愛者:快感や満足の反面、抑うつ感、空虚感、罪悪感を抱えている症例も多い
  • ポルノをレズビアンものやゲイものから、SMまであらゆるものを買いまくる男性患者
    • こうしたポルノを借用することによってのみ、欲望を脚色したり、視覚化したり、さらには「上演すること」(act-out:行動化)ができるようにまでなる
  • サディズムやマゾヒズム
    • それらには、危害をごっこ遊びへと移行させる心理的プロセスがあるのではないか?
    • 人生の初期に与えられた、痛ましい危害の影響力を反復する試みには、そういた種類もあるようだ
    • 人生で苦痛を受けない人間など、存在しない
    • それゆえに、そうした苦痛をどのように乗り越えるかに、人生の意義が関わってくる
    • 受苦を歓喜へと変容させる精神的力動は、それが部分的であるにしても、人間存在と創造にとっては不可欠なのだ
      電子化×

自殺学入門 幸せな生と死とは何か 末木新

自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと 清田隆之

  • 恋バナ収集ユニット「桃山商事」のメンバーが集めた「一般男性」たちのインタビュー
  • (プライバシー保護のために再構成されているとはいえ)さまざまな男性たちの人生を垣間見ることが出来る、それなりに面白い内容になっている
    • また、序列や強すぎるプライドなど、男性ジェンダーに関わる話も多い
  • 構成は、それぞれのエピソードの後に、著者が、ジェンダー批判も込めたまとめと感想を述べていくスタイルとなっている
    • ただ、そのエピソードがあまりに強烈かつ多様で、むしろ逆にジェンダー概念の限界を感じるところがあるので、
      • 説教臭さはあまりないかもしれない
      • というより、一部のジェンダー批判は、明らかに的外れである
      • (もちろん相手方の女性の合意を得ている)SMのどちらも好きだというただの性癖の話が、ミソジニーだと言うのもそうだし、
      • 嘘をついてスナックで働いたうえに、実の娘を捨てて愛人のもとに走った妻の一体どこに、女性差別で弁護する余地があるというのだろうか……
      • 一流企業勤めで男性特権を得ているとされるその実態が、飲食チェーンの雇われ店長に過ぎなかったり、
      • この本で一番ジェンダー学習に熱心なのが、性欲強すぎる不倫おじさんだったりするあたり、
      • ジェンダーだけで、物事を分析することの限界しか分からない気さえしてくる
  • さらなる欠点として、(社会的地位が高い話者が多いこともあり)表題に反して、自慢に読めるような部分も多い
    • とはいえ、「いくらセックスに持ち込めても結婚までいけない」「仕事は順調だが裏面の無能な自分がバレるのが怖い」のように、
    • その「自慢」は話者の欠点と不即不離の関係にあるので、これはある程度仕方がないところではある
  • またこの本は、性的にややハードな話が多く、男性にとってすら読み勧めるのはわりと厳しいかもしれない
    • 出会い系アプリの多用や不倫はまだしも、ストーカーに近い話や「好きな女性にオナニーを見て欲しい」とか言い出すのは……
  • この本は、多くの例によって、率直に価値判断をしないで話を聞いてもらって、自分語りをすることの価値を教えてくれる
    • だが同時に、そうした率直な話を聞き届ける環境を構築するのが、かなり難しいこともしっかり伝えてくれるのだ
  • そして何よりも問題なのが、その散漫な内容である
    • これでは、どうやって欠陥のある男性社会を変えていけば良いのか、それが見えてこない
    • まず、男性個々人の意志に過剰な責任と期待を負わせすぎだし、
    • 「性欲」に限らず欲望自体が「それを抱いている」個人にとっての暴力なのではないか?
      • 逆にそうした暴力に支配されてしまわなければ、喜びや幸福を得られないのが、
      • 生殖を定められた人間としての宿命なのではないか?
      • そういった視点が欠けている
    • それに、これだけ生き方のサンプルを並べると、
      • 「男性社会」の暴力的で粗雑な人間関係や振る舞い方/ジェンダーの利点が、逆に見えてくるところがある
      • それは、ジェンダー差別をしない「政治的に正しい」生き方とは違って比較的楽に身につけやすく、
      • そのとおりに振る舞えば、自分の内面に踏み込まれることも自分を出す必要性もない
      • 「裸の個人」同士の接触は、深い思索と言語化能力を必要とし、そしてときに異なる相手との深刻な対立を生む
      • それなら、少なくとも同性同士では、ジェンダー的な付き合いのほうが、ある意味まだマシなのではないだろうか?
    • この本の内容は、そうした深い思索には応えるにはあまりに散漫なエピソードの集まりに過ぎず、また批判や見直しのないテンプレートな倫理に頼りすぎてもいるのである…
  • 抜粋・要約など
    • 男性の話すエピソードは漠然としている傾向がある
      • 具体性やディテールに欠け、そこにある感情や因果関係も見えづらい
    • 規範や役割意識の内面化、無自覚な特権=ジェンダー
      • 規範や役割意識にとらわれるあまり、そこから外れた自分を想像したり肯定したりすることが難しくなり、
      • 自分で自分を生きづらくしてしまっている部分もある
    • 相手のことを好きになる努力をすると、相手もこちらを好きになってくれて結果的に仲良くなれたりする
      • あえて自分から話しかけにいったり、相手から言われた意見を積極的に取り入れていったり、
      • そうすると自己洗脳されるというか徐々に苦手意識が薄れていく
      • 基本的には自分が生きやすくなるための術だが「俺はここまでできちゃうぜ」みたいな他の人へのマウンティング的な部分もあるかもしれません
        →『使い魔』『呪文』?
        電子化◯

下ネタの品格 文春文庫

  • 作家や文学者、漫画家の男女の下ネタに関する雑談本
  • 踏み込みすぎてセクハラになりかかっている部分もあるが、対談相手の女性が受け流しているのでなんとか対話として成立している
  • 確かに下ネタの話ではあるが、その実態は性や性欲を、率直かつざっくばらんに語っているだけの大人の雑談であり、
    • むしろ、どことなく強要や上品さすら漂ったりもする雰囲気すらあるほどだ
  • 女性だけの談話や秋田伝統の性文化の話、互いに相手の作品について語る対談などもある
    電子化×

11時間 お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか 江花ゆう子

その他へのリンク 

出産の民俗学・文化人類学 安井眞奈美

  • 名付け、儀式からケガレや胞衣を食する習俗まで、出産にまつわるさまざまな概念やその周辺事情をまとめた論考集
    • 時代と共に、人々の考え方や感じ方が変わってきたことが良く分かる内容となっている
  • 天理大学にて行われたシンポジウムを下敷きにしてはいるが、内容には基本的に特定の宗教への偏りは見られない(「天理教と出産」についての学長挨拶はある)
  • 水子供養については、高度成長期時代の流行や世相を受けて発生してきたものだと論じられている
    • また、現代の水子供養には、不妊治療や出生前診断などにより命を全うできなかった子どもたちの供養も含まれているという
  • 「産育儀礼と性の逆転」
    • あまりまとまりはない章だが、「階層社会の秩序と安定の源」「体が丈夫になるという俗信」「対立の解消によって人間を異なる次元の世界認識に導く」「両性の統合によって新たな時空間を創出し、危機的状況を変換し克服する」などの興味深い解釈があって面白い
  • 戦前までは、男性のトリアゲジイサンがいたし、間接的に男性が出産に関わる場面なら、かつては比較的多く見られた
  • 双子には勝ち負けがあるとされる
  • 相孕みの俗信:二人が同時に一緒に何かをする、という禁忌の一例
    • 同じ家で同じ年にふたりの余生が同時に妊娠し出産することを忌むもの
  • 男女の双子、心中者の生まれ変わりとか兄妹近親姦の結果生まれたとされて、将来夫婦にするなどとも言われている
  • 男女の双子は畜生児とされて一般に嫌われる
  • 水子供養を韓国に広めることに一役買ってしまった人のコラムもある
  • 産屋習俗には、「ケガレ」だけでなく、女性たち同士の「共助」や産婦の「休養」といった側面があり、古くからの習俗を女性たちが活かそうとしてきたのだという
  • 産褥精神病は、「あるべき母親像」に当てはまらない母親の説明概念として役立っていた
  • 産後うつ病は、母性の輪郭を広げ、柔軟にする役割を負っているようである
  • 名字がない時代の庶民にも、通名があり襲名していた
    電子化×

白雪姫(パロディ) きり子

漫画の項を参照のこと

少女と魔法 須川亜紀子

  • 「ガールヒーローはいかに受容されたのか」とあるように、魔法少女アニメとジェンダー・アイデンティティについて研究した本
  • 女の子向けアニメがどんな少女像を描いているかだけでなく、実際に見ていた女性視聴者の受け止め方や理解も、しっかりと分析しているのが特徴
  • 日本におけるフェミニズムの流れとともに、魔法少女にまつわるイメージがどう変化していったかを追っている
    →コルセスカやトリシューラ、アズーリアなど魔女たち

消滅世界 村田沙耶香

小説あ~さを参照のこと

女性学/男性学 千田有紀

  • 歴史的に男女の性差がどう扱われてきたのかをはじめ、フェミニズムやウーマンリブの簡単な歴史や概要などを、分かりやすく紹介している本
  • 男性学についての記述は少ないが、そのぶん、参考文献リストもついている
  • 男女に違いがないという見方から、違いがあるから、女性が「自然」と「文明」のその時悪く捉えられている方に属していると押し付けられるようになっていった
    →イアテム、ミヒトネッセ、グレンデルヒ
  • 近年では、女とはなにか、抑圧者とは誰か自体がゆらいでいるという
  • 田中美津の発言など、生産性の論理に反対したゆえに、後世にあまり受け継がれなかったウーマンリブ活動の記述が、パワフルでとても面白い
    • 「便所のワタシと汚物のキミよ」
  • 被抑圧者の日常とは、抑圧と被抑圧の重層的なかかわりのなかで営まれる
  • 「解放」は、最終的に自己解放でなければならない
  • 自分の問題が、他のひとの問題とどうつながるかを考え、自分の解放が他のひとの痛みをどう伴うのか、その痛みをともに考えること。
  • そしてときには、その痛みをそのまま、誠実に引き受けること
  • 親から自立するときのように
  • そして「自分の立場からは、あなたの問題はこうみえるのだ」と発言することを忘れない
  • 他者性と他者性がぶつかりあえば、共通点と相違点がわかるから、連帯し会えるところは連帯し、差異は差異として尊重すべし

ステレオタイプの科学 クロード・スティル

性教育、どうして男女はすれ違ってしまうのか。『おうち性教育はじめます』の著者と考える

性教育120% 原作田滝ききき 作画:ほとむら

漫画のページを参照のこと

性食考 赤坂憲雄

  • 性と食とタブーについてのエッセイ
  • 深い考察はないが、触れる範囲は広く、ハイヌウェレ神話や生贄、異類婚姻譚についても触れている
  • もっといい本が見つかったら、忘れても良い本かもしれない

性と懲罰の歴史 エリック・バーコウィッツ

  • 19世紀までの「性犯罪」の歴史をまとめた本
  • 西欧だけでなく、オリエントや古代ギリシャの事例もあるのが良い
    歴史を通してみれば、「性犯罪」を罰する基準やその背後にある道徳観は様々であることを教えてくれる
  • ただ、その内容はR18(G)なものばかり
    • 女性は不倫を疑われただけで即・死刑、獣姦は動物も一緒に死刑、自白で「真実」が得られるまで繰り返される拷問、そして罰されない男たちの性暴力の数々……
    • この本には特にフェミニズム的な主張はないが、それにも関わらず、読んでいると世の中には、性差別にまみれて性暴力を振るいたがる男しかいないように思えてくるほどだ
    • それはなにも、当時の法制度だけが特段に邪悪であった、というわけではない
    • トラブルが法廷に持ち出されない場合には、問題は、家長や近隣住民によるリンチという形で解決されてしまったからだ
    • そして、時代とともにそのような女性の不倫への風当たりは弱まり、男たちの性暴力もきちんと「性犯罪」として裁かれるようになっていくが、同性愛への偏見は現代アメリカにまだ色濃く残っていたりする……
  • 古代ユダヤ人は、物理的に劣勢に置かれているという感覚に取り憑かれており、彼らはそれを霊的な言葉で表現しなおした
    • たとえば厳しい性的境界線を引くことで、政治的統一体としての国民の数を増やそうとしたのだ
    • その点、男同士のセックスはその境界を曖昧にしてしまう
    • 男に女の「受け身」的な役割を担わせるし、獣姦同様、この行為からは子供が出来ない
    • また、聖書における反同性愛的な法律は、外交政策の道具でもあった
    • 神が命じたとおり、非ユダヤ世界の人達が「しているようにはしない」ことがユダヤ人の使命であり、同性間のセックスは「穢らわしい異教徒」の習慣の一つだった
      • それゆえに、それを拒否することで、ユダヤ人は自分たちを差別化することが出来た
    • 敵が同性愛を許可しているのであれば、ユダヤとしてはそれを禁ずるほかないというわけだ
  • しかし、同性愛は常に嫌われ、犯罪と考えられていたわけではない
    • 19世紀に入るまでは、異性愛や同性愛を絶対的な指向とする考え方はなかった
    • なんと、ざっと13世紀までは、地中海沿岸全域の教会で男同士を結びつける儀式が行われており、聖職者同士の結合の事例もあったほどだ
    • また、イングランドと地中海沿岸社会の多くでは、アフェルモ(兄弟の絆)契約という、同性カップルに適用できる制度が存在していた
    • アフェルモは、ひとつの所帯で「ひとつのパン、ひとつのワイン、ひとつの財布」=すべての財産を分け合うことを決めたふたりが交わす契約書だった
    • そうした契約は、兄弟が共同で農場を相続したり、よそから移住してきた人びとが、疫病で持ち主を失った広大な土地で労働力を集約しようとしたときなどに使われた
    • しかし、純粋に功利目的でこの契約を結ぶ人はいなかった
    • これは個人として深い関与を求められる契約だったからだ
    • アフェルモによって与えられたのは、生殖よりも愛や相互的な関心を重視した家族をつくる機会だった
  • また、この本には女神たちの記述もある
    • たとえばウェスタの巫女は、世の不幸の責任を問われ生き埋めにされたことも多いが、女神に祈り奇跡(トリック?)によって命を救われた記録もあるのだ
    • 中でも傑作なのは、自分にちなんだ教義や祝祭を開く資金にしてほしいと、遺産を残した高級売春婦フローラの話だ
    • 娼婦にちなんだまつりに抵抗を感じたローマの元老院は、フローラを花や農産物に結びつく豊穣の女神としてたてまつることで世間体をつくろおうとした
    • だが、実際には誰も尊厳など気にしていなかったようだ
    • フロラリア祭は、売春婦の見本市となり、競技場で娼婦たちが剣闘士に扮しておどけるわいせつな見世物が演じられていいたという
  • 筆者は、男性たちの女性への敵愾心は、月経や妊娠に対する恐怖に由来するものだと解釈している
    • 男たちは、不意に現れる月経血を見るたびに、肉体の上では自分たちが勝っているのに、自分たちには新しい命を生み出せないことを思い知らされたのかもしれない
    • 男はなぜそうも手つかずの女と結婚することにこだわったのか?
    • おそらく、諸女性へのこだわりは、女性を押さえつけて支配するための手段のひとつだったのだろう
    • 処女を花嫁に迎えることで男は力を誇示し、結婚前の娘の純潔を守れるかどうかによって、その父親と兄弟たちは管理能力を問われたのだ
  • そして、この本には、痛々しい迫害以外の面白いエピソードもいくつかある
    • 例えば、異性装やトランスジェンダーらしき人物の記述
      • その中には、男装して結婚詐欺どころか結婚や革のペニスでセックスまでした女性や、女装した娼夫までいたという
    • 他の項目では、「狼娘(リュキスカ)」と名乗って趣味で娼婦をやったり、宮廷に娼館を建てたというクラウディウス帝の妻メッサリナの話もあるし、秘蔵されていたエロ絵を出版して大目玉を食った業者の話もある
    • 「わいせつな出版を禁じる」という概念が成立する前の混乱を知ることが出来るという意味でも、これは貴重な資料と言えるだろう
  • レヴィ=ストロースは間違っていた
    • 近親相姦も、いつでもどこでも禁忌だったわけではない
    • 古代エジプトでは、近親婚は一般的な営みの一部であり、イシス神話の根幹をなす出来事だった
    • 王家の娘たちは、父親との結婚しか許されないこともあった
    • 近親婚は、財産を囲い込む手段であると同時に、ゾロアスター教を信じていた古代ペルシャでも聖なる文化だったのだ
  • 要は、「永久的な」もしくは「生来的な」性に関する法律など事実上、存在しないということだ
    電子化×

性別役割分業は暴力である 編:福岡助成額研究会

  • 性別役割分業は、女性からも男性からも生きる源を奪い取っていくので、国連の定義から言っても暴力だとしている本(2011年刊行)
    →第五階層のシナモリアキラが立ち向かわなければ/制御しなければならない暴力のひとつ?
    • 女性には、仕事を奪ったり男性より低い賃金しか支払わず、男性には仕事を生きがいとすることで生活時間を奪い、仕事喪失と共に自死を選ぶように仕向けている
  • データに基づき、性別役割分業を無くす動きや課題などについてまとめている
  • 特に、男性の生活権の必要性を訴えているところがジェンダー平等の観点から見て素晴らしい
  • ただ、近年X(twitter)の男女論で訴えられているような多くの課題、すなわち
    • 「国際競争力維持のため長時間労働が不可避である」こと、「仕事で大きな成功をするためには、長時間の継続した勤務が必要とされること」
    • 「育休や産休を支える制度や資金が不十分であり、独身者にそのしわ寄せがきていること」
    • 「手厚い福祉や女性支援が行われているとされる西欧諸国でも、少子化の改善は性別役割分業を行う移民頼みだと言われていること」
    • そして女性の「上方婚志向」=「男性の魅力を収入で評価する傾向により、男性が長時間労働を余儀なくされていること」などの点(要出典)については論じられておらず、
    • この内容だけでは、問題への取り組みが不十分であると言わざるを得ないのが残念である
      電子化×

聖なるズー 濱野ちひろ

  • 長年性暴力を受け続けた筆者が、性について別の角度から知るために、ズー(動物性愛者)について調べたノンフィクション
  • 「開高健ノンフィクション賞」を受賞しており、かなり評判がいい
  • 筆者は、DV男につきまとわれ、わざわざ離婚の法制度を使わなければ、その加害から逃れることが出来なかった
  • 取材対象には大きく偏りがあり、世界でいまのところただ一つの動物性愛者団体「ゼータ」、そのパッシブパート(同人用語で言う「受け」)がその大半を占める
  • とはいえ、同居までして誠実に取材した本であり、その内容はわかりやすいだけでなく様々な意味で面白い
  • ちなみにタイトルの「聖なる」は単なる著者の印象であり、ズーに宗教とのポジティブな関係性などはないことに注意
  • ズーの間では、対象動物との間に育まれる「パーソナリティ」が重要視される
    • それは上手く和訳できない概念であり「関係の中に見いだされる/生まれる人格」とでも言うべきもの
  • ズーにとって、性愛は絶対ではない
    • 対等性を重視し、性のための訓練などをしないことがモットー
    • 彼らは、自分の快楽のために動物を利用したり支配するビースティ(獣姦愛好者)やズー・サディスト(動物への性的虐待者)と自分たちを切り分けている
  • ズーが求めているのは、人間の代替としての動物愛ではない
    • 裏切りのない愛をくれる相手として、
  • ズーがまがりなりにもドイツで政治活動が出来ているのは、ナチスへの反動とも言うべきドイツの反ナチス精神によるものであり、セクシュアリティ差別反対のドイツの伝統があるため
  • 性暴力の本質がペニスそのものにあるわけがない
    • 短絡的にペニスに暴力性を見出していては、セックスから暴力の可能性を取り去ることは出来ない
    • ペニスを悪者に仕立て上げたところで、強者と弱者、加害者タオ被害者のわかりやすい二項対立を生み続けるだけだ
  • 暴力には不思議なことに何かを生む力がある
    • 筆者にも「自分自身をDVに縛り付けていた」という、自己への暴力性があった
    • 憎しみ、怒り離れておきたい感情を暴力は次々に生み出し、ついには暴力被害者の中にも暴力性を芽生えさせる
  • 「偏見や好奇の眼差しにさらされることになれるのは強さ」
    • 恐怖や悲しみがやってきては去って行くことを予め知っておけば、もうそんなものには振り回されないから
  • 最後に筆者は、性暴力について書けるようになったのは、ズーたちから勇気をもらえたから、と語っている
    電子化○

性という「饗宴」 伏見憲明

  • 百科事典並みに分厚いが、ゲイ以外の話題も多く、なかなか意義深い本
  • 『プライベート・ゲイライフ』の著者が、さまざまな人とさまざまなテーマを語った対話集
  • フィストファックの聖性、ヤリマン身障者芸人の話、竹田青嗣の美醜の話、そして差別の話の話はアに関連あるかも
  • 三人による鼎談も多いが、主催の伏見ともうひとりが意気投合して、最後にもう一人を置き去りにすることも多いので、鼎談としては失敗ぎみな場合も多い
  • 伏見:(あくまで個人の試みとして)差別された位置・属性から楽しさを汲み出していくことも出来るし、そうしたい
  • 吉澤夏子:フェミニズムの困難
    • 「性関係がすべて強姦である」という、ドウォーキンの強姦一元論を前提にしてもなお、性関係が性差別という政治性を僅かに逃れて成立しうる
    • 〈愛ゆえの性交〉の可能性があるということを言いたかった
  • 伏見:運動的な感覚は「漂白する」方向性を持っている
    • 松尾スズキ:清廉潔白であらねばならないという一種の強迫観念
    • 闇の領域を認めずに、漂白された部分だけを全面に出すのはコレ自体がとてつもない「差別」だという気がする
    • 人工的に美化された一面を強調するばかりじゃ、当事者を生きづらくさせるだけじゃないか
  • 山田昌宏
    • 専業主婦は、近代で試行錯誤されて成立した家族タイプの結果であり、(社会的)上昇だった
    • 近代家族の要は、男性の給与が上がり続けることであり、それが専業主婦の楽しみだった
  • 「伝説のオカマ」は差別か
    • 松沢呉一
      • 既存の差別反対運動の中に、当事者が唯一絶対の判定者だっていう考え方が非常に根強くあります
      • これは差別された者は間違いをしないっていう前提で成立する話じゃないですか
      • この発想は、差別されたと思った人は「被差別者」というグループに属し、彼らが差別した個と見なした人は「差別者」というグループに属し、差別という事象を判定する権限は「被差別者」のグループにしかないということですから、
      • 実は差別の構造の逆転なんです
      • どのグループに属するかの属性だけで、その発言(の意味)が決定されてしまう
      • 明らかに間違っていると思われるような批判や言葉狩りであっても、メディアには判定する権限がないので対抗できない
      • それは結局は「マイノリティ怖い」という雰囲気に行き着いて、結局全体が損をしてしまう
    • 伏見
      • 先に解放運動をやった人たちは前例がないわけだから、少しくらい失敗があってもしようがない
      • うまく行かなかったことを解決していくための議論は、後続の解放運動をやる僕らが積極的に担う必要があると思う
    • 野口勝三
      • 僕の考えでは、差別の問題で最も大切なことは、普通の人間が日常的に持っているモラルの延長線上で、その問題を捉えることができる状態になっていること
      • 「差別を受けた人間以外がその痛みを全く想像出来ない」のだとしたら、結局抗議を受けた人は、その問題を自分の問題として考えることができないということになってしまう
      • そして相手の言うことを無条件に受け入れないといけないことになる
      • 大事なことは「痛み」の絶対的な了解不能性を強調することではなく、相手の立場に立ったとき、自分の問題に惹きつけて考えることが出来るように、問題を提出すること
        そこに差別をなくす可能性が拓かれる
      • そもそも社会とは、自分と異なる利害や感受性を持った人の存在を前提にして存在しています
      • そして言論にとって大切なことは、自分には正しいと思えることを感覚の異なる不特定の他者に合理的に納得させる努力をいとわないことなんです
      • それを放棄すれば、相手が理解できなくても仕方がないんです
      • 「差別を受けた人間でなければその痛みはわからない」という言い方は、そういう痛みが存在しないものとされている社会であったりマジョリティがマイノリティの言うことに全く耳を貸さない状態であるなど、限定された一定の条件のもとでのみ政治的に有効であって、互いに関係を作っていこうという志向性がある場合にはむしろ問題なことが多いんです
      • 最も弱い人の立場に立たなければならないことを徹底すると、現実の条件や自己の利害を捨象して、無条件に相手の立場に立つことが要請される
      • それは、一般の人は、自分が普通の生活の中で作り上げている「自由」とか「良い」とかいうような価値が抵触されるのを感じるわけです
      • 例えば、みんなで議論している時に、ある人が自分の特定の利害に基づいて、自分の意見を全部押し通そうとするのを、人は良いとは思わないわけですね
      • そうではなく、お互いの利害というものを越えて、互いに共通了解を作り出そうと努力することを人はいい行為だと思うんです
      • つまり、正しいとか良いという行動の根拠というのは、一方的な命令によってではなくて、相互的な自由というものを基礎にしないといけない
        →しかし、この理屈は「一方的な被害者」である人々に受け入れられるものなのだろうか?

性暴力 読売新聞大阪本社社会部

  • 性暴力の被害者だけでなく、性暴力対策のQ&Aや性犯罪者更生に成功したカナダの取り組み、被害者を支える米国の性暴力対策チームの活動などを幅広く扱っている
  • 性暴力の被害者への二次被害を防ぐために、社会全体に性暴力被害の実態を知らしめ、被害者へ適切な配慮ができる社会へ変えていくことが必要である

性問題行動のある知的・発達障害児者の支援ガイド 本多隆司 伊庭千恵

  • 副題に「性暴力被害とわたしの被害者を理解するワークブック」とあるように、性暴力を理解しづらい障害者にその痛みを教え、犯罪を繰り返さないための習慣を学ばせるためのテキスト
  • 普段の行動の癖、パターンが犯罪と結びつかないように訓練するための本
    電子化×

性の進化論 クリストファー・ライアン&カシルダ・ジェタ

  • 人間の性の進化に対する「通説」(スタンダード・ナラティヴ)を否定し、一夫一婦制や闘争・騙し合いが人類本来の姿ではないと説いている本
  • 「通説」では、人間は一夫一妻が基本であり、男女は互いに異なる生殖戦略をもって争い合い騙し合うとされている
  • しかし、この本によればそれは農耕以後の新しいふるまいであり、それ以前の人類は一夫一婦制に束縛されない「乱婚」性だったという
  • この本の著者たちは、性的な貞操に対する考え方をもう少し柔軟なものにすれば、結婚はもっと安定するし、それによって社会や家族の安定性も増すはずだと主張している
    • 彼女たちは、本書によって、人間のセクシャリティに関する議論を促進すること、それによって人間とはいかなるものであるかについて、その現実をもう少し見つめるようなってくれることを望んでいる
  • 「フリントストーン化」:人間は、過去を推測する時に現在の道徳を反映させてしまう、現象
    • ホッブズもダーウィンも自分の社会を普遍的なものだとして自説を描いてしまった
  • この本が定義する「乱婚」(プロミスキュイティ):排他的な独占が無い性関係。一定数の継続中の性的関係を同時に結ぶこと。
    • 無差別なパートナー選びや行き当たりばったりの見知らぬ個体のセックスではない
  • 狩猟採集社会では、資源も性も全員の共有物であり、おそらくそれが唯一の生きる道だった
  • 子どもの父親が分からない状況や複数の「父親」が産まれてくる子供に影響を与えると考えられている社会では、複数の父親の存在が子供をより強力に支えるのである
  • 農耕と牧畜の開始が私有財産を作り、父親であることが重要で女性の地位が低下した社会を作った
  • モソ族:中国雲南省と四川省の境に近いルグ湖を取り囲む山々のふもとに住む
    • ルグ湖を母なる女神、湖を見下ろすガンモ山を愛の女神と敬っている
    • モソ族の語彙には、「夫」や「妻」を意味する言葉はなくアズフという「友人」を意味する言葉が代わりに使われる
    • 外国人と人妻のセックスが奨励されたりもしているが、それは成人であれば誰でも性的な自律性が厳格に守られているから
    • 人類学者に散歩結婚と呼ばれているモソ族の社会制度「セセ」の実態は、結婚などではない
    • 「セセ」には、誓いを交わしたり、財産を交換したり、子供の世話や貞節を求めるというようなことは、一切関係ない
  • マーガレット・パワー『平等主義ーー人間とチンパンジー』
    • チンパンジーは野生状態では平和的だったが、人間が餌付けを始めたために攻撃的になってしまっていたのだ
    • それまでチンパンジーは毎日食べ物を求めてジャングルに散らばっており、互いの助け合いが全ての個体の役に立つ環境だった
    • しかし、毎日同じ場所で、簡単に手に入る食べ物は限られた量しかないということをひとたび学んでしまうと、チンパンジーはだんだんと攻撃的な群れを作り「戦争」をするようになってしまうのである
    • 人間の餌やりがゼロサムの環境を作り出したのだ
  • 狩猟採集社会では、争ってまで奪い合うような資源は存在せず、人口の増大は集団を分裂させるが戦争の条件とはならない
  • 自由(戦争からの)というのは、失うべきものがなにもないーそして獲得すべきものも何もないーことの、また別の謂である
  • 過去の人類の社会行動は化石に残らないが、状況証拠や解剖学的な証拠から推測することは出来る
  • リチャード・ドーキンスは確かに「利己的な遺伝子」という概念を生み出したが、同時に、彼は集団の協同性を、個体が目標に向かって前進する(それによって各個体の遺伝子の利益も増大する)一つの手段として見なしていた
  • 経済学の中心を構成している「ホモ・エコノミクス」という原理は、一つの幻想・神話でしかない
    • 共有地の悲劇も囚人のジレンマも、誰もがお互いの顔を見知っている小規模なコミュニティでは存在しない
    • 匿名で運営されるような大規模な社会では共同所有はうまくいかないが、小規模なコミュニティでは現代に至るまで普通に機能してきた

セックスワーク・スタディーズ SWASH・編

  • 性産業にたずさわる人々「セックスワーカー」とその運動をまとめるとともに、何よりセックスワーカーの多様性を主張している本
  • 「セックスワーク」という言葉が獲得されるまでの経緯や性産業の歴史、そしてセックスワーカーへ支援者や表現者がどう関わっていけばいいのかまでを読みやすくまとめている
  • 「被害者」と相手を勝手に名付けて本人の主体性を侵害する行為への批判や、性的合意にまつわる問題についてもしっかり書かれている
  • 支援のために、相手や性産業についてよく知り、いつでも当事者たちそれぞれに合った"ストーリー"を「彼ら」と一緒に構築し、必要な選択肢を提示している
  • サバイバーが、自分は相手と合意を取ってちゃんと関係性を築くことが出来るのだという想いを見に付けていくためには、サバイバーに対してあなたは尊重されるべき人なんだということ、「合意形成」や「尊重」とは何であるかを浸透させていく必要がある
  • 「セックスワークは暴力の装置」という言葉も、性のあり方を一方的に決定している点では同じです
  • 私はその「暴力装置」という言い方をする人に言いたい
    • あなたがたが暴力をはたらいているんだって
  • セックスワーカーの表現は、試行錯誤を重ね、問題と向き合うことが必要
  • 性産業の規制は、そこで働くものに対する差別や抑圧・排除にもつながってきた
  • IEFC(国際女性の健康連合)性の権利は人権である これが平等と正義の前提である
  • 性的「志向」や「嗜好」であってもそれを差別してもならないという意見は強くない
  • セックスエリート11か条:次世代を生み育てるのに適していない男女はセックスしてはならないというブラックユーモア
  • 性と健康をセットで語ることへの批判
    • 非規範的・非同調的なジェンダーやセクシュアリティが病理化され、排除されてきた歴史
    • 行動と人格を不用意に結びつける危うさ
  • セックスには危険が伴うものだという「不都合な事実」もある
  • 性に関する言説は、どうしても個人の感覚を引きずってしまうもの
    電子化◯(kindleunlimitedで0円)

その問題、経済学で解決できます。 ウリ・ニーズィー ジョン・A・リスト